積立投資の金額、手取りから決める5ステップ
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毎月の積立額は「手取り − 固定費 − 変動費 − 生活防衛資金の積み立て分」で逆算して決まります。生活防衛資金は毎月の生活費の3〜6ヶ月分が一般的な目安で、これが貯まるまでは貯蓄と投資を7:3程度に分ける考え方があります。金額の正解は人によって違うため、まず自分の手取りと固定費を書き出すところから始めます。
積立の金額欄は、口座開設や商品選びと違って「正解が用意されていない」場所です。1万円でも3万円でも設定できてしまうので、かえって手が止まります。
ただ、決め方そのものには順番があります。先に金額を思い浮かべるのではなく、手取りから「使うお金」と「守るお金」を引いて、残った分を積立に回すという逆算です。以下では、その引き算を紙1枚でできる形に分解していきます。
毎月いくら積み立てるかは、どう決めればいい?
積立額は、次の式で出します。
- ① 毎月の手取り収入
- ② 固定費(家賃・通信・保険・サブスクなど毎月ほぼ同額のもの)
- ③ 変動費(食費・日用品・交際費など月によって動くもの)
- ④ 生活防衛資金の積み立て分(現金で貯める分)
- ⑤ 積立額 = ① − ② − ③ − ④
ポイントは④が③より後ろではなく、⑤より前にあることです。生活防衛資金とは、収入が止まったり急な出費が出たりしたときに生活を支える現金のこと。これを投資より後回しにすると、値下がりした場面で売って生活費に充てることになり、積立の一番苦しい部分だけを味わうことになります。
正直なところ、この式に入れる②と③の数字を持っていない人がほとんどです。だからこそ最初の作業は金額を決めることではなく、直近1〜2ヶ月の支出を数えることになります。
生活防衛資金はいくら必要?
民間の家計解説では、毎月の生活費の3〜6ヶ月分を目安とする説明が広く見られます。ただしこれは公的機関が定めた統一基準ではなく、複数の解説の集約値です。働き方によって必要量が変わるため、次のような整理がよく紹介されます。
| 単身の会社員 | まず50万円、余裕が出たら100万円を目標にする |
|---|---|
| 自営業・フリーランス | 収入が不安定なため1年分(目安300万円)を推奨する解説が多い |
| 子どもがいる世帯 | 生活費の6〜12ヶ月分を目安とする例もある |
Yahoo!ファイナンス 証券会社カタログほかFP系メディアの公表データをもとに作成(公的な統一基準ではありません)
会社員か自営業かで倍以上の差がつくのは、収入が途切れたときに次の入金までどれくらいかかるかが違うからです。傷病手当金や失業給付のような仕組みが使える立場か、自分で全部埋めるしかない立場かで、必要な現金の厚みが変わります。
目標額が貯まるまで投資を止める必要はありません。やり方は二通りあり、全額貯まるまで待つ方法と、貯めながら並行して積み立てる方法です。後者では、毎月の貯蓄額のうち7割を生活防衛資金、3割を積立に配分するという例が紹介されています。毎月6万円を貯蓄に回せるなら、4万2千円を現金、1万8千円を積立という配分です。
どちらが良いかは、現金の残高と収入の安定度で決まります。手元の現金が生活費1ヶ月分を切っているなら、まず現金を厚くするほうが先です。
手取り28万円の場合、実際にいくらになる?
数字を入れて動かしてみます。単身の会社員、手取り28万円、現在の預貯金30万円というケースです。
| ① 手取り | 280,000円 |
|---|---|
| ② 固定費 | 128,000円(家賃80,000/通信5,000/水道光熱13,000/保険5,000/サブスク3,000/その他22,000) |
| ③ 変動費 | 72,000円(食費45,000/日用品7,000/交際・娯楽20,000) |
| ②+③ 毎月の生活費 | 200,000円 |
| 残り(①−②−③) | 80,000円 |
ここで残った8万円を全部積立に入れたくなりますが、この人の毎月の生活費は②+③で20万円です。3ヶ月分なら60万円、預貯金は30万円なので30万円足りません。
そこで先ほどの7:3で分けます。
- 生活防衛資金へ 56,000円 → 約6ヶ月で不足分30万円を確保
- 積立投資へ 24,000円
- 目標額に届いた後は、積立を増額するか配分を見直す
「毎月いくら」の答えは、この例では2万4千円でした。手取りの約8.6%です。積立額の目安として手取りの10〜20%程度という考え方も紹介されていますが、それは生活防衛資金が整った後の水準として見るほうが実態に合います。
なお、この配分は月ごとに固定するものではありません。半年後に現金が積み上がれば、同じ8万円のうち積立側を増やしていけます。
自分の数字を出す手順は?
- 手取りを確認する給与明細の「差引支給額」を見ます。額面ではなくこちらです。ボーナスがある人は、まず月給だけで計算してください(ボーナスを前提に組むと、支給額が変わった月に破綻します)。
- 固定費を書き出す銀行口座とクレジットカードの明細を1〜2ヶ月分開き、毎月ほぼ同額で引き落とされているものを拾います。家賃、通信費、水道光熱費、保険料、サブスク、ジムなど。ここで使っていないサブスクが見つかることがよくあります。
- 変動費の平均を出す同じ明細から、食費・日用品・交際費などを2ヶ月分合計して2で割ります。1ヶ月だけだと特殊な月に当たる可能性があるためです。
- 生活防衛資金の目標と不足額を出す(固定費+変動費)× 3〜6ヶ月 で目標額を計算し、現在の預貯金を引いて不足額を求めます。この不足額を何ヶ月で埋めるかを決めると、毎月の現金積立額が出ます。
- 残りを積立額に設定する手取りから②③④を引いた額が積立額です。端数は切り捨てて、きりのいい数字にしておくと管理しやすくなります。
この5ステップは30分ほどで終わります。厳密な家計簿をつける必要はなく、桁が合っていれば十分です。金額を1円単位で正確にすることより、固定費・変動費・現金・投資の4つに分かれた状態を作ることのほうが効きます。
制度の上限は気にしなくていい?
新NISAには年間の投資枠があります。金融庁の制度説明では、つみたて投資枠が年間120万円まで、成長投資枠が年間240万円まで、両方を併用して年間最大360万円です。非課税保有限度額は総枠1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)とされています。
金融庁 NISA特設サイトの公表データをもとに作成
つみたて投資枠の年間120万円は、月あたり10万円に相当します。先ほどの例の2万4千円は枠の範囲に十分収まるので、上限を意識する必要はありません。枠は「使い切るべきノルマ」ではなく、非課税で投資できる上限を示したものです。
枠が大きいために「もっと入れないと損なのでは」と感じることがありますが、生活防衛資金を削って枠を埋めても、途中で取り崩せば意味がなくなります。順番は変わりません。
設定した後、金額はどう見直す?
積立額は一度決めたら終わりではなく、家計が変わったタイミングで見直します。見直しの合図になるのは主に次の場面です。
- 生活防衛資金が目標額に届いたとき(現金へ回していた分を配分し直す)
- 昇給・転職・独立などで手取りが変わったとき
- 家賃や保険など固定費が変わったとき
- 結婚・出産・引っ越しなど生活費の前提が変わったとき
一方で、相場が上がった・下がったから積立額を変える、という見直しはしません。積立額は家計の余力から決まるものであって、値動きから決まるものではないためです。値動きを見て増減させると、上がった局面で増やし下がった局面で減らす動きになりやすく、積立の平均取得単価をならす働きを自分で打ち消すことになります。
相場の見通しについても同じことが言えます。指数の予想やアナリストの見方は、あくまである時点での予想であって前提ではありません。上がる前提でも下がる前提でも、それを積立額の根拠にすると、見通しが外れたときに設定ごと崩れます。
収入の変動が大きい働き方(歩合給、季節で売上が動く自営業など)では、「毎月の手取り」という前提そのものが安定しません。この場合は月ごとの逆算より、直近12ヶ月の収入合計から年間の積立額を決め、少なめの月額を基準に設定して余裕のある月にスポットで足す形のほうが現実的です。また、金利の高い借入(カードローンやリボ払いなど)が残っている場合、投資の前にそちらの返済を優先するほうが家計全体では合理的なことが多いです。
毎月の積立額は、他人の平均額を探しても出てきません。手取り・固定費・変動費・現金の4つを自分で数えると、残った額として自動的に出ます。
金額の大小より、生活を削らずに続けられる水準に置くことが優先です。少額でも設定を止めずに済む額のほうが、無理をして数ヶ月で解約する額より結果的に長く続きます。まずは給与明細と口座の明細を開くところから始めてみてください。
※ 投資は自己責任です。投資信託や株式には価格変動リスクがあり、元本は保証されていません。本記事は教育・情報提供を目的としたもので、特定の商品や投資手法を推奨するものではありません。制度の内容は変更される場合があるため、最新の情報は金融庁や各金融機関の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
積立投資は毎月いくらから始められますか?
多くのネット証券では投資信託の積立を月100円または1,000円から設定できます。金額の下限は制度ではなく各金融機関が定めるため、利用する証券会社の積立設定画面で確認します。少額から始めて、生活防衛資金が整ってから増額する進め方も可能です。
生活防衛資金は何ヶ月分あればいいですか?
民間の家計解説では毎月の生活費の3〜6ヶ月分が目安として広く紹介されています。公的機関による統一基準はありません。会社員は3〜6ヶ月分、収入が不安定な自営業・フリーランスは1年分程度、子どもがいる世帯は6〜12ヶ月分を目安とする解説が見られます。
生活防衛資金が貯まるまで投資は待つべきですか?
待つ方法と並行する方法の両方があります。並行する場合、毎月の貯蓄額のうち7割を生活防衛資金、3割を積立投資に配分する例が紹介されています。ただし手元の現金が生活費1ヶ月分を下回っている状態では、先に現金を確保するほうが安全です。
新NISAのつみたて投資枠は毎月いくらまで使えますか?
金融庁の制度説明によると、つみたて投資枠は年間120万円までで、月あたりに換算すると10万円です。成長投資枠は年間240万円まであり、両方を併用すると年間最大360万円になります。非課税保有限度額は総枠1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。