業務委託契約の印紙は必要?支払いサイトは60日以内
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業務委託契約書に収入印紙が必要かどうかは、契約書のタイトルではなく中身で決まります。成果物の完成を約束しない委任・準委任契約は原則不要で、成果物の完成を約束する請負契約は課税対象になります。さらに電子契約(PDF等で締結し紙を作らない形)なら原則として印紙税はかかりません。支払いサイトは、フリーランス新法により納品物を受け取った日から60日以内が原則です。
副業で初めての契約を前にすると、契約書そのものより先に「手続きを間違えたらどうしよう」という不安が来ます。印紙を貼り忘れたら罰則があると聞いたことがあるなら、なおさらです。
ただ、印紙が必要かどうかは、契約書のタイトルではなく「何を約束している契約か」で決まります。そしてもうひとつ、契約前に必ず見ておきたいのが、納品してから実際にお金が入るまでの日数です。この2つは、契約書に署名する前の数分で確認できます。
業務委託契約書に収入印紙は必要?
印紙税は、契約書という紙そのものにかかる税金ではありません。国税庁が定める「課税文書」に当てはまる文書にだけかかります。そして課税文書かどうかは契約の中身で判断され、タイトルが「業務委託契約書」でも課税・非課税は分かれます。同じ名前の契約書でも、一方は印紙が要り、もう一方は要らない、ということが普通に起きます。
委任・準委任契約なら原則いらない
委任・準委任契約とは、成果物の完成を約束せず、業務を遂行すること自体を約束する契約です。記事を書く作業に対して稼働してもらう、相談に応じてもらう、運用を代行してもらう。ライティングやコンサルティング、SNS運用代行などの業務委託はここに入ることが多くなります。
この類型は原則として印紙税の課税文書に該当しないため、収入印紙は不要です。「業務委託契約書」という名前で送られてきた紙のうち、副業者が受け取るものの多くはこちらです。
請負契約は契約金額に応じて課税される
一方の請負契約は、成果物の完成を約束する契約です。Webサイトを1式作る、動画を納品する、システムを開発する。「完成したものを引き渡す」ことが約束の中身なら、こちらに当たります。
請負契約は第2号文書に該当し、契約金額に応じて印紙税がかかります。記載金額が1万円未満なら非課税、1万円以上は200円から段階的に金額が上がっていきます。
3ヶ月を超える基本契約書には別の枠がある
継続して仕事を受けるときに交わす「基本契約書」には、第7号文書という別の枠があります。契約期間が3ヶ月を超えるもの、または3ヶ月以内でも更新の定めがあるものが課税対象で、一律4,000円です。逆に、契約期間が3ヶ月以内かつ更新の定めがなければ非課税になります。
- この契約は「完成」を約束しているか、「稼働」を約束しているか
- 完成を約束する請負なら、記載金額はいくらか(1万円未満は非課税)
- 継続取引の基本契約なら、期間は3ヶ月を超えるか・更新の定めはあるか
- そもそも紙で作るのか、電子で締結するのか
電子契約なら印紙税はかからない?
PDF等で締結し、紙の契約書を作成しない電子契約には、原則として印紙税は課税されません。印紙税は「文書の作成」に対してかかる税金という解釈が土台にあるためです。クラウド型の電子契約サービス各社も、この取扱いを揃って解説しています。
つまり、請負契約であっても電子で締結するなら印紙代はかからない、ということになります。相手から紙の契約書が2部郵送されてきた場合と、電子契約サービスの署名リンクが届いた場合とで、判断が変わる部分です。
ここまでは一般的なルールの話です。実際の契約書が委任なのか請負なのかは、条文の書きぶりで判断が割れることがあります。印紙を貼るべき課税文書に貼らなかった場合、過怠税として本来の印紙税額の3倍(自主的に申告した場合は1.1倍)を徴収されるリスクがあるため、金額の大きい契約や判断に迷う契約は税理士等の専門家に確認するのが安全です。なお、紙の契約書で印紙を貼る義務がある場合、どちらが負担するかは当事者間の取り決めによります。契約書の条文を確認しましょう。
支払いサイトとは?締め日と入金日の見方
支払いサイトは、締め日から実際に入金されるまでの期間のことです。「月末締め・翌月末払い」のような形で契約書に書かれています。副業を始めたばかりだと、納品した月にお金が入ると思い込んでしまいがちですが、実際には1〜2ヶ月先になります。
ここで押さえておきたいのが、2024年11月に施行されたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法、通称:取適法)です。特定業務委託事業者からフリーランスへの報酬支払期日は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内と義務づけられています(再委託の場合は30日以内)。旧下請法時代にあった繊維業等での90日以上の手形払いといった例外も撤廃され、全業種で「60日以内の現金払い」が原則になりました。
実日数を数えてみる
「月末締め・翌月末払い」で、4月10日に納品したとします。締め日は4月30日、支払期日は5月31日。納品日から数えると51日後で、60日ルールの範囲内です。
注意したいのは「月末締め・翌々月10日払い」のような条件です。この形だと納品日によって40〜70日程度と幅が出て、月によっては60日を超えるケースが生じます。条件の名前だけを見て安心せず、自分が納品しそうな日を起点に実日数を数えてみるのが確実です。
契約前に確認すべき4つの数字は?
署名する前に見ておきたい数字は、次の4つに絞れます。どれも契約書のどこかに必ず書かれているものです。
- 締め日と、その起算点締め日が「納品日基準」なのか「検収完了日基準」なのかを確認します。検収基準の場合、納品してもクライアントの確認が終わるまで締めの対象に入りません。
- 支払いサイトの実日数自分の納品タイミングで数えて60日以内に収まるかを計算します。契約条件の呼び名ではなく日数で見ます。
- 振込手数料の負担者どちらが負担するかで、1件あたり数百円が変わります。小さい金額でも件数が積み上がると差が出ます。
- 検収完了の定義差し戻しが発生したときに起算日がリセットされる書き方になっていないかを見ます。ここが曖昧だと、修正のたびに入金が後ろへずれる可能性があります。
この4点は、契約書を最初から最後まで読み込まなくても、報酬・支払いに関する条項と検収に関する条項を探せば見つかります。慣れてくると数分で終わります。
入金までの資金繰りをどう考える?
支払いサイトを確認する本当の目的は、契約の良し悪しを判定することよりも、いつお金が入るかを自分のカレンダーに書き込むことにあります。
初案件を4月に納品して5月末入金なら、4月と5月は副業の収入がゼロのまま経費だけが出ていく月になります。ソフトの利用料や機材代を先に払っているなら、なおさらです。ここを事前に知っているかどうかで、「思ったより稼げない」と感じて途中でやめてしまうかどうかが変わります。
案件を受けたら、契約書を見ながら「納品予定日」「締め日」「入金予定日」の3つをカレンダーに入れておく。それだけで、次の案件をいつ取りに行くべきかの判断もしやすくなります。
契約書のどこを見れば書いてある?
ここまで挙げた項目は、契約書の中では次のあたりに散らばっています。見出しの語は契約書によって多少変わりますが、探す手がかりになります。
| 確認したいこと | 契約書で探す場所 |
|---|---|
| 契約類型(委任か請負か) | 目的・業務内容の条項(「完成」「成果物の引渡し」という語があるか) |
| 締め日・支払期日 | 報酬・対価の支払いに関する条項 |
| 振込手数料の負担 | 同じく報酬の支払条項の末尾に書かれることが多い |
| 検収の定義・期間 | 検収・納入に関する条項 |
| 契約期間・更新 | 契約期間の条項(基本契約書の場合、印紙の要否にも関わる) |
初回の契約でここを一度たどっておくと、2件目以降は同じ場所を見るだけで済みます。契約書のフォーマットは会社ごとに違っても、構成は似ているためです。
よくある質問
業務委託契約書に収入印紙が必要かどうかは、どう判断しますか?
契約書のタイトルではなく契約の中身で判断します。成果物の完成を約束しない委任・準委任契約は原則として課税文書に該当せず収入印紙は不要です。成果物の完成を約束する請負契約は第2号文書に該当し、記載金額1万円未満は非課税、1万円以上は200円から段階的に印紙税がかかります。また継続的取引の基本契約書は、契約期間が3ヶ月を超えるか更新の定めがある場合に一律4,000円が課税されます。
電子契約でも収入印紙は必要ですか?
PDF等で締結し紙の契約書を作成しない電子契約には、原則として印紙税は課税されません。印紙税は文書の作成に対して課される税金という解釈が根拠で、電子契約サービス各社もこの取扱いを解説しています。そのため請負契約であっても、電子で締結する場合は印紙代が発生しません。
支払いサイトは何日以内でなければいけませんか?
2024年11月に施行されたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)により、特定業務委託事業者からフリーランスへの報酬支払期日は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内と義務づけられています。再委託の場合は30日以内です。旧下請法時代にあった90日以上の手形払いなどの例外は撤廃され、全業種で60日以内の現金払いが原則となっています。
印紙を貼り忘れるとどうなりますか?
印紙を貼るべき課税文書に貼らなかった場合、過怠税として本来の印紙税額の3倍が徴収されるリスクがあります。税務調査の前に自主的に申告した場合は1.1倍に軽減されます。判断に迷う契約や金額の大きい契約については、税理士等の専門家に確認するのが安全です。
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