信用取引の追証とは?金利と併せて数値で理解
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信用取引は委託保証金を担保に証券会社から資金や株を借りて売買するしくみで、委託保証金率は約定代金の30%以上・保証金額30万円以上が必要です。保証金30万円なら約100万円分(レバレッジ約3.3倍)の建玉が持て、維持率が20%を下回ると追証が発生します。現物取引と違い、値下がり幅が保証金を食いつぶすと損失が当初の投資額を超えうる点が最大の違いです。
信用取引は「儲かる/危ない」の二択で語られがちですが、実際に効いているのは保証金・レバレッジ・維持率・金利という4つの数字だけです。この4つの関係がわかると、どこまで下がったら何が起きるのかを自分で計算できるようになります。
正直なところ、しくみを知らないまま建てるのがいちばん危険です。逆に言えば、数式が読めれば怖さの正体は「わからなさ」ではなく「数字」に変わります。
信用取引とは?現物取引と何が違うのか
信用取引とは、委託保証金を担保に証券会社から資金や株券を借りて売買し、期限内に主として反対売買で弁済する取引です。ここで建玉(たてぎょく)とは、信用取引で新規に売買してまだ決済していない持ち高のことを指します。反対売買とは、買った建玉を売る(あるいは売った建玉を買い戻す)ことで、借りた分を清算する操作です。
現物取引は手持ち資金の範囲内で「買い」から入る取引で、利益が出るのは株価が上がったときだけです。信用取引ではここが3点変わります。
- 手持ち資金を超える金額の売買ができる
- レバレッジをかけて数倍の規模で取引できる
- 「売り」から始められ、下落局面でも収益機会がある
| 現物取引 | 信用取引 | |
|---|---|---|
| 元手 | 手持ち資金の範囲内 | 委託保証金を担保に借りる |
| 取引の向き | 買いから | 買いからも売りからも |
| 期限 | なし | 制度信用は6か月など、区分により設定 |
| コスト | 売買手数料など | 売買手数料に加え金利・貸株料 |
| 損失の上限 | 投資した金額まで | 保証金を超えることがある |
上の表で決定的なのは最後の行です。増えるのは可能性だけでなく、負う義務も同じ倍率で増えます。借りたものは返す必要があり、担保が足りなくなれば追加で差し入れる義務が生じる、というのが現物取引には存在しない部分です。
委託保証金とレバレッジはどう決まる?
倍率は感覚ではなく、ルールで決まっている割合の逆数です。金融商品取引法および日本証券業協会の規則により、委託保証金率は約定代金の30%以上、かつ委託保証金額は30万円以上が必要とされています。
必要な保証金は次の式で求まります。
- 必要保証金 = 建玉金額 × 委託保証金率(通常30%)
- レバレッジ = 1 ÷ 0.3 ≒ 約3.3倍
- 保証金30万円 → 最大およそ100万円までの建玉
つまり「3.3倍」は特別な優遇ではなく、30%という担保割合を裏返しただけの数字です。保証金率が高い証券会社・銘柄では倍率が下がりますし、代用有価証券(現金の代わりに担保として差し入れた株式)で保証金を積んでいる場合は、その株式自体の値下がりでも担保価値が減ります。
追証はいつ発生する?維持率20%の意味
追証(追加保証金)は、委託保証金維持率が20%を下回ったときに発生します。維持率は「いま担保として実質いくら残っているか ÷ 建玉金額」の割合で、含み損が膨らむほど分子が減って下がっていきます。
発生する原因は主に2つです。ひとつは信用建玉そのものの含み損が拡大すること、もうひとつは代用有価証券が値下がりして担保価値が下がることです。建てた銘柄が動かなくても、担保にしている株が下がれば追証は起こりえます。
追証額の計算式は証券会社ごとに異なります。公表されている例では、実質保証金から「建玉金額合計×20%」を差し引く方式や、受入保証金から「建玉金額合計×30%」を差し引く方式があります。解消期限も各社で違い、発生日を含めて2営業日目の17時まで、発生日の翌々営業日12時までなど、猶予は数日しかありません。
維持率の基準、追証額の計算式、入金の締切時刻は証券会社によって差があります。自分が口座を持っている会社の信用取引ルールのページを、建てる前に必ず確認してください。締切を過ぎると建玉が強制決済される扱いが一般的で、そのタイミングは自分では選べません。
損失が投資額を超えるのはどういう計算?
数字を1本置くと構造が見えます。ここでは公表されているルール(保証金率30%・維持率20%)から計算した例を示します。実際の損益は手数料・金利・各社基準で変わるため、あくまで構造を理解するための計算です。
- 建てる委託保証金30万円を差し入れ、100万円分の買い建玉を持つ。レバレッジは約3.3倍。
- 10%下落建玉の評価額は90万円。含み損10万円で、実質保証金は20万円。維持率は20万円÷100万円=20%となり、追証の水準に触れる。
- 20%下落評価額80万円、含み損20万円。実質保証金は10万円まで減り、当初の30万円のうち3分の2が失われている状態。
- 30%下落含み損30万円で保証金と同額。ここを超えて下げた分は、自分が入金して埋める負債になる。
- 40%下落含み損40万円。保証金30万円では足りず、差額10万円の追加負担が残る。
現物取引で100万円分を買うには100万円が必要で、40%下がっても損失は40万円、投じた額の範囲内です。信用取引では30万円で同じ100万円分を動かしているため、同じ40%の下落が、投じた30万円を超える損失として返ってきます。これが「損失が投資額を超えうる」の中身です。
売り建て(信用売り)では、この非対称がさらに大きくなります。買いは株価がゼロになるのが下限なので損失に上限がありますが、売りは株価の上昇に理論上の上限がないため、含み損の上限も定まりません。
金利・貸株料はどれくらいのコストになる?
信用取引は建玉を持っている間ずっとコストが発生します。買い建てなら買方金利、売り建てなら貸株料です。公表例では買方金利は年2.8%程度とされますが、金利水準は時期・条件・会社によって変わるため、建てる前に自分の口座の最新レートを確認してください。
年2.8%という数字は、100万円の建玉を1年持てば約2万8千円、1か月なら約2,300円という規模感です。数日で決済するなら誤差ですが、含み損を抱えたまま持ち続けると、株価が戻るのを待っている間もコストが積み上がります。「戻るまで待つ」が現物と同じ意味を持たないのが、信用取引の地味だけれど効いてくる違いです。
始める前に確認しておくことは?
- 委託保証金率と、代用有価証券の掛目(担保として何%で評価されるか)
- 追証が発生する維持率の基準と、追証額の計算式
- 追証の解消期限(何営業日目の何時までか)と、期限を過ぎた場合の扱い
- 買方金利・貸株料の最新レート
- 利用するのが制度信用か一般信用か、返済期限はいつか
制度信用と一般信用はどちらを選ぶ?
信用取引は2種類あり、ルールを誰が決めるかが違います。
| 制度信用取引 | 一般信用取引 | |
|---|---|---|
| ルールの決定者 | 金融商品取引所の規則で一律 | 証券会社が独自に決定 |
| 返済期限 | 新規建てから6か月 | 無期限・短期(例:15営業日)・当日中など多様 |
| コスト | 品貸料(株を借りる側が貸し手に払う調達コスト)等が規則で決まる | 貸株料等を会社が設定(制度信用より高めの傾向) |
期限の考え方が大きく違います。制度信用の6か月は、含み損を抱えていても期限が来れば決済しなければならないという意味です。一般信用の無期限は自由度が高い一方、その分コストが乗っているのが通常です。
相場を毎日見る時間が取れない人、下落時に期限内で追加入金する現金の余裕がない人、含み損を持ち続けて戻りを待つスタイルの人には、信用取引の構造は合いません。値動きを待てる時間が現物より短く、待つほどコストが増えるためです。しくみを理解することと、実際に使うかどうかは別の判断で構いません。
信用取引の怖さは「どこで何が起こるかわからない」ことにありました。保証金率30%・維持率20%・金利という3つの数字を自分の建玉に当てはめれば、追証がどの株価水準で来るかは事前に計算できます。使うかどうかを決めるのは、その計算をしてからで遅くありません。
本記事は株式投資の教育・用語解説を目的としたものであり、特定の銘柄や取引手法の推奨、投資助言ではありません。記載の制度・数値は執筆時点の公表情報に基づくもので、証券会社や時期により異なります。投資は自己責任であり、元本は保証されません。
よくある質問
信用取引の委託保証金はいくら必要ですか?
委託保証金は約定代金の30%以上、かつ金額として30万円以上が必要とされています。これは金融商品取引法および日本証券業協会の規則で定められた水準で、証券会社によってはこれより高い保証金率を設定している場合があります。
信用取引の追証はいつ発生しますか?
委託保証金の維持率が20%を下回ったときに追証が発生するのが一般的です。原因は信用建玉の含み損拡大と、代用有価証券の値下がりによる担保価値の低下の2つで、解消期限は発生日を含めて2営業日目の17時までなど証券会社によって異なります。
信用取引で損失が投資した金額を超えることはありますか?
あります。委託保証金30万円で約100万円分の建玉(決済していない持ち高)を持った場合、株価が30%を超えて下落すると含み損が保証金を上回り、超過分は自己資金で埋める負債になります。現物取引では損失は投資額の範囲に収まりますが、信用取引にはこの上限がありません。
制度信用取引と一般信用取引はどう違いますか?
制度信用取引は品貸料(株を借りる側が貸し手に払う調達コスト)や返済期限が金融商品取引所の規則で一律に決まり、返済期限は新規建てから6か月です。一般信用取引は証券会社が貸株料や返済期限を独自に決定し、無期限・短期・当日中など多様な区分があります。
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