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有効求人倍率1.18倍、業界で分かれる転職の勝ち筋

2026年8月28日|いろは堂キャリア編集部
屋外に建つハローワーク福岡西の建物入口、人は写っていない

画像出典: 写真: Hirho(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
2026年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で前月と横ばいですが、新規求人数は前年同月比0.8%減と2カ月ぶりに減少しました。業種別では宿泊・飲食サービス業が10.7%減と最も落ち込む一方、製造業は6.8%増、人材派遣業等は5.6%増と対照的です。転職を検討するなら全体の倍率ではなく、自分の志望業種が新規求人の伸びている側か縮んでいる側かを確認するのが先です。
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求人倍率1.18倍って、去年と同じくらいだよね。じゃあ転職市場は変わってないってこと?

全体の倍率が横ばいでも、業種ごとの動きは真逆に割れています。厚生労働省が2026年8月27日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」では、有効求人倍率(季節調整値=季節ごとの求人の増減のクセを取り除いて、前月と比べられるようにした数字)は1.18倍で前月と横ばい、完全失業率は2.4%と前月から0.1ポイント改善しました。数字だけ見れば「安定」です。

ただ、同じ発表の中で新規求人数は前年同月比0.8%減となり、2カ月ぶりに減少しています。そして業種別の内訳を開くと、増えている業界と減っている業界の差がはっきり出ています。

転職を考えている人にとって意味があるのは、この後者のほうです。倍率1.18倍という平均値は、あなたが応募する会社の採用枠の数を教えてはくれません。正直なところ、平均を見て安心したり不安になったりするのがいちばん判断を鈍らせます。

有効求人倍率1.18倍とは、そもそも何の数字?

有効求人倍率は、ハローワークに登録されている求人数を、仕事を探している人の数で割った値です。1.18倍なら、求職者1人あたり1.18件の求人がある計算になります。1を超えていれば、単純には求人のほうが多い状態です。

ここで押さえておきたい言葉が2つあります。「有効」求人倍率は、過去数か月ぶんの有効期間内にある求人をすべて含んだ数字です。対して「新規」求人は、その月に新しく出された求人だけを数えます。

有効求人は在庫、新規求人はその月の入荷だと考えるとイメージしやすいはずです。棚に商品が残っていれば在庫の数字は当面変わりませんが、入荷が細っていれば、少し先の棚は確実に寂しくなります。

2026年7月のデータはまさにその形をしています。在庫にあたる有効求人倍率は1.18倍で動かず、入荷にあたる新規求人数は前年同月比0.8%減。全体の景色が変わる前段階の数字が、新規求人のほうに出ているわけです。

業種別に見ると、どこが増えてどこが減っている?

2026年7月の新規求人を業種別に見ると、増減の幅がかなり開いています。同じ「転職市場」という言葉でくくれない状態です。

宿泊・飲食サービス業10.7%減(最大の落ち込み)
製造業6.8%増(最大の伸び)
人材派遣業等5.6%増
全体0.8%減

新規求人数の前年同月比。日本経済新聞(2026年8月27日/厚生労働省「一般職業紹介状況 令和8年7月分」報道)の公表データをもとに作成

上の表で目を引くのは、宿泊・飲食サービス業のマイナス幅です。理由として挙げられているのはデジタル化による省人化で、人手が足りない部分もギグワーク(アプリ経由で単発・短時間の仕事を請け負う働き方)の活用で埋める動きが進んでいるとされています。つまり「人が足りないから正社員を募集する」という流れが、そのまま求人票に出にくくなっているということです。

反対に製造業が6.8%増と最も伸びた背景には、AI・半導体関連の旺盛な需要があります。人材派遣業等の5.6%増も、この需要に人を送り込む側の動きと読めます。

🤔
じゃあ製造業に行けってこと?未経験なんだけど…

業種の増減は「行き先の指示」ではなく「募集枠の増減」の話です。製造業の求人が増えているのは事実ですが、その中身は技術職・生産管理・設備保全など多岐にわたります。増えている業界のなかに自分の経験が乗る職種があるかどうかを見て、初めて自分の話になります。

自分の志望業種がどちら側か、どう確認する?

ニュースの数字は全国平均です。実際に応募するのはあなたの勤務可能エリアの、特定の職種の求人です。ここを自分で確かめる手順に落とし込みます。

  1. 志望業種と職種を紙に書く「製造業」ではなく「電子部品メーカーの生産管理」まで具体化します。この粒度でないと求人検索の結果が読めません。
  2. ハローワークインターネットサービスと転職サイトで同じ条件を検索する件数をメモします。数字そのものより、2週間後にもう一度検索したときの増減が判断材料になります。
  3. 求人票の「登録日・更新日」を見る掲載が古いまま動いていない求人が多い業種は、有効求人の在庫が積み上がっているだけの可能性があります。直近1か月以内の新着が定期的に出ているかを確認します。
  4. 直近の四半期決算・設備投資のニュースを1社ぶん読む志望先が上場企業なら、採用を増やす原資があるかどうかは決算資料に出ます。増産・新工場・新規事業の記述は求人増の先行指標になります。
  5. エージェントに「この職種の求人数はこの半年でどう動きましたか」と聞く公開統計に出ない非公開求人の動きを持っているのはエージェント側です。求人紹介ではなく市況の質問として聞くのがコツです。

統計は方向を教えてくれますが、応募先を決めるのはあなたのエリアと職種の実数です。この5ステップは合計でも2時間かかりません。

正社員として動くなら、どの数字を見ればいい?

もうひとつ知っておきたいのが、正社員に限定した倍率です。参考として、2026年3月分の統計では有効求人倍率1.18倍・新規求人倍率2.15倍に対し、正社員有効求人倍率は0.99倍でした。令和7年度(2025年度)平均の有効求人倍率は1.20倍です。

正社員の倍率が全体より低く出るのは珍しいことではありません。求人全体にはパート・契約・派遣が含まれるためです。正社員での転職を考えているなら、報道で流れる1.18倍よりも、正社員に限った数字のほうが自分の実感に近くなります。

統計だけで判断できないこともあります

有効求人倍率はハローワークの求人が母数です。転職サイト・エージェント経由・リファラル(社員紹介)の求人は含まれません。とくに専門職・管理職の中途採用はハローワーク以外の経路が中心のことも多く、統計が動いていなくても実際の採用枠は動いている場合があります。逆もまた同じで、統計が良くても自分の職種の枠がないこともあります。数字は前提を確認する道具であって、応募先を決める道具ではありません。

今から動くなら、年内入社と1月入社のどちらを狙う?

9月に転職活動を始める場合、現実的なゴールは2つに分かれます。時間軸をどちらかに決めておかないと、選考が進んだときに入社日で揉めます。

年内(12月)入社1月入社
応募開始9月中9〜10月
選考・内定10〜11月11月
退職交渉11月中12月(賞与受給後)
12月賞与受け取らない前提受け取ってから動ける
内定から入社まで約1か月と短い約2か月と長く待たせる

上の表で分かれ目になるのは12月の賞与です。多くの企業で12月支給分の査定期間は4月〜9月とされ、支給日在籍要件(賞与の支給日にその会社に在籍していないと支給されないという就業規則上の決まり)を設けている会社も少なくありません。退職の意思を伝える時期が査定や支給にどう影響するかは就業規則で確認できます。

逆算の起点は入社希望日です。入社日から1か月前が退職交渉の開始、その1か月前が内定、さらに1〜2か月前が応募開始。1月入社なら、応募開始のリミットは10月中ということになります。

今週やっておくと後で困らないこと
  • 就業規則で退職申し出の期限(何日前までか)を確認する
  • 賞与の支給日在籍要件(支給日に在籍していることが条件かどうか)の有無を確認する
  • 職務経歴書を、直近3年ぶんだけでも更新しておく
  • 志望業種の求人件数を1回検索して、件数を日付つきでメモする
  • 年内入社か1月入社か、どちらを軸にするか決める

新規求人が減っている業界にいる場合はどうする?

宿泊・飲食サービス業のように新規求人が減っている業界で働いている場合、選択肢は「同業で転職する」だけではありません。省人化が進んでいるということは、その現場で回してきた経験の中身が変わっているということでもあります。

接客・シフト管理・多店舗のオペレーション改善といった経験は、業種の枠を越えて説明できる形に整理すると、小売・物流・サービス系の管理職求人で通用します。逆に「◯◯店の店長を5年」とだけ書くと、業界の外の採用担当には規模も難易度も伝わりません。

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同じ業界の求人が減ってるなら、書き方を変えて外に出す準備をしておくってことか

職務経歴書に数字を入れるのが最短の対策です。担当した店舗数・月商・削減した人件費率・離職率の改善幅。統計が示す業界の逆風は個人では動かせませんが、書類の通過率は今日から動かせます。

よくある質問

有効求人倍率1.18倍は、転職しやすい状態といえますか?

求職者1人あたり1.18件の求人がある計算なので、求人が求職者を上回っている状態です。ただし2026年7月分では新規求人数が前年同月比0.8%減となっており、業種によって増減が大きく分かれています。全体の倍率だけで転職のしやすさを判断せず、志望業種の新規求人の動きを確認する必要があります。

有効求人倍率と新規求人倍率はどう違いますか?

有効求人倍率は有効期間内にある求人すべてを含んだ数字で、新規求人倍率はその月に新しく出された求人だけを対象にした数字です。有効求人が在庫、新規求人がその月の入荷にあたるため、新規求人の減少は少し先の求人数が減る前触れとして読めます。

2026年7月に新規求人が増えた業種と減った業種はどこですか?

増えたのは製造業(前年同月比6.8%増)と人材派遣業等(5.6%増)で、AI・半導体関連の需要が背景とされています。最も減ったのは宿泊・飲食サービス業(10.7%減)で、デジタル化による省人化が主因と報じられています。

9月に転職活動を始めて、年内の入社は間に合いますか?

9月中に応募を開始すれば12月入社は現実的な範囲です。10〜11月に選考と内定、11月中に退職交渉という逆算になりますが、12月賞与の受け取りは見送る前提になります。賞与を受け取ってから動きたい場合は、10月中に応募を開始して1月入社を狙う組み方になります。

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