教育訓練給付金、資格の講座選びで20%と80%を分ける条件
画像出典: ぱくたそ(撮影:タケル)
教育訓練給付金は講座の指定区分によって戻る割合が変わり、一般は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円・条件を満たせば最大50%)、専門実践は50%(年間上限40万円)から条件次第で最大80%(年間上限64万円)まで広がります。同じ資格でも実施機関によって区分が異なることがあるため、厚生労働省の検索システムで区分を確かめてから申し込むかどうかを決めるのが順番です。2026年10月1日付けでは特定一般151講座・専門実践138講座が新たに指定され、オンラインや夜間・土日の講座も増えています。
受講料のケタが大きいほど、申し込みボタンの前で手が止まります。とくに学生なら受験料と教材費だけでもアルバイト代のかなりの部分が消えますし、働きながらなら「この額を出して続けられるか」が先に立ちます。
教育訓練給付金でつまずきやすいのは、制度そのものより「同じ資格の講座でも、戻ってくる割合が違う」という点です。20%の講座もあれば、条件を満たせば80%まで届く講座もあります。差が4倍あるので、どの区分の講座を選ぶかは、講座の中身と同じくらい効いてきます。
ここでは3つの区分の違いと、申し込む前に何を確認すればいいのかを順番に整理します。急いで決める話ではありません。仕組みを知ってから、受けるかどうかを決めれば十分です。
教育訓練給付金とは? 3つの区分がある理由
教育訓練給付金は、雇用保険の被保険者(または被保険者だった人)が、厚生労働大臣の指定した講座を受講・修了したときに、受講費用の一部が支給される制度です。ポイントは「指定された講座」だけが対象という点で、どんなスクールでも自由に使えるわけではありません。
そして指定は「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3区分に分かれています。区分は講座ごとに決まっていて、区分が変われば給付率も上限額も手続きも変わります。読者側が選べるのは講座であって、区分を後から選び直すことはできません。だから「どの講座を選ぶか」が、そのまま「いくら戻るか」になります。
一般20%・特定一般40〜50%・専門実践50〜80%はどう違う?
まず区分ごとの給付率と上限額を並べます。
| 区分 | 基本給付率 | 上限額(基本) | 追加給付の条件 | 追加給付率・上限額 | 合計最大給付率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 20% | 10万円 | なし | — | 20% |
| 特定一般教育訓練給付金 | 40% | 20万円 | 修了後1年以内に資格取得+雇用保険被保険者として就職 | 10%(上限5万円) | 50% |
| 専門実践教育訓練給付金 | 50%(年間上限40万円・6ヶ月ごと支給) | 40万円/年 | ①修了後1年以内に資格取得+就職 ②訓練前後で賃金5%以上上昇 | ①20%(年間上限16万円)②10%(年間上限8万円) | 80%(年間上限64万円) |
厚生労働省の公表データをもとに作成
上の表で見てほしいのは、右端の「合計最大給付率」までの距離です。一般は20%で終わり、支給は修了時に一括。追加の条件はありません。
特定一般は基本が40%(上限20万円)で、ここに条件がひとつ付きます。修了後1年以内に資格を取り、雇用保険の被保険者として就職した場合に、さらに10%(上限5万円)が加わって合計最大50%。この追加分は、令和6年(2024年)10月1日以降に受講を開始した講座が対象です。
専門実践はいちばん手厚く、そのぶん段階的です。基本は50%(年間上限40万円)で、6ヶ月ごとに分けて支給されます。ここに、修了後1年以内の資格取得+就職で20%(年間上限16万円)、訓練の前後で賃金が5%以上上がった場合にさらに10%(年間上限8万円)。全部満たすと最大80%(年間上限64万円)という計算になります。
専門実践の80%は、基本50%+資格取得と就職で20%+賃金5%以上アップで10%をすべて満たしたときの合計です。どれかが欠ければその分は付きません。受講を決めるときは、確実に受け取れる基本部分(50%・年間上限40万円)を前提に見積もっておくほうが、後で計算が狂いません。特定一般の50%も同じで、確実なのは40%の部分です。
自分が対象になるか、どこで確認する?
給付率の前に、そもそも自分が支給の対象かという問題があります。一般教育訓練の場合、在職者なら受講開始日に雇用保険の被保険者であり、支給要件期間(雇用保険の加入期間)が3年以上あること。初めて給付を受ける場合は1年以上に緩和されます。離職者なら、被保険者資格を失った日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年以内で、かつ同じく支給要件期間3年以上(初回は1年以上)です。
注意したいのが受給歴です。過去に教育訓練給付金を受けたことがあると、前回の受給決定日より前の加入期間は通算されません。次に受けるには、前回の受給決定日の翌日から3年以上の被保険者期間が必要になります。
特定一般・専門実践の支給要件期間は区分ごとに条件が異なります(専門実践は初回3年以上、2回目以降は前回受給から3年以上など)。細かい年数は自分のケースで変わるため、最終的にはハローワークの窓口か厚生労働省の手引きで確認してください。窓口では「教育訓練給付金支給要件照会」という手続きがあり、自分が対象かどうかを受講前に確かめられます。
雇用保険に加入していれば「雇用保険被保険者証」が交付されています。勤め先から受け取っているか、手元に見当たらなければ勤務先の担当部署に確認するのが早道です。加入していない期間は支給要件期間に入らないため、学業が中心で雇用保険の加入歴がない場合、この制度では費用を抑えられません。その場合は給付金を前提にせず、講座の価格そのもので比較したほうが早く決まります。
対象講座はどう探す? 区分を見分ける手順
対象講座は厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で、資格名・分野・地域・訓練種別から探せます。講座の公式サイトだけを見て「給付金対象」と書いてあるのを信じるのではなく、この検索システムで区分まで確かめるのが確実です。
- 加入期間を確かめる雇用保険被保険者証やハローワークで、在職者か離職者か、支給要件期間が何年あるかを把握します。受給歴がある人はここで前回の受給決定日も確認します。
- 検索システムで講座を探す取りたい資格名や分野、通える地域を入れて対象講座を一覧にします。
- 区分と費用を並べて比べる各講座が一般・特定一般・専門実践のどれかを確認し、給付率と上限額を当てはめます。同じ資格でも実施機関によって区分も受講費用も違うことがあります。ここが差の出るところです。
- 通い方が続くかを見るオンライン・夜間・土日といった開講形態を確認します。仕事や授業と重なる時間帯の講座は、給付率が高くても修了できなければ支給まで届きません。
- 受講前にハローワークで照会する「教育訓練給付金支給要件照会」で、自分が対象か・支給要件期間が足りるかを確かめます。区分によっては受講開始前の事前手続きが必要です。
- 修了後に支給申請する受講証明書や領収書などの必要書類を添えてハローワークに申請します。専門実践は原則6ヶ月ごとに追加の支給申請が必要です。
- その講座の指定区分(一般/特定一般/専門実践)
- 受講費用と、区分の給付率・上限額を当てはめた実質負担額
- 自分の支給要件期間と受給歴(ハローワークで照会)
- 受講開始前の事前手続きが必要な区分かどうか
- 修了要件(出席率・課題など)と、自分の生活時間で満たせるか
2026年10月1日の講座拡大で何が増えた?
厚生労働省は2026年8月6日に、令和8年(2026年)10月1日付けで指定する教育訓練講座を公表しました。新たに指定された講座数と、働きながら学びやすい形態の内訳は次のとおりです。
| 区分 | 新規指定講座数 | 新規オンライン講座 | 新規夜間講座 | 新規土日講座 | 2026年10月1日時点の累計講座数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特定一般教育訓練 | 151講座 | 90講座 | 52講座 | 52講座 | 1,532講座 |
| 専門実践教育訓練 | 138講座 | 58講座 | 7講座 | 16講座 | 3,485講座 |
厚生労働省の公表データをもとに作成
上の表で目を引くのは、オンライン講座の伸びです。特定一般の新規151講座のうち90講座がオンライン。通学圏に教室がなくて諦めていた分野でも、選択肢が出てきている可能性があります。
中身としては、特定一般の新規講座に特定行為研修や介護支援専門員養成講座など、専門実践の新規講座に第四次産業革命スキル習得講座50講座、資格取得型養成課程63講座などが含まれます。以前に検索して「自分の分野は対象講座がなかった」で終わった人は、もう一度同じ条件で検索し直すと結果が変わっているかもしれません。
なお、対象講座の指定は年2回(4月頃・10月頃、それぞれ約1ヶ月間)受付・更新が行われ、そのたびに講座リストが改定されます。今回見つからなくても、半年後には増えている——そういう性質の制度だと思っておくと、一度の検索結果で結論を出さずに済みます。
結局、どの区分を狙えばいい?
給付率が高い区分ほど講座の期間が長く、要件も重くなる傾向があります。専門実践は6ヶ月ごとの分割支給で、追加給付には資格取得や就職、賃金の上昇といった修了後の条件が絡みます。腰を据えて取り組む期間が確保できる人に向く一方、「まず短い講座から」という人には負担のほうが先に来ます。
判断の順番としては、給付率から講座を選ぶのではなく、取りたい資格・身につけたい内容を先に決めて、その分野に対象講座があるかを検索し、あった中で区分と費用を比べるのが現実的です。給付率だけで講座を選ぶと、興味の薄い分野を数ヶ月続けることになり、修了できなければ支給にも届きません。
雇用保険の加入歴がない・支給要件期間が足りない場合は、そもそも対象になりません。また、独学や市販教材で十分に届く資格であれば、20%戻る講座に申し込むより、教材費だけで済ませたほうが安く終わることもあります。学習時間の目安(たとえば簿記3級や基本情報技術者の一般的な目安時間)は各所で語られますが、いずれも個人差の大きい参考値で、講座を受ければ到達が保証されるものではありません。費用の比較は「給付後の実質負担」と「独学した場合の実費」の両方を並べてから決めてください。
検索そのものは無料で、登録も要りません。区分と受講費用がわかれば、実質負担額はその場で計算できます。受けるかどうかを決めるのは、その数字を見てからで間に合います。
よくある質問
教育訓練給付金は何%戻ってくる?
講座の指定区分で変わります。一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、修了後1年以内に資格を取得し雇用保険被保険者として就職した場合は追加で10%(上限5万円)が加わり最大50%。専門実践教育訓練は基本50%(年間上限40万円)で、資格取得・就職で20%(年間上限16万円)、訓練前後の賃金が5%以上上昇した場合にさらに10%(年間上限8万円)が加わり、すべて満たすと最大80%(年間上限64万円)になります。
教育訓練給付金の対象講座はどこで探せる?
厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/ )で、資格名・分野・地域・訓練種別などから検索できます。検索結果でその講座が一般・特定一般・専門実践のどの区分かを確認できるため、給付率と上限額を当てはめて実質負担額を比較できます。
同じ資格の講座なら給付金の額も同じ?
同じではありません。教育訓練給付金の区分は講座ごとに指定されるため、同じ資格を目指す講座でも実施機関によって区分が異なり、受講費用も違う場合があります。検索システムで複数の講座を並べ、区分と費用の両方を比較する必要があります。
2026年10月1日付けで教育訓練給付の対象講座はどれくらい増えた?
厚生労働省が2026年8月6日に公表した内容によると、令和8年10月1日付けで特定一般教育訓練は151講座、専門実践教育訓練は138講座が新規指定されました。働きながら学びやすい形態として、特定一般ではオンライン90講座・夜間52講座・土日52講座、専門実践ではオンライン58講座・夜間7講座・土日16講座が新たに指定されています。2026年10月1日時点の累計対象講座数は特定一般が1,532講座、専門実践が3,485講座です。
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