いろは堂投資
← 戻る

日銀利上げ後に日経平均が急伸、相場を読む5手順

2026年9月19日|いろは堂投資編集部
青い株価ボードに銘柄名と数字が並ぶ電光掲示板のアップ

画像出典: ぱくたそ(すしぱく)

この記事の要点
2026年9月18日、日銀は政策金利を0.25%引き上げ1.25%程度とする決定を賛成7・反対2で行いました。引き締め方向の決定にもかかわらず日経平均は前日比882.70円高の65,018.95円で取引を終えています。会合結果の票数、市場予想との一致、総裁会見、為替、セクター別と寄与度の5点を順に確認すると、こうした値動きを自分で説明できるようになります。
😟
金利を上げたら株は下がるって習ったのに、なんで上がってるの…?

金利が上がると企業の借入コストが増え、株式の評価にはマイナスに働く——教科書どおりの理解です。ところが2026年9月18日、日銀が政策金利を1.25%程度へ引き上げた日の日経平均は、前日比882.70円高の65,018.95円で終えました。

正直なところ、この「逆の動き」は一度きりの珍事ではありません。決定の中身と市場の受け止め方を分けて見る習慣がつくと、同じ場面で慌てずに済みます。ここでは実際の9月18日の材料を使って、確認する順番を5つに分けて渡します。

9月18日に日銀は何を決めた?

日銀は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ、1.25%程度とすることを決めました。採決は賛成7・反対2の賛成多数で、発表は昼休み中の正午台でした。6月会合以来3か月ぶりの利上げで、これまでおおむね半年に1回だった利上げペースが速まった形です。

政策金利とは、日銀が民間銀行との取引に適用する基準金利のこと。引き上げは一般に金融引き締め、つまり景気を抑える方向の判断とされます。

背景として日銀が挙げたのは物価の上振れリスクです。中東情勢の緊迫による原油価格の高騰などを踏まえた判断で、消費者物価(生鮮食品を除く)は足元で前年比1%台後半まで拡大、2026年度後半以降は2%をはっきり上回る水準まで伸びると日銀は見込んでいます。

利上げの日の値動きはどう読む?

手順1: 利上げ幅ではなく「票数」を見る

発表を見たとき、多くの人は利上げ幅の0.25%だけを見て終わります。ここで一緒に確認したいのが採決の内訳です。

今回は政策委員9人のうち2人が利上げに反対しました。反対票が出ているということは、委員会の中でも引き締めを急ぐことへの慎重論が残っているという意味になります。市場はこれを「今後の利上げペースはそこまで速くならないのでは」というサイン、いわゆるハト派的な利上げとして受け止めました。

ハト派は金融緩和寄り(利上げに慎重)、タカ派は引き締め寄りを指す言い方です。決定そのものが引き締めでも、その中身がハト派寄りと読まれれば、株式市場は安心のほうに傾くことがあります。

会合結果でメモしておく3項目
  • 利上げ幅(今回は0.25%引き上げ、1.25%程度へ)
  • 採決の票数(今回は賛成7・反対2)
  • 発表の時刻(今回は昼休み中の正午台)

手順2: 市場予想と一致していたかを確かめる

相場が反応するのは「事実」そのものではなく、事前の予想と実際の差です。同じ利上げでも、まったく想定されていなかった利上げと、大方が織り込んでいた利上げでは反応が逆になり得ます。

9月18日の決定は市場のコンセンサス(市場参加者の見方のおおよその一致点、つまり事前の大方の予想)通りと受け止められ、会合を前にした不透明感が解消されたことで買いが入りやすい地合いになりました。前日9月17日の終値は64,136.25円(前日比213.25円高)で、会合待ちの様子見ムードの中、小幅高にとどまっていたことからも、結果待ちで動けていなかった資金の存在がうかがえます。

「予想」は前提ではありません

会合前に報じられる織り込み確率(市場が利上げをどの程度見込んでいるかを数値にしたもの)や機関の見通しは、その時点での見方であって決まった未来ではありません。金利先物などから算出される確率は日々動きますし、報道ベースでも見方が割れることは珍しくありません。数値を引くときは、どこが・いつ時点で出したものかを必ずセットで確認し、単一の数字を前提に売買の判断を組み立てないでください。

手順3: 総裁会見のトーンを確認する

決定の発表後に行われる総裁会見は、次の会合までの材料になります。今回、植田和男総裁は「物価上昇率を2%程度で安定させる観点が重要になり政策の局面が変化した」と説明しました。

あわせて、連続利上げや利上げ幅の拡大の可能性も「排除しない」と発言しています。物価上振れリスクの点検項目として挙げたのは、①中東情勢の緊迫、②世界的なAI関連需要の拡大、③円安の進行の3点でした。

この3点は、次の会合までニュースを追うときの自分用のチェック項目としてそのまま使えます。原油、AI関連の需要、ドル円——このどれかが大きく動いたときは、日銀の判断材料も動いていると考えられます。

手順4: 為替がどちらに振れたかを見る

😲
利上げしたのに円安になってる…逆じゃないの?

金利を上げた通貨は買われやすい、というのが基本の考え方です。ところが9月18日のドル円は、156円台前半から一時157円台まで円安方向に振れ、その後157円50銭台まで値を切り上げました。

要因とされたのが、手順1で見た2人の反対票です。追加利上げのペースが加速するという観測が後退したことで、円を買う動きが続かなかったという整理になります。

そして円安は、海外で稼ぐ企業の円換算の利益にとって追い風に働き得ます。利上げという引き締め材料が、為替を経由して輸出関連株にはプラスに転じた——これが「利上げなのに株高」の一つの経路です。

手順5: セクター別と寄与度で中身を割る

指数の上げ下げだけを見ていると、相場の実態を取り違えます。9月18日がまさにその日でした。

区分業種
上昇業種上位非鉄金属、電気機器、金属製品、ガラス・土石製品、機械
下落業種上位電気・ガス業、石油・石炭製品、水産・農林業、海運業、不動産業

財経新聞の公表データをもとに作成

上の表のとおり、上昇したのは電気機器や機械といった製造業が中心で、電気・ガス業や不動産業は下落しています。そして東証プライム市場全体では、値上がり銘柄32.9%に対し値下がり銘柄が64.5%。日経平均採用銘柄で見ても値上がり63銘柄・値下がり161銘柄・変わらず1銘柄でした。

882円高という数字の裏側は、全面高ではなく、下げた銘柄のほうが多い「まだら模様」だったわけです。

寄与度を見ると押し上げ役がわかる

ここで使うのが寄与度という指標です。個別銘柄の株価変動が日経平均全体の変動にどれだけ影響したかを示すもので、株価水準の高い値がさ株ほど大きくなりやすい性質があります。

9月18日の寄与度上位は、アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアホールディングス、イビデン、ソフトバンクグループ。いずれも半導体・AI関連の値がさ株です。個別の値上がり率ではアドバンスクリエイトが27.94%高、関東電化工業が9.64%高、キオクシアホールディングスが9.40%高(4,690円高)となりました。

指数を押し上げたのは市場全体ではなく、一部の大型株に集中した買いだった——ここまで割って初めて、その日の相場を説明できます。

海外要因はどこまで効いた?

買いを主導した材料は日銀だけではありませんでした。米国のSOX指数(半導体株の値動きを示す指数)の上昇が前提にあり、さらにNVIDIAのCEOによる「来年は今年の倍の半導体需要」という発言も好感されています。

取引時間中は正午の12時49分に一時1,300.32円高の65,436.57円まで上昇する場面がありましたが、その後は利益確定売りや様子見ムードで上値を抑えられ、終値は882.70円高に落ち着きました。日中の高値と終値の差も、その日の買いの持続力を見るヒントになります。

この読み方が向かないケースもあります

ここで紹介した手順は、起きた値動きを自分の言葉で説明できるようにするためのものです。次の値動きを当てる道具ではありません。会合結果が同じでも、市場の事前予想や海外環境が違えば反応は変わります。また、特定の業種や銘柄が上がったという事実は、それを買うべきという意味にはなりません。

この5手順を次の会合でどう使う?

  1. 会合結果を確認する利上げ幅と採決の票数を記録する。反対票が多いほどハト派的な利上げと受け止められやすい。
  2. 市場予想と比較する想定通りだったかどうかで、不透明感の解消による買いが入るかが変わる。
  3. 総裁会見のトーンを見る追加利上げのペース・条件についての発言が、次までの材料になる。
  4. 為替の反応を見る利上げでも円安が進む場合、輸出関連株には追い風となり得る。
  5. セクター別・寄与度で中身を割る値上がり・値下がり銘柄数の比率と業種別騰落で、全面高か一部主導かを判断する。

加えて、米SOX指数や海外企業の発言・業績見通しが日本の半導体関連株に波及することがあるため、海外要因も一緒に見ておくと説明の精度が上がります。

次の会合の日に、この5項目をノートに書き出して埋めてみてください。埋め終わったころには、ニュースの見出しだけを見ていたときとは違う景色が見えているはずです。

投資は自己責任です。株式や投資信託には元本保証はなく、相場の変動により損失が生じる可能性があります。本記事は教育・情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や取引を推奨するものではありません。

よくある質問

2026年9月18日に日銀が決めた政策金利はいくらですか?

日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.25%程度とすることを決定しました。採決は賛成7・反対2の賛成多数で、6月会合以来3か月ぶりの利上げです。

利上げしたのに日経平均が上がったのはなぜですか?

2026年9月18日の日経平均は前日比882.70円高の65,018.95円で終えました。決定が市場の事前予想(コンセンサス)通りで不透明感が解消したこと、2名の審議委員が利上げに反対したため比較的ハト派と受け止められたこと、米SOX指数の上昇など半導体関連の追い風が重なったことが要因とされています。

指数が大幅高なら、ほとんどの銘柄が上がっているのですか?

そうとは限りません。2026年9月18日の東証プライム市場では値上がり銘柄32.9%に対し値下がり銘柄が64.5%で、日経平均採用銘柄でも値上がり63・値下がり161・変わらず1でした。指数の上昇は半導体関連などの値がさ株に集中した買いによるものでした。

寄与度とは何を示す指標ですか?

寄与度は、個別銘柄の株価変動が日経平均全体の変動にどれだけ影響したかを示す指標です。日経平均は株価水準の高い値がさ株の影響を受けやすいため、こうした銘柄ほど寄与度が大きくなりやすい性質があります。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。