空き巣は留守中の6割、出発前5分でできる対策
画像出典: 写真: Robbie Sproule from Montreal, Canada(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
住宅への侵入窃盗のうち約6割が留守中を狙う「空き巣」で、手口は施錠忘れとガラス破りが半数以上を占めます。侵入者の約7割は5分以上かかると諦めるため、補助錠でひと手間増やし、郵便物を止め、タイマー照明で在宅を装うだけでも狙われにくくなります。出発前の5分でできることから始めるのが現実的です。
長期の休みで家を空けるとき、鍵をかけたかどうかを道中で何度も思い返してしまう。それでも「何をどこまでやれば安心なのか」の基準がないと、不安だけが残ります。
正直なところ、防犯は完璧を目指すとキリがありません。ただ、空き巣が何を見て家を選び、どこで諦めるのかを知ると、やるべきことはかなり絞れます。侵入者の約7割は、侵入に5分以上かかると諦める傾向があると警察庁のデータをもとに解説されています。つまり「入りにくそうな家」に見せるだけで、狙われる確率は下げられるということです。
空き巣はどんな家を、いつ狙う?
まず前提をそろえておきます。住宅を狙った侵入窃盗にはいくつか種類があり、留守中に入るものを「空き巣」、在宅中に入るものを「居空き」、就寝中に入るものを「忍び込み」と呼び分けます。このうち空き巣が認知件数の約6割を占めます。2016年の住宅侵入窃盗の認知件数は約4万4千件で、うち空き巣は約2万7千件でした。
時間帯にも偏りがあります。空き巣は日中の10〜16時頃に多く発生します。夜中の犯行を想像しがちですが、実際は「家族全員が出払っている明るい時間」が本番です。ちなみに忍び込みは22時〜早朝6時、居空きは12〜14時頃がピークで、時間帯によって狙いが違います。
そして手口です。住宅侵入窃盗の主な手口は「無締り(施錠忘れ)」と「ガラス破り」で、合計すると半数以上を占めます。特別な技術を使った侵入より、開いている窓や、割れば手が届く窓のほうが圧倒的に多いということです。
ここが対策を立てやすい理由でもあります。手口が単純なら、対策も単純なもので効きます。玄関の鍵をもう一つ増やす、窓に補助錠を付ける、それだけで「5分以内に入れる家」から外れる可能性が出てきます。
出発前にやることチェックリスト
荷造りの合間にできる範囲で、上から順に確認していくと漏れが出にくくなります。
- 玄関・勝手口の施錠(補助錠があれば両方かける)
- すべての窓のクレセント錠(引き違い窓の中央に付いている、半月型のつまみを回して留める鍵)。特に2階・浴室・トイレの小窓
- 新聞・郵便物の配達停止手続き(長期不在の前に)
- タイマー付き照明のセット
- 現金・通帳・貴金属を1か所にまとめていないか
- ベランダや庭に、足場になる脚立・物置・ゴミ箱を置いていないか
- SNSに「今から旅行」と投稿しない
この中で見落としやすいのが、2階の窓と浴室の小窓です。1階の戸締まりは意識しても、上の階は「まさか」と思って開けたまま出てしまうことがあります。足場になるものが外にあれば、2階は決して届かない場所ではありません。
郵便受けは「留守です」の看板になる
空き巣は郵便受けの溜まり具合で留守かどうかを判断します。新聞を取っているなら配達停止の連絡を、郵便物は不在届などの手続きを、出発の数日前に済ませておくと安心です。これは費用がかからないわりに、外から見た印象を大きく変えます。
照明は「時間差」でつける
タイマー付き照明で在宅を装うのは定番ですが、一室だけがずっと同じ時間に点くと、かえって機械的に見えます。部屋ごとに点灯時間をずらすと、人が動いている家らしくなります。玄関先に人感センサーライトを付けておくのも、近づいた瞬間に光るという意味で抑止になります。
貴重品は分散させる
現金・通帳・貴金属を1か所にまとめておくと、見つかったときの被害が一度で最大になります。分散保管に加えて、寝室のタンスの引き出しといった「定番の隠し場所」を避けるのが基本です。耐火金庫を使う場合も、持ち去られない重さ・固定の有無まで含めて考えます。
防犯グッズを増やせば増やすほど安全になるわけではありません。侵入経路になりやすいのは玄関と窓で、そこに時間がかかる状態を作るのが本筋です。逆に、玄関の鍵が1つのままで室内カメラだけを増やしても、入られること自体は防げません。まず入口、次に見守りの順番を崩さないほうが、同じ予算でも効きます。
見守り・防犯グッズはどう選ぶ?
グッズは種類が多く迷いやすいので、「何を目的にするか」で分けて考えます。目的は大きく3つです。
| 目的 | 代表的な手段 | 選ぶときの基準 |
|---|---|---|
| 侵入に時間をかけさせる | 補助錠(ツーロック)、防犯ガラス、電子錠 | 玄関と、外から見える大きな窓を優先。工事不要の後付けタイプから始められる |
| 在宅に見せる | タイマー付き照明、人感センサーライト | 複数の部屋を時間差で。屋外用は防水等級を確認 |
| 留守中に様子を知る | 屋内カメラ、開閉センサー | 外出先のスマホから見られるか、通知が届くか |
費用の考え方も持っておくと選びやすくなります。同じ「侵入対策」でも、工事の要不要で金額の桁が変わります。窓に貼る・挟むだけの後付け補助錠やタイマー付きコンセントのように、ホームセンターやネット通販で買ってその日に取り付けられるものは負担が小さく、防犯ガラスへの交換・電子錠の設置・警備会社のホームセキュリティは工事費や月額料金が加わります。まずは工事不要の範囲でひと通り揃え、足りないと感じたところだけ工事を伴う手段へ進むのが、無駄が出にくい順番です。実際の価格は製品や時期で幅があるので、購入前に複数の店舗・サイトで見比べてください。
優先順位を付けるなら、上の行から順にです。侵入に時間がかかる状態を作るのが、そもそも被害を発生させない対策だからです。侵入者の約7割が5分以上で諦め、10分以上かかるとほとんどが諦めるという傾向を踏まえると、鍵を1つ増やすというごく地味な対策が、実は一番費用対効果が高いところに来ます。
賃貸でも取り付けられる後付けの補助錠は多くあります。窓のサッシに挟んで固定するタイプや、両面テープで貼るタイプなら、退去時に原状回復しやすい形で使えます。カメラも据え置き型なら壁に穴を開けずに済みます。「工事不要」「貼るだけ」で探すと選択肢が絞れます。
カメラを入れるなら、通知が届くかを見る
屋内カメラは「あとから録画を見る」ためだけに使うと、気づくのが帰宅後になります。旅行中に意味を持たせるなら、動きを検知したときにスマホへ通知が届くかどうかが分かれ目です。あわせて、旅行先で電波が入りにくい場合もあるので、通知が来なかったからといって即座に安心とは限らない点は頭に置いておきます。
SNSの投稿は、帰ってからでも遅くない
意外と抜けやすいのがここです。旅行先の写真をその場で投稿すると、「今この家は留守です」という情報を自分から出していることになります。位置情報を切っていても、写真の風景や投稿の内容から不在は伝わります。
投稿は帰宅後にまとめて——これだけで、留守情報の漏れはかなり防げます。旅の高揚感の中では忘れがちなので、出発前に家族で決めておくと守りやすくなります。子どもが自分のアカウントを持っている家庭なら、そこも含めて一度話しておくといいでしょう。
帰宅したときに確認したいこと
- 入る前に外側を一周窓ガラスにひび・こじ開けた跡がないか、雨どいや室外機に足をかけた跡がないかを見ます。
- 玄関を開ける前に鍵穴を見る不自然な傷や、鍵のかかり方に違和感がないかを確認します。異常を感じたら中に入らず警察へ連絡します。
- 室内は貴重品より先に窓を確認侵入があったかどうかは、開いている窓や外れたクレセント錠でわかることが多いためです。
- 異常がなければ通常運転止めていた新聞・郵便の再開手続きを忘れずに済ませます。
何もなかったなら、それが一番いい結果です。長期の不在が続くほど不安も大きくなりますが、やることは毎回同じなので、一度チェックリストを作ってスマホのメモに残しておくと、次の帰省からは5分で終わります。
鍵・郵便・照明の3点を押さえるだけでも、外から見た「入りやすさ」は変わります。年末年始の連休、夏の帰省、連休をまたぐ旅行——家を空ける機会はこれからも繰り返し来るので、今回のうちに手順を固めておくと、次からは荷造りのついでに終わります。
よくある質問
空き巣は住宅の侵入窃盗のうちどれくらいを占めますか?
住宅を対象とした侵入窃盗のうち、留守中を狙う「空き巣」は認知件数の約6割を占めます。2016年の住宅侵入窃盗の認知件数は約4万4千件で、そのうち空き巣は約2万7千件でした。
空き巣が多い時間帯はいつですか?
空き巣は日中の10〜16時頃に多く発生します。在宅中に侵入する「居空き」は8〜22時と幅広く12〜14時頃がピーク、就寝中に侵入する「忍び込み」は22時〜早朝6時に多い傾向です。
補助錠を付けると本当に効果がありますか?
警察庁のデータをもとにした解説では、侵入者の約7割は侵入に5分以上かかると諦める傾向があり、10分以上かかるとほとんどが諦めるとされています。補助錠で鍵を2つにすると解錠の手間が増えるため、時間をかけさせるという意味で有効です。賃貸でも使える、窓のサッシに挟む・貼るだけの工事不要タイプがあります。
旅行中の防犯で、費用をかけずに今日からできることは何ですか?
新聞・郵便物の配達停止手続き、すべての窓(特に2階や浴室の小窓)の施錠確認、ベランダや庭から足場になる脚立・物置・ゴミ箱を片付けること、旅行中のSNS投稿を帰宅後にまとめることの4つは、費用をかけずにできます。いずれも外から見た「留守かどうか」の判断材料を減らす対策です。
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