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株主総会の議案とは?普通決議と特別決議の違い

2026年6月26日|いろは堂投資編集部
東京都内で行われた株主総会(AGM)会場の様子

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
株主総会の議案は、可決に必要な賛成数によって普通決議と特別決議に分かれます。取締役の選任や剰余金の配当は普通決議(出席株主の議決権の過半数)、定款変更や合併は特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上)です。議案の提出者にも会社提案と株主提案の2種類があり、株主提案には議決権の1%以上または300個以上を6か月保有といった要件が定められています。
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株主総会の招集通知が届いたけど、第1号議案とか第2号議案とか、何を決めているのかよく分からない…

招集通知に並ぶ議案には、実はきちんとした分類があります。可決に必要な賛成の数が議案ごとに違い、そこに「その決定が会社にとってどれだけ重い変更か」が表れています。

正直なところ、全部を読み込む必要はありません。ただ、どの議案がどの重さに属するのかが分かると、自分の1票が何に効くのかが見えてきます。今日は主要な議案の種類と、会社が出す議案と株主が出す議案の違いを整理していきます。

株主総会の議案はどう分類される?

議案を分類する軸は2つあります。1つは「可決にどれだけの賛成が要るか」(決議の種類)、もう1つは「誰が出した議案か」(会社提案か株主提案か)です。招集通知を開いたとき、この2軸で見ると全体像がつかめます。

まず決議の種類から見ていきます。会社法は、決めることの重さに応じて可決要件を分けています。

普通決議:出席株主の過半数で決まるもの

普通決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数が賛成すれば成立します。日常的な経営の意思決定にあたる部分がここに入ります。

普通決議で決まる代表的な議案
  • 取締役・監査役の選任、解任
  • 役員報酬の決定
  • 剰余金の配当・処分

年に一度の定時株主総会で出てくる議案の多くは、この普通決議に属します。配当をいくらにするか、誰を取締役にするかは、出席株主の過半数の賛成で決まるということです。

特別決議:3分の2以上の賛成が必要なもの

特別決議は要件が厳しくなります。原則として議決権の過半数を持つ株主が出席したうえで、その議決権の3分の2以上の賛成が必要です。会社の形そのものを変えるような決定が対象になります。

特別決議が必要な代表的な議案
  • 定款変更
  • 事業譲渡
  • 合併、会社分割
  • 資本金の額の減少
  • 株式併合
  • 解散
比較の軸普通決議特別決議
必要な賛成出席株主の議決権の過半数出席株主の議決権の3分の2以上
主な対象取締役・監査役の選任、役員報酬、剰余金の配当定款変更、事業譲渡、合併・会社分割、資本金の額の減少、株式併合、解散

2つを並べると、「毎年の運営に関すること」と「会社の枠組みを変えること」で線が引かれているのが読み取れます。合併や解散が過半数で通ってしまうと、反対する株主の立場が一気に不安定になります。3分の2という高いハードルは、そこへの歯止めです。

主な議案は具体的に何を決めている?

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「剰余金の処分」って、配当のことでいいの?

剰余金の処分は、会社が稼いだ利益をどう配分するかを決める議案です。株主への配当に回す分、社内に留保する分などをここで確定させます。配当を出す会社であれば、定時株主総会の第1号議案として提出されることが多い定番の議案です。実際、スズキ株式会社の定時株主総会でも第1号議案として剰余金の処分が提出されています。

配当額に納得がいくかどうかを判断する材料は、招集通知に添付される決算関連の書類にあります。利益がどれだけ出て、そのうちどれだけが配当に回るのか。この対応関係を見るのが、剰余金処分議案の読み方です。

取締役選任議案:毎年出てくる理由

取締役選任議案は、取締役や監査役を選任・再任するための議案です。多くの上場企業が取締役の任期を1年としているため、任期満了に伴って毎年提出されます。

候補者ごとに略歴や、その人を選ぶ理由が記載されています。再任の候補者であれば、その期の業績と照らして判断する形になります。人数分の議案がまとめて第2号議案とされ、候補者一人ひとりに賛否を投じられる形式が一般的です。

定款変更議案:会社の基本ルールを書き換える

定款は会社の基本ルールを定めた文書です。事業目的の追加、機関設計の変更などを行う場合、定款変更議案として株主総会にかけられます。前述のとおり特別決議事項なので、可決には3分の2以上の賛成が必要です。

新規事業に進出する、監査体制を変える、といった動きが定款変更議案として表に出てきます。会社が方向性を変えようとしているサインとして読める議案です。

会社提案と株主提案は何が違う?

ここまで挙げた議案の大半は、取締役会(経営陣の側)が総会に提出する会社提案です。剰余金処分案、役員選任案、定款変更案はいずれも通常は会社提案として出てきます。

一方、株主の側から議案を出すこともできます。これが株主提案で、会社法303条などが定める株主提案権にもとづくものです。ただし誰でも自由に出せるわけではなく、要件があります。

株主提案権の主な要件(取締役会設置会社の場合)
  • 持株要件:総株主の議決権の100分の1以上、または300個以上の議決権を保有していること
  • 保有期間要件:6か月前から引き続き保有していること(非公開会社は保有期間要件なし。定款で短縮可能)
  • 請求期限:株主総会の日の8週間(56日)前まで(定款で短縮可能)

この要件があるのは、総会が少数の意見で無制限に長引くことを防ぎつつ、一定規模の株主には議題を出す道を残すためです。持株要件が「1%以上 または 300個以上」と2通りある点に注目してください。発行株式数が多い大企業では1%の保有は現実的でないため、300個(=単元株なら3万株)という代替ルートが用意されています。

株主提案について注意しておきたいこと

株主提案が議案として招集通知に載っても、可決されるかどうかは別の話です。会社提案と同じ決議要件(普通決議なら過半数、特別決議なら3分の2以上)を満たす必要があり、実際には否決されるものも少なくありません。株主提案が載っていること自体を、その内容の妥当性の証明として受け取らないほうが安全です。また、株主提案の有無や内容から株価の先行きを判断するのは無理があります。

招集通知が届いたら、どう読み進める?

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冊子が分厚くて、どこから手をつけたらいいか…

分厚い招集通知を頭から読む必要はありません。議案の分類が分かっていれば、確認すべき順番を絞れます。

  1. 議案の一覧を見る目次か冒頭に第1号議案からの一覧があります。まずここで議案の数と種類を把握します。
  2. 普通決議か特別決議かを見分ける定款変更・合併・事業譲渡・株式併合が入っていれば特別決議事項です。会社の枠組みに関わる話なので、優先して中身を読みます。
  3. 会社提案か株主提案かを確認する株主提案がある場合、招集通知には提案株主の提案理由と、それに対する取締役会の意見の両方が併記されます。両論を読み比べます。
  4. 剰余金処分議案は決算と併せて見る配当額だけでなく、その期の利益との関係で妥当かを確認します。
  5. 取締役選任議案は候補者の略歴を見る再任か新任か、どの部門の出身かを確認します。
  6. 議決権行使書またはネットで投票する期限は総会日の前日までとされていることが一般的です。招集通知に記載された期限を確認して行使します。

なお、3月期決算の企業は定款で「決算期後3か月以内」に定時株主総会を開催すると定めている例が多く、実務上は6月に総会が集中します。複数銘柄を保有していると、この時期に招集通知がまとめて届くことになります。分類の見分け方を1度身につけておくと、毎年の負担がぐっと軽くなります。

議決権を行使しないとどうなる?

議決権を行使しなかった場合、その分は決議に反映されません。棄権として扱われるのではなく、単に議決に加わらなかったという状態になります。

特別決議は「議決権の過半数を持つ株主の出席」という定足数が原則として必要なので、行使する株主が少ないと定足数の確保自体が課題になります。実務上は定款で定足数を緩和している会社もありますが、1株でも保有していれば議決権はあり、行使しなければその意思は数に入らないという点は変わりません。

ネットでの議決権行使に対応している会社が増えており、書面を郵送しなくても数分で完了します。すべての議案を精査できなくても、特別決議事項だけは目を通す、という付き合い方でも十分に意味があります。

この記事の位置づけについて

ここで扱ったのは会社法上の制度としくみの解説であり、特定の銘柄や議案への賛否を推奨するものではありません。個別の議案の判断は、招集通知と決算資料をご自身で確認したうえで行ってください。

投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。株式の価格は変動し、投資元本を割り込む可能性があります。また、制度の内容は法改正等により変更される場合があるため、最新の情報は各社の招集通知や金融庁・法務省の公表資料でご確認ください。

よくある質問

株主総会の普通決議と特別決議の違いは何ですか?

普通決議は出席株主の議決権の過半数の賛成で成立し、取締役・監査役の選任、役員報酬の決定、剰余金の配当などが対象です。特別決議は出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要で、定款変更、事業譲渡、合併・会社分割、資本金の額の減少、株式併合、解散が対象になります。

剰余金の処分に関する議案は何を決めているのですか?

剰余金の処分議案は、会社が稼いだ利益を株主への配当に回すか社内に留保するかといった配分を決める議案です。配当を実施する会社の定時株主総会では第1号議案として提出されることが多く、可決には普通決議(出席株主の議決権の過半数)が必要です。

株主提案をするにはどんな条件が必要ですか?

取締役会設置会社の場合、総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を、6か月前から引き続き保有していることが必要です(非公開会社は保有期間要件なし)。また請求は株主総会の日の8週間前までに行う必要があります。いずれも定款でこれより緩やかに定めることは可能です。

取締役選任議案はなぜ毎年提出されるのですか?

多くの上場企業が取締役の任期を1年と定めているため、任期満了に伴って毎年選任議案が提出されます。招集通知には候補者ごとの略歴と選任理由が記載され、通常は候補者一人ひとりに賛否を投じる形式になっています。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。