防災の日の帰宅困難者訓練、確認すべき5点とは
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地震で交通が止まったとき、東京都の条例が定める原則は「むやみに移動せず職場に留まる」というものです。台風が例年より多い年は、大雨で足止めされる場面も同じ備えが効きます。帰宅困難者対策訓練で確認するのは備蓄・連絡手段・滞在場所・トイレ・帰宅判断基準の5点で、机の中に置く個人の備えは3つで足ります。
訓練の案内が回ってくると、当日の予定を空けること自体が仕事になりがちです。歩く順路を確認して、点呼を取って、解散。それだけだと、翌日には何も残りません。
ただ、帰宅困難者対策訓練は本来「歩いて帰る練習」ではありません。正直なところ、ここを取り違えたまま参加している人はかなり多いと思います。2026年は8月だけで台風が10個発生するなど、交通が止まって職場に足止めされる場面は地震にかぎりません。訓練の日は、自分の職場の弱いところを合法的にのぞける貴重な一日です。どこを見るかを決めてから行くだけで、持ち帰るものが変わります。
帰宅困難者対策訓練は、歩いて帰る練習ではない?
東京都には「東京都帰宅困難者対策条例」(平成24年制定・平成25年施行)があり、その柱は一斉帰宅抑制の原則です。発災直後にむやみに移動・帰宅せず、職場などにとどまることを求めています。全員が一斉に道路へ出ると、救助や消火の妨げになり、群集事故の危険も高まるためです。
つまり、訓練で確認すべき本題は「どう歩くか」ではなく「どう留まるか」。1日〜3日、会社の床で過ごす前提で自分の職場を見る、というのが正しい視点です。
条例は事業者に対し、従業員向けに3日分の水・食料などを備蓄する努力義務を課しています。目安は1人あたり飲料水9リットル、食料9食。この「3日分」という数字は、自分の職場に何食分あるかを聞くときの物差しになります。
そもそも防災の日はなぜ9月1日なの?
1923年9月1日の関東大震災の教訓を伝えるために制定された日です。2026年も9月1日が防災の日で、8月30日(日)から9月5日(土)までが防災週間にあたります。この時期に訓練が集中するのはそのためです。
令和8年度は、防災の日・防災週間に合わせて九都県市(埼玉・千葉・東京・神奈川と、横浜・川崎・千葉・さいたま・相模原の各市)の合同防災訓練が実施される計画があります。自治体規模の訓練は、職場単位の訓練とは見えるものが違うので、両方に触れられるならそのほうが得です。
今年は台風が多いと聞くけれど、地震の訓練と関係ある?
2026年8月28日に台風23号が発生し、8月の台風発生数が10個に達しました。8月の発生数の平年値は5.7個ですから、およそ1.8倍のペースです。1951年の統計開始以降、1か月で10個以上になったのは過去2例のみで、今回が3例目にあたります(気象庁データに基づく報道による)。また2026年は1月から8月まで毎月台風が発生しており、これも統計開始以降3回目の記録です。
台風と地震は原因がまったく違います。それでも、会社に留まらざるを得ない状況をつくるという一点では同じです。大雨で電車が止まった日に何が起きたかを思い出すと、地震の備えの穴がそのまま見えます。充電が切れた、コンビニの棚が空だった、傘はあるのに靴が濡れて動けなかった——その記憶は、訓練の日に確認すべきリストそのものです。
訓練は基本的に平日の日中、天気の良い時間帯に行われます。深夜の発災、真冬の停電、家族と連絡が取れない状況までは再現されません。訓練で確認できるのは設備と手順まで、と割り切ったうえで、残りは自分で想像して埋める必要があります。
訓練当日、何を見て帰ればいい?
順路を歩くだけで終わらせないために、確認する対象を先に決めておきます。以下の5点は、留まる前提で効いてくるものだけに絞りました。
- 備蓄の場所と量(何人分・何日分か。鍵は誰が持っているか)
- 連絡手段(安否確認システムの名前と、自分のログイン情報を覚えているか)
- 滞在場所(実際に何人座れるか。床で寝るとしてどこか)
- トイレと水(停電・断水時にどうなるか。簡易トイレはあるか)
- 帰宅の判断基準(誰が、何を根拠に「帰ってよい」と言うのか)
とくに最後の1つが抜けている職場は多いです。留まる原則は分かっていても、では解除は誰が判断するのかを決めていないと、当日は現場の空気で決まってしまいます。訓練後の振り返りの場で聞くには、ちょうどいい質問です。
訓練後に何をすれば、その日が無駄にならない?
- 当日中に3行メモを書く確認した5点のうち、答えられなかったものだけを書き出します。時間が経つと「たしか大丈夫だったはず」に上書きされるので、その日のうちに。
- 翌日、総務か防災担当に1つだけ質問する全部まとめて聞くと重くなります。「備蓄は何人分ありますか」など、答えが数字で返る質問を1つ選びます。
- 自分の机の備えを整える会社の備蓄に足りないぶんを、自分の引き出しで埋めます。次章の3点で十分です。
- 家族との連絡ルールを1つ決める「電話がつながらないときは災害用伝言板」など、一言決めて共有しておきます。
- チームの誰かに話す訓練で気づいたことを雑談として渡すと、次の訓練の内容が変わることがあります。
机の中に何を置いておけばいい?
あれこれ揃えると管理が続きません。会社に留まる前提で本当に効くのは、次の3つです。
| モバイルバッテリー | 安否連絡と情報収集の生命線。半年に一度、充電残量を確認する日を決めておく |
|---|---|
| 歩ける靴 | 革靴やヒールのままでは移動できない。デスク下にスニーカーを1足 |
| 常備薬 | 備蓄で代替できない唯一のもの。眼鏡やコンタクトの予備とあわせて3日分あると安心できる |
水と食料は会社の備蓄が前提なので、個人で抱え込む必要はありません。個人が用意すべきなのは、会社の備蓄では代わりが利かないものだけという切り分けで考えると、荷物が増えずに済みます。
靴は本当に効きます。留まる原則があるとはいえ、安全が確認されてから移動する場面は必ず来ます。そのときに履き替えられるかどうかで、選べる選択肢の数が変わります。
訓練に参加できない日はどうする?
出張や繁忙で当日参加できない場合でも、確認だけなら1人でできます。東京都防災ホームページには帰宅困難者対策訓練の特設ページがあり、過去の実施実績やハンドブックが公開されています。目を通したうえで、先ほどの5点を自分の職場に当てはめてみるだけでも差が出ます。
大事なのは訓練に出た事実ではなく、留まる想定で自分の職場を見た経験があるかどうかです。知ってから決めればいい、という順番でかまいません。
よくある質問
地震で電車が止まったら、すぐ歩いて帰るべきですか?
東京都帰宅困難者対策条例は「一斉帰宅抑制の原則」を柱としており、発災直後はむやみに移動・帰宅せず職場などにとどまることを求めています。全員が一斉に道路へ出ると救助活動の妨げになり、群集事故の危険も高まるためです。まずは職場で安全を確保し、公共交通や自治体の情報を確認してから移動を判断します。
会社にはどれくらいの備蓄が必要とされていますか?
東京都帰宅困難者対策条例は事業者に対し、従業員向けの3日分の水・食料などの備蓄を努力義務として課しています。目安は1人あたり飲料水9リットル、食料9食です。自分の職場の備蓄が何人分・何日分あるかは、防災訓練の機会に総務や防災担当へ確認できます。
防災の日と防災週間はいつですか?
防災の日は9月1日で、1923年9月1日の関東大震災の教訓を伝えるために制定されました。2026年の防災週間は8月30日(日)から9月5日(土)までです。この期間に自治体や企業の防災訓練が集中して実施されます。
2026年の台風は例年より多いのですか?
2026年8月28日に台風23号が発生し、8月の台風発生数が10個に達しました。8月の平年値は5.7個で、その約1.8倍にあたります。1951年の統計開始以降、1か月で10個以上となったのは過去2例のみで今回が3例目です(気象庁データに基づく報道による)。また2026年は1月から8月まで毎月台風が発生しています。
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