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ハロウィン効果は本当?日経平均の月別リターンを自分で出す手順

2026年10月28日|いろは堂投資編集部
1984年から2024年までの日経平均株価の推移を示す面グラフ

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
「10月末に買って年明けに売る」というハロウィン効果は経験則(アノマリー)で、理論的な根拠はないと複数の分析が明記しています。日経平均の月次終値は日本経済新聞社の日経平均プロフィルで公開されており、表計算ソフトで「当月末終値÷前月末終値−1」を全期間分計算すれば、月別の平均リターン・勝率・ばらつきを自分で集計できます。集計期間の取り方で結果が変わるため、他人の数値を読むより自分で期間を分けて確かめるほうが判断の材料になります。
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10月末に買うと年明けまで上がりやすい、ってよく聞くけど……本当なんでしょうか

この「10月末買い」の話にはハロウィン効果という名前が付いています。5月に売って10月末(ハロウィン)に買い戻す「ハロウィン投資法」として知られる経験則で、米国株・日本株ともに10月末が市場復帰に効率的なタイミングだとする主張です。

ただ、この手の話はどの記事を読むかで数字が違います。日本株で1949〜2024年の76年間を見ると1〜6月が強く7〜12月が弱い傾向が確認されたという分析がある一方、2001〜2019年の平均では10〜12月が+4.4%で翌年1月は▲1.5%、つまり「年末高・年初安」だったという分析もあります。正反対に近い話が並んでいるわけです。

どちらが正しいかを人に聞いて決めるのは、正直なところ無理があります。幸い、日経平均の月次データは公式サイトで公開されていて、表計算ソフトがあれば月別の平均リターンは自分で出せます。他人の集計を信じるかどうかではなく、自分の手元で期間を区切って確かめるほうが早い——そのための手順を具体的に見ていきます。

ハロウィン効果とは?どこまでが確認されている話か

ハロウィン効果は、「Sell in May(5月に売れ)」の裏返しとして語られる季節性の経験則です。株式市場には冬から春に強く、夏から秋に弱い傾向があるとされ、春に売って10月末に買い戻すという形で紹介されます。アノマリー(理屈では説明できないが経験的に観測されてきた市場の偏り)の一種です。

公表されている分析をいくつか並べると、見え方の幅がわかります。

分析対象の期間示されている内容
1949〜2024年(76年)の日本株1〜6月が強く、7〜12月が弱い傾向が確認されたとする分析
1959〜2020年(62年)の日経平均年末から翌年春先にかけて上昇し、夏場にかけて下落する傾向が確認されたとする分析
過去70年間の日経平均月別平均騰落率が最も高かったのは1月、とする分析(いわゆる「1月効果」)。1月は約68%の確率で上昇とする分析もある
2001〜2019年の日経平均10〜12月が平均+4.4%、翌年1月が平均▲1.5%。「年末高・年初安」が近年多いとする分析(10月単体は小幅プラス傾向)
米大統領選挙が行われた年の11月日経平均が月間+3.2%、上昇確率70.6%だったとする分析

各分析の公表値をもとに作成(auカブコム証券/三井住友DSアセットマネジメント(2020年12月)/マネーフォワード/幻冬舎ゴールドオンライン/マネクス証券)

上の表で注目したいのは、1月の扱いが分析によって逆になっていることです。70年規模で見ると1月は月別平均騰落率が最も高い月とされる一方、2001〜2019年に絞ると1月は平均▲1.5%。期間をどこで切るかで、同じ月の評価が正反対になるわけです。

そして前提として、これらは経験則であって明確な理論的根拠はない、と複数の分析が自ら明記しています。将来も同じように動く保証はありません。だからこそ「誰の数字が正しいか」を探すのではなく、集計のしかたを自分の手に持っておくほうが実用的です。

日経平均の月次データはどこで手に入る?

一次データの入手先は、日本経済新聞社が運営する公式サイト「日経平均プロフィル」です。

公式サイトで公開されているもの(2026年10月時点)
  • 各指数ページで、直近3年分の日次値と直近10年分の月次値をCSV形式で提供
  • 「ヒストリカルデータ」ページでは、1949年5月16日の算出開始以来の日次・月次・年次値を閲覧できる
  • 始値・高値・安値は1985年3月25日以降の分を閲覧できる
  • 無料で提供される分と、有料のデータサービスで提供される分がある

日本経済新聞社「日経平均プロフィル」の公表情報をもとに作成(2026年10月時点)

月別リターンの集計に必要なのは月次終値だけです。日次値まで落とす必要はありません。CSVでまとめて取れるのは直近10年分なので、それより長い期間を扱いたい場合はヒストリカルデータのページで月次値を確認して手元の表に写す形になります。アーカイブデータの一覧はダウンロードセンターにまとまっています。

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10年分だけだと、季節性の検証には短すぎませんか?

月別に切り分けると、10年分のデータは各月わずか10個の観測値になります。1つの年の大きな下落が平均を数%動かしてしまう規模です。それでも10年分から始める価値はあります——まず短い期間で集計の型を作り、同じ式を長い期間に広げていけば、どこで傾向が変わるのかが見えてくるからです。

月別平均リターンを出す手順は?

ExcelでもGoogleスプレッドシートでも、やることは同じです。月次終値の列が1本あれば足ります。

  1. 月次終値を1列に並べるA列に年月、B列に月末終値を古い順に入れます。CSVを開いて不要な列を削るだけで済みます。
  2. 月次リターンを計算するC3セルに =B3/B2-1 と入れて下まで引っ張ります。これが「当月末終値 ÷ 前月末終値 − 1」です。表示形式をパーセントにしておくと読みやすくなります。先頭行は前月がないので空欄になります。
  3. 月番号の列を作るD列に =MONTH(A3) を入れて1〜12の数字を取り出します。A列が「2026/10」のような日付として認識されていない場合は、年月を手で分けて入力するほうが確実です。
  4. 月ごとに3つの数字を集計する別のシートに1〜12の行を作り、平均リターンを =AVERAGEIF($D:$D,月番号,$C:$C)、ばらつきを =STDEV.S を使った配列集計や月ごとの抽出列で、勝率を =COUNTIFS($D:$D,月番号,$C:$C,">0")/COUNTIF($D:$D,月番号) で出します。
  5. 並べて見比べる10月・11月・12月・1月の行を見て、平均リターンと勝率に差があるかを確認します。

ここで勝率(上昇した年の割合)と標準偏差(各年の結果が平均からどれだけ散らばっているか)を一緒に出すのが肝心です。平均だけ見ると、1年だけの暴落や急騰に引きずられた数字を「傾向」と読み違えます。

出た数字をどう読む?平均の差が意味を持つ条件

たとえば11月の平均リターンが+1.2%、標準偏差が5.5%と出たとします。このとき、平均の+1.2%は各年のばらつきの5分の1程度しかないことになります。年ごとの結果は−10%から+12%あたりに散らばっていて、その真ん中がたまたま少しプラスだった、という姿です。

月別リターンの読み方は、天気の月別平均気温に近いと考えるとイメージしやすくなります。11月の平均気温が10月より低いのは確かでも、11月の暖かい日が10月の寒い日より暖かいことは普通に起きます。平均の上下は、個々の年の順番を決めてくれません。

集計結果を見るときの3つのチェック
  • 平均の差と標準偏差を比べる——差が標準偏差よりずっと小さいなら、ノイズと区別がつかない水準です
  • 勝率が50%からどれだけ離れているか——68%のような数字は意味を持ちますが、52%は観測数が少なければ偶然の範囲です
  • 観測数(年数)を数える——各月10個の観測値で出した平均に、小数第1位までの精度はありません

期間を分けると何が見える?

ここが検証のいちばん面白いところです。同じ集計を直近10年とそれ以前に分けてやり直してみてください。

アノマリーには、広く知られたあとで効果が薄れていく傾向があることが知られています。多くの人が「10月末に買う」と動けば、その買いは10月の半ばに、さらにその前に先回りされ、最後には元の偏りが消えてしまう。期間を分けた集計は、その変化が自分の手元のデータに現れているかを見るための作業です。

実際、冒頭で並べた分析の食い違いはこれで説明がつきます。1949年から通して見ると7〜12月が弱い傾向が出るのに、2001〜2019年に絞ると10〜12月は+4.4%で1月が▲1.5%。「ハロウィン効果は本当か」という問いには、どの期間を見るかを決めないと答えようがないのです。

この検証でわからないこと

月次終値から計算した月別リターンには、配当は含まれません。日経平均は株価の指数なので、配当込みのリターンを見たい場合は別の指数を使う必要があります。また、公表されている分析の数値も、配当調整の有無などの算出方法が明示されていない場合があり、他人の数字と自分の集計が一致しない原因になります。期間・使った指数・配当の扱いを自分でメモしておくと、後から見返したときに混乱しません。

検証が終わったら、何をすればいい?

集計を終えると、だいたい次の3つのどれかの結論になります。それぞれで取る行動は違います。

集計結果次にすること
差が標準偏差に比べて小さい季節性を売買の判断材料に使わない。積立や配分のルールをそのまま続ける
長期では差があるが直近10年で消えているすでに知られて効果が薄れた可能性を前提に扱う。売買を変える根拠にはしない
期間を変えても同じ方向の差が残るそれでも「平均の偏り」であることを忘れない。入金や積立のタイミングを数週間ずらす程度の、外れても損失が限定される使い方にとどめる

どの結論でも共通して言えるのは、月別の平均リターンは売買のタイミングを教えてくれる道具ではないということです。それでも自分で集計した意味はあります。「10月末に買うべき」という話を次に見かけたとき、その数字がどの期間の集計で、ばらつきと比べてどれくらいの大きさなのかを自分で問えるようになる。これは季節性だけでなく、あらゆる「過去データではこうでした」という話に効く見方です。

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結局「本当か」はわからなかったけど、わからない理由がわかりました

月別リターンの集計は、慣れれば30分ほどの作業です。年に一度、データを足して集計を更新していくと、傾向が続いているのか薄れているのかが自分の記録として残ります。

なお、相場の先行きについては、季節性を重視する見方と「アノマリーに理論的根拠はなく投資判断に使うべきでない」という見方の両方が公表されており、どちらが正しいかは決着していません。この記事で示した手順は、どちらの立場を取るかを人に委ねず自分のデータで考えるためのものです。

投資は自己責任であり、元本は保証されません。この記事は株式投資の教育・解説を目的としたもので、特定の銘柄や売買タイミングを推奨するものではありません。過去のデータから算出した平均値は、将来の運用成果を示すものでも保証するものでもありません。

よくある質問

ハロウィン効果とは何ですか?

ハロウィン効果は、株式市場が冬から春に強く夏から秋に弱い傾向があるとされる経験則で、春(5月)に売って10月末のハロウィン時期に買い戻す「ハロウィン投資法」として知られています。米国株・日本株ともに10月末が市場復帰に効率的なタイミングだとする主張ですが、明確な理論的根拠はないと複数の分析が明記しており、将来の再現性は保証されません。

日経平均の月別リターンはどこのデータで計算できますか?

日本経済新聞社が運営する公式サイト「日経平均プロフィル」で計算できます。各指数ページで直近3年分の日次値と直近10年分の月次値がCSV形式で提供され、「ヒストリカルデータ」ページでは1949年5月16日の算出開始以来の日次・月次・年次値を閲覧できます(2026年10月時点)。月別リターンの集計には月次終値だけあれば足ります。

月次リターンはどう計算しますか?

「当月末終値 ÷ 前月末終値 − 1」で計算します。表計算ソフトで月末終値を古い順に1列に並べ、隣の列に前月比の数式を入れて全期間分に引き伸ばせば、月次リターンの系列ができます。そのあと月番号の列を作り、AVERAGEIF や COUNTIFS で月ごとの平均リターンと上昇した年の割合を集計します。

1月は上がりやすいというのは本当ですか?

分析によって結論が異なります。過去70年間の日経平均では月別平均騰落率が最も高かったのは1月で、約68%の確率で上昇したとする分析がある一方、2001〜2019年に絞ると1月は平均▲1.5%で「年末高・年初安」が近年多いとする分析もあります。集計期間の取り方で結果が変わるため、自分で期間を区切って確認することが判断の材料になります。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。