年末商戦の副業案件、9月に仕込む準備5手順
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EC事業者はブラックフライデーなど年末商戦に向けた制作物の発注を10月中旬〜11月上旬に固めるため、応募のスピードで差がつきます。9月のうちにポートフォリオを「セールバナー・特集LP・商品説明文」など発注者が想像しやすい体裁で並べ替え、EC担当者向けの提案文の型を2〜3本用意しておくと、募集が出た日のうちに提案できます。
募集の数だけを見ていると、9月は「今は動く時期じゃないのかな」と思えてくる時期です。
ただ、EC事業者側のカレンダーを重ねると景色が変わります。11月のセール向けの制作物は、10月中旬から11月上旬にかけて発注が固まります。募集が出てから準備を始めると、たいてい間に合いません。9月は、そのときに出す材料を作っておく時間です。
なぜ9月が「仕込みどき」なのか?
年末商戦のスケジュールは、毎年ほぼ同じ形で繰り返されます。楽天市場のブラックフライデーは2025年が11月20日20時〜27日1時59分の開催で、事前エントリーは11月12日10時開始でした。Amazonのブラックフライデー/サイバーマンデーは2024年が11月27日〜12月6日の10日間、2025年が11月24日〜12月1日の8日間(先行セール11月21〜23日)。その前哨戦にあたるプライム感謝祭は例年10月で、2025年は10月7〜10日でした。
ここから逆算します。11月20日のセール当日にバナーやLPが並んでいるということは、その制作は10月中には動いています。つまり外部への発注は10月中旬〜11月上旬に集中するということです。さらにその前段の10月頭にはプライム感謝祭の対応が走るので、EC担当者は9月末あたりから「誰に頼むか」を考え始めます。
準備の中身は大きく2つです。ひとつは、発注者が「この人に頼めそうだ」と判断できる見本を用意すること。もうひとつは、募集を見つけた日のうちに提案文を出せる状態にしておくことです。この2つが揃っていれば、10月に募集が出た瞬間から動けます。
年末商戦でEC事業者が外に出す仕事とは?
年末商戦で発注が増えるのは、セール期間に合わせて「作り直す必要があるもの」です。代表的なのは次のあたりです。
- セールバナー(サイト用・広告用・SNS用でサイズ違いの量産)
- 特集ページのLP(セール対象商品をまとめた1枚もの)
- 商品ページのコピー改訂(説明文・キャッチの書き直し)
- SNS投稿文とカレンダー(セール期間中の投稿を前倒しで用意)
- 広告クリエイティブの差し替え用バリエーション
共通しているのは、短期間に「同じ型のものを数多く」作る仕事だという点です。だから発注側は、器用さより「この体裁のものを、この納期で確実に出せるか」を見ています。9月の準備は、そこに合わせておくのが近道です。
市場の後ろ盾も一応触れておくと、経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表)では、2024年の日本国内のBtoC-EC(企業が消費者に売るネット通販)市場規模は26.1兆円で前年比5.1%増。物販系のなかでも規模の大きい分野は、次のように分かれています。
| 物販系の主な分野(2024年) | 市場規模 |
|---|---|
| 食品・飲料・酒類 | 3兆1,163億円 |
| 衣類・服装雑貨等 | 2兆7,980億円 |
| 生活家電・AV機器・PC・周辺機器等 | 2兆7,443億円 |
| 生活雑貨・家具・インテリア | 2兆5,616億円 |
経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」の公表データをもとに作成
上の表の4分野は、いずれも2兆円台後半から3兆円台で並んでいて、セールの主戦場でもあります。自分が過去に触れたジャンルが1つでも重なるなら、そこを提案の入口にできます。
9月にやる5つの準備手順は?
- ステップ1: 出せる仕事の名前を決める(所要30分)「デザインできます」ではなく「セールバナーのサイズ違い量産」「特集LPの制作」「商品説明文のリライト」のように、発注書に書かれる言葉で3つ以内に絞ります。EC担当者は自分の困りごとと同じ単語を探しているので、抽象語のままだと引っかかりません。
- ステップ2: その仕事に見える見本を1つずつ作る(各2〜4時間)実績の数より、依頼される仕事に近い体裁のサンプルが揃っているかが選定の通過率を左右する、というのが制作現場でよく言われることです。実案件がなければ架空の店舗を設定して構いません。「架空案件のサンプル」と明記すれば誠実さは損なわれません。
- ステップ3: ポートフォリオを年末商戦向けに並べ替える(1〜2時間)上から3つを、ステップ1で決めた仕事のサンプルにします。作品ごとに「想定用途・サイズ・制作時間」を一行添えると、発注者が納期を見積もれます。この一行があるかどうかで返信率はかなり変わります。
- ステップ4: 提案文の型を2〜3本用意する(2時間)バナー用・LP用・ライティング用など、仕事の種類ごとに分けて作ります。型にしておくのは骨組みだけで、案件ごとの具体は当日埋めます(次の章で詳しく書きます)。
- ステップ5: 10〜11月の稼働可能時間を先に確保する(30分)「平日夜2時間・土日どちらか半日」のように数字で決めておきます。提案文に書く納期はここから逆算するので、先に決めておかないと当日の返信が遅れます。
合計しても、9月のうちに10時間ほど取れれば形になります。ここで作ったものは年末商戦が終わっても資産として残るので、使い切りの労力にはなりません。
うまく噛み合うと、どこまで伸びるのか?
年末商戦の仕事は、1点ずつの単価より「まとめて任される」形で効いてきます。セールバナーは同じデザインをサイト用・広告用・SNS用に展開するので、1件の依頼が10点20点の制作になることが珍しくありません。1点あたりの単価が控えめでも、点数がまとまれば月の副収入としては普段の数倍になり得ます。
もうひとつの上振れは、そのあとに続きます。年末商戦で一度でも納期を守って渡せた相手は、翌年の初売り・バレンタイン・新生活と、同じ型の依頼を繰り返し出す事業者です。年末の1件が、翌年の定期依頼の入口になる——ここが、この時期を狙う一番大きな理由です。
さらにランサーズの「発注トレンドランキング2025」(2025年12月16日発表)で企業ニーズの伸びた1位が「デザインデータ修正・変換」だったように、仕上げ工程を任せられる人は年間を通して需要があります。年末商戦は、その力量を短期間で見てもらえる場でもあります。
EC担当者に届く提案文の型とは?
提案文はテンプレートのコピペだと読まれません。逆に反応が返りやすいのは、募集文に書かれた課題や目的に触れているもの、対応できる納期と体制がはっきり書かれているもの、そして近い実績へのリンクが付いているものだとされています。この3つを固定の骨組みにしておきます。
- 冒頭1行: 募集文にある目的への言及(例「ブラックフライデー特集の回遊率を上げたい、という点について」)
- 2行目: 近い実績1点へのリンクと、何をどれだけ作ったか
- 3行目: 稼働可能日と初稿の提出日を日付で(「初稿は◯月◯日中にお出しできます」)
- 4行目: 量産時の対応範囲(サイズ違い何点まで、修正何回まで)
- 最後: 不明点の確認を1つだけ質問で置く
年末商戦の案件で効くのは、3行目の日付と4行目の量産範囲です。発注側はセール日程という動かせない締切を抱えているので、「いつ出せるか」を日付で言い切れる人が真っ先に選ばれます。ここを「なるべく早く」と書いてしまうと、それだけで比較対象から外れます。
先に書いておくほうが、双方にとって安全です。セール直前は差し替え依頼が続きやすく、範囲を決めていないと無限に修正が続きます。「サイズ違い5点まで・修正2回まで、以降は別途お見積り」と最初に置いておけば、追加が出たときに単価の話を自然に切り出せます。
どこで探すと年末商戦の案件に当たるのか?
クラウドソーシングから入るなら、案件数の傾向として、クラウドワークスのほうがランサーズより多いとされています(2025年時点の集計例では、ライティングで約55万件対約12万件、プログラミングで約1.7万件対約0.8万件)。ただしこの数字は集計時点や条件がはっきりしない参考値なので、目安として受け取ってください。
手数料は判断材料になります。クラウドワークスは報酬額に応じた5%〜20%の変動制、ランサーズは一律16.5%(税込)です。量産系の案件は単価が積み上がるので、報酬が大きくなるほど手数料率が下がる仕組みかどうかは、実入りに効いてきます。
需要の向きも見ておきます。ランサーズが2025年12月16日に発表した「発注トレンドランキング2025」では、企業ニーズが伸びたカテゴリの1位が「デザインデータ修正・変換」でした。生成AIで作ったデザインの最終調整や形式変換といった仕上げ工程の需要が増えているという分析です。2位は「建築・インテリア・図面デザイン」、6位に「製品開発・設計」。前年1位だった「AI・機械学習・ChatGPT」は10位に下がり、1〜9位が総入れ替えとなっています。
この「仕上げ工程」という動きは、年末商戦の仕事とも相性があります。素案はAIで出せても、サイズ違いへの展開や、掲載先が指定するファイル形式・サイズへの変換(いわゆる入稿形式への変換)、細部の整えは人の手が要るからです。自分の見本に「仕上げまで含めて渡せる」ことが表れているかは、9月のうちに見直しておく価値があります。
確定申告や会社の副業規定はどうする?
収入が動き出す前に、事務まわりも9月のうちに形を作っておくと後が楽です。順番としては、勤務先のルール確認、経費と収入の記録、申告の準備、の3つです。
- 就業規則の副業条項: 許可制か届出制か禁止か。許可制なら申請から承認まで日数がかかるので、10月の募集に間に合わせるには9月中の着手が要ります
- 収入と経費の記録: 報酬の入金日・金額と、素材費やソフト代などの経費を、年末商戦が始まる前から記録し始めます。始まってから遡ると抜けます
- 確定申告の要否: 会社員の場合、給与以外の所得が年20万円を超えると原則として確定申告が必要です。年末商戦でまとめて受けると、この線を越えることがあります
- 住民税の徴収方法: 住民税には、給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付書を使って納める普通徴収の2つがあります。申告書で普通徴収を選べるかを含め、自分の自治体の扱いを確認しておきます
- 社会保険: 会社員として雇用されたまま業務委託で受ける場合、勤務先の社会保険に変更は生じないのが通常ですが、掛け持ちで雇用契約を結ぶ形は扱いが変わります
金額や条件は年度や自治体で変わるため、実際の判断は国税庁の案内や勤務先の規程、必要なら税理士に確認してください。ここで止まる人が多いのは、稼いでから調べようとするからです。まだ収入が発生していない9月は、いちばん落ち着いて確認できる時期です。
年末商戦の案件は、11月下旬に納期が集中します。本業の繁忙期が同じ時期に重なる方、12月に長期の予定がある方は、無理に狙わないほうがいいです。この時期の遅延はセール当日に間に合わないという形で直撃するため、評価への影響が普段より大きく出ます。
また、量産系の仕事は1点あたりの単価が高くなりにくい傾向があります。単価を上げたい段階の人が主戦場にすると、時間だけ消える可能性があります。その場合は「年末に数をこなす」より「年末に出会った事業者と、年明け以降の継続に繋げる」ほうを目的に置くと、割に合いやすくなります。
9月・10月・11月に何をするかの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 9月 | 出せる仕事を3つに絞る/サンプル制作/ポートフォリオ並べ替え/提案文の型づくり/稼働時間の確保/就業規則と記録方法の確認 |
| 10月上旬 | プロフィール更新を反映して募集チェックを日課に。プライム感謝祭(例年10月)まわりの短納期案件に応募してみる |
| 10月中旬〜11月上旬 | 年末商戦向けの発注が固まる時期。募集を見つけた当日に提案文を出す |
| 11月下旬 | 納品と差し替え対応。セール日程(2025年の楽天は11月20日20時開始)から逆算して前倒しで動く |
上の表のとおり、応募そのものは10月からで間に合います。9月にやるのは、そのときに慌てないための材料づくりだけです。
完璧な作品集を作る必要はありません。サンプルが3点、提案文の型が2本あれば、10月のスタートラインには立てます。まずは「自分が出せる仕事の名前」を紙に3つ書き出すところから始めてみてください。
よくある質問
年末商戦向けの副業案件は、いつ頃から募集が出ますか?
EC事業者は10月中旬から11月上旬にかけて年末商戦向けの制作発注を確定させるケースが多く、募集もこの時期に集中します。楽天市場のブラックフライデーは2025年が11月20日20時〜27日1時59分の開催、Amazonのブラックフライデー/サイバーマンデーは2025年が11月24日〜12月1日でした。セール当日から逆算すると、制作は10月中に動き始めます。
実績がゼロでも年末商戦の案件に応募できますか?
応募自体は可能です。ポートフォリオは実績の量より、発注者が想定する業務(セールバナー、特集LP、商品説明文など)に近い体裁のサンプルが揃っているかが選定の通過率に直結するとされています。架空の店舗を設定してサンプルを作り、「架空案件のサンプル」と明記して掲載する方法があります。
提案文には何を書けば返信が返ってきやすいですか?
テンプレート文面ではなく、募集文に書かれた課題や目的への言及、対応可能な納期と体制、過去の類似実績へのリンクを含めると開封・返信率が上がるとされています。年末商戦の案件では特に、初稿の提出日を具体的な日付で書き、サイズ違いの対応点数や修正回数の範囲を先に示すことが有効です。
副業の収入があると確定申告は必要ですか?
会社員の場合、給与以外の所得が年20万円を超えると原則として確定申告が必要です。年末商戦でまとめて案件を受けるとこの金額を超えることがあるため、報酬の入金日・金額と経費を受注前から記録しておくと申告時に困りません。制度の詳細や自分のケースの扱いは、国税庁の案内や税理士に確認してください。
クラウドワークスとランサーズはどちらを使うべきですか?
手数料はクラウドワークスが報酬額に応じた5%〜20%の変動制、ランサーズが一律16.5%(税込)です。案件数は2025年時点の集計例でクラウドワークスのほうが多い傾向がありますが(ライティングで約55万件対約12万件)、集計時点や条件が明確でない参考値です。両方に登録して募集の傾向を見比べるのが現実的です。
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