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教育訓練支援給付金が増額、学び直しの生活費はどう作る?

2026年9月9日|いろは堂まなび編集部
総務省統計局の家計調査の家計簿と記入用紙を木の机に広げた日本の写真

画像出典: 写真: Chihaya Sta(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
2026年8月1日から雇用保険の基本手当日額の上限が引き上げられ、これに連動して教育訓練支援給付金(基本手当日額相当額の60%)も増額されました。45歳未満で失業中に専門実践教育訓練を受ける人は、受講中の生活費をこの給付金で、受講料の50〜70%を専門実践教育訓練給付金で賄う設計ができます。ただし支援給付金は2027年3月31日までに受講を開始した人に限られ、受講料の給付は6か月ごとの後払いなので、開始時の立替資金は自分で用意する必要があります。
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本気で学び直したいけど、仕事を辞めたら生活費が止まる。貯金を削りながら勉強するしかない?

学び直しで一番重い壁は、教材でも試験でもなく、勉強している間の家賃と食費です。働きながらなら収入は続きますが、時間は削られる。辞めれば時間はできますが、収入が消える。そのどちらも選べずに、何年も先送りにしている人は多いと思います。

ただ、雇用保険には「失業中に本格的な訓練を受ける人へ、受講中の生活費を出す」という仕組みがあります。それが教育訓練支援給付金です。そして2026年8月1日、この給付金の計算のもとになる金額が引き上げられました。正直なところ、増額幅は1日あたり200円前後で、それだけで人生が変わる額ではありません。それでも、資金計画の前提が少し楽になったのは確かです。

2026年8月に何が変わった?

雇用保険の失業給付(基本手当)の日額には、年齢区分ごとに上限が決まっています。この上限は賃金水準の変化に合わせて毎年8月1日に自動で改定される仕組みで、2026年もその改定が行われました。

年齢区分改定前(〜2026年7月31日)改定後(2026年8月1日〜)増減
30歳未満7,255円7,450円+195円
30歳以上45歳未満8,055円8,270円+215円
45歳以上60歳未満8,870円9,110円+240円
60歳以上65歳未満7,623円7,830円+207円
下限額(全年齢共通)2,411円2,562円+151円

厚生労働省の公表データをもとに作成

上の表は基本手当の話ですが、学び直しの資金計画で効いてくるのはここから先です。教育訓練支援給付金は「基本手当日額と同様の方法で計算した額」の60%が日額と決まっているため、上限額が上がれば支援給付金も連動して増えます。

上限額いっぱいで計算した場合の目安でいうと、30歳未満で1日あたり約4,353円→4,470円、30歳以上45歳未満で約4,833円→約4,962円。30日分に換算すると、およそ13万4千円〜14万9千円程度という水準感です。ここは二次情報をもとにした目安なので、自分の日額は必ずハローワークで確認してください。

🤔
失業給付とは別にもらえるってこと?

この2つは並ぶのではなく、順番に続くと考えるとイメージしやすくなります。離職してまず受け取るのが基本手当。その所定給付日数が終わっても訓練がまだ続いている場合に、受講が終わるまで生活費を下支えするのが教育訓練支援給付金です。バトンを渡すような関係で、給付が途切れる期間を埋めるためのものだと理解しておくと計画が立てやすくなります。

教育訓練支援給付金は誰が使える?

この給付金は誰でも使えるものではなく、条件がはっきり絞られています。自分が入口に立てるかどうかを、先に確認しておきましょう。

教育訓練支援給付金の対象になる人
  • 専門実践教育訓練給付金の受給資格がある
  • 受講開始時に45歳未満である
  • 専門実践教育訓練を修了する見込みがある
  • 失業の状態にある(在職中は対象外)

ここでいう専門実践教育訓練とは、厚生労働大臣が指定した中長期的なキャリア形成に役立つ講座のことです。看護師・介護福祉士・社会福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・精神保健福祉士・美容師・理容師といった資格の養成課程が指定されているほか、ITSS(ITスキル標準。国がIT人材のスキルを7段階で示した指標)のレベル3相当以上にあたる情報関係資格や、クラウド・AI・データサイエンス・セキュリティなどを扱う第四次産業革命スキル習得講座、MBAや法科大学院などの専門職学位課程も対象になります。個別の講座が指定されているかどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。

向いていないケースもあります

まず、教育訓練支援給付金は2027年(令和9年)3月31日までに受講を「開始」した人に限られる時限措置です。修了日ではなく開始日で判定される点に注意してください。また、過去に教育訓練給付金(一般教育訓練・特定一般教育訓練を含む)を受給したことがある人は対象外になります。「以前、簿記や英語の講座で給付金を使った」という記憶がある人は、申し込みの前に必ずハローワークで確認を。45歳以上の人も、支援給付金ではなく別の手段で生活費を設計する必要があります。

受講料はどこまで戻ってくる?

生活費の目処が立っても、受講料そのものが数十万円から百万円単位になる講座は珍しくありません。ここを支えるのが専門実践教育訓練給付金という本体の給付です。

  1. 基本給付(50%)入学料・受講料などの教育訓練経費(税込)の50%が、受講中6か月ごとに支給されます。年間の上限は40万円です。
  2. 追加給付(20%)受講を修了してあらかじめ定められた資格などを取得し、修了日の翌日から1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、さらに経費の20%が支給されます。すでに在職している人も対象です。
  3. 合計で最大70%基本と追加を合わせると経費の70%相当、年間上限は56万円(50%分の40万円+20%分の16万円)になります。

受給の対象になるのは、在職中の雇用保険被保険者か、離職後1年以内で被保険者期間が通算10年以上(初回受給に限り2年以上)の人です。なお教育訓練経費が税込20,005円を超えない場合は支給されません。専門実践教育訓練は最大3年間の受講が対象になり得るため、給付は複数年に分けて支払われ、10年間の通算上限も設けられています。

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7割戻るなら、手元のお金は3割で足りるってこと?

資金計画で最も見落とされやすいのが、この給付が「後払い」だという点です。受講料は入学時に自分で全額を払い、50%分は6か月ごと、20%分は資格取得と就職の後。つまり最初の半年間は、受講料の全額を立て替えた状態で暮らすことになります。年間上限が40万円(追加分を含めて56万円)である以上、それを超える高額講座では超過分が自己負担として残ることも合わせて計算しておきましょう。

手続きはいつから始める?

この制度でつまずきやすいのは、金額ではなく順番です。受講を申し込んでから手続きを始めると、給付の対象から外れてしまうことがあります。在職中から動くのが前提だと考えてください。

  1. ハローワークで支給要件照会自分が受給資格を満たすか、その講座が指定講座かを確認します。まだ辞める前でかまいません。
  2. 訓練前キャリアコンサルティングを受ける国家資格キャリアコンサルタントによる面談で、無料または低額です。受講開始日前1年以内に受けたものである必要があり、受講する講座を変更した場合は受け直しになります。
  3. ジョブ・カードを作成するジョブ・カードは、これまでの職歴や身につけた技能、これからの職業計画を書き出す国の様式の書類です。キャリアコンサルティングの中で作成し、これが受給資格確認の提出書類になります。
  4. 受講開始日の2週間前までに受給資格確認申請原則として受講開始日の14日前までに、ハローワークへ書類を提出します。ここを過ぎると間に合いません。
  5. 受講開始後は2か月ごとに認定を受ける教育訓練支援給付金を受け取るには、2か月に1回ハローワークへ行き「教育訓練支援給付金受講証明書」を提出して失業認定を受けます。

逆算すると、退職日を決める前に少なくともステップ1と2を終えておきたいところです。キャリアコンサルティングは予約が必要で、ジョブ・カードの作成にも時間がかかります。「辞めてから調べる」ではなく「調べてから辞める日を決める」のが、この制度の使い方です。

資金繰り表はどう作る?

数字が揃ったら、月単位の表に落とし込みます。ここで見るべきは合計額ではなく、どの月に手元の現金が一番少なくなるかです。

書き出す4つの数字
  • 受講料の総額と支払い時期(一括か分割か。分割なら初回の額)
  • 基本手当の日額と所定給付日数(いつまで出るか)
  • 支援給付金の日額×30日(基本手当が終わった後の月収相当)
  • 毎月の生活費(家賃・食費・社会保険料・住民税を含める)

現金が最も細るのは、多くの場合受講開始直後です。受講料の立替が出ていき、最初の給付(50%分)が振り込まれるのは6か月後。ここを貯金だけで越えられるかが、辞める・辞めないの判断材料になります。越えられないなら、在職中に受講を始められる講座を選ぶ、開始時期を半年遅らせて貯める、といった選択肢に切り替えるほうが現実的です。

離職後は健康保険料と年金、そして前年所得に対する住民税の支払いが自分に来ます。生活費の欄にこれを入れ忘れると、計画が2〜3か月でずれます。

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学生のうちに全部済ませておくのは無理なのかな

この制度は雇用保険の被保険者期間が前提なので、就労経験のない学生は対象になりません。ただ、可処分時間という点では学生のほうが圧倒的に有利です。社会人が退職という大きなリスクを取ってようやく作る「1日中勉強できる期間」を、学生は在学中にすでに持っています。授業料や受験料の負担は重いものの、日商簿記・TOEIC・基本情報技術者・Pythonといった、社会人になってから給付金を使ってまで取りに行く資格の多くは、学生のうちに独学で届く範囲です。時間があるうちに取っておけば、後で数十万円と数年を使わずに済みます。

学習時間の目安として「簿記3級は100時間前後」「基本情報は200時間前後」といった数字がよく語られますが、これらは各種スクールや受験者の申告をもとにした個人差の大きい目安で、その時間をかければ合格すると保証するものではありません。前提知識や1日に確保できる時間で必要量は大きく変わります。計画を立てるときは、目安を出発点にして、2週間ほど実際に走ってから自分の速度で引き直すのが確実です。

まず何から確認すればいい?

ここまでの内容を、動ける順に並べます。今日できるのは調べることだけで、それで十分です。

  1. 受けたい講座が指定講座か調べる厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、講座名か分野から検索します。指定されていなければ、この制度は使えません。
  2. 自分の年齢と受講開始予定日を確認する受講開始時に45歳未満か、2027年3月31日までに開始できるか。この2つで支援給付金の可否が決まります。
  3. ハローワークで支給要件照会をする過去の給付金受給歴や被保険者期間は、自分の記憶より窓口の記録が確実です。在職中でも照会できます。
  4. 最初の半年の現金を数える受講料の立替と、給付が始まるまでの生活費。ここが越えられるかを見てから、退職の話を進めます。

制度の細かい要件や期限は変わることがあります。金額と期限については、必ず厚生労働省の最新情報とハローワークの窓口で確認してから決めてください。調べるだけなら、まだ何も失いません。

よくある質問

教育訓練支援給付金は月にいくらもらえますか?

教育訓練支援給付金の日額は、基本手当日額と同様の方法で計算した額の60%です。2026年8月1日の改定後の上限額で計算すると、30歳未満で1日あたり約4,470円、30歳以上45歳未満で約4,962円が目安となり、30日換算では約13万4千円〜14万9千円程度になります。実際の額は離職前の賃金によって変わるため、ハローワークでの確認が必要です。

2026年8月の改定で何が変わりましたか?

雇用保険の基本手当日額の上限額が2026年8月1日から引き上げられました。30歳未満は7,255円から7,450円へ、30歳以上45歳未満は8,055円から8,270円へ、45歳以上60歳未満は8,870円から9,110円へ、60歳以上65歳未満は7,623円から7,830円へ、下限額は2,411円から2,562円へ改定されています。教育訓練支援給付金はこの額の60%で計算されるため、連動して増額されます。

専門実践教育訓練給付金は受講料の何割が戻りますか?

教育訓練経費(入学料・受講料等、税込)の50%が受講中に6か月ごと支給され、年間上限は40万円です。さらに修了後に所定の資格を取得し、修了日の翌日から1年以内に雇用保険被保険者として雇用された場合、追加で20%が支給され、合計で経費の70%相当、年間上限56万円になります。教育訓練経費が税込20,005円を超えない場合は支給されません。

教育訓練支援給付金の申請はいつまでに何をすればいいですか?

受講開始前に、ハローワークでの支給要件照会、訓練前キャリアコンサルティングの受講、ジョブ・カード(職歴や技能、職業計画を書き出す国の様式の書類)の作成を済ませ、原則として受講開始日の2週間前までにハローワークへ受給資格確認の申請を行う必要があります。受講開始後は2か月ごとにハローワークへ行き、教育訓練支援給付金受講証明書を提出して失業認定を受けます。なお支援給付金は2027年3月31日までに受講を開始した人が対象の時限措置です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。