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賃上げ5.26%でも実質賃金が減る理由と副業という選択肢

2026年5月14日|いろは堂副業編集部
東京・大手町のオフィス街

画像出典: 写真: nagi usano from Tokyo, Japan(CC BY 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
連合の2026年春闘第1回集計では賃上げ率5.26%(定期昇給相当分込み・加重平均)でしたが、2025年の実質賃金は前年比マイナス1.3%で4年連続のマイナスです。額面の伸びは物価と社会保険料に吸収され、企業規模による差も大きいため、手取りを自力で動かすなら本業の昇給とは別の収入源を1つ持つのが現実的な選択肢になります。
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ニュースでは「賃上げ5%」って言ってるのに、給与明細の手取りはほとんど去年と同じなんだけど…

給与明細を見て首をかしげた人は少なくないはずです。春闘で報じられる数字は、そのまま自分の口座に入る金額の伸び率ではありません。ニュースの「5%」と手取りの伸びの間には、いくつもの段差があります。

正直なところ、この段差は個人の努力で埋められる部分がほとんどありません。だからこそ、数字の正体を知ったうえで「本業以外に収入の入口を1つ作る」という手が現実的になってきます。まずは、何がどう差し引かれているのかを順番に見ていきます。

2026年春闘の賃上げ率は実際いくらだったのか?

連合の2026年春季生活闘争・第1回回答集計(2026年3月23日時点)では、定期昇給相当分を含む賃上げ率は5.26%、金額にして1万7,687円でした。これは加重平均(組合員数の多い企業の数字ほど大きく反映される平均の取り方)による値です。3年連続で5%台に乗った計算になります。集計対象は1,100組合・組合員142万7,068人。前年同時期の5.46%からは0.20ポイント下がったものの、高い水準を保っています。

ここで押さえておきたいのが、この5.26%には定期昇給相当分(年齢や勤続年数に応じて毎年自動的に上がる分)が含まれている点です。定期昇給は賃上げのニュースがなくても発生していた分なので、「去年より上乗せされた分」だけを取り出すと、体感はさらに小さくなります。

ちなみに有期・短時間・契約などで働く人の賃上げ率は時給ベースで6.89%(84.51円)と、一般組合員を上回りました。人手不足の影響が時給に出やすい構造がうかがえます。

🤔
うちの会社、そんなに上がってない気がする…

大手と中小で賃上げ幅はどれくらい違う?

企業規模による差は、集計の数字にはっきり出ています。同じ2026年春闘でも、どの団体が・どの規模の企業を集計したかで水準が変わります。

集計・対象賃上げ率
経団連・大手企業5.46%
経団連・中小企業(500人未満)4.20%
連合・全体(第1回集計)5.26%
連合・300人未満の組合5.05%

連合および経団連の2026年春闘集計(いずれも第1回集計・2026年3月時点)の公表データをもとに作成

上の表で目を引くのが、経団連集計における大手5.46%と中小(従業員500人未満)4.20%の開きです。中小の4.20%は前年の4.35%から下がっており、大手との差は1.26ポイントに広がりました。なお大手の賃上げ額そのものは過去最高を記録しています。

一方、同じ「中小」でも連合集計(300人未満の組合)は5.05%と5%台を確保しており、経団連の4.20%とは開きがあります。これは調査対象と母集団が違うためで、連合の集計は労働組合のある企業が中心です。組合のない中小企業に勤めている人ほど、報道される数字と自分の昇給額が離れやすい構造になっています。

背景として指摘されているのが、価格転嫁の遅れです。原材料費や人件費の上昇を取引価格に反映できていない企業では、賃上げの原資そのものが細くなります。ここは働く側の頑張りで動かせる部分ではありません。

額面が上がっても手取りが増えないのはなぜ?

額面と手取りの間には、税金と社会保険料が挟まっています。給与が上がれば、所得税・住民税・厚生年金保険料・健康保険料も連動して増えるため、手取りの伸び率は必ず額面の伸び率より小さくなります。仕組み上そうなる、という話です。

さらにその手取りを、物価が削ります。物価の影響を除いた実質賃金は、2025年に前年比マイナス1.3%で4年連続のマイナスでした。2025年12月時点では12ヶ月連続のマイナス(前年比-0.1%)、同時期の消費者物価は+2.4%です。額面が上がっても買えるものが減っていれば、生活実感としては「増えていない」で正しいことになります。

2026年1月の毎月勤労統計では実質賃金が前年比+1.4%とプラスに転じました。ただし民間シンクタンクは、原油高(1バレル100ドル超)が長期化すれば2026年度中に再びマイナスへ戻るリスクを指摘しています。プラス転換が定着したと言い切れる段階ではありません。

「5%」が手取りに届くまでに通る関門
  • 定期昇給相当分を含んだ数字である(純粋な上乗せ分はより小さい)
  • 勤務先の規模・組合の有無で実際の率が変わる
  • 所得税・住民税・社会保険料が連動して増える
  • 残った手取りを物価上昇が目減りさせる

国民負担率が下がったのに楽にならないのはどういうこと?

財務省が公表した2026年度の国民負担率見通しは45.7%で、2025年度の実績見込み46.1%から0.4ポイント低下、2年連続の低下です。内訳は租税負担率28.0%(国税18.1%・地方税9.9%)、社会保障負担率17.6%。財政赤字を加味した潜在的国民負担率は48.4%となっています。

数字だけ見れば負担が軽くなったように読めますが、注意が必要です。国民負担率は「負担額 ÷ 国民所得」で計算される比率です。分子である負担額が減らなくても、賃上げによって分母の国民所得が伸びれば比率は下がります。今回の低下は、この分母の伸びによる部分が大きいという指摘があります。

つまり、負担率が下がったという報道と、財布が軽いままという実感は矛盾しません。比率が下がっても、支払う金額そのものが減ったわけではないからです。

😮‍💨
じゃあ待っていても状況は変わらないってこと…?

収入源を1つ増やすと何が変わる?

ここまで見てきた要素は、賃上げ率も税率も物価も、どれも個人の側では動かせません。動かせるのは「収入の入口を1つ増やすかどうか」です。副業の意味は、単純な金額の上乗せだけではありません。本業の昇給が止まっても家計全体が止まらない状態を作れることに価値があります。

パーソルキャリア/Job総研「2025年 副業・兼業の実態調査」によると、副業経験者は39.2%、未経験者の7割超が副業に関心を持っています。動機の中心は「収入増」と「スキル活用」の2つ。勤務先で副業が認められていると回答した人は27.5%で、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定から3年が経ち、容認の流れは続いています。

金額の実態も見ておきます。副業をしている会社員の副業収入は中央値で月1〜3万円程度、約6割が月3万円以下という調査結果があります(2026年時点の調査)。いきなり本業並みに稼ぐ人は少数派です。ただ、月3万円は年間36万円。表で見た大手企業の賃上げ額(月1万7,687円相当)と比べても、決して小さい額ではありません。

そして注目したいのは、約6割が月3万円以下ということは、残りの約4割は月3万円を超えているという意味でもあります。中央値は「多くの人が少額から始めている」ことを示す数字であって、そこが上限だという意味ではありません。同じ調査で副業の動機に「スキル活用」が挙がっているとおり、本業で使っている技能をそのまま出せる人ほど、1件あたりの単価は上がりやすくなります。ただし、どこまで伸びるかは案件の種類や使える時間によって大きく変わり、伸びが月数千円で止まることもあります。

最初の数千円は小さく見えますが、それは金額の大小より「収入の入口が1つ増えたかどうか」を確かめる一歩です。まずは1件通してみて、そこから伸ばすかどうかを決めれば十分です。

向いていないケースもあります

本業の残業が常態化している、あるいは勤務先の就業規則で副業が明確に禁止されている場合、無理に始めるのは勧められません。就業規則の確認は最初にやるべきことです。また、副業収入が年20万円を超えると確定申告が必要になります(給与所得者の場合)。手続きの手間を含めて割に合うかは、始める前に一度考えておいてください。

最初の1案件までは具体的に何をすればいい?

「副業を始める」は抽象的すぎて動けません。最初の1件を受注するまでを、実際の作業に分解します。

  1. 就業規則を確認する(所要30分)社内ポータルか総務に確認します。「許可制」なら申請すれば通る可能性があります。禁止と決めつける前に文面を読むこと。
  2. 売るものを1つに絞る(所要1時間)本業で日常的にやっている作業から選びます。資料作成、文章のチェック、Excelでの集計、写真の加工など、すでにできることが最も早い入口です。新しいスキルの習得から始めると、最初の1件までが数ヶ月遠のきます。
  3. 実績サンプルを2〜3点つくる(所要2〜3日)受注歴がなくても、自分で課題を設定して作った成果物があれば提示できます。「架空案件として制作」と明記すれば問題ありません。
  4. クラウドソーシングに登録して10件応募する(所要1週間)1件応募して返事を待つのではなく、まとめて応募します。初回は通過率が低いのが普通です。プロフィールには前項のサンプルを必ず添付。
  5. 1件目は納期を最優先で終わらせる(案件次第)単価より評価を取りに行く段階です。ここで得た評価が、2件目以降の単価交渉の材料になります。
  6. 収入と経費を記録し始める(毎月30分)年20万円を超えた時点で確定申告が必要になります。後からまとめて集計するより、初月から記録するほうが圧倒的に楽です。

単価の相場や交渉の考え方は案件の種類で大きく変わるため、ここでは金額の目安を断定しません。ただ1件目の目的は金額ではなく「受注から納品までを一度通すこと」だと考えておくと、動き出しのハードルはかなり下がります。

本業の賃上げは待つしかありませんが、収入源を増やす作業は今週末にも着手できます。まず就業規則を開いてみるところからで十分です。

よくある質問

2026年春闘の賃上げ率はいくらでしたか?

連合の2026年春季生活闘争・第1回回答集計(2026年3月23日時点、加重平均)では、定期昇給相当分を含む賃上げ率が5.26%、賃上げ額は1万7,687円でした。3年連続で5%台となり、集計対象は1,100組合・組合員142万7,068人です。

賃上げされても手取りが増えないのはなぜですか?

給与の額面が上がると所得税・住民税・社会保険料も連動して増えるため、手取りの伸び率は額面の伸び率より必ず小さくなります。さらに物価上昇が加わり、物価の影響を除いた実質賃金は2025年に前年比マイナス1.3%と4年連続のマイナスでした。

大手企業と中小企業で賃上げ幅にどれくらい差がありますか?

経団連の2026年第1回集計では、大手企業の賃上げ率が5.46%だったのに対し、従業員500人未満の中小企業は4.20%で、差は1.26ポイントでした。背景には、価格転嫁が進まず賃上げの原資が確保しにくい中小企業の構造的な問題が指摘されています。

副業をしている会社員はどれくらい稼いでいますか?

2026年時点の調査では、副業をしている会社員の副業収入は中央値で月1〜3万円程度、約6割が月3万円以下という結果が出ています。裏を返せば約4割は月3万円を超えており、少額から始めて伸ばしていく形が一般的です。なお副業収入が年20万円を超えると、給与所得者でも確定申告が必要になります。

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