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転職求人倍率2.71倍、上昇の2つの要因と動くべき時期

2026年8月20日|いろは堂キャリア編集部
「Lebenslauf」の文字が印刷された書類にペンと眼鏡が置かれた写真

画像出典: loufre / Pixabay

この記事の要点
2026年7月のdoda転職求人倍率は2.71倍で、前月から+0.16ポイント、前年同月から+0.29ポイント上昇しました。ただし倍率は「求人が増えた」ときも「転職希望者が減った」ときも上がるため、数字だけで判断せず、求人数と希望者数のどちらが動いたか、自分の職種の倍率は全体平均と比べてどうかを確認する必要があります。9月時点で動くなら、年内入社と1月入社のどちらを狙うかで逆算のしかたが変わります。
🤔
求人倍率が上がってるって聞いたけど、それって私にも関係ある話なの?

「転職市場が活発」と言われても、それが自分の状況とどう繋がるのかは、数字を見ただけではわかりません。倍率が3倍近くあっても、自分の職種の求人が増えていなければ選択肢は増えていないからです。

正直なところ、倍率という指標は少し扱いが厄介です。同じ「上がった」でも、企業が採用を増やした結果なのか、転職を考える人が減った結果なのかで、意味がまったく違ってきます。ここでは最新の数字が何を示しているのかと、9月の今から動くならどんな時間軸になるのかを、順に見ていきます。

doda転職求人倍率とは?何を表している数字か

doda転職求人倍率は、求人数(採用予定人数)÷ 転職希望者数で算出される指標です。パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda」が毎月公表しているもので、doda上の求人と登録者の実データがもとになっています。

倍率1.0倍が「転職希望者1人に対して求人1件」の目安です。数字が大きいほど1人あたりの求人が多い状態、つまり転職希望者に選択肢がある「売り手市場」とされます。逆に1.0倍を下回れば、企業側が選びやすい「買い手市場」です。

ここで一つ、混同しやすい指標があります。ニュースでよく聞く「有効求人倍率」は、厚生労働省がハローワークの実績を集計した公的統計で、全国の全業種が対象です。一方doda転職求人倍率は、doda登録者ベースの民間統計で、中途採用市場に絞られています。対象も集計元も違うので、両者の数字を並べて比べても意味はありません。

2026年7月の2.71倍は、何がどう動いた結果か

2026年8月20日に発表された最新の確定値では、2026年7月のdoda転職求人倍率は2.71倍でした。前月差は+0.16ポイント、前年同月差は+0.29ポイントで、いずれもプラスです。2026年9月時点で、8月分はまだ発表されていません。

doda転職求人倍率・求人数・転職希望者数の複合グラフ。2019年2月からの月次推移で、赤い折れ線の倍率は2020年半ばの約1.0台の谷から上昇し、直近は2.7前後で推移している
doda転職求人倍率・求人数・転職希望者数の推移(出典: パーソルキャリア株式会社(doda)

上のグラフでは、倍率の折れ線が2020年半ばに約1.0台まで落ち込んだあと、そこから長い時間をかけて上昇してきたことが読み取れます。コロナ禍で企業が採用を絞った時期の谷から、現在は2.7前後の水準まで戻ってきた、という位置づけです。

倍率が上がった内訳を分解する

肝心なのは、この+0.16ポイントが何によって生まれたかです。内訳はこうなっています。

2026年7月の増減内訳
  • 求人数: 前月比 +0.9%/前年同月比 +17.2%
  • 転職希望者数: 前月比 -5.0%/前年同月比 +4.8%

つまり7月の上昇は、求人がわずかに増えたことと、転職希望者が減ったことの両方が重なった結果です。前月比だけを見れば、求人の+0.9%より希望者の-5.0%のほうが影響は大きいことになります。

ただし前年同月比では求人数が+17.2%と大きく伸びており、1年単位で見れば企業の採用意欲そのものが拡大している流れは確かです。短期の変動は希望者側の増減に振り回されやすく、実需の拡大は年単位の求人数で見るほうが確かめやすい——この読み分けが、倍率を扱ううえでの基本になります。

過去の推移を見ると、何がわかるか

年月転職求人倍率前月差
2025年10月2.19倍-
2025年11月2.35倍+0.16
2025年12月2.56倍+0.21
2026年1月2.57倍+0.01
2026年2月2.40倍-0.17
2026年3月2.39倍-0.01
2026年7月2.71倍+0.16

パーソルキャリア株式会社(doda)の公表データをもとに作成(2026年7月分は2026年8月20日発表のレポートより補完。4〜6月分の個別数値は未確認)

この推移を追うと、秋から年末にかけて倍率が上がり、年明け2月以降に少し落ち着く形が見えます。2025年1月が2.74倍だった年もあり、年始や年度替わり前後は新年度の求人が動き出すため倍率が高くなりやすいという季節性があります。

言い換えると、2026年7月の2.71倍という数字は、季節性のうえでも高い水準にあるということです。ただし単月の数字より、直近2〜3か月がどちらを向いているかのほうが判断材料になります。

自分の職種はどうなのか——全体平均は目安にならない

ここが一番大事なところです。全体の2.71倍は、あくまで全職種・全業種をならした平均にすぎません。

2026年7月のdoda転職求人倍率を業種別・職種別に示した2つの表。左が業種別、右が職種別で、いずれも転職求人倍率・前月差・前年同月差の列が並ぶ
業種別・職種別の転職求人倍率(2026年7月)(出典: パーソルキャリア株式会社(doda)

上の表で目を向けてほしいのは、個々の数値そのものより職種・業種によって倍率の幅がどれだけ大きいかです。全体が2.71倍でも、1人あたり10件近い求人がある職種もあれば、1.0倍を下回り1件を複数人で取り合う職種もあります。同じ「2.71倍の市場」にいても、実感はまるで違うということです。

自分の職種の倍率が全体平均を上回っているなら、書類・面接での競争は相対的に緩く、条件交渉の余地も生まれやすくなります。逆に下回っているなら、市場全体が活発でも「自分にとっては買い手市場」であることを前提に、準備の密度を上げる必要があります。

増加率の上位は倍率の高低とは別の話

区分項目前月比
業種エネルギー103.8%
業種商社102.0%
職種事務・アシスタント105.1%
職種専門職(化学・食品)104.9%

パーソルキャリア株式会社(doda)の公表データをもとに作成(2026年7月は12業種中10業種、11職種中10職種で前月から求人数が増加。上表は増加率トップ2の抜粋)

注意したいのは、この表が示すのは前月からの求人数の伸びであって、倍率の高さではないという点です。求人が前月から5.1%増えても、もともと希望者が多い職種なら倍率は低いままということが起こります。「増えている」と「余裕がある」は別の指標だと分けて読んでください。

倍率の高さを信じすぎないための確認手順

😲
倍率が高い職種なら、求人を選び放題ってこと?

倍率の高さは選択肢の多さを示しますが、求人の質までは示しません。人手不足が慢性化している、離職率が高くて常に募集が出ている——そうした背景の求人も、倍率という数字のなかでは同じ1件として数えられます。

倍率が高いときこそ、次の順番で確認していくのが実務的です。

  1. 全体倍率の方向を見る単月の高さではなく、過去2〜3か月が上昇か下降かを確認する。2026年7月は前月差+0.16で上昇方向。
  2. 求人数と希望者数のどちらが動いたか分解する求人増が主因なら実需の拡大、希望者減が主因なら一時的な変動の可能性がある。
  3. 自分の職種・業種の倍率を全体平均と比べる全体2.71倍に対して自分の数字が上か下かで、準備の重さが変わる。
  4. 季節性を差し引く年始・年度替わり前後は上がりやすい。その分を割り引いて見る。
  5. 個別求人では労働環境と定着率を確認する倍率が高い局面ほど、なぜその求人が出ているのかを面接で聞く。
この数字だけでは決められないこと

doda転職求人倍率は、doda登録者と掲載求人にもとづく統計です。他サービス中心の求人や、公募されない採用は含まれません。また、倍率は職種・業種という粗い区分の平均であり、あなたの経験年数・専門性・希望勤務地での実際の競争度とは一致しません。倍率は「市場全体の温度」を測る温度計であって、自分の合否を予測する道具ではない、と割り切ったほうが判断を誤りません。

9月の今から動くなら、時間軸はどうなるか

市場の温度がわかったところで、実際の動き方に落とします。9月に検討を始める場合、現実的な着地は年内入社1月入社の2つです。それぞれ逆算のしかたが違います。

年内入社を狙う場合

12月1日入社を目標にすると、退職の申し出は民法上・就業規則上の期間を踏まえて10月中旬までには済ませたいところです。内定はその前——10月上旬までに得ておく必要があります。応募から内定まで1か月前後かかるとすると、9月中に応募を始めないと年内入社の逆算は成り立ちません

ここで多くの人が迷うのが12月賞与です。賞与の支給日在籍要件がある会社なら、12月に受け取ってから退職したい気持ちは当然あります。ただし年内入社を優先するなら賞与は諦める、賞与を優先するなら入社は1月以降になる——この二択はどこかで決める必要があります。

1月入社を狙う場合

12月の賞与を受け取ってから動くなら、こちらの時間軸です。1月入社を目標にすると、内定は11月中、応募開始は10月中が目安になります。9月から10月にかけては、職務経歴書の更新と職種別倍率の確認、応募先の絞り込みに充てられます。

9月中にやっておくと後で効くこと
  • 自分の職種の倍率を全体平均と比べておく(準備量の見積もりが変わる)
  • 職務経歴書を最新の実績まで更新する(応募直前に書くと薄くなる)
  • 就業規則で退職申し出の期限と賞与の在籍要件を確認する
  • 年内入社か1月入社か、どちらの逆算で動くかを決める
  • 引き継ぎに何週間かかるか、現職の業務量から見積もる
😤
とりあえず倍率だけ見て、自分の職種の温度を確かめておこうかな

市場の数字は、動く・動かないを決めるための材料の一つにすぎません。倍率が高いから急ぐ必要はありませんし、低いから諦める必要もありません。自分の職種の温度と、自分が使える時間軸。この2つを把握しておけば、いつ動くかは自分の都合で決められます。

知ってから決めればいい、という順番で十分です。

よくある質問

doda転職求人倍率2.71倍とはどういう意味ですか?

2026年7月時点で、doda上の転職希望者1人あたり2.71件の求人がある状態を示します。求人数を転職希望者数で割った値で、前月から+0.16ポイント、前年同月から+0.29ポイント上昇しました。1.0倍が求人と希望者が同数の目安で、それを上回るほど転職希望者に選択肢がある売り手市場とされます。

有効求人倍率とdoda転職求人倍率は何が違いますか?

有効求人倍率は厚生労働省がハローワークの実績を集計した公的統計で、全国の全業種を対象としています。doda転職求人倍率はパーソルキャリアが運営するdodaの登録者と掲載求人にもとづく民間統計で、中途採用市場に特化しています。対象範囲も集計元も異なるため、両者の数値を直接比較することはできません。

求人倍率が上がっていれば転職しやすいと考えてよいですか?

そうとは限りません。倍率は求人が増えたときだけでなく、転職希望者が減ったときにも上昇します。2026年7月は求人数が前月比+0.9%、転職希望者数が同-5.0%で、両方が上昇に寄与しました。また全体倍率は平均値にすぎず、職種・業種によって倍率の幅は大きく異なるため、doda公表の職種別・業種別の数値で自分の区分を確認する必要があります。

9月から転職活動を始めて年内入社は間に合いますか?

9月中に応募を開始すれば可能性があります。12月1日入社を想定すると、退職の申し出を10月中旬までに行う必要があり、そのためには10月上旬までに内定を得ておく計算になります。応募から内定まで1か月前後かかるためです。12月の賞与を受け取ってから動く場合は、10月中に応募開始・11月中に内定という1月入社の時間軸になります。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。