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営業利益と純利益の違いとは?5つの利益を数値例で解説

2026年5月15日|いろは堂投資編集部
財務データ分析(電卓・書類)

画像出典: 写真: Dave Dugdale from Superior, USA(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
損益計算書の利益は上から売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5段階で、売上高から費用を段階的に差し引いた途中経過です。営業利益は本業だけの儲け、経常利益は利息など財務活動を含めた通常の儲け、当期純利益は臨時損益と税金まで引いた最終的な儲けを示します。どれか一つだけを見ると経営実態を誤解するため、3つの差がどこで生まれたかを合わせて確認します。
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決算のニュースで「営業利益は増えたが純利益は減った」って書いてある。増えたの?減ったの?どっち?

利益という言葉が1つの決算に何度も出てくるのは、会社の利益が「1つの数字」ではなく「費用を引いていく途中経過の5段階」だからです。売上高からいきなり最終利益を出すのではなく、性質の違う費用を順番に引いていき、その区切りごとに名前を付けています。

だから「営業利益は増えたが純利益は減った」は矛盾ではありません。営業利益から純利益にたどり着くまでの間で、何かマイナスが起きた、というだけの話です。正直なところ、ここさえ掴めば決算記事の見え方はかなり変わります。小さな商店を例に、上から順に電卓を叩くつもりでたどっていきます。

損益計算書の5つの利益とは?

損益計算書(Profit and Loss statement、決算書のうち1年間の儲けを示す表)に並ぶ利益は、上から次の5つです。順番には意味があり、上へ行くほど「本業に近い」、下へ行くほど「その会社の手元に最終的に残る額に近い」という関係になっています。

利益の名前計算式示しているもの
売上総利益売上高 − 売上原価商品そのものの儲け(粗利)
営業利益売上総利益 − 販売費及び一般管理費本業の儲け
経常利益営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用本業+財務活動を含めた通常の儲け
税引前当期純利益経常利益 + 特別利益 − 特別損失臨時の損益まで含めた税金前の利益
当期純利益税引前当期純利益 − 法人税等1年間の最終的な成果

日本の損益計算書の区分(クレディセゾンキークリエイションの解説をもとに作成)

覚え方はシンプルで、下に行くほど引かれる費用の種類が増えていくだけです。名前が5つあるのは、費用の性質ごとに区切ったほうが「どこで儲かって、どこで削られたか」が分かるからです。

数値例:小さな洋菓子店で5つの利益をたどると?

年間の売上高が1億円の洋菓子店を想定します。実在の企業ではなく、計算の流れを追うための架空の数値例です。

  1. 売上総利益を出す売上高1億円から、小麦粉・バター・包装材といった商品を作るための売上原価4,000万円を引きます。1億円 − 4,000万円 = 売上総利益6,000万円。ここは「商品自体にどれだけ利ざやがあるか」です。
  2. 営業利益を出す売上総利益から、店員の人件費・店舗の家賃・電気代・チラシ代などの販売費及び一般管理費4,500万円を引きます。6,000万円 − 4,500万円 = 営業利益1,500万円。ケーキを売るという本業だけで、これだけ稼いだという意味です。
  3. 経常利益を出すここで本業の外側が入ってきます。預金の受取利息が10万円(営業外収益)、店舗改装のために借りた資金の支払利息が210万円(営業外費用)。1,500万円 + 10万円 − 210万円 = 経常利益1,300万円。借入が多い会社ほど、ここで営業利益から目減りします。
  4. 税引前当期純利益を出すその年だけの臨時の出来事を反映します。古い店舗用地を売って得た固定資産売却益500万円(特別利益)と、旧設備の廃棄損100万円(特別損失)。1,300万円 + 500万円 − 100万円 = 税引前当期純利益1,700万円
  5. 当期純利益を出す最後に法人税等500万円を引きます。1,700万円 − 500万円 = 当期純利益1,200万円。これが1年間の経営活動の最終的な成果です。

この例で注目したいのは、営業利益1,500万円より当期純利益1,200万円のほうが小さいのに、その途中では特別利益500万円で一度増えているという動きです。最終利益だけを見ると「1,200万円稼いだ店」ですが、その中身には土地売却という一度きりの500万円が混ざっています。来年も同じ利益が出るとは限りません。

営業利益と純利益、どちらを見ればいい?

結論から言うと、片方だけを見る使い方はしません。3つとも見て、差がどこで生まれたかを確認します。それぞれ答えている問いが違うからです。

3つの利益がそれぞれ答えていること
  • 営業利益:本業そのものは儲かっているか。商品やサービスの実力を見る数字。
  • 経常利益:借入の利息など財務の負担を含めても、毎年繰り返せる形で儲かっているか。
  • 当期純利益:臨時の損益と税金まで引いて、最終的にいくら残ったか。配当や自己資本の源になる数字。

冒頭の「営業利益は増えたが純利益は減った」を、この3段階に当てはめてみます。本業は好調で営業利益は伸びたのに最終利益が減ったなら、その間にある営業外費用(支払利息など)か特別損失(工場の減損、災害損失など)が効いた可能性が高い、と当たりを付けられます。逆のパターンもあります。営業利益が減っているのに純利益が過去最高、という決算は、資産売却などの特別利益で最終利益が押し上げられていることがあります。

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数字が食い違ってたら「どの段で減ったか」を探せばいいのか

減った段を特定する手順は、決算短信の添付資料にある損益計算書を上から下へ読むだけです。前年同期と各段階の差額を比べ、差が大きく開いた段の直前にある費用項目が、その決算の話題の中心になっている項目です。

決算短信ではどこに載っている?

上場企業が四半期・通期の決算を投資家へ迅速に開示する資料が決算短信です。東京証券取引所(JPX)が作成要領・様式を定めており、「サマリー情報」と「添付資料」の2部構成になっています。

1ページ目のサマリー情報には、連結損益計算書の項目として売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益が並びます。今回たどった5段階のうち、売上総利益と税引前当期純利益はここには出てきません。5つ全部を確認したいときは、添付資料の損益計算書まで進みます。

「親会社株主に帰属する当期純利益」という長い名前は、子会社を含めたグループ全体の当期純利益のうち、親会社の株主の取り分にあたる部分を指します。ニュースで「純利益」と略されるのは、たいていこの数字です。

業績予想の欄でも、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益の順に並ぶ様式が広く使われています。実績と予想が同じ並び順なので、上から順に見比べる読み方がそのまま使えます。決算短信は取引所の自主規制に基づく開示で、法定開示である有価証券報告書より速く公表される点も特徴です。各社のIRページのほか、金融庁のEDINET(有価証券報告書などの開示書類を誰でも閲覧できる電子開示システム)、東証の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で閲覧できます。

読み間違えやすいのはどんなとき?

5つの利益は計算そのものは足し算と引き算だけですが、解釈でつまずきやすい場面があります。

数字が大きい=好調、とは限りません

当期純利益が前年の2倍でも、その増加分が特別利益(保有株式や不動産の売却益など)で説明できるなら、本業の実力が2倍になったわけではありません。逆に、特別損失で最終利益が赤字でも、営業利益が黒字を保っていれば本業は回っています。一度きりの損益は翌年には消えるため、継続性を見るときは営業利益・経常利益のほうが手がかりになります。

また、5つの利益はいずれも過去の実績であり、将来の株価や業績を保証するものではありません。同じ利益額でも業種によって適正水準は異なり、単独の数字で銘柄の良し悪しを判断することはできません。

決算記事を読むときの確認手順
  • 営業利益・経常利益・当期純利益の3つを前年同期と比べ、増減の向きを揃えて確認する
  • 向きが食い違っていたら、営業外損益と特別損益のどちらで生じた差かを損益計算書で探す
  • 特別利益・特別損失で動いた分は、翌期には繰り返されない前提で読む
  • 会社予想と比べ、どの段階の利益が予想を上回った/下回ったかを見る

決算発表の時期は市場の見方が短期間で入れ替わりやすく、上昇局面か下落局面かにかかわらず、数字の読み方そのものは変わりません。相場の方向を当てにいく道具としてではなく、その会社で何が起きたかを言葉にする道具として使うのが、5つの利益の本来の役割です。

この5段階が読めるようになると、決算短信のサマリーを開いたときに目で追う順番が決まります。売上高、営業利益、経常利益、純利益、そして通期予想。上から順にたどるだけで、その決算の要点はおおむね掴めます。

※投資は自己責任です。株式や投資信託などの金融商品には価格変動リスクがあり、元本は保証されていません。本記事は決算書の読み方に関する教育目的の解説であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

よくある質問

営業利益と純利益の違いは何ですか?

営業利益は売上総利益から人件費や家賃などの販売費及び一般管理費を引いた「本業の儲け」です。当期純利益は、そこからさらに受取利息や支払利息などの営業外損益、資産売却益や減損損失などの特別損益、法人税等をすべて加減算した最終的な利益です。差し引く費用の範囲が違うため、同じ決算でも営業利益が増えて純利益が減ることがあります。

経常利益と営業利益はどう違いますか?

経常利益は営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。営業外収益には受取利息や受取配当金、営業外費用には借入金の支払利息などが含まれます。つまり営業利益が本業だけの儲け、経常利益は本業に財務活動を加えた通常の状態での儲けを示します。借入金が多い会社ほど、営業利益より経常利益が小さくなりやすい傾向があります。

損益計算書の5つの利益の順番を教えてください。

上から売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の順です。売上高から売上原価を引いて売上総利益、そこから販売費及び一般管理費を引いて営業利益、営業外損益を加減して経常利益、特別損益を加減して税引前当期純利益、法人税等を引いて当期純利益になります。下に行くほど差し引かれる費用の種類が増えます。

決算短信のどこに営業利益や純利益が載っていますか?

1ページ目のサマリー情報に、連結損益計算書の項目として売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益が並んで記載されています。売上総利益と税引前当期純利益はサマリーには含まれないため、5段階すべてを確認したい場合は添付資料の損益計算書を参照します。決算短信は各社のIRページのほか、金融庁の電子開示システムEDINETや東証のTDnetでも閲覧できます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。