いろは堂テック ← 戻る

マンションの光回線が遅い原因は配線方式、確認する手順

2026年6月3日|いろは堂テック編集部
日本のマンション外観

画像出典: 写真: Chris Hamby(CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
マンションで光回線が遅い原因は、建物の共用部から各戸までの配線方式にあることが多いです。電話線を使うVDSL方式は理論値でも最大100Mbps程度にとどまり、実測20〜50Mbps程度のケースがあります。まず管理会社に「各戸までの配線方式」を確認し、方式がわかってから打てる手を選ぶのが遠回りに見えて一番早い道です。
😟
1Gbpsの光回線を契約しているはずなのに、夜になると動画が止まる。速度を測ったら40Mbpsしか出ていませんでした。

マンションでこの症状が出たとき、多くの人はまず契約プランやWi-Fiルーターを疑います。ただ、集合住宅では建物の中の配線そのものが速度の上限を決めていることがあります。ルーターを買い替えても変わらなかった、という話の背景にはたいていこれがあります。

正直なところ、この原因は自分ひとりでは変えられない部分を含みます。それでも、どこで詰まっているのかがわかれば、無駄な出費をせずに済みますし、打てる手も見えてきます。

マンションの光回線が遅いのはなぜ?

光回線は、電柱から建物までを光ファイバーで結びます。戸建てなら、その光ファイバーがそのまま部屋の中まで入ってきます。ところが集合住宅では、光ファイバーが届くのは建物の共用部(MDF室と呼ばれる配線盤の部屋)までで、そこから先の各戸への区間は建物ごとに事情が違います。

この「共用部から自分の部屋まで」をどうつないでいるかが、建物内の配線方式です。ここが光ファイバーではない建物では、契約が1Gbpsでも、その速度は部屋まで届きません。水道にたとえるなら、太い本管が建物の入口まで来ていても、そこから各部屋へ伸びる管が細ければ、蛇口から出る量は細い管の分しか出ないのと同じです。

建物内の配線方式は3種類

VDSL方式は電話線を使う

VDSL方式は、建物にもともと通っている電話用のメタル線を、そのままインターネットの配線として使い回す方式です。新たに各戸へ配線工事をしなくて済むため、築年数のある建物で広く採用されてきました。

ただ、電話線はもともと音声を通すための線です。共用部までは光の速さで届いていても、そこから部屋までの区間で一気に細くなります。1Gbpsのプランを契約していても、VDSL方式の建物では100Mbps前後が構造上の上限になります。夜間に実測20〜50Mbps程度まで落ちるケースがあるのは、この上限を全戸で分け合っているためです。

LAN配線方式は中間にあたる

共用部から各戸までをLANケーブルでつなぐ方式です。電話線よりは太いため、VDSL方式より速度は出ます。ただし建物に敷かれたケーブルの規格や共用設備の世代によって差が出やすく、光配線方式ほどの速度には届きません。

光配線方式なら本来の速度が出る

光ファイバーが部屋の中まで直接引き込まれる方式です。契約している光回線の性能をそのまま受け取れるのは、この方式だけです。比較的新しいマンションや、設備更新を済ませた建物で採用されています。

3方式の違いを並べると

配線方式共用部から各戸までの配線速度の傾向
VDSL方式既存の電話回線(メタル線)理論値でも最大100Mbps程度。実測20〜50Mbps程度のケースがある
LAN配線方式LANケーブルVDSLより高速。ただし光配線方式には劣る
光配線方式光ファイバー光回線本来の性能を発揮できるのはこの方式のみ

つながるラボおよびマヤ商事の公表情報をもとに作成

🤔
うちがどれなのか、契約書には書いてなかった気がします。

契約書や請求明細に配線方式が明記されていることは、実はあまり多くありません。調べ方には確実な順番があります。

自分の建物の配線方式を調べる方法は?

  1. 管理会社・管理組合に聞く(最も確実)「各戸までの配線方式は、VDSLですか、LANですか、光配線ですか」と、3つの選択肢を挙げて具体的に聞きます。「ネットは速いですか」のような曖昧な聞き方だと答えが返ってこないので、用語をそのまま使うのがコツです。
  2. 部屋の壁面端子を見る回線終端装置(ONU)やモデムがつながっている壁の差込口を確認します。光コンセント・電話用モジュラージャック・LAN端子のどれが設置されているかで方式の見当がつきます。ただしこれだけでは確定できない場合があります。
  3. 回線事業者の提供エリア検索で調べる各社の提供エリア検索サイトに住所と建物名を入力すると、その建物が光配線方式に対応済みかどうかを確認できることがあります。
壁の差込口見た目の特徴差し込むケーブル推測される方式
光コンセント「光」と書かれた小さな差込口。カバー付きで、白い細いコードが1本だけ出ている光ファイバーケーブル(細く白い1本のコード)光配線方式の可能性が高い
電話用モジュラージャック電話機をつなぐ差込口と同じ形。小さく平たいツメ付きの穴電話線(モジュラーケーブル)VDSL方式の可能性が高い
LAN端子モジュラージャックより一回り大きい四角い穴LANケーブルLAN配線方式の可能性が高い

マヤ商事の公表情報をもとに作成

上の表で見当をつけたうえで管理会社に確認すると、話が早く進みます。「うちはモジュラージャックにモデムがつながっているのでVDSLだと思うのですが、合っていますか」と聞けば、担当者も答えやすくなります。

VDSL・LAN方式で遅いときに打てる手は?

配線方式が原因だとわかった場合、個人の設定変更だけで光配線方式並みの速度にすることはできません。それを踏まえたうえで、現実的に効く手が2つあります。

モデム・ルーターの世代を新しくする

古いVDSLモデムがボトルネックになっているケースがあります。方式の上限までは出せるはずなのに、そこにも届いていない場合は、機器側を疑う価値があります。回線事業者にレンタル機器の交換を相談するのが最初の一歩です。同時に、自室のWi-Fiルーターも設置場所を見直します。

管理組合経由で光配線方式への更新を要望する

建物の設備更新は個人では決められませんが、要望を出すことはできます。同じ不満を持つ住民は他にもいるはずで、管理組合の議題として上がれば動く可能性があります。時間はかかりますが、根本的に解決する道はこれだけです。

「VDSLを高速化する裏技」には注意してください

ネット上には、個人でVDSL方式を光配線方式相当まで高速化できると謳う情報があります。ただ、建物の配線工事を伴わない以上、方式そのものの上限は変わりません。根本解決策ではないため、割り引いて受け止め、管理会社への相談を軸に考えるのが確実です。

光配線方式なのに遅いのはなぜ?

調べた結果が光配線方式だった場合、遅さの原因は建物の外側ではなく、自分の部屋の中にあります。よくあるのは次の3つです。

光配線方式で速度が出ないときの確認ポイント
  • Wi-Fiルーターの性能不足・設置場所が悪い(壁や家電の陰、床置きなど)
  • IPv6(IPoE)方式に対応していない、または有効になっていない
  • 会議やゲームなど重要な用途で無線を使っている(有線LANに変えると安定する)

とくに効きやすいのがIPv6(IPoE)への切り替えです。IPv6(IPoE)は、従来のPPPoE方式と違い混雑しやすい中継設備を経由しないつなぎ方で、夜間や休日の混雑時でも速度が落ちにくくなります。実際の接続では、IPv6の通り道に従来のIPv4通信を相乗りさせる「IPv4 over IPv6」という仕組みが併用され、この組み合わせでの実測値はおおむね200〜600Mbpsとされています。

自分の契約がIPv6(IPoE)に対応しているかは、契約中のプロバイダのマイページで確認できます。対応していても、ルーターが古いと使えないことがあるため、ルーター側の対応状況もあわせて確認してください。

結局、何から手をつければいい?

  1. 速度を測って記録する時間帯を変えて何度か測ります。夜だけ遅いのか、一日中遅いのかで原因の見当が変わります。
  2. 壁の差込口を見る光コンセントか、モジュラージャックか、LAN端子か。ここで方式の当たりをつけます。
  3. 管理会社に配線方式を確認する3つの方式名を挙げて聞きます。ここで答えが出れば、迷いは終わります。
  4. 方式に応じて手を選ぶVDSL・LANなら機器の世代を新しくする、管理組合へ要望を出す。光配線ならIPv6(IPoE)とWi-Fi環境の見直しから。

順番を守るのがポイントです。方式がわからないままルーターを買い替えても、VDSL方式なら結果は変わりません。先に上限を知ってから、その中でできることを選ぶ。これが一番遠回りに見えて、一番早い道です。

😌
管理会社に聞くだけなら、今日でもできますね。

よくある質問

マンションのVDSL方式では最大どれくらいの速度が出ますか?

VDSL方式は共用部から各戸までを電話回線(メタル線)でつなぐため、理論値でも最大100Mbps程度が上限です。実測では20〜50Mbps程度にとどまるケースがあります。契約プランが1Gbpsであっても、この上限を超えることはできません。

建物の配線方式はどこで確認できますか?

最も確実なのは管理会社・管理組合への問い合わせです。「各戸までの配線方式はVDSLですか、LANですか、光配線ですか」と3つの選択肢を挙げて具体的に聞きます。あわせて、部屋の壁面端子が光コンセント・電話用モジュラージャック・LAN端子のどれかを見ると見当がつきますが、これだけでは確定できない場合があります。

VDSL方式のマンションでルーターを買い替えれば速くなりますか?

配線方式そのものの上限は変わらないため、光配線方式並みの速度にはなりません。ただし、古いVDSLモデムがボトルネックになっていて方式の上限にも届いていない場合は、機器を新しい世代に交換することで改善する余地があります。回線事業者にレンタル機器の交換を相談するのが第一歩です。

光配線方式のマンションなのに遅いときは何を疑えばいいですか?

自室内に原因があることが多く、Wi-Fiルーターの性能不足や設置場所、IPv6(IPoE)非対応の3つが代表的です。まずIPv6(IPoE)対応の回線・ルーターへの切り替えを検討し、あわせて重要な用途では有線LAN接続に変えると安定します。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。