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株高でも積立を続けるか、ルールで決める

2026年5月30日|いろは堂投資編集部
株式市場のチャート・ティッカーボードのイメージ

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
定額積立は価格が上がると買える量(投資信託では「口数」と呼びます)が自動的に減るため、高値圏でも「高値で大量に買ってしまう」構造にはなりません。ただし上昇が続く相場では一括投資に劣後することがあり、積立が常に有利というわけでもありません。続ける・見直すは相場観ではなく、投資の目的と期間が変わったかどうかというルールで判断します。
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毎月の積立、こんな高い水準で買い続けて大丈夫なのかな…。いったん止めたほうがいいの?

日経平均は2026年5月、月間として最高値を更新し、5月29日には6万6329円をつけました(前月末比7044円58銭・11.88%の上昇)。数字だけ見ると、たしかに「今から買うのか」と手が止まる水準です。

ただ、止めるかどうかを決める前に確かめておきたいことがあります。定額の積立が高値圏で実際にどう動くのか、その仕組みを数字で見てからでも判断は遅くありません。

そもそも定額積立は高値圏で何をしているのか?

ドルコスト平均法は、価格が動く商品を常に一定の「金額」で、時間を分けて買い続ける方法です。ここで効いてくるのは、買うのが「金額」であって「量」ではない、という一点です。

先に言葉を2つだけそろえておきます。投資信託では、株式でいう株価にあたる値段を基準価額(多くは1万口あたりの金額で表示されます)と呼び、株数にあたる保有量の単位を口(くち)と呼びます。つまり「基準価額が上がる」は値上がり、「口数が増える」は持っている量が増える、ということです。

毎月3万円を積み立てている人を考えます。基準価額が1万口あたり1万5000円のときは2万口買えます。同じ3万円で、基準価額が2万円に上がった月は1万5000口しか買えません。つまり価格が上がった月は、買う量のほうが自動的に減っています。高値圏で「たくさん買い込んでしまう」という心配は、定額積立の構造上は起きません。逆に価格が下がった月は同じ3万円でより多くの口数を買っています。

定額積立の「量」の動き(毎月3万円の場合)
  • 基準価額 1万5000円 → 2万口
  • 基準価額 2万円 → 1万5000口
  • 基準価額 1万円 → 3万口

3か月で買った合計は6万5000口、支払いは9万円なので、平均取得単価は1万口あたり約1万3846円です。単純に3つの価格を平均した1万5000円より低くなります。これが、定額で買い続けたときに平均単価が押し下げられる仕組みです。

それなら積立はいつでも得なのか?

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高いときは少なく買うなら、積立にしておけば損しないってこと?

「積立なら常に有利」とまでは言えません。相場が一貫して右肩上がりで進む局面では、定額積立は最初にまとめて投資した場合よりリターンが劣ることがあります。あとから買う分ほど高い価格で買うことになるからです。「ドルコスト平均法は意味がない」と言われるとき、根拠にされているのはたいていこの性質です。

大事なのは、この2つが矛盾しないことです。積立は高く買いすぎることを避ける仕組みであって、最も多く儲ける仕組みではありません。何を優先しているかが違うだけです。手元の資金を一度に投じる勇気がない、あるいは毎月の収入から積み上げていくという人にとって、積立は買うタイミングの判断を手放せる方法として機能します。

向いていないケースもあります

近い将来に使う予定のあるお金(数年内の住宅資金や学費など)を積立に回している場合、高値圏かどうか以前に前提が合っていません。値動きのある商品は、必要な時期に必要な額があるとは限らないためです。この場合は「高いからやめる」ではなく、そもそも積立に回す金額の設計を見直す話になります。

やめて困るのはどんなときか?

判断の材料になるのが、保有した期間の長さと結果の関係です。金融庁が1989年以降のデータをもとに公表した資料には、保有期間の違いによる元本割れの発生状況が示されています。

保有期間元本割れの発生
5年1割超のケースで発生
20年発生なし

金融庁の公表データをもとに作成

上の表で、保有5年では1割超のケースで元本割れが起きた一方、20年では元本割れの発生がありませんでした。この差が示しているのは、期間を短く区切るほど結果が振れやすいということです。過去のデータであって将来を保証するものではありませんが、短い含み損の期間で判断を下すと、振れ幅の大きいところだけを切り取ることになります

実際、米国株式インデックスファンドの積立を始めた30代の投資家が、開始から6か月後の含み損に耐えられず全額を売却してしまったという失敗例が報告されています。売った時点で、その後の回復を受け取る側から降りることになります。

加えてNISA口座には制度上の注意点があります。通常の課税口座(一般口座・特定口座)なら、ある商品で出た損失を別の商品の利益と差し引きする「損益通算」ができ、引ききれない損失を翌年以降の利益から差し引く「繰越控除」も使えます。ところがNISA口座の損失は、この損益通算も繰越控除もできません。含み損の状態で売ると、税制上の救済もないまま損失が確定します。

続ける・見直すはどう決めればいいのか?

相場の高い安いで決めようとすると、判断の根拠が毎月変わります。基準にするなら、相場ではなく自分の側の条件です。次の質問に順に答えてみてください。

  1. 目的は変わったかそのお金を何のために積み立てているか。老後資金・教育資金など、当初の目的が変わっていないなら、相場水準は継続の判断材料になりません。
  2. 使う時期は変わったか取り崩す予定が20年後から3年後に前倒しになったなら、これは見直す理由です。相場ではなく期間が変わったからです。
  3. 毎月の金額は無理のない範囲か収入が減った、支出が増えたなど家計側の変化があるなら、金額の調整は正当な見直しです。
  4. 売りたい理由は上の1〜3のどれかに当てはまるかどれにも当てはまらず「高いから怖い」だけなら、それは相場観であって条件の変化ではありません。
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高いか安いかじゃなくて、自分の予定が変わったかで見ればいいんだ

この4つを紙かメモアプリに書いて、積立を始めたときの日付と一緒に残しておくと効きます。次に不安になったときに読み返すのは、そのときの相場ニュースではなく、自分が書いたこの条件です。判断の基準を、不安になる前の自分に決めさせておくという考え方です。

「一括で買っておけばよかった」は判断材料にならない

上がった後で振り返れば、まとめて買っておいたほうが結果は良かった、という計算はいつでも成り立ちます。ただしそれは結果が出たあとに分かることで、買う時点では選べません。過去の結果を根拠に今の方針を変えると、次に下がったときには逆の後悔が出てきます。積立を選んだ理由が「買うタイミングを判断しなくて済むこと」だったなら、その理由は相場水準では変わっていないはずです。

金額を変えたくなったときはどうする?

「やめる」か「続ける」の二択だと感じると、極端な決断になりがちです。実際には、続けたまま調整できる部分があります。

やめる前に検討できること
  • 積立額を減らして継続する(買い続ける習慣は残る)
  • 積立の対象を分散する(地域や資産の偏りを確認する)
  • 生活防衛資金が足りているか確認し、足りないなら積立額をそちらに回す
  • 売却ではなく、新規の積立だけを一時停止する(保有分は残る)

特に最後の「保有分は売らずに新規だけ止める」は、全額売却とは意味がまったく違います。売却は損益を確定させますが、積立の停止は確定させません。不安が強いときほど、いちばん取り返しのつかない選択肢(全額売却)から先に手を出しがちなので、順番を意識しておくと落ち着いて選べます。

結局、高値圏で確かめておくべきことは?

やることは3つに絞れます。第一に、定額積立は価格が上がれば買う量が減る仕組みだと理解しておくこと。第二に、それでも上昇が続く相場では一括投資に劣ることがあると知っておくこと。第三に、続ける・見直すの基準を目的・期間・家計の3点に固定しておくことです。

相場の水準は毎日変わりますが、この3つは変わりません。変わらないものを基準にしておけば、判断のたびに調べ直す必要がなくなります

投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。本記事は教育目的の解説であり、特定の商品や銘柄の推奨、投資助言、将来の利益を保証するものではありません。掲載した過去のデータは将来の運用成果を示すものではなく、実際の判断はご自身の資金計画に照らして行ってください。

よくある質問

定額積立は高値のときにたくさん買ってしまうのですか?

いいえ。定額積立は毎回一定の「金額」で買うため、価格が上がった月は購入できる量が自動的に減ります。投資信託では値段を基準価額(多くは1万口あたりの金額)、保有量の単位を口と呼びます。毎月3万円の積立なら、基準価額1万5000円のときは2万口、2万円に上がった月は1万5000口となり、高い月ほど買う量は少なくなります。

ドルコスト平均法は一括投資より必ず有利ですか?

有利とは限りません。相場が一貫して上昇し続ける局面では、後から買う分ほど高い価格になるため、最初にまとめて投資した場合よりリターンが劣ることがあります。定額積立は高値づかみを避ける仕組みであり、最も多く利益を出す仕組みではありません。

含み損が出たときに積立をやめるべきですか?

含み損の有無だけでは判断材料になりません。金融庁の資料(1989年以降のデータ)では、保有期間5年では1割超のケースで元本割れが発生した一方、20年では元本割れが発生していません。判断は投資の目的・使う時期・家計の状況が変わったかどうかで行い、相場水準や短期の損益では決めないのが基本です。

NISA口座で損失が出た場合、税金の面で救済はありますか?

ありません。課税口座なら損失を他の利益と差し引く「損益通算」や、翌年以降の利益から差し引く「繰越控除」が使えますが、NISA口座の損失はどちらも使えません。そのため含み損の状態で売却すると、税制上のメリットを得られないまま損失が確定します。

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