名もなき家事とは?やめる・自動化・外注の仕分け方
画像出典: 写真: FOTO:Fortepan — ID 26912: Adományozó/Donor: Urbán Tamás.(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)
分担しているのに疲れが偏るのは、名前のついていない細かい作業が分担表に載っていないからです。まず1週間、気づいた作業をその場でメモして一覧にし、「やめる」「仕組みで自動化する」「外注する」の3つに仕分けます。家事代行は1時間1,500円〜3,490円程度が目安で、月2時間だけ頼むという使い方もできます。
分担表に載っている家事と、実際にやっている作業の数が合っていないことがあります。洗濯も皿洗いもゴミ出しも半分ずつ。それなのに疲れ方が違う、という家庭は珍しくありません。
差が出ているのは、名前がついていない作業のほうです。洗剤が切れかけているのに気づいて買い足す。裏返しの靴下を戻してから洗濯機に入れる。子どもの今日の体調を見て予定を組み替える。どれも「家事をした」と数えられないまま、確実に時間と気力を使っています。
ここでは、その見えない作業を紙の上に出す方法と、出したあとにやめる・自動化する・外注するのどれに振り分けるかの決め方を、金額の目安と一緒に整理します。
名もなき家事とは?
名もなき家事とは、家事としての具体的な名称は付いていないものの、生活を回すために必要な細かい作業のことです。大和ハウス工業の住宅事業推進部課長・多田綾子氏が2016年に提唱した言葉で、翌2017年5月24日に発表された「共働き夫婦の『家事』に関する意識調査」で広く知られるようになりました。
この調査で印象的なのは、夫婦の認識のずれです。夫が自認する家事の負担割合は「3:7」だったのに対し、妻の認識は「1:9」でした。同じ家に住み、同じ家事を見ているはずなのに、数え方が違う。その差の正体が、名前のついていない作業です。家庭の環境によっては、70以上の名もなき家事が存在するとされています。
ここで大事なのは、誰かがサボっているという話ではないという点です。名前がない作業は、やった側も「家事をした」と申告しにくく、やっていない側は存在に気づけません。申告されないものは分担表に載らず、載らないものは永久に片方へ寄り続けます。
どのくらい差が出ているの?
感覚の話だけでなく、時間の統計も出ています。総務省の令和3年社会生活基本調査(2021年調査・2022年公表)では、家事関連時間は次のようになっています。
| 区分 | 妻(女性) | 夫(男性) | 差 |
|---|---|---|---|
| 全年代平均 | 3時間24分/日 | 51分/日 | 2時間33分 |
| 末子6歳未満の共働き夫婦 | 7時間28分/日 | 1時間54分/日 | — |
保健指導リソースガイド(元データ: 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」)の公表データをもとに作成
上の表の全年代平均の差、2時間33分という数字は、2001年時点では3時間3分でした。20年で30分縮まっています。動いてはいるものの、共働きで小さい子どもがいる世帯に絞ると差はさらに開きます。末子が6歳未満の共働き夫婦では、妻が家事関連時間の77.4%を担っています(専業主婦世帯は84.0%で、その差は6.6ポイント)。
共働きなのに専業主婦世帯と6.6ポイントしか変わらない。この数字は、外で働く時間が増えても家の中の作業がそのまま残っていることを示しています。減らす対象を見つけるには、まず何が残っているのかを見えるようにする必要があります。
名もなき家事を洗い出すには?
頭の中で思い出そうとすると、うまくいきません。名もなき家事は「やった記憶」として残らないからです。おすすめは、その場で記録する方式です。
- 記録場所をひとつ決める冷蔵庫に貼った紙でも、スマホのメモアプリでもかまいません。夫婦それぞれが同じ場所に書き込めることが条件です。共有メモアプリなら、相手の書き込みも見えて効果が高くなります。
- 1週間、気づいたその場で書く「洗剤を詰め替えた」「郵便物を仕分けた」「保育園の連絡帳を書いた」。1行で十分です。あとでまとめて書こうとすると必ず漏れます。
- 頻度と所要時間を横に足す週7回・2分、月1回・30分、のように。細かい計測は不要で、体感の数字で問題ありません。
- 1週間ぶんを声に出して読み合わせるここが山場です。相手のリストを黙って読むだけでは「そんなことしてたんだ」で終わります。読み上げると、どちらのリストにも載っていない抜けが見つかります。
書き出してみると、想像より項目数が多くて驚くかもしれません。家庭の環境によっては70以上の名もなき家事が存在するとされているくらいです。ただ、多いこと自体は問題ではありません。数えられる形になった時点で、初めて減らす対象として扱えるようになります。
- 裏返しの衣類を直す・脱ぎっぱなしの服を片づける
- 散らかった玩具の片づけ、玄関の靴の整理
- 排水溝の掃除
- 献立の考案、調味料の補充、お茶の作りおき
- 洗った食器の片づけ
- 子どもの体調の把握
- シャンプー・リンスの補充、歯磨き粉やボディソープなど日用品の在庫管理
- 郵便物の回収・仕分け
- 資源ごみの分別・仕分け
- 子どものゲーム時間の管理
この一覧を見ると、共通点が見えてきます。手を動かす時間より、「気づく」「覚えておく」「判断する」に頭を使っている作業が多いということです。献立を考える時間は5分でも、その5分は他のことを考えられません。在庫管理は作業時間ゼロでも、頭の片隅を常時占領しています。疲れが偏る理由はここにあります。
やめる・自動化・外注はどう仕分ける?
洗い出したリストは、上から順に片づけようとすると挫折します。1項目ずつ、次の3つの質問を順番に当てていくと機械的に仕分けられます。
- やめても誰も困らない?困らないなら、やめる。ここが最も効きます。費用ゼロ、導入の手間ゼロで作業が消えます。
- 仕組みや道具に任せられる?任せられるなら、自動化。買い物やルール変更で一度きりの手間を払えば、以後ずっと消えます。
- どちらも無理で、頻度が高い?それが外注の候補です。お金を払う価値があるのはここだけと考えて構いません。
やめる:判断する回数そのものを減らす
やめる対象で最も効果が大きいのは、作業そのものより判断の回数です。献立を毎日考えているなら、平日5日のうち3日を固定にする。月曜は麺、水曜はカレー、金曜は外食か惣菜、と決めてしまえば、週5回の献立会議が2回に減ります。
タオルを全部同じ色・同じサイズに統一すれば、たたむときの仕分けが消えます。子どもの靴下を1種類にそろえれば、ペア探しがなくなります。ここは費用がほとんどかからないのに、日々の細かい手間が確実に減る領域です。
自動化:気づく係を機械や仕組みに渡す
在庫管理のように「頭の片隅を占領する系」は、道具に渡すのが向いています。洗剤やシャンプーを定期便にしてしまえば、残量を気にする役目そのものが消えます。ストックの置き場所を「最後の1個を取ったら買い物リストに書く」というルールにするだけでも、常時の見張りは不要になります。
ロボット掃除機や食洗機は初期費用がかかりますが、狙うべきは「時間の短縮」より「やる・やらないの判断が発生しなくなること」です。毎晩「今日は皿を洗うか、明日にするか」を考えなくてよくなるほうが、実は効きます。
外注:頻度が高くて重いものだけ渡す
やめられず、道具にも渡せず、それでいて毎週発生する。この条件がそろったものだけを外注に回します。水回りの掃除や、まとめての片づけがここに入りやすい領域です。
家事代行はいくらかかる?
お掃除代行の料金は、サービスや利用頻度によって幅があります。主なサービスの目安は次のとおりです。
| サービス | 時間単価目安 | 最低利用時間 | 交通費等 |
|---|---|---|---|
| タスカジ(スポット/最低ライン) | 1,500円/時間〜(ハウスキーパーが11段階で設定) | 3時間固定 | 実費精算 |
| CaSy 定期(1週間に1回) | 2,790円/時間 | 30分単位・最大4時間 | 交通費880円/回 |
| CaSy スポット(単発) | 3,490円/時間 | 30分単位・最大4時間 | 交通費880円/回 |
CaSy公式サイトおよびタスカジ公式サイトの公表データをもとに作成
上の表で見ておきたいのは、時間単価より最低利用時間のほうです。タスカジは1時間1,500円からと単価が低い一方で、1回の依頼は最短3時間の固定利用が基本になります(この1,500円は最低ラインで、実際の単価はハウスキーパーごとに異なります)。入会金・登録料は無料で、交通費は実費精算です。
対してCaSyは30分単位で頼めるため、短時間だけ試したい場合はこちらが合います。「毎週フルで頼む」ではなく「月2時間だけ、水回りだけ」から始めると、1回7,000円前後で様子を見られます。頻度を上げるのはそのあとで決めれば十分です。
なお、料金は変わることがあります。申し込む前に各社の公式サイトで現在の金額を確認してください。
他人が家に入ることに気を使ってしまう人は、当日の準備や在宅対応がかえって負担になることがあります。片づけてから来てもらう、という前準備が発生する家庭も同じです。
また、名もなき家事の多くは「気づく」「覚えておく」ことに時間を使うタイプで、これは外注しても残ります。日用品の在庫管理や子どもの体調の把握は、代行に頼んでも自分の頭から消えません。この種類は自動化か、家族内での担当替えで対処するほうが向いています。
分担表はどう作り直す?
洗い出したリストを仕分けたら、残ったものを分担し直します。ここでコツがひとつあります。作業ではなく、領域ごと渡すことです。
「食器を洗う」を渡すと、洗剤の残量確認・洗ったあとの片づけ・スポンジの交換は元の人に残ります。「キッチンの水回り全部」と渡せば、気づく役目ごと移ります。名もなき家事が生まれるのは作業と作業のすき間なので、すき間ごと引き渡すのが確実です。
- やめる・自動化・外注のどれにも入らなかった項目が、片方に偏っていないか
- 渡した領域に「気づく係」も含まれているか
- 週1回以上の項目から先に手をつけているか(月1回の作業を減らしても効果は小さい)
- 1か月後にもう一度リストを見直す日を決めたか
一気に片づけようとすると、その計画づくり自体が新しい名もなき家事になります。まずは1週間の書き出しだけ。数が見えたところで、やめられるものを2つ3つ選ぶ。それだけでも、疲れの理由が「気のせい」ではなかったとわかります。
よくある質問
名もなき家事とは何ですか?
家事としての具体的な名称は付いていないものの、生活する上で必要な細々とした作業を指す言葉です。大和ハウス工業の多田綾子氏が2016年に提唱しました。裏返しの衣類を直す、調味料を補充する、郵便物を仕分ける、日用品の在庫を管理するといった作業が該当し、家庭環境によっては70以上存在するとされています。
名もなき家事はどうやって洗い出せばいいですか?
あとから思い出そうとせず、1週間その場で記録する方法が確実です。夫婦が共有できるメモを1か所決め、気づいた作業を1行ずつ書き込みます。1週間ぶんがたまったら、頻度と所要時間を書き足し、お互いのリストを声に出して読み合わせると、どちらのリストにも載っていない抜けが見つかります。
共働き世帯の家事時間には、どのくらい男女差がありますか?
総務省の令和3年社会生活基本調査(2021年調査)によると、家事関連時間は全年代平均で女性3時間24分/日、男性51分/日で、差は2時間33分です。末子が6歳未満の共働き夫婦では妻7時間28分/日、夫1時間54分/日となり、妻が家事関連時間の77.4%を担っています。
家事代行は1回いくらぐらいかかりますか?
お掃除代行の時間単価は、タスカジが1時間1,500円から(ハウスキーパーが11段階で設定、1回3時間固定)、CaSyが定期1週間に1回で2,790円/時間、単発で3,490円/時間が目安です。CaSyは30分単位・最大4時間で頼め、交通費は880円/回かかります。料金は変動するため、申し込み前に公式サイトで確認してください。
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