イラスト副業、収入にする3つの道と始め方
画像出典: 写真: DragonLord(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)
イラストで収入を得る経路は大きく3つあります。人から直接依頼を受ける受注制作(SKIMA・ココナラ)、描いた絵を何度も売る素材販売(イラストAC・PIXTA)、そしてグッズ販売(SUZURI・pixivFACTORY×BOOTH)です。手数料も向き不向きも違うため、まず1つを選び、作品例・料金表・納期の3点を用意すれば依頼を受けられる状態になります。
絵を描く力と、絵で収入を得る力は別のものです。前者は描いていれば伸びますが、後者は「どこで売るか」「いくらでどう受けるか」という段取りの話で、描く時間とは別に覚える必要があります。逆に言えば、ここは知識として学べる部分なので、才能の話ではありません。
正直なところ、多くの人がつまずくのは画力ではなく「経路を決めないまま、なんとなくSNSに上げ続けている」状態です。イラストで収入を得る道は大きく3つあり、それぞれ必要な準備も、お金の入り方もまったく違います。
イラストで収入を得る経路にはどんな種類がある?
イラストの収益化は、受注制作・素材販売・グッズ販売の3つに整理できます。ここを混ぜて考えると「何から手を付ければいいのか」が見えなくなるので、最初に違いをはっきりさせておきます。
受注制作は、依頼者から「こういう絵を描いてほしい」と頼まれて描く仕事です。SNSアイコン、VTuberの立ち絵、書籍やWebの挿絵などが該当します。1件あたりの金額がまとまって入る代わりに、相手の要望に合わせる力と、納期を守る段取りが必要になります。
素材販売(ストックイラスト)は、誰かの依頼を待たずに自分で描いた絵をサイトに登録し、必要な人にダウンロードしてもらう形です。1枚が何度も売れる可能性がある代わりに、1回あたりの単価は小さく、枚数が積み上がるまで収入になりにくい構造です。
グッズ販売は、自分の絵をTシャツ・アクリルスタンド・ステッカーなどに載せて売る形です。在庫を持たず注文が入ってから作る「オンデマンド」のサービスを使えば、初期費用ゼロで始められます。ただし、買ってくれる人が先にいることが前提になります。
| 経路 | お金の入り方 | 必要になるもの |
|---|---|---|
| 受注制作 | 1件ごとにまとまって入る | 作品例・料金表・納期の提示 |
| 素材販売 | 1枚が少額で繰り返し売れる | 枚数と、需要のあるテーマ選び |
| グッズ販売 | 1個あたりの上乗せ分が利益 | 絵を買いたい人(ファン)の存在 |
3つを同時に始めるのは、初期にはあまりおすすめできません。準備するものが経路ごとに違うため、どれも中途半端になりやすいからです。まず1つ選んで最初の売上まで通し、そこで得た手応えを次に回すほうが早く進みます。
最初にどの経路を選べばいい?
選び方の基準はシンプルで、「今の自分に、待てる時間があるかどうか」です。
- 数ヶ月以内に手応えがほしい → 受注制作。依頼が入れば1件で金額が動く
- コツコツ積むのが苦にならない → 素材販売。枚数が資産になるまで時間がかかる
- すでにSNSで見てくれる人がいる → グッズ販売。ファンが最初のお客さんになる
- フォロワーがほぼいない状態 → グッズは後回し。受注か素材から入る
とくに多いのが、フォロワーが少ない段階でグッズから始めてしまうケースです。グッズは「この人の絵だから欲しい」という気持ちで買われる商品なので、認知がない状態だと作っても動きません。オンデマンドサービスは在庫リスクがないぶん損失は出ませんが、時間だけが過ぎます。
迷ったら受注制作からで構いません。依頼者とのやり取りを一度経験すると、料金の付け方も、修正のやり取りの現実も一気に分かります。その学びは素材販売やグッズにもそのまま使えます。
受注制作はどこで始める?手数料はどれくらい違う?
受注制作の入り口としてよく使われるのが、SKIMAとココナラです。どちらも「自分のサービスを出品して、買いたい人が申し込む」形式で、営業をかけなくても依頼が届く可能性があります。
SKIMAはイラストに特化したスキルシェアサービスで、出品の約9割がイラストカテゴリを占めています。イラストを探しに来た人が集まる場所なので、探されやすさという点では有利です。購入者の支払いをサービス側が一時的に預かり、納品後にクリエイターへ振り込むエスクロー決済を採用しており、描いたのにお金が振り込まれないという事態を避けられます。
ココナラはイラスト以外のジャンルも幅広く扱う総合型のスキルマーケットです。取扱ジャンルが広いぶん利用者の総数が多く、イラスト以外の目的で訪れた人の目に触れる可能性もあります。手数料は出品者(クリエイター側)が一律22%、購入者側が5.5%と紹介されています。SKIMAの手数料は金額帯で変わる段階制で、ココナラより低め〜中間程度と比較記事では説明されています。
| サービス | クリエイター側の手数料 | 特徴 |
|---|---|---|
| ココナラ | 一律22%(購入者側5.5%) | ジャンル横断型で利用者数が多い |
| SKIMA | 金額帯で変わる段階制(ココナラより低め〜中間程度) | 出品の約9割がイラスト |
各サービスの公表・紹介データをもとに作成
上の表のとおり、手数料の差は無視できません。たとえば1万円の依頼をココナラで受けた場合、22%が引かれて手元に残るのは7,800円です。金額が上がるほど差額も大きくなるため、継続して受けるつもりなら、どちらの手数料体系が自分の単価帯に合うかを一度計算しておく価値があります。
手数料を払う代わりに、集客・決済・トラブル時の仲介をサービス側が担ってくれる仕組みです。「手数料を取られるのが嫌だから最初から直接取引したい」と考える人もいますが、実績も後ろ盾もない段階で個人間の直接取引を始めると、未払いや無限の修正要求に対処する手段がありません。まずはプラットフォーム上で実績を作り、条件のやり取りに慣れてから外に出るほうが安全です。
素材販売とグッズ販売はどう違う?
素材販売は、1枚の絵に何度も働いてもらう考え方です。代表的なイラストACでは、1ダウンロードにつき4ポイント(1ポイント=1円)の報酬が付き、5,000ポイントから換金できます。1枚4円と聞くと小さく感じますが、需要のあるテーマ(季節行事、ビジネスシーン、医療・介護など)を押さえた絵は繰り返しダウンロードされます。ただし、イラストACに投稿した絵を他のストックサービスで並行販売できない制約があるため、どこを主戦場にするかは先に決めておく必要があります。
単価を重視するならPIXTAやAdobe Stockのほうが高い傾向があります。PIXTAには単価1万円で販売できるプレミアムコンテンツの仕組みがある一方、通常の定額制プラン経由(例: 350点で年間更新・月24,970円のプラン)では1枚あたりの実質単価が約71円になるという試算例も紹介されています。同じサービス内でも、買われ方によって手取りが大きく変わるという点は先に知っておくと落胆せずに済みます。
グッズ販売は、絵をそのまま商品にする道です。SUZURIは初期費用・月額料金・販売手数料がかからず、制作から発送まで代行してくれます。利益は自分で価格に上乗せして設定する仕組みなので、始めるハードルは3経路の中で最も低いと言えます。
pixivFACTORY×BOOTHの組み合わせでは、決済手数料が決済代金の3.6%、倉庫発送手数料が1注文あたり26円かかります。原価と送料には手数料がかからない仕様です。比較記事では「手軽さ重視ならSUZURI、利益率重視・商品展開重視ならpixivFACTORY×BOOTH」という使い分けが紹介されています。
依頼を受けられる状態にするには何を準備する?
受注制作を選んだ場合、出品ページを作る前に揃えておくものがあります。解説記事で共通して挙げられているのは、ポートフォリオ(作品例)・料金表・納期と修正回数の提示・SNSでの作品公開の4点です。ここが曖昧だと、依頼したい人が「いくらで、いつまでに、何をしてもらえるのか」を判断できず、申し込みに至りません。
- 作品例を5〜10点そろえる依頼が来ていない段階では、自分で「こういう依頼を受けたつもり」の想定作品を描いて構いません。SNSアイコン用の絵を受けたいなら、アイコンサイズで見え方を確認した作品を並べます。バラバラのジャンルを10点並べるより、受けたいジャンルに絞った5点のほうが依頼につながります。
- 料金表を先に決める「要相談」だけの表示は、依頼者に「予算を聞かれるのが怖い」と思わせます。基本料金(例: バストアップ○円、全身○円)と、背景あり・商用利用可などのオプション料金を分けて書きます。安すぎる価格設定は後で上げにくいので、手数料を引いた手取りで納得できる額から始めます。
- 納期と修正回数を明記する「ラフ提出まで○日、完成まで○日」「修正は2回まで、それ以降は1回○円」のように数字で書きます。ここを書かないと、際限のない修正依頼を断る根拠がなくなります。トラブルの多くはこの1行の有無で防げます。
- SNSで作品を公開し続けるXやPixivに作品を上げ、プロフィールに「依頼受付中」と受付先のリンクを置きます。プラットフォーム内の検索だけに頼らず、外から人を連れてくる導線を持っておくと依頼の入り方が安定します。
- 最初の1件を受けて、記録を残すやり取りの回数、実際にかかった作業時間、修正の内容をメモしておきます。2件目以降の料金設定と納期の根拠になります。
出品ページは公開しても、依頼が来るまでは誰にも迷惑をかけません。作品例を並べて料金を書いた時点では、まだ何の責任も発生していない状態です。「受けられる状態にしておく」ことと「必ず受ける」ことは別なので、まず置いてみて、反応を見ながら直していけば十分です。
収入はどれくらいを見ておけばいい?
副業全般の数字として、パーソルイノベーションが運営する副業マッチングサービス「lotsful」の2026年2月発表の調査では、副業実施率は41.0%と報告されています。同調査では、副業による収入のボリュームゾーンは月3〜5万円と紹介されています。これはイラストに限った数字ではなく副業全般の調査結果なので、そのまま自分の見込みとして当てはめるものではありませんが、目安としては参考になります。
イラストの場合、この月3〜5万円という帯には複数の到達の仕方があります。受注制作で1件1万円の依頼を月に3〜5件受ける形もあれば、素材販売で枚数を積んで少額を積み上げる形もあります。前者のほうが早く到達しやすく、後者は時間がかかる代わりに描く時間が減っても収入が続きやすい、という違いです。
ここから上振れる余地は確かにあります。作り込みや用途によって1件あたりの単価は上がりますし、指名で継続依頼が入るようになれば営業の手間も減ります。ただし、これらは実績と作品例が積み上がった結果として起きることであり、始めた月から起きるものではありません。最初の数ヶ月は、収入の額より「依頼を1件完了させる」ことを目標に置いたほうが続きます。
他人の要望に合わせて絵を変えることに強いストレスを感じる人は、受注制作をメインにすると苦しくなります。その場合は素材販売やグッズ販売のほうが向いています。また、締め切りに追われるのが精神的に厳しい人は、納期のある受注制作は本業との両立が負担になりやすいです。「絵を描くのが好き」と「絵の仕事が好き」は必ずしも一致しないので、合わないと感じたら経路を変えるのは失敗ではありません。
始める前に確認しておきたい制度面のこと
3つだけ、描き始める前に確認しておくべきことがあります。
1つは勤務先の副業規定です。就業規則で副業が禁止・許可制になっている場合があるので、社内規程を確認します。許可制なら申請の手順と、必要な書類を先に把握しておきます。
2つ目は確定申告です。給与を1か所から受けていて、副業などの所得(収入から必要経費を引いた額)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。イラストの場合、ペンタブレット・液晶タブレット・ソフトの利用料・素材購入費などが経費の候補になるため、始めた日から領収書と支払い記録を残しておくと後で楽です。細かい判断は税務署や税理士に確認するのが確実ですが、「記録を残しておく」だけは今日からできます。
3つ目は社会保険です。会社員が個人としてイラストを受注する働き方(雇用されずに報酬を受け取る形)は、勤務先の健康保険・厚生年金の加入関係をそのまま変えるものではありません。ただし、別の会社に雇われる形で副業をする場合は、勤務時間や条件によって二重加入の手続きが生じることがあります。自分の副業が「雇われる形」なのか「個人で受注する形」なのかで扱いが変わるため、判断に迷う場合は勤務先の担当部署や年金事務所に確認しておくと安心です。
今日やる1つを決める
ここまで読んで、受注制作・素材販売・グッズ販売のどれが自分に近いかは見えたはずです。あとは決めるだけなのですが、決めた直後に手が止まりやすいので、経路別に最初の一歩を書いておきます。
- 受注制作を選んだ → SKIMAとココナラで、自分が描きたいジャンルの出品を10件見て、価格帯と作品例の見せ方をメモする
- 素材販売を選んだ → イラストACかPIXTAに登録して、投稿の手順と必要なファイル形式を確認する
- グッズ販売を選んだ → SUZURIに手持ちの絵を1点アップして、どんな商品になるか実際に見てみる
- まだ決められない → 手持ちの絵から5点選んで並べる。どの経路でも作品例は必要になる
どれも1時間かからずに終わります。調べる段階と、置いてみる段階では、見えるものがまったく違います。絵は描けるのですから、あとは売り方の段取りを1つずつ覚えるだけです。
よくある質問
イラストの副業は画力がどれくらいあれば始められますか?
受注が成立するかどうかは絶対的な画力よりも、依頼者が求める用途に合っているかで決まります。SNSアイコンやシンプルなカット絵など、必要とされる画力の水準は用途によって幅があります。まずは受けたいジャンルの出品を10件ほど見て、その価格帯でどの程度の作品が並んでいるかを確認すると、自分の現在地が判断できます。
SKIMAとココナラはどちらから始めるのがいいですか?
SKIMAは出品の約9割がイラストカテゴリのイラスト特化型で、イラストを探しに来た人に見つけてもらいやすい構造です。ココナラはジャンル横断型で利用者の総数が多い一方、出品者の手数料は一律22%とされています。SKIMAは金額帯で変わる段階制でココナラより低め〜中間程度と比較記事で紹介されているため、単価帯によって有利なほうを選びます。
イラストACとPIXTAでは報酬にどれくらい差がありますか?
イラストACは1ダウンロードにつき4ポイント(1ポイント=1円)で、5,000ポイントから換金できます。PIXTAは単価1万円で販売できるプレミアムコンテンツの仕組みがある一方、定額制プラン経由では1枚あたりの実質単価が約71円になるという試算例も紹介されています。PIXTAやAdobe Stockのほうが単価は高い傾向ですが、買われ方によって手取りは変動します。
イラストの副業で確定申告が必要になるのはいくらからですか?
給与を1か所から受けている会社員の場合、副業などの所得(収入から必要経費を引いた額)が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ペンタブレットやソフトの利用料、素材購入費などは経費の候補になるため、始めた時点から領収書と支払い記録を残しておくと申告時に困りません。個別の判断は税務署や税理士に確認するのが確実です。
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