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SNS投資広告のなりすまし、見分ける3つの確認点

2026年9月21日|いろは堂くらし編集部
室内のソファで白いシャツの女性1人がスマートフォンの画面を見つめている

画像出典: ぱくたそ(© すしぱく)

この記事の要点
著名人をかたるSNS投資広告は、①発信元が本人の公式アカウントか ②「確実に儲かる」等の断定がないか ③振込先が個人名義口座でないか、の3点でほぼ判別できます。振込先が個人名義なら詐欺と断定してよいと消費者庁が明記しています。家族では「お金の話が出たら一度止めて、もう一人に声をかける」を合言葉として先に決めておき、疑わしい広告は金融庁の受付窓口や消費者ホットライン、#9110へ知らせます。
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スマホを見てたら、有名な人が「無料で投資を教えます」って出てきて…。本人が言ってるなら大丈夫かな?

著名人の顔写真や動画を無断で使った投資広告は、SNSのタイムラインにごく普通の広告として流れてきます。見た目が本物そっくりなので、疑う理由がないまま次の画面へ進んでしまう。ここが一番危ないところです。

ただ、こうした広告には共通する型があります。広告そのものではなく「発信元」と「お金の送り先」を見れば、専門知識がなくても判断できます。今日は、その確認のしかたと、家族で事前に決めておく一言、そして疑わしいものを知らせる窓口までを順番に置いていきます。

SNS型投資詐欺は、どのくらい起きている?

まず前提をそろえます。これは「一部の人がひっかかる珍しい話」ではありません。警察庁の統計では、被害の規模は次のとおりです。

期間認知件数被害額
2026年上半期(1〜6月)5,893件約797.9億円
2025年通期(確定値)1万5,168件1,834億3,000万円

警察庁の公表データをもとに作成(SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺の合算)

上の表の件数は、半年で6千件近くに届く水準です。年齢層の偏りも小さく、被害額では60代が最多である一方、件数では20代〜50代が全体の約6割を占めています。共働きで日中スマホを見る時間が長い世代ほど、広告に触れる回数も多いわけです。

手口も年々見分けにくくなっています。顔写真の無断使用に加えて、生成AIで著名人の声を似せて合成した動画(本人が話しているように見える偽の映像)が使われる例が報じられており、素人目に本物と区別するのは非常に難しくなっています。だからこそ、映像や写真そのものを「本物らしいか」で判定するのはもうやめたほうがいい、という結論になります。

偽の投資広告は、どこを見れば見分けられる?

見るのは3か所だけです。映像の出来ではなく、発信元・言葉づかい・お金の送り先。この順番で確認します。

  1. 発信元アカウントを開く広告に出ている著名人の名前を、SNSの検索で直接引いて本人の公式アカウントを開きます。認証バッジ・フォロワー数・過去の投稿の積み重ねを見て、広告の発信元アカウントと一致するか確かめます。本人が投資の勧誘をSNS広告で行うことは通常ありません。
  2. 断定的な文言を探す「確実に儲かる」「元本保証」「今だけ無料招待」。金融庁・消費者庁がそろって挙げる要警戒ワードです。著名人が無料で投資教室を開く、という話も基本的に存在しないと警察庁が明記しています。
  3. 振込先の名義を見る投資資金の振込先として個人名義の銀行口座を指定されたら、そこで終わりです。消費者庁は、この場合は詐欺と断定してよいと明記しています。

もうひとつ、途中の動線にも型があります。広告をクリックした先でLINEなどの個別チャットや、閉じたオンラインサロンへ誘導されるパターンです。人数の限られた場所に入ると「みんな儲かっている」という空気ができあがり、外から見れば不自然な話も疑いにくくなります。個別チャットへ移動した時点で、判断はいったん家族に共有する。これを線引きにすると迷いません。

送金する前に、この5つを確認
  • 発信元は本人の公式認証アカウントか
  • 「確実に」「元本保証」といった断定がないか
  • 振込先は法人ではなく個人名義になっていないか
  • LINEや会員制チャットへ誘導されていないか
  • 家族のもう一人に、まだ話していない状態ではないか

家族で決めておく「合言葉」はどう作る?

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家族で気をつけようね、とは言ってるけど、それだけだと忘れちゃいそう。

「気をつける」は行動になりません。警視庁などが特殊詐欺対策として勧めているのは、家族しか知らない合言葉をあらかじめ決めておく方法です。電話口で家族を名乗る相手が出てきたとき、その場の判断ではなく決めておいた手順で確認する、という考え方ですね。

同じ発想は、SNSの投資話にもそのまま使えます。政府広報オンラインも「電話でお金の話は詐欺」を家庭内の合言葉として共有し、お金の話が出たらまず疑う・確認するルールづくりを呼びかけています。家庭で決めるなら、次の形がそのまま使えます。

わが家のルール(そのまま使える文例)
  • お金を動かす話が出たら、その場で決めない。いったん画面を閉じる
  • 金額にかかわらず、家族のもう一人に声をかけてから次に進む
  • 「有名人が勧めている」は判断材料にしない(顔も声も作れるため)
  • 子どもが見つけた広告も、怒らずに共有してもらう

最後の一行が意外と効きます。責められると隠すようになり、気づくのが遅れます。共有してくれたことを歓迎する側に回ると、家の中で情報が止まらなくなります。冷蔵庫に貼る、家族のチャットにピン留めするなど、目に入る場所に置いておくと数か月後にも機能します。

合言葉だけで防ぎきれるわけではありません

合言葉は「一度立ち止まるための仕掛け」であって、詐欺を見抜く力そのものではありません。閉じたチャットで数週間かけて信用を積み上げられると、本人は詐欺だと思っていないため、家族に相談する発想自体が出てこないこともあります。合言葉に加えて、振込先の名義を確認する習慣をセットで持っておくほうが確実です。

プラットフォーム側の対策は進んでいる?

広告を配信する側も手をこまねいているわけではありません。Metaは2026年2月27日、著名人を悪用したなりすまし詐欺広告を配信していたブラジル・中国拠点の広告主などに対して訴訟を起こしたと発表しました。2026年3月には、AIによるなりすまし検出を強化して詐欺広告1億5,900万件を削除したこと、広告収入の90%を認証済み広告主でカバーする目標(2026年末まで)も公表しています。

2025年12月時点の発表でも1億3,400万件の詐欺広告を削除し、利用者からの詐欺広告の報告件数は15か月で半減したとされています。数字だけ見れば対策は前進しています。ただ、削除件数がこの規模で推移していること自体が、流れ込む量の多さを示しています。プラットフォームの網をくぐり抜けた広告が自分のタイムラインに出てくる前提で、見分け方を家庭に置いておく必要がある、というのが現状です。

怪しい広告を見つけたら、どこに知らせればいい?

被害に遭っていなくても、情報提供はできます。迷ったら相談する、という一歩の入口を知っているかどうかで動きやすさが変わります。

  1. 金融庁の受付窓口に知らせる「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」が、ウェブの入力フォームで24時間受け付けています。偽広告をきっかけに投資勧誘や有料アドバイスの勧誘を受けた場合、実際に被害に遭った場合が対象です。
  2. 契約・送金の前に消費生活センターへ相談する相手の説明に少しでも不信感や疑問を持ったら、契約前に相談する。消費者庁が挙げている行動です。消費生活相談は消費者ホットライン(全国共通番号)から最寄りのセンターにつながります。番号は消費者庁のサイトで最新の表記を確認してください。
  3. 犯罪かどうか迷うときは #9110警察相談専用電話です(原則、平日8:30〜17:15受付)。被害届の前段階で、犯罪に該当するか判断に迷う相談や情報提供に使えます。
  4. 名前を出したくないときは匿名通報ダイヤル警察庁委託の「匿名通報ダイヤル」(tokumei24.jp)から、匿名で詐欺などの情報提供ができます。

家族に伝えるときは、窓口の一覧を渡すより「困ったらこの3つのどれかに連絡すれば、その先を教えてもらえる」と伝えるほうが届きます。啓発用の教材としては、消費者庁が「その著名人、ホンモノですか?投資のニセ広告に注意!」というページを公開しており、家庭や学校での利用を想定しています。子どもと一緒に見るきっかけにも使えます。

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全部覚えなくても、振込先の名義を見るところだけは家族で共有しておこう。

3つの確認点のうち、最後の砦になるのは振込先の名義です。ここまで来ている時点でかなり踏み込んでいますが、それでもお金が出ていく直前で止められます。まずは今日、家族のチャットに一行だけ書いておく。それだけでも、半年後の判断が変わります。

よくある質問

著名人が本当にSNS広告で投資を勧めることはありますか?

実在の著名人本人が投資助言や勧誘をSNS広告で行うことは通常ありません。警察庁も「著名人が無料で投資教室を開催する」「確実に利益が出る」といった話は基本的に存在しないとして、まず疑い、本人の公式アカウントの発信を確認するよう呼びかけています。

詐欺かどうか、確実に判断できるポイントはありますか?

投資資金の振込先として個人名義の銀行口座を指定された場合は、消費者庁が詐欺と断定してよいと明記しています。送金前にこの一点を確認するだけでも判断できます。

動画で本人が話していても偽物のことがありますか?

あります。生成AIで著名人の声を似せて合成したフェイク動画を使った偽投資広告が出回っており、素人目に本物と見分けるのは非常に困難とされています。映像の出来ではなく、発信元アカウントと振込先で判断してください。

まだ被害には遭っていませんが、怪しい広告を通報できますか?

できます。金融庁の「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」がウェブフォームで24時間情報を受け付けています。犯罪に該当するか迷う場合は警察相談専用電話#9110(原則、平日8:30〜17:15受付)、匿名で知らせたい場合は警察庁委託の匿名通報ダイヤルも利用できます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。