五月病とは?立て直す7手順と病院に行く目安
画像出典: 写真: Mehdigroup1601(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
連休明けの不調は、環境の変化による疲労が心・体・行動の3方向に出ている状態です。まず自分がどの軸で消耗しているかを確認し、起床時間の固定と「朝いちの1タスク」だけを決めるところから立て直します。2週間以上続く、または欠勤や生活に支障が出ているなら、セルフケアではなく医療機関や公的相談窓口の出番です。
環境が変わったあとに疲れが出るのは、めずらしいことではありません。新年度や異動、引っ越し、新しい人間関係。変化に慣れるためには、本人が思っている以上のエネルギーが使われています。その消耗が、緊張のゆるむ連休明けにまとめて表面化する。これがいわゆる「五月病」と呼ばれる状態です。
ここで大事なのは、気合いの問題として片づけないことです。やる気は、生活リズムと体調が整ってから戻ってくるもので、順番が逆になることはほとんどありません。まずは自分の状態を確認して、そのうえで負荷の低い一歩から動かしていきます。
そもそも五月病とは何なのか?
「五月病」は正式な医学の病名ではありません。新生活や新年度の環境変化による疲労やストレスが、連休明けの頃に心身の不調として現れる状態を指す通称です。医学的には、適応障害(環境のストレスが原因で心身に症状が出る状態)や軽度のうつ状態、不安障害などと重なることが多いとされています。
病名ではないからといって、軽く見てよいという意味ではありません。逆に言えば、診断名が付かない段階だからこそ、自分で気づいて手を打てる余地があるということです。軽症であれば、環境の調整とセルフケアで数週間から2か月程度で改善することが多いとされています。適応障害の場合も、ストレスの原因が解消されれば6か月以内に症状が改善するとされています。
つまり、いま感じている重さは「ずっと続く自分の性格」ではなく、条件が変われば軽くなる可能性の高い状態だということです。ここを取り違えると、自分を責める方向に力を使ってしまいます。
自分の状態をどうセルフチェックする?
不調は、心・体・行動の3方向に出ます。全部を一気に直そうとすると続かないので、まずどの軸に強く出ているかを見るのが最初の作業です。当てはまるものに印を付けるつもりで読んでみてください。
- 気分が落ち込む
- 理由のはっきりしない不安がある
- 些細なことでイライラする
- やる気が出ない
- 集中が続かない
- 朝、起きられない
- 疲れやすい
- 頭痛・めまい・動悸がある
- 胃痛や下痢が続く
- 食欲が落ちた
- 眠れない、または眠りが浅い
- 遅刻や欠勤が増えた
- 仕事のミスが増えた
- 人と会いたくなくなった
チェックの使い方は2つあります。ひとつは、3軸のうちどこに印が集中しているかで、最初に手を付ける場所を決めること。体のサインが多いなら睡眠と生活リズムから、行動のサインが多いなら仕事の負荷の調整から始めます。
もうひとつは、記録として残すことです。日付を書いてメモアプリなり手帳なりに保存しておくと、2週間後にもう一度チェックしたときに、増えたのか減ったのかが自分で判断できます。体感だけだと「なんとなく変わらない気がする」で終わってしまい、受診の判断材料になりません。
今日からできる立て直しの手順は?
ここからは実際の手順です。上から順に、負荷の低いものから並べています。全部やろうとしないでください。1つ目と2つ目だけでも、1週間続けば体感は変わります。
- 起床時間だけを固定する就寝時間ではなく起床時間から整えます。眠れなかった翌日も同じ時間に起きる。休日も平日との差を2時間以内に抑える。生活リズムの立て直しは、五月病対策の基本として最初に挙げられる項目です。
- 朝いちの1タスクを前日に決めておく翌朝いちばんに手を付ける作業を1つだけ、前日の終業時に決めて書いておきます。「メール返信を1件」程度の小ささで構いません。朝に何をするか考える手間がなくなるだけで、着手のハードルは大きく下がります。
- 予定の目標をひとまわり小さくする不調のときの目標設定は、達成できない設計になりがちです。「資料を仕上げる」ではなく「構成だけ書く」。小さな目標を置いて達成の実感を積むことが、職場でできる対策として推奨されています。
- 1日15分、体を動かす運動は適度なもので十分です。一駅歩く、昼休みに外に出る程度から。適度な運動は基本の対策として複数の医療機関の解説で共通して挙げられています。
- 雑談を1日1回する人との関わりを確保することも、職場でできる対策のひとつです。相談のような重い話でなくてよく、天気の話でも構いません。誰とも話さない日が続くと、状態は静かに悪化します。
- 気分転換を予定として入れる好きなことを楽しむ、好物を食べる。「余裕ができたらやる」ではなく、カレンダーに時間を確保します。ストレスを溜め込まないことが、対策としてもっとも重視されている点です。
- 一人で抱え込まない上司に業務量の相談をする、同僚に状況を伝える。言いにくければ「最近、立ち上がりが遅くて。優先度だけ一緒に確認させてください」という切り出し方なら、体調の話をせずに負荷の調整に入れます。
ここまでの内容は、環境の変化による一時的な消耗を想定したものです。ハラスメントを受けている、業務量が物理的に処理不能、といった原因がはっきりしている場合は、セルフケアではなく環境そのものを動かす必要があります。生活リズムを整えても、原因が毎日届き続けるなら消耗は止まりません。その場合は人事や社外の窓口への相談が先です。
相談・受診はどのタイミングで考える?
受診の判断は、つらさの強さではなく期間と支障で決めるほうが迷いません。「どのくらいつらいか」は自分では比べようがなく、いつまでも決められないからです。目安として、セルフケアで改善しない場合、具体的には2週間以上不調が続いている、あるいは日常生活に支障が出ている場合は、精神科や心療内科などの医療機関の受診を検討すべきとされています。
日常生活の支障とは、遅刻や欠勤が実際に出ている、食事がとれていない、眠れない日が続いている、といった状態です。「気持ちの問題かどうか」ではなく「生活が回っているかどうか」で線を引くと、判断がぶれません。
社内の相談先に抵抗がある場合は、外部の窓口もあります。厚生労働省は働く人のメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」で、相談窓口の情報を案内しています。まずは相談先の一覧を見てみるだけでも構いません。
それから、先ほどのセルフチェックの記録がここで役に立ちます。受診の場では「いつから、どんな症状が、どのくらい続いているか」を聞かれます。3軸のチェックと日付が残っていれば、その場で言葉にできなくても伝わります。
連休明けの不調を、次から軽くするには?
今回を乗り切ったあと、同じ落ち込みを繰り返さないための備えも書いておきます。負荷が集中する時期はある程度予測できるので、事前に手を打てます。
| タイミング | やっておくこと |
|---|---|
| 長い休みの最終日 | 翌日いちばんのタスクを1つだけ決めて書き出す |
| 休み中の後半 | 起床時間を平日と2時間以内の差に戻す |
| 復帰後の最初の1週間 | 予定を普段の7割で組み、余白を確保する |
| 環境が変わった直後の1〜2か月 | 月に一度、心・体・行動の3軸をチェックして記録する |
とくに最後の項目が効きます。環境の変化による消耗は、変化した直後ではなく少し遅れて出てきます。定点で記録しておけば、落ち込みの入口で気づけます。
やる気が戻らない時期に、自分の意欲や適性を疑い始める人は多いのですが、順番としては体調と生活リズムが先です。そこを整えたうえでもなお違和感が残るなら、そのときに働き方や環境を考えればいい。判断を後回しにするのは、逃げではなく順番の問題です。
よくある質問
五月病は病気なのですか?
「五月病」は正式な医学の病名ではなく、新生活や新年度の環境変化による疲労やストレスが連休明け頃に心身の不調として現れる状態を指す通称です。医学的には適応障害や軽度のうつ状態、不安障害などと重なることが多いとされています。
五月病はどのくらいで治りますか?
軽症であれば、環境の調整とセルフケアによって数週間から2か月程度で改善することが多いとされています。適応障害の場合は、ストレスの原因が解消されれば6か月以内に症状が改善するとされています。
病院に行くべきか迷ったときの判断基準はありますか?
セルフケアで改善しない場合、具体的には2週間以上不調が続いている、または遅刻・欠勤や食事・睡眠など日常生活に支障が出ている場合は、精神科や心療内科などの医療機関の受診を検討すべきとされています。つらさの強さではなく、期間と生活への支障で判断すると迷いにくくなります。
職場でできる対策には何がありますか?
生活リズムの立て直し、達成できる小さな目標の設定、雑談など人との関わりの確保、一人で抱え込まず相談することの4つが、職場でできる対策として挙げられています。加えて、適度な運動と気分転換でストレスを溜め込まないことが基本の対策とされています。
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