自賠責保険が11月値上げ、車検はいつ行けば損しない?
画像出典: 写真: タンジェント(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)
2026年11月1日以降に保険期間が始まる自賠責保険の契約から、基準料率が全車種平均6.2%引き上げられました。自家用乗用車の24か月契約は17,650円から18,560円へ910円、軽自動車の24か月契約は17,540円から18,660円へ1,120円の増額です。新旧どちらの料金になるかは手続きをした日ではなく保険期間の始まる日で決まるため、車検満了日が11月以降の車は新料金が前提になります。
自賠責保険の料金は、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約から変わりました。2013年4月の改定以来、約13年ぶりの引き上げです。全車種平均で6.2%、自家用乗用車の24か月契約なら17,650円から18,560円になります。
正直なところ、910円という金額そのものは家計を揺さぶる額ではありません。ただ、「10月中に車検に行けば旧料金だった」というのは、実は正確ではないのです。どの料金になるかを決めているのは別のところにあります。まずはその仕組みを押さえて、それから次の車検までにできる見直しを順番に見ていきます。
何がどれだけ上がった?
改定されたのは自賠責保険の基準料率です。自賠責保険は車やバイクに加入が義務づけられている保険で、保険料はどの会社で入っても同じ金額になります。つまり「安い会社を探す」という節約ができない、完全な固定費です。
| 車種 | 契約期間 | 改定前 | 改定後 | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| 自家用乗用自動車(普通車) | 24か月 | 17,650円 | 18,560円 | +910円 |
| 自家用乗用自動車(普通車) | 37か月 | 24,190円 | 25,180円 | +990円 |
| 軽自動車 | 24か月 | 17,540円 | 18,660円 | +1,120円 |
| 軽自動車 | 37か月 | 24,010円 | 25,330円 | +1,320円 |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 12か月 | ー | 7,730円 | ー |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 13か月 | ー | 7,890円 | ー |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 24か月 | ー | 9,640円 | ー |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 25か月 | ー | 9,800円 | ー |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 36か月 | ー | 11,510円 | ー |
| 小型二輪自動車(250cc超) | 37か月 | ー | 11,660円 | ー |
JAFMATE(JAF)の公表データをもとに作成(沖縄県・離島地域を除く本土料金)
上の表で気づく方もいると思いますが、軽自動車のほうが普通車より値上げ幅が大きいのが今回の特徴です。24か月契約で比べると、普通車が910円に対して軽自動車は1,120円。改定後の金額も軽自動車(18,660円)が普通車(18,560円)をわずかに上回ります。「軽は維持費が安い」という感覚のまま見ていると、少しだけ意外に映るかもしれません。
37か月契約は新車を買うときなどに使われる期間で、普通車なら990円、軽自動車なら1,320円の増額です。
なぜ13年ぶりに値上がりしたの?
理由は大きく2つ公表されています。1つめは、自賠責保険の累積運用益・滞留資金の減少です。これは将来の保険金支払いに備えて積み上がっているお金のことで、2022年度末には約7,240億円ありましたが、2025年度末には約5,215億円まで減りました。3年ほどで2,000億円以上目減りした計算です。
2つめは、保険会社側の運営コストです。賃金・物価の上昇で保険会社の事業運営費(社費)や代理店手数料がまかなえなくなり、令和6年度決算では社費が80億円の赤字になっています。
この改定は、損害保険料率算出機構が2026年4月30日に金融庁長官へ基準料率の変更を届け出たものです。急に決まった話ではなく、春の時点で公表されていた内容が11月1日に施行された形になります。
新旧の料金はどこで分かれる?
判定の基準は、手続きをした日ではありません。新料金が適用されるかどうかは「自賠責保険の保険期間の始まる日(始期)」で決まります。契約書にサインした日でも、お金を払った日でもなく、その保険がいつから効き始めるかだけを見ます。
たとえば10月20日に車検の予約と書類手続きを済ませていても、新しい自賠責保険の始期が11月5日なら、適用されるのは新料金です。逆に、始期が10月中に設定された契約であれば旧料金のままになります。
ここで押さえておきたいのが、継続車検での始期の決まり方です。一般的な継続車検では、新しい自賠責保険の始期は「いまの車検満了日」以降に設定するのが通例になっています。自賠責は車検の有効期間を切れ目なくカバーする必要があるため、前の保険が終わるところから次が始まる、という並べ方になるわけです。
つまり車検満了日が11月1日以降の車は、どれだけ早く手続きをしても新料金になります。「10月末までに車検に行けば安くなる」という単純な話ではない、というのはこの意味です。すでに満了日が11月以降だった方は、どうやっても避けられなかった値上がりなので、ここは気持ちを切り替えて次の見直しに進むほうが得られるものは大きくなります。
車検を満了日より早く受けると、その分だけ次の満了日も前倒しになります。普通車の24か月契約で浮く金額は910円。一方、たとえば2か月早く受ければ、2年ごとの車検が2か月分前倒しで回っていくことになります。910円のために車検サイクルを縮める判断は、長い目で見ると見合わないケースがほとんどです。
次の車検までに年間コストを下げる3つの手順
自賠責保険料はどの会社で入っても同額なので、ここを安くすることはできません。節約の余地があるのは別の部分です。車の維持費を「動かせない固定費」と「見直せる費用」に分けて考えると、手をつける場所がはっきりします。
- 車検証を開いて、有効期間の満了日を見る
- 満了日が2026年11月以降なら、次回は新料金が前提
- 任意保険の契約がいつ更新かも、同じタイミングで確認しておく
車検証は車に積みっぱなしになっていることが多い書類です。満了日さえ分かれば、以下の準備を逆算して始められます。目安は車検の2〜3か月前です。
- 車検を受ける場所を比較する車検費用は「法定費用」と「基本料」に分かれています。法定費用は自動車重量税・自賠責保険料・印紙代のことで、どこで受けても同額です。変わるのは基本料(点検整備や検査手数料などの技術料)のほうで、ディーラー・カー用品店・整備工場・ユーザー車検で大きく差が出ます。2〜3社で相見積もりを取ると、比べる基準ができます。
- 任意保険の中身を実態に合わせる運転者の範囲や年齢条件が、いまの家族構成とずれていないか確認します。子どもが独立して運転しなくなった、通勤に使わなくなった、といった変化があれば条件を絞れます。使っていない特約が付いたままになっていることも珍しくありません。
- 支払い方と契約先を見直す月払いを年払いに変えると分割手数料の分だけ負担が軽くなります。代理店型からネット型(ダイレクト型)への切り替えでも保険料を下げられる余地があります。次回更新のタイミングで一括見積りを取るのが手間の少ないやり方です。
割引の適用漏れは意外とある
任意保険には、ゴールド免許割引や走行距離による区分など、条件に合えば適用される割引があります。免許がゴールドに変わった、在宅勤務になって年間走行距離が減った、といった変化を保険会社に伝えていないと、古い条件のまま更新され続けます。
更新案内が届いたら、申告している年間走行距離と実際の走行距離を見比べてみてください。メーターの数字と前年の更新書類があれば、1年でどれだけ走ったかはすぐ出せます。
自賠責保険は加入が義務で金額も一律、つまり家計簿の中では電気の基本料金に近い性質の支出です。一方の任意保険は、契約内容次第で金額が変わります。値上げのニュースをきっかけに、動かせる側の費用に目を向けるのが現実的な対応になります。
バイクも持っている場合は?
小型二輪自動車(250cc超のバイク)も同じく11月1日始期分から改定されています。改定後の金額は12か月で7,730円、24か月で9,640円、36か月で11,510円です。13か月・25か月・37か月という半端な期間があるのは、車検の有効期間に1か月分の余裕を持たせる契約があるためで、それぞれ7,890円・9,800円・11,660円になります。
車とバイクの両方を持っている世帯は、更新時期が別々に来ます。満了日をカレンダーやスマホのリマインダーに入れておくと、どちらも2〜3か月前から準備に入れます。
よくある質問
自賠責保険はいつから値上げされましたか?
2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約から値上げされました。全車種平均で6.2%の引き上げで、2013年4月の改定以来、約13年ぶりの改定です。
自賠責保険の値上げはいくらですか?
自家用乗用自動車(普通車)の24か月契約で17,650円から18,560円へ910円、37か月契約で24,190円から25,180円へ990円の増額です。軽自動車は24か月契約で17,540円から18,660円へ1,120円、37か月契約で24,010円から25,330円へ1,320円の増額になります(沖縄県・離島地域を除く本土料金)。
10月中に車検の手続きをすれば旧料金になりますか?
手続きをした日ではなく、自賠責保険の保険期間が始まる日で新旧の料金が決まります。10月中に手続きを済ませても、保険期間の始まる日が2026年11月1日以降であれば新料金が適用されます。継続車検では新しい自賠責保険の始期を現在の車検満了日以降に設定するのが通例のため、満了日が11月以降の車は新料金になります。
自賠責保険を安い会社で契約することはできますか?
自賠責保険の保険料は基準料率にもとづいて決まるため、どの保険会社で契約しても同額です。車にかかる費用を下げたい場合は、業者によって差が出る車検の基本料や、契約内容を選べる任意保険(自動車保険)のほうに見直しの余地があります。
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