1Gから5Gへの進化、5世代でどう変わった?
画像出典: 写真: Com.sebastian(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
携帯電話の通信規格は、1G(アナログ音声のみ)→2G(デジタル化とSMS)→3G(国際統一規格とデータ通信)→4G(下り最大1Gbps級・スマホ主流)→5G(下り最大20Gbps程度・超低遅延・多数同時接続)と進化してきました。世代交代はそのたびに「音が届かない」「文字が送れない」「動画が重い」という壁を1つずつ壊してきた歴史です。次の6Gは2030年ごろの実用化が目標とされています。
世代の数字は、単に速度が上がった回数ではありません。「G」は Generation(世代)の頭文字で、1つ上がるたびにそれまでできなかったことが、できるようになったという区切りを意味します。音声しか運べなかった電波に文字が乗り、文字の次に画像が乗り、画像の次に動画が乗った。その順番には理由があります。
正直なところ、速度の数字だけを並べても頭に残りません。ここでは世代ごとに「どんな壁があって、それをどう越えたのか」「その結果、手元の端末と暮らしがどう変わったのか」をセットでたどっていきます。最後に、いま研究が進む6Gが何を目指しているのかまで見通します。
1Gとは? 車のトランクに積む「電話」だった時代
始まりは1979年12月3日です。日本電信電話公社(電電公社、現在のNTTの前身)が、世界で初めての自動車電話サービスを東京23区内で開始しました。1984年までに全国へ広がっています。
この第1世代(1G)はアナログ方式でした。声の波形をそのまま電波の強弱に写して飛ばす方式で、運べるのは音声だけです。文字も画像も乗せられません。
端末の姿も今とは別物です。当時のTZ801型は本体が約320×230×90mm、重量は約7kg。受話器とアンテナを含めると約10kgあり、自動車のトランクに設置して使うものでした。「持ち歩く電話」ではなく「車に積む電話」だったわけです。
料金も相当なものでした。レンタル制で保証金20万円、月額基本料3万円、通話料は6秒10円。一般の人が気軽に契約できる代物ではありませんでした。手で持てるアナログ式の可搬型端末、いわゆる「携帯電話」と呼ばれるものが登場したのは1987年のことです。
アナログ方式は国や事業者ごとに仕様がばらばらで、他国へ持って行っても使えないのが当たり前でした。国際的に足並みをそろえるという発想が本格化するのは3G以降です。
2Gで何が変わった? 音の波を「0と1」に置き換えた
1990年代に普及した第2世代(2G)の最大の転換点は、アナログからデジタルへの切り替えです。声をそのままの波形で送るのをやめ、いったん数値(0と1の並び)に変換してから電波に乗せる方式になりました。
この違いが効いてきます。数値になったデータは、音声でも文字でも扱いが同じです。つまり「電話回線で文字を送る」という発想が初めて成立したのが2Gでした。SMS(ショートメッセージ)や簡易的なインターネット利用ができるようになったのはこのためです。
デジタル化にはもう1つの利点がありました。数値なので、まとめて圧縮したり、誤りを検出して直したりできます。同じ電波の幅により多くの通話を詰め込めるようになり、端末も小型化が進みました。ポケットに入る携帯電話が当たり前になっていったのがこの時期です。
速度の向上と、扱えるものの種類が増えることは、別の話です。2Gは後者の変化でした。以降の世代は、この「デジタルで何でも運べる土台」の上で、運べる量をひたすら増やしていくことになります。
3Gの役割とは? 世界共通の規格とデータ通信の本格化
2000年代に普及した第3世代(3G)のポイントは2つあります。
- 国際的な統一規格に準拠した国ごとにばらばらだった仕様が共通化に向かい、同じ端末を海外でも使えるという発想が現実になりました。海外ローミングが身近になったのはここからです。
- データ通信が高速化した映像や音声のやり取りができる速度に到達し、テレビ電話や音楽配信、携帯向けサイトの閲覧が実用の域に入りました。
2Gで「文字が送れる」ようになった土台に、3Gが「量のあるデータを運べる」帯域を与えた。この組み合わせで、携帯電話は通話機器からインターネット端末へと性格を変えていきます。
4Gで生活はどう変わった? 動画が「待たずに見られる」ように
2010年代に普及した第4世代(4G)は、通信速度がさらに大きく伸びた世代です。下りの最大速度は概ね1Gbps程度に到達しました。高画質な動画や大容量データの送受信に対応し、スマートフォンが主流になった時期と重なります。
速度が上がると何が変わるのか。イメージしやすい言い方をすると、「ダウンロードを待つ」から「流しながら見る」へ変わったということです。動画を最後まで落としてから再生するのではなく、届いた先から順に再生していけるだけの余裕が生まれました。動画配信サービスや地図アプリ、写真の自動バックアップといった、今では当たり前の使い方が成り立つようになったのはこの帯域があってのことです。
- 1G ── 声を運べるようになった(アナログ・音声のみ)
- 2G ── 文字を運べるようになった(デジタル化・SMS)
- 3G ── 世界共通の規格になり、映像や音声のデータを運べるようになった
- 4G ── 動画を待たずに扱える量を運べるようになった(下り最大1Gbps程度)
5Gの3つの特徴とは? 速さだけではない
第5世代(5G)は「速い」という説明だけで語られがちですが、総務省は5Gの特徴を「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つとして整理しています。それぞれ意味が違います。
| 超高速 | 下り最大20Gbps程度・上り最大10Gbps程度が要求条件とされ、4Gの10倍以上の速度が見込まれる |
|---|---|
| 超低遅延 | データが届くまでの待ち時間が短い。遠隔でのロボット操作のように、応答の遅れが致命的になる用途を可能にする |
| 多数同時接続 | 多数のIoT機器を同時につなげる。人だけでなくモノがネットにつながる前提の設計 |
総務省 令和2年版情報通信白書の公表データをもとに作成
ここで注目したいのは後ろの2つが「速度」とは別の軸だという点です。超低遅延は、たくさん運べることではなく、往復が速いこと。多数同時接続は、1台あたりの速さではなく、何台つなげるかという話です。
4Gまでの世代交代は「運べる量を増やす」方向にまっすぐ進んできました。5Gはそこに、応答の速さと接続できる台数という2つの軸を追加した世代だと捉えると、性格の違いがはっきりします。だからこそ、遠隔ロボットの操作やIoT機器の大量接続といった、スマホの画面の外にある用途が語られるわけです。
要求条件として示される数値は、規格が目指す条件であって、日常の場所すべてでその速度が出るという意味ではありません。実際の速度は基地局の整備状況や利用する周波数、混雑の度合いで変わります。総務省は令和6年度末(2025年3月末)時点の各社の5Gインフラ整備状況を報道発表しており、整備は現在も進行中の段階です。
6Gはいつ来る? 2030年ごろの実用化が目標
次の世代の準備はすでに動いています。総務省は2020年1月に「Beyond 5G推進戦略懇談会」を設置し、2030年代の通信インフラに求められる要件と政策の方向性を示すロードマップを策定しました。同年12月には産学官が連携する「Beyond 5G新経営戦略センター(推進コンソーシアム)」も設立されています。
目標時期は2030年ごろの実用化とされています。想定されているのは、サイバー空間(ネット上の世界)と物理空間(現実の世界)が大量の情報を遅延なくやり取りし、両者が高度に融合する社会です。
この方向性は、5Gが加えた「超低遅延」と「多数同時接続」の延長線上にあります。現実の出来事をそのままネット側へ写し、ネット側の判断をそのまま現実へ返す。その往復を遅れなく回すことが前提になるからです。通信事業者側でも検討は進んでおり、NTTドコモは6Gに関するホワイトペーパーを公表し、5Gの高度化から6Gへの技術的な方向性を示しています。
数字が1つ上がるたびに端末を買い替えるべきか、と考えると気が重くなります。ただ、こうして並べてみると、世代交代は「速くなる」よりも「できることが増える」出来事だったことがわかります。1Gの7kgの端末から、5Gで機械同士がつながる時代まで、47年でここまで来たわけです。次に自分の端末の規格表示を見たときに、その数字が何を意味しているのかがわかっていれば、それだけで十分な収穫だと思います。
よくある質問
携帯電話の「G」とは何の略ですか?
GはGeneration(世代)の頭文字です。1Gから5Gまでは通信規格の世代を表し、数字が1つ上がるたびに、それまでの規格ではできなかったことが実現されてきました。1Gは音声のみ、2Gはデジタル化でSMSに対応、3Gは国際統一規格でデータ通信が高速化、4Gは高画質動画に対応、5Gは超高速・超低遅延・多数同時接続に対応しています。
日本で携帯電話サービスが始まったのはいつですか?
1979年12月3日に、日本電信電話公社(電電公社)が世界初の自動車電話サービスを東京23区内で開始したのが始まりです。1984年までに全国サービスへ拡大しました。手で持てるアナログ式の可搬型端末、いわゆる「携帯電話」と呼ばれる形のものが登場したのは1987年です。
1Gの携帯電話はどれくらいの大きさと料金だったのですか?
1979年に登場したTZ801型は本体が約320×230×90mm、重量約7kg(受話器とアンテナを含めると約10kg)で、自動車のトランクに設置して使うものでした。料金はレンタル制で、保証金20万円、月額基本料3万円、通話料は6秒10円でした。
5Gは4Gと比べてどれくらい速いのですか?
総務省の令和2年版情報通信白書によれば、5Gの要求条件は下り最大20Gbps程度・上り最大10Gbps程度で、4Gの10倍以上の速度が見込まれるとされています。4Gの下り最大速度は概ね1Gbps程度です。ただしこれは規格が目指す条件であり、実際の速度は基地局の整備状況や利用する周波数、混雑の度合いによって変わります。
6Gはいつ実用化される予定ですか?
6G(Beyond 5G)は2030年ごろの実用化が目標とされています。総務省は2020年1月に「Beyond 5G推進戦略懇談会」を設置してロードマップを策定し、同年12月には産学官が連携する「Beyond 5G新経営戦略センター(推進コンソーシアム)」を設立しました。2030年代には、サイバー空間と物理空間が大量の情報を遅延なくやり取りし、高度に融合する社会が想定されています。
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