支持線・抵抗線の引き方、だましを見抜く3条件
画像出典: 写真: bfishadow on Flickr(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
支持線は安値同士、抵抗線は高値同士を2点以上結んで引きます。初心者はヒゲ(上下影)を基準にすると位置がぶれにくくなります。ブレイクが本物かどうかは、実体(終値)が水準を超えて確定したか・出来高が伴っているか・次の足が同じ方向へ追従しているかの3点で判定します。
線を引く作業でつまずく原因は、たいてい「どの点を結ぶか」が決まっていないことにあります。チャートには高値も安値も無数にあり、基準を持たずに眺めると、引きたい形に合わせて線を後付けしてしまう。これは分析ではなく、結論に絵を合わせている状態です。
正直なところ、線の引き方そのものはとても単純です。抵抗線は高値と高値、支持線は安値と安値を、2点以上結ぶ——ルールはこれだけ。難しいのは、どの高値・安値を採用するかという選び方と、引いた線が抜けたときに「本物の突破か、だましか」を判定する手順のほうです。
支持線・抵抗線とは何を表す線?
支持線と抵抗線は、株価の下落あるいは上昇が、その水準で止まると考えられるラインです。過去に高値をつけた位置、大きな下落が始まった起点、しばらく揉み合った価格帯(レンジ)、実際に反発があった箇所——こうした「値動きが止まった痕跡」を結んで引きます。
言い換えると、線そのものに力があるわけではありません。過去にそこで売買の綱引きが決着した価格帯を、目に見える形にしただけです。だから同じチャートでも、人によって数円〜数十円のずれが出ます。ずれること自体は問題ではなく、「自分は何を根拠にここへ引いたか」を説明できるかどうかが分かれ目になります。
- 過去につけた高値の位置
- 大きな下落が始まった起点
- 横ばいで揉み合った価格帯
- 反発して向きが変わった箇所
支持線・抵抗線はどう引く?
手順に落とすと、迷う場面はかなり減ります。抵抗線と支持線で見る点が違うだけで、作業そのものは同じです。
作業に入る前に、ローソク足の呼び名だけそろえておきます。1本のローソク足は、その期間の始値・終値・最高値・最安値を1つの図形で表したものです。四角い胴の部分が実体で、始値と終値の幅を示します。終値が始値より高かった足を陽線、安かった足を陰線と呼び、多くのチャートでは陽線が赤や白、陰線が青や黒で描き分けられます。実体から上下に伸びる細い線がヒゲ(上ヒゲ・下ヒゲ)で、その先端がその期間の最高値・最安値です。
- 見る期間を先に決めるチャートの表示範囲を決めてから引きます。範囲を後から広げると、採用する高値・安値が変わって線も動いてしまいます。
- 目立つ高値・安値に印をつける上に飛び出している点(高値)と、下に沈んでいる点(安値)を拾います。細かい凹凸ではなく、周囲より明らかに突出しているものだけを候補にします。
- 同じ種類の点を2つ以上結ぶ抵抗線は高値と高値、支持線は安値と安値。高値と安値を混ぜて結ばないこと。
- トレンドラインは左から右へ結ぶ上昇トレンドラインは安値同士を、下降トレンドラインは高値同士を、時間の流れに沿って左から右へ結びます。
- 3点目で答え合わせをする2点で引いた線に、3点目の高値・安値が近い位置で反応しているか確認します。反応があれば、その水準を市場が意識している可能性が高いと考えられます。
チャート上で実際に結ぶのは、上側に飛び出した高値の点どうし、下側に沈んだ安値の点どうしです。結ぶのは同じ種類の点だけで、高値と安値を混ぜないことが引き方の要点になります。そして抵抗線を上に抜けたあとの扱いが、後半のテーマです。
実体で結ぶかヒゲで結ぶかに、明確な正解はありません。どちらの流儀も使われています。ただ最初のうちはヒゲ(上下影)で結ぶほうが扱いやすい——ヒゲの先端はその期間の最高値・最安値そのものなので、位置が視覚的にはっきりしていて、引くたびに場所がぶれにくいからです。
大事なのは、途中で流儀を変えないこと。ある銘柄はヒゲ、別の銘柄は実体、という引き方をすると、線が効いたのか効かなかったのかの検証ができなくなります。まずヒゲで統一し、比較できる材料が溜まってから実体も試す、という順番が現実的です。
引いた線はいつ引き直す?
線を引く作業で見落とされがちなのが、引いた線は永続しないという点です。株価と線の位置関係によって、読み取れることは次のように変わります。
| 状態 | 読み取れること |
|---|---|
| 株価がライン上を維持 | そのトレンドが続いていると判断する材料になる |
| ラインを割り込んだ | トレンド転換のサインとして扱う。線は引き直す |
| 3点目以降も反応 | その水準が意識されている可能性が高いと考えられる |
JIOの公表内容をもとに作成
上の表のとおり、上昇トレンドの最中、トレンドラインは下値の支持線として働き、株価がライン上にある間はトレンドが継続していると読めます。逆にラインを割り込んだ場合は、トレンド転換のサインとして扱われます。
つまり線は「割れたら失敗」ではなく、割れたことが次の判断材料になる設計です。割れた時点でその線の役目は終わり、新しい値動きに合わせて引き直す。一度引いた線に固執して、あとから来た値動きを無視するのが一番まずい使い方です。
「だまし」はどう見抜く?——終値・出来高・次の足
線が機能しなかったように見える場面の多くは、ブレイクの判定を早まったことで起きています。初心者はローソク足のヒゲが一瞬でも線を越えた時点を「抜けた」と読みますが、経験者はそこでは判定しません。見ているのは次の3点です。
- 終値で確定したかを見るヒゲだけの抜けは採用しません。実体(始値と終値の間)が線を超えて、その足の終値が確定するまで待ちます。日足ならその日の取引終了(大引け)、週足なら金曜の取引終了が確定の瞬間です。ヒゲが抜けても終値が線の内側に戻った足は、抜けていない足として数えます。
- 出来高が増えているかを見る本物の突破は、その水準への関心が急に集まった結果として起きます。普段と変わらない出来高のまま線を抜けた足は、フェイクの可能性が高いと扱います。チャート下部の出来高バーが、直近数本と比べて明らかに伸びているかを目視で確認します。
- 次の足が追従しているかを見る抜けた次の足が同じ方向に進んでいるか。抜けた翌日にすぐ線の内側へ戻ってしまう足は、だましだったと判断します。ブレイク狙いなら、いったん線まで押し戻される動き(リターンムーブ)を待ち、そこで反発を確認してから入るほうが、だましを踏む回数は減ります。
- 実体(終値)が線を超えて確定したか — ヒゲだけなら見送り
- 出来高が直近より明らかに増えているか — 平常のままなら見送り
- 次の足が同じ方向に追従しているか — 線の内側へ戻ったら見送り
この3点のうち1つでも欠けるなら、判定を保留したまま次の足を待つ——それだけで、飛びつきによる失敗はかなり減らせます。加えて、反発を狙う場合は週足・月足といった上位足のトレンド方向を先に確認しておくと、上位足の流れに逆らったエントリーを避けられます。
もうひとつ、必ず押さえておきたいのがロールリバーサル(レジサポ転換)です。支持線と抵抗線は、突破されたあとに役割が入れ替わることがあります。
- 抵抗線が上に突破される → その価格帯は以後、支持線として働く
- 支持線が下に割られる → その価格帯は以後、抵抗線として働く
これを知らないと、「割れた線」を消してしまい、そのあと同じ水準で止められた理由が分からなくなります。逆に知っていれば、突破された線は消すのではなく、役割を入れ替えて残しておく、という扱いができます。
「抵抗線を抜けると売り圧力が減って大きく上がりやすい」「反発回数が多い線ほど、抜けたときのトレンドが強い」——こうした因果の説明はよく見かけますが、確かな裏づけのある一般則とは言えません。終値・出来高・次の足という3条件も、複数の解説で共通して挙げられる経験則であって、これを満たせばだましを避けられると保証するものではありません。線は「意識されやすい価格帯を可視化する道具」であって、値動きを予測する装置ではありません。
演習:自分のチャートで確認する手順
読んだだけでは引けるようになりません。手元の証券会社のチャート画面で、次の順に試してみてください。銘柄は保有中のものでも、指数でも構いません。
- 過去の範囲だけを表示する直近の値動きを画面の右端で隠すか、少し前の期間だけを表示します。答えを見ずに引くためです。
- ヒゲの先で2点を結ぶ高値同士、または安値同士。線を1本だけ引きます。欲張って何本も引かないこと。
- 「なぜここか」をメモする「大きな下落の起点だから」「3週間揉み合った上限だから」など、理由を一言で書きます。書けないなら、その線は根拠が弱いということです。
- 隠した先の値動きを表示するその水準で止まったか、抜けたか、抜けたあと役割が入れ替わったかを見ます。
- 抜けた足を3条件で採点する実体(終値)が超えたか、出来高が増えたか、次の足が追従したか。3つの◯×を書き出し、だましだった足がどの条件を欠いていたかを確かめます。
- 外れた線こそ記録する効かなかった線を残しておくと、自分がどんな高値・安値を過大評価しがちかが見えてきます。当たった線より学べます。
自分の引き癖が見えた時点で、演習の効果は十分に出ています。線の精度は、知識より試行回数で上がります。10回引いて外れを記録するほうが、解説を10本読むより早く身につきます。
なお時間軸によって、拾うべき高値・安値の粒度は変わります。短い足で目立って見える凹凸が、長い足では消えてしまうことは珍しくありません。自分の投資期間に合う時間軸を決めてから線を引く、という順序を守ってください。
やりがちな失敗と、その直し方
| 失敗パターン | 直し方 |
|---|---|
| 線が多すぎる | 1画面に何本も引くと、どこかの線には必ず当たる。まず1〜2本に絞る |
| 高値と安値を混ぜて結ぶ | 抵抗線は高値同士、支持線は安値同士。種類を混ぜない |
| ヒゲと実体を毎回変える | 基準がぶれると検証ができない。当面はヒゲで統一する |
| ヒゲの抜けでブレイク判定 | 終値が確定してから判定する。出来高と次の足も合わせて見る |
| 割れた線を消す | 役割が入れ替わって働くことがある。消さず残す |
| 結論に合わせて引く | 先に「上がってほしい」があると線が動く。理由を先にメモする |
最後に一点。線は判断を助ける道具であって、判断そのものではありません。株式投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。チャートの線がどれだけきれいに機能して見えても、将来の値動きを保証するものではなく、想定と逆に動く前提で資金量を決めておく必要があります。ここで扱ったのはあくまで作図と読み取りの手順であり、特定の銘柄や売買を勧めるものではありません。
よくある質問
支持線と抵抗線の違いは何ですか?
支持線は株価の下落がその水準で止まると考えられるラインで、安値と安値を2点以上結んで引きます。抵抗線は株価の上昇が止まると考えられるラインで、高値と高値を2点以上結んで引きます。どちらも過去に値動きが止まった痕跡を可視化したものです。
線はローソク足のヒゲと実体、どちらで結べばよいですか?
どちらが正しいという明確な正解はありません。ただしヒゲ(上下影)の先端はその期間の最高値・最安値そのもので位置が視覚的に分かりやすいため、最初のうちはヒゲで結ぶ引き方が扱いやすくなります。重要なのは基準を途中で変えず統一することです。
引いた線を割り込んだら、その線は消すべきですか?
消さずに残しておくのが実用的です。支持線と抵抗線はブレイク後に役割が入れ替わることがあり(ロールリバーサル/レジサポ転換)、上に突破された抵抗線は以後の支持線として、下に割られた支持線は以後の抵抗線として働く場合があります。同時に、トレンド転換のサインとして新しいラインを引き直す作業も必要です。
線を抜けたのに逆方向に動く「だまし」はどう見分けますか?
3点を順に確認します。第一に終値で、ヒゲだけが線を越えた抜けは採用せず、実体が線を超えて終値が確定するまで待ちます。第二に出来高で、平常時と変わらない出来高のまま抜けた足はフェイクの可能性が高いと扱います。第三に次の足で、抜けた翌の足が同じ方向へ追従せず線の内側へ戻る場合はだましと判断します。ただしこれらは経験則であり、だましを完全に避けられる保証はありません。
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