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セクターローテーションの読み方、指数が下げた日に資金はどこへ

2026年10月5日|いろは堂投資編集部
屋外の株価表示ボードに映る数字と通行人のシルエット

画像出典: ぱくたそ

この記事の要点
2026年10月2日の東京市場は日経平均が前日比647.26円安の68,309.46円で引けた一方、半導体テスター大手のアドバンテストが株式分割考慮ベースの上場来高値を更新しました。指数の騰落だけでは資金の向き先は分かりません。プライム市場の値上がり・値下がり銘柄数(この日は値上がり215・値下がり1,306)、東証33業種別の値動き(上昇は4業種のみ)、売買代金(約8兆2,978億円)の3点を順に確認することで、資金がどこへ流れたかを自分で確かめられます。
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日経平均が600円以上下げた日なのに、半導体の銘柄が最高値って出てる。どっちを信じればいいの?

指数と個別銘柄が逆を向く日は、実際にあります。2026年10月2日(金)の東京市場がまさにそれで、日経平均は前日比647.26円安(-0.94%)の68,309.46円で引けたのに、半導体テスター(検査装置)大手のアドバンテストは+5.23%で株式分割を考慮した上場来高値を更新しました。

正直なところ、この状態をニュースの見出しだけで理解するのは無理があります。見出しは「指数」と「話題の1銘柄」という、市場の両端だけを切り出すからです。

その間を埋めるのが、プライム市場全体の銘柄数・業種別の値動き・売買代金という3つの数字です。ここでは「資金がどの業種から出て、どの業種へ入ったか」を指す言葉としてセクターローテーションを使います。以下はその3つを順に確認する手順で、10月2日の実データを例に進めます。特定の銘柄を推奨するものではなく、データの読み方の例示としてお読みください。

指数の前日比だけでは何が分からないのか?

日経平均は225銘柄の株価を使って計算する指数で、株価の高い銘柄の値動きが指数に強く響きます。こうした株価水準の高い銘柄を値がさ株と呼びます。つまり日経平均の騰落は「市場全体の多数決」ではなく「一部の値がさ株の動き」に寄っているということです。

10月2日の数字がそれをはっきり示しています。アドバンテストの上昇は、それ1銘柄で日経平均を約220円押し上げる効果がありました。一方で東京エレクトロンは終値12,100円(前日比-480円、-3.82%)と反落し、同社を含む押し下げ上位5銘柄で約684円分、指数を下げています。

同じ「半導体関連」という括りの中で、押し上げと押し下げが同時に起きていたわけです。ここまでは指数の仕組みの話で、まだ資金の向き先は見えていません。

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じゃあ市場全体が下げたのかどうかは、どこを見ればいいんだろう

手順1:市場全体が下げたかはどこで分かる?

市場全体の多数決にあたるのが、値上がり・値下がり銘柄数です。証券会社のアプリや株式情報サイトの「市場概況」に、プライム市場の値上がり何銘柄・値下がり何銘柄という形で毎日載っています。

10月2日の大引け時点では、値上がり215銘柄に対し値下がりは1,306銘柄でした。プライム上場銘柄のおよそ8割が下げたことになり、この日の下落は一部の値がさ株だけでなく市場全体に広がっていたと読めます。

同じ日の午前10時時点は値上がり322、値下がり1,202、変わらず22でした。朝より大引けのほうが値下がり銘柄が増えており、売りが日中に強まっていった経過も追えます。

銘柄数の比率から読めること
  • 値下がりが8割前後 → 市場全体に売りが広がっている(指数の下げが特定銘柄だけの話ではない)
  • 指数は下落なのに値上がり銘柄が多い → 値がさ株だけが下げている可能性がある
  • 朝と大引けで比率が変わる → 日中に売買の勢いが変化した

手順2:資金はどの業種に入ったのか?

次に、どの業種に資金が入ったかを見ます。東証の上場企業は33の業種に分類されており、業種ごとの値動きは市況解説サイトや証券会社の業種別ランキング画面で確認できます。

10月2日に上昇したのは33業種のうち4業種だけでした。

区分業種値動き
上昇非鉄金属+2.99%
上昇鉱業+2.03%
上昇石油・石炭製品+1.28%
上昇海運業+0.36%
下落(上位)証券・商品先物取引業-2.71%
下落(上位)不動産業-2.52%
下落(上位)その他金融業-2.21%

世界一やさしい投資の学校(TBL Advisory)の公表データをもとに作成(数値は2026年10月2日大引け時点。一次統計ではなく市況解説記事の集計値です)

上の表で上昇側に並んでいるのは非鉄金属・鉱業・石油・石炭製品・海運業で、いずれも資源価格と結びつきの強い業種です。原油高・資源高が買いの要因と報じられています。

下落側の上位は証券・商品先物取引業、不動産業、その他金融業と、金利の影響を受けやすい業種が並びました。この日は米10年物国債利回りが一時5.34%と約24年ぶりの高水準になり、金利高への警戒がリスクを取る動きを妨げたと報じられています。精密機器、情報・通信業も値下がりが目立ちました。

上昇4業種が資源に集中し、金利に敏感な金融・不動産が下落上位に並ぶ。この並び方が、資金が「金利に弱い業種から資源関連へ」動いた一日だったことを示しています。業種別の値動きを並べる意味は、この向きが見えることにあります。

業種別データをどこで定点観測するか

日々の業種別騰落率は市況解説サイトや証券会社の画面で確認するのが早いですが、業種ごとの規模感を押さえておくと値動きの解釈が安定します。日本取引所グループが業種別時価総額のページを公開しており、更新は月次です。

手順3:売買代金はどう使えばいいのか?

銘柄数と業種で「どこへ」が分かったら、最後に「どれくらいの規模で」を見ます。これが売買代金と売買高です。

10月2日のプライム市場は売買代金が概算で約8兆2,978億円、売買高は25億1,171万株でした。同日のプライム市場の時価総額は約1,351兆7,690億円、TOPIX終値は4,091.00(前日比-40.98、-0.99%)です。

売買代金の数字は、それ単体では大きいとも小さいとも言えません。意味を持つのは直近の平均と比べたときだけです。自分の証券口座のチャート画面で日足の出来高を1〜3か月分表示し、直近の棒の高さと比べる方法が手軽です。

  1. 市場概況を開くプライム市場の値上がり・値下がり銘柄数を書き取る。比率が8割前後に偏っているかを見る。
  2. 業種別騰落率を開く上昇業種と下落業種の上位をそれぞれ3〜4つ書き取り、共通点(資源・金利・内需など)を探す。
  3. 売買代金を直近平均と比べる日足の出来高を1〜3か月表示し、その日が平均より多いか少ないかを確認する。
  4. 話題の銘柄の指数インパクトを確かめる押し上げ・押し下げ貢献度のランキングを見て、その銘柄が指数をどれだけ動かしたかを把握する。

「半導体株が最高値」はセクター全体の話なのか?

ここまでの3手順を10月2日に当てはめると、見出しの印象とは違う姿が出てきます。

上昇した4業種に半導体関連の業種は入っていません。アドバンテストが上場来高値を更新したのは、米半導体メモリー大手マイクロン・テクノロジーの好決算を受けて半導体テスター需要の拡大期待が買いを誘ったためと報じられています。同じ流れでキオクシアホールディングスやレーザーテックも値を上げました。

一方で東京エレクトロンは-3.82%、ソフトバンクグループも下落しています。「半導体・AI関連」という同じテーマの内側で、資金が入る銘柄と出る銘柄に分かれていたわけです。テーマ単位で「強い」「弱い」と丸めると、この選別を見落とします。

なお、直前の9月末から10月初めにかけては、半導体株の比率が高い台湾加権指数が連日で過去最高値を更新していました。マイクロンの決算を起点に、グローバルで半導体関連へ資金が向かう流れがあったことは事実として押さえておいてよいでしょう。

なぜこの日に下げたのか、原因はひとつではない

10月2日の下落は3営業日ぶりの反落でした。その直前の9月30日から10月1日の2営業日で、日経平均は3,400〜3,500円超上昇しています。10月2日の下げはその反動による利益確定売りが主因と報じられました。

そこに米長期金利の上昇という別の要因が重なっています。原因の切り分けは報道でも見方が分かれる部分で、どれが何割という形で確定できるものではありません。

この読み方で分からないこと

値上がり・値下がり銘柄数や業種別騰落率は、その日に何が起きたかを示す事後のデータです。翌日どうなるかを示すものではありません。

また、1日分のデータだけでは資金の流れが続くのか一時的なのかを判断できません。業種別の順位が数日〜数週間にわたって同じ方向に並び続けるかどうかを見ないと、ローテーションとして定着したとは言えません。1日の順位だけで売買の判断に使うのは無理があります。

ここで挙げた業種別の数値は市況解説記事の集計値で、東証・JPXの一次統計そのものではありません。数値を自分の記録に使う場合は、取引所の統計や証券会社の画面で再確認してください。

複数日で見るときの注意点

業種別の騰落率を数日分並べて追う場合、各日の数値は同じ条件で取る必要があります。「大引け時点の前日比騰落率」で揃えることです。ある日は午前10時時点、別の日は大引け時点という混ぜ方をすると、比較になりません。

10月2日のデータがその理由を示しています。午前10時時点では33業種中の上昇は4業種で、値上がり322・値下がり1,202でした。大引けでは上昇業種は同じ4業種ですが、銘柄数は値上がり215・値下がり1,306へ変化しています。同じ日でも時点によって数字が動くため、時点を固定しないと自分の記録と画面の数値が合わなくなります。

値上がり・値下がり銘柄数を比率として使う指標には騰落レシオがあり、これは通常25日間の累計で計算されます。騰落レシオ(25日)=直近25営業日の値上がり銘柄数の合計 ÷ 直近25営業日の値下がり銘柄数の合計 × 100という式です。期間を指定せずに計算すると自分の画面の数値と一致しないため、何日間の累計かを必ず確認してください。上で扱った10月2日の数字は1日分のため、この式には当てはめられません。

記録のつけ方

この3つの数字は、毎日メモするほどの手間をかけなくても意味があります。指数と個別銘柄のニュースが食い違って見えた日だけ、銘柄数・上昇業種・売買代金の3行を書き残しておく形で十分です。

数か月分たまると、どの業種とどの業種が入れ替わりやすいのか、自分の持っている資産がどちらの側にいるのかが見えてきます。知ってから判断すればいいので、今日のところは「指数の下げだけで市場全体を判断しない」という一点だけ持ち帰れば足ります。

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指数とニュースの間に、見るべき数字があったんだな

ここで示したのは投資判断の参考情報であり、特定の銘柄や売買の推奨ではありません。株式投資には価格変動リスクがあり、元本は保証されていません。投資の判断と結果はご自身の責任となります。記載の数値はすべて2026年10月2日時点のもので、現在の状況とは異なります。

よくある質問

セクターローテーションとは何ですか?

セクターローテーションは、株式市場の資金がある業種(セクター)から別の業種へ移っていく動きを指す言葉です。市場全体の指数が下落している日でも、資金が流出した業種と流入した業種が同時に存在することがあり、東証33業種別の値動きを並べることでその方向を確認できます。

日経平均が下がったのに一部の銘柄が最高値をつけるのはなぜですか?

日経平均は225銘柄から算出する指数で、株価水準の高い銘柄の値動きが指数に強く反映されます。そのため指数の騰落は市場全体の多数決とは一致せず、個別の銘柄に買いが集中していれば指数が下落する日でもその銘柄が高値を更新することがあります。2026年10月2日の東京市場では日経平均が647.26円安となる一方、アドバンテストが+5.23%で株式分割考慮ベースの上場来高値を更新しました。

値上がり・値下がり銘柄数はどこで確認できますか?

証券会社のアプリや株式情報サイトの「市場概況」欄に、東証プライム市場の値上がり銘柄数・値下がり銘柄数・変わらずの銘柄数が掲載されています。日中と大引けで数値が変わるため、記録する際は「大引け時点」など時点を固定して取ることが必要です。

騰落レシオは何日間で計算するのですか?

騰落レシオは通常25日間の累計で計算し、直近25営業日の値上がり銘柄数の合計を同期間の値下がり銘柄数の合計で割り、100を掛けて求めます。期間を指定せずに計算すると証券会社の画面に表示される数値と一致しないため、使用する期間を必ず確認してください。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。