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初年度年収の調査データ、提示額が妥当か見極める基準

2026年10月22日|いろは堂キャリア編集部
屋内の机でスーツ姿の男性1人が難しい表情で書類を手に持ち読んでいる写真

画像出典: ぱくたそ (PAKUTASO)

この記事の要点
マイナビ キャリアリサーチLabの「正社員の平均初年度年収推移レポート」によると、2026年9月の全体平均は512.5万円、未経験求人457.4万円、経験者求人572.2万円でした。この数字は内定者の確定年収ではなく、マイナビ転職に当該月に掲載開始された正社員求人の年収レンジの中間値を平均したものです。自分の提示額と比べるときは、未経験/経験者の区分と業種を揃え、提示がレンジの下限寄りかどうかまで見ると判断材料になります。
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内定の提示年収、平均と比べて低い気がする。でもこの「平均」って何の平均なんだろう

転職の提示額を受け取ったとき、手元にある比較材料は「平均年収◯◯万円」というニュースの見出しだけ、ということがよくあります。ところが同じ「平均」という言葉でも、内定した人の確定年収を集めた数字と、求人広告に書かれた提示額を集めた数字はまったく別物です。比べる相手を間違えると、妥当な提示を低いと思い込んだり、逆に低い提示を相場どおりと受け入れたりします。

ここでは、マイナビが公表している初年度年収データが何を測った数字なのかを先に確認したうえで、自分への提示額に当てはめるときの基準を順に見ていきます。

マイナビの「平均初年度年収」とは何の数字?

データの出どころは、マイナビ キャリアリサーチLabが毎月公表している「正社員の平均初年度年収推移レポート」です。集計の対象は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』に当該月に掲載を開始した正社員求人。つまり、内定者が実際に受け取った年収ではなく、求人票に書かれた提示額の集計です。

求人の年収欄は「400万円〜600万円」のように幅で書かれることが多いため、レポートでは各求人の下限と上限の中間値をその求人の「初年度年収」とみなして平均を出しています。あわせて、厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」をもとに所得上側1%を外れ値として除外しており、一部の高額求人に平均が引っ張られないよう調整されています。

「未経験求人」「経験者求人」の区分は、マイナビ転職内の社内コードによるものです。未経験求人は職種・業種とも未経験OKの求人、経験者求人は職種・業種のいずれかまたは両方で経験を問う求人を指します。

読む前におさえる3つの前提
  • 内定実績ではなく「求人票の提示額」の集計
  • 年収レンジの中間値を1件分として平均している
  • 未経験/経験者の分け方は求人側の区分(応募者の経歴ではない)

2026年7〜9月期の数字はどうなっている?

月全体平均未経験求人経験者求人
2026年7月521.3万円456.8万円585.6万円
2026年8月511.6万円451.8万円578.0万円
2026年9月512.5万円457.4万円572.2万円

株式会社マイナビの公表データをもとに作成(マイナビ転職に各月掲載開始の正社員求人を集計)

上の表で目を引くのは7月の521.3万円で、これは集計開始以来の最高値です。ただし8月は511.6万円、9月は512.5万円と、510万円台に戻っています。単月の数字だけを取り出すと、7月と8月で約10万円の差が出ることになります。

月次の流れで見ると、2026年3月が511.0万円、6月が512.4万円(いずれも当時の過去最高値)で、年を通じて510万円台が続いています。7月の突出はこの水準からの一時的な振れと見るのが自然で、相場の目安にするなら直近3カ月をまとめて眺めるほうが安定します。

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自分の提示は490万円。全体平均の512.5万円より低いから、やっぱり安いのかな

全体平均との比較は、実は最初に見るべき数字ではありません。全体平均は未経験求人と経験者求人、そしてあらゆる業種を混ぜた数字だからです。9月の数字で見ると、未経験求人の457.4万円と経験者求人の572.2万円では、同じ月でも約115万円の開きがあります。自分がどちらの土俵にいるかを決めないまま全体平均と並べると、答えの出ない比較になります。

業種によってどれくらい差がある?

業種初年度年収前年同期比
金融・保険625.2万円+145.7万円
IT・通信・インターネット592.9万円+91.2万円
コンサルティング570.0万円+54.9万円

株式会社マイナビの公表データをもとに作成(2026年度上半期ベース、前年同期比の上昇幅上位3業種)

上の3業種はいずれも、2026年9月の全体平均512.5万円を上回っています。金融・保険は625.2万円で、全体平均との差は100万円を超えます。これらの業種を受けている人が全体平均を基準にすると、相場より低い提示でも「平均以上」に見えてしまうわけです。

逆に言えば、この3業種以外を受けている場合、全体平均512.5万円という数字自体がこうした高水準の業種を含んだうえでの平均である点を踏まえておく必要があります。業種別の数字が出ている業種なら、まずそれを基準にします。

自分への提示額をどう見極める?

ここまでの前提をふまえると、提示額の妥当性は次の順で確かめられます。手元に用意するのは、内定通知(またはオファー面談のメモ)と、応募した求人票のスクリーンショットの2つです。

  1. 未経験/経験者のどちらで比べるか決める業界も職種も変える転職なら未経験求人の平均(2026年9月457.4万円)、同業種・同職種での転職なら経験者求人の平均(同572.2万円)に当てる。畑違いの平均と比べて落ち込まない。
  2. 業種を揃える金融・保険やIT・通信・インターネットなら、全体平均ではなく業種別の数字(625.2万円・592.9万円)を基準にする。
  3. 求人票のレンジと提示額を見比べるマイナビの平均はレンジの中間値を集めた数字。応募した求人が「450万円〜650万円」で提示が470万円なら、下限寄り=統計上の「平均」より低い位置にいると判断できる。
  4. 前職・過去の相場と並べる2026年は月次で510万円台が続き、7月には521.3万円と最高値を記録する緩やかな上昇基調。提示額が前職や数年前の相場からほぼ動いていないなら、市場の上昇分が反映されていない可能性を疑う材料になる。
  5. 単月ではなく1期で見る7〜9月の全体平均は521.3万円・511.6万円・512.5万円と振れている。単月の最高値を基準にせず、3カ月分を眺めて水準をつかむ。

この5つの手順は、公表データの性質(求人票ベース・レンジ中間値・求人側の区分)から筆者が比較の手順として整理したもので、マイナビが推奨する判断基準として公表されているものではありません。

オファー面談で確認しておくと比較しやすい項目
  • 提示額に賞与の見込みが含まれるか、含むなら何カ月分の想定か
  • みなし残業・固定残業代が提示額に入っているか、入るなら何時間分か
  • 求人票のレンジのどこに自分が位置づけられたか、その理由
  • 昇給・評価のタイミング(初年度の途中で上がる余地があるか)

とくに3つ目は聞きづらく感じますが、「レンジの中でこの額になった理由を教えてください」という形なら、評価の根拠を尋ねる質問として自然に収まります。回答が曖昧なまま進むと、入社後の昇給の見通しも立ちません。

データで判断できないことは何?

この数字で測れないこともあります

求人票ベースの集計なので、「同じ経歴の人が実際にいくらで入社したか」はわかりません。また掲載開始された求人の集計であるため、どんな求人が多く出た月かによって平均が動きます。職種が細かく分かれている領域や、業種別の数字が公表されていない領域では、全体平均との比較は参考程度にとどめるのが無難です。

関連して、職種単位の報道もあります。2026年2月20日時点の記事では、ITエンジニア転職の平均が594万円に上昇し、中途求人全体の初年度年収は平均492万円と報じられています。集計の時点が上記の7〜9月期とは異なるため、同じ表に並べて比べることはできませんが、職種による水準差の大きさは読み取れます。

提示額が相場より低いと判断できたとしても、次の一歩は「断る」ではありません。まず求人票のレンジと提示額の位置関係を言葉にできる状態を作ること。それができていれば、交渉するか受け入れるかはそのあとで決められます。

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全体平均と比べて焦る前に、未経験か経験者か、どの業種かを揃えるだけでも見え方が変わりそう

比較の土俵を揃える作業は、求人票を1枚開いて自分の区分と業種を確かめるだけで終わります。数字の意味がわかっていれば、ニュースの見出しに振り回されずに自分の位置を把握できます。

よくある質問

マイナビの平均初年度年収は、内定した人の実際の年収ですか?

いいえ。マイナビ キャリアリサーチLab「正社員の平均初年度年収推移レポート」は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』に当該月に掲載を開始した正社員求人を対象に、各求人の年収レンジの下限と上限の中間値を平均したものです。内定者が実際に受け取った年収の集計ではありません。

2026年7〜9月期の平均初年度年収はいくらですか?

正社員全体の平均は2026年7月が521.3万円(集計開始以来の最高値)、8月が511.6万円、9月が512.5万円です。未経験求人は7月456.8万円・8月451.8万円・9月457.4万円、経験者求人は7月585.6万円・8月578.0万円・9月572.2万円でした。

未経験求人と経験者求人の違いは何ですか?

マイナビ転職内の社内コードによる区分です。未経験求人は職種・業種とも未経験OKの求人、経験者求人は職種・業種のいずれかまたは両方で経験を問う求人を指します。応募者の経歴ではなく求人側の条件による分け方です。

初年度年収が高い業種はどこですか?

2026年度上半期ベースで前年同期比の上昇幅が大きかったのは金融・保険の625.2万円(+145.7万円)、IT・通信・インターネットの592.9万円(+91.2万円)、コンサルティングの570.0万円(+54.9万円)です。いずれも2026年9月の全体平均512.5万円を上回っています。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。