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副業のAI講座トラブル、契約前に見抜く6つの確認点

2026年9月28日|いろは堂くらし編集部
屋内のカウンター脇で、女性1人がスマートフォンの画面を見つめている様子

画像出典: ぱくたそ

この記事の要点
国民生活センターは2026年9月16日、説明と実態が大きく異なる「AI講座」「SNS運用講座」への注意喚起を発表しました。ビジネス講座の相談件数は2020年度1,169件から2025年度3,551件へ約3倍に増え、SNS広告からメッセージアプリやWeb会議に誘導してその場で数十万〜100万円超を契約させる形が中心になっています。契約書面を持ち帰る、その日に決めない、解約条件を先に読む——この3つを守るだけで大半の被害は避けられます。
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「スマホだけで月20万」って広告、友だちも申し込んだって言ってた。話を聞くだけなら平気かな…

共働きで時間が足りないと、「在宅で、すきま時間で」という言葉はよく響きます。実際に副業で収入を増やしている人もいるので、広告そのものが全部うそというわけでもありません。

ただ、入口が無料相談でも、出口が数十万円のローン契約になっている流れが増えています。国民生活センターは2026年9月16日、説明と実態が大きく異なる「AI講座」「SNS運用講座」に気をつけるよう注意喚起を出しました。危ないのは講座という商品ではなく、その日のうちに決めさせる勧誘の形です。

見分け方は難しくありません。申し込む前に確認する点と、その場で断る言い方を先に用意しておけば十分です。

何が起きているの? 相談が5年で約3倍

国民生活センターには、全国の消費生活センターに寄せられた相談が集まる仕組み(PIO-NET)があります。そこに登録された「ビジネス講座」関連の相談は、この5年で次のように動きました。

ビジネス講座の相談件数2020年度 1,169件 → 2025年度 3,551件
うち電話勧誘販売(Web会議含む)の割合2020年度 11.4% → 2025年度 51.0%
2026年度の登録件数7月31日時点で1,121件

国民生活センターの公表データをもとに作成(数値は各メディアの報道によるものです)

件数は5年で約3倍になり、2026年度も増えるペースが続いています。それ以上に変わったのが、勧誘のやり方です。以前はSNS広告を見てそのままネットで申し込む通信販売が中心でした。いまはSNS広告からメッセージアプリに誘導され、Web会議で担当者と1対1で話し、その場で契約する形が主流になっています。Web会議や電話での勧誘は法律上「電話勧誘販売」にあたり、この区分が相談の半数を占めるまでになりました。

相手が画面の向こうにいて、和やかに雑談してから本題に入る。この形だと「断りにくさ」が一気に上がります。契約金額も、通信販売より対面的な勧誘のほうが明らかに高く、数十万円から100万円を超える例まで報告されています。集計の区分によって平均額の出方は変わるので、ここでは規模感としてつかんでおけば十分です。

実際にどんなトラブルが起きているの?

国民生活センターが紹介している事例を、起きた順に並べると流れが見えてきます。

報告されている主なパターン
  • SNS広告からメッセージアプリに誘導され、説明会でAI講座を契約。中身が期待した水準ではなかった
  • Web会議での説明を受け、総額100万円超のクレジット契約。支払いが続かなくなった
  • 契約後に、厳しい解約条件があることを初めて知った
  • 求人サイトの「副業の採用面接」に応募したら、実際には65万円の講座契約だった
  • 「月額2万2,000円の月謝」と説明されたが実際は1年契約で、解約時に残り月数分の40%の手数料を請求された
  • 1万円の情報商材を買った後、Web会議で80万円のAI動画講座を36回払いで契約した

共通点は、講座の質をめぐる争いより先に、契約の形が説明と違っていたという点にあります。月謝だと思っていたら年契約だった。副業の面接だと思っていたら受講契約だった。中身の良し悪しを判断する前に、そこでつまずいています。

4番目の事例では、解約を申し出たところ「事業者間契約だから解約はできない」と言われたそうです。個人が副業として申し込んだつもりでも、書面上は事業者同士の取引という扱いにされていることがあります。消費者としての保護が使えないと主張されるため、契約書のどこに何と書いてあるかが後から重くのしかかります。

契約前に確認する6つのポイントは?

ここからが本題です。広告を見た時点ではなく、話を聞いた後・お金を払う前に確認する項目として持っておいてください。

  1. 誰が講座を運営しているか事業者名・所在地・電話番号が書かれたページ(特定商取引法に基づく表記)があるか。ネット販売では表示が義務づけられています。見つからない、または会社名で調べても実体がつかめない場合は、そこで止めます。
  2. 講座の内容と難易度が具体的に書かれているか何を何回、誰が教えるのか。「AIを使った最新の稼ぎ方」のように中身のない説明だけなら、判断材料がありません。カリキュラムを文書でもらえるか聞いてみると反応がわかります。
  3. 解約条件を契約前に読めるか途中でやめたときの違約金・手数料がいくらか。前述の事例のように「残り月数分の40%」といった条項は、契約前に読まなければ気づけません。「契約後にお渡しします」と言われたら断る理由になります。
  4. 「仕事を紹介する」「収入が得られる」と言われていないかこの言葉が勧誘に含まれ、そのために講座や教材を買わせる形なら、特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」にあたる場合があります。あとで解除を検討するときに関わってくるので、言われた内容をメモしておきます。
  5. 支払い方法がローン・分割になっていないか36回払いなど長期の分割は、月々の額が小さく見えても総額は数十万円規模です。総額と回数を自分の口から言い直して確認します。
  6. その日に決める必要が本当にあるか「今日だけ割引」「今契約すれば特別価格」が出てきたら、内容の良さではなく即決を求められているだけです。
🤔
全部その場で聞くのは無理そう…

6つ全部を暗記しなくても大丈夫です。実務上いちばん効くのは3番と6番、つまり解約条件を読んでいないうちは払わない、その日には決めないの2点です。この2つを守れば、残りは家に帰ってから落ち着いて調べられます。

その場でどう断ればいい?

断りにくさの正体は、相手が親身に時間を使ってくれた後だという申し訳なさです。ここは手順として決めておくのがいちばん楽です。

  1. 理由を説明しない「今日は契約しません」で終わりにします。理由を言うと、その理由への反論が返ってきて話が続きます。
  2. 書面をもらって持ち帰ると伝える「契約書と解約条件を家族と読んでから決めます」。正当な事業者なら応じます。渋られたら、それが答えです。
  3. 値引きに反応しない「今なら少し割り引けます」と食い下がられても、金額の話に乗らずに同じ言葉を繰り返します。ある編集部が副業スクールの勧誘に潜入した記録では、値引きを提示された後も明確に断ったところ、その後の連絡はなかったと報告されています。
  4. Web会議を終了する対面と違い、退出ボタンを押せば終わります。押しにくければ「時間になったので失礼します」で切ります。
こういう場合は、断るより先に相談を

すでに契約してしまった、支払いが始まっている、解約を申し出たら拒まれた——このときは自分で交渉する前に相談してください。副業・儲け話をきっかけにした契約が「業務提供誘引販売取引」に該当する場合、法定書面を受け取った日を含めて20日間はクーリング・オフ(無条件での解除)ができます。書面が渡されていない、記載に不備がある場合は、その20日の1日目がまだ始まっていない扱いになります。ただし契約がどの類型にあたるかはケースごとの判断になるため、期間を自分で決めつけず確認するのが安全です。

相談先はどこ? 番号は「188」

消費者ホットラインは188(いやや)です。市外局番なしでかけると、住んでいる地域の消費生活センターにつながります。「まだ被害が確定していないから」と遠慮する必要はありません。勧誘を受けた段階での相談も受け付けています。

相談するときに手元に用意しておくもの
  • 契約書・申込書・利用規約(画面のスクリーンショットでも可)
  • 勧誘のやりとり(メッセージアプリの履歴、担当者の名前)
  • 広告のスクリーンショットと、書かれていた金額・条件
  • 支払った日・方法・金額(クレジットや分割の回数も)

Web会議での勧誘は記録が残りにくいので、話を聞くと決めた時点で、日時と担当者名、言われた条件をメモに残しておくと後で役に立ちます。

そもそも副業を始めたいときは、どこから?

不安をあおって終わるのは本意ではありません。収入を増やしたい気持ち自体はまっとうで、前払いの高額講座がその唯一の入口でもありません。

判断の基準はひとつです。先にまとまったお金を払う形は、後回しにする。学ぶこと自体を否定するのではなく、順番の話です。無料や数千円の教材で手を動かしてみて、続けられそうだと自分でわかってから有料の学習に進めば、同じ内容でも損の出方がまったく違います。

消費者庁も2025年6月26日、「初心者でも簡単に稼げる」「月50万が当たり前」といった説明で高額サポートプランを契約させた事業者について注意喚起を出しています。断定的な収入の約束が出てきたら、内容ではなくその言い方を疑う——これだけ覚えておけば、広告に出会ったときの判断は速くなります。

よくある質問

AI講座やSNS運用講座の相談は、どれくらい増えているのですか?

国民生活センターのPIO-NETに登録された「ビジネス講座」関連の相談件数は、2020年度が1,169件、2025年度が3,551件で約3倍に増えています。2026年度も7月31日時点で1,121件が登録されています。

Web会議で契約した講座は、クーリング・オフできますか?

副業・儲け話をきっかけに、仕事の提供や収入が得られるという説明のもとで講座を購入させる契約は、特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」に該当する場合があります。該当する場合、法定書面を受け取った日を含めて20日間はクーリング・オフが可能です。どの類型にあたるかは契約内容によって判断が変わるため、消費生活センターに確認してください。

高額な解約手数料を請求されました。払うしかないのでしょうか?

不当に高額な解約料・違約金の条項は、消費者契約法により無効となる可能性があります。請求額や契約書の条項を持って、消費者ホットライン188または最寄りの消費生活センターに相談してください。その場で支払いに応じる前に確認するのが安全です。

契約する前に、その事業者が信頼できるか確かめる方法はありますか?

ネットで販売する事業者には、特定商取引法に基づいて事業者名・所在地・電話番号などを表示する義務があります。この表記ページがあるか、記載された会社名や住所で実在が確認できるかをまず見てください。表記が見つからない場合や実在を確認できない場合は契約を避けます。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。