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日銀利上げ0.25%、預金・ローン・株への4つの影響

2026年6月17日|いろは堂投資編集部
日本銀行本店(東京・日本橋)

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
日本銀行は2026年6月16日、政策金利の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。影響は預金金利・変動型住宅ローン・株式のセクター別の値動き・国内債券投信の基準価額という4つの経路に分かれて届き、届くまでの時期も経路ごとに違います。3メガバンクの普通預金金利は0.30%から0.40%へ、変動型ローンへの反映は秋の基準金利見直しを経て翌年1月返済分からが一般的です。
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利上げのニュースは見たけど、自分の証券口座と住宅ローンと預金、どれがどう変わるのか分からない…

「金利が上がった」という一言は、実は行き先の違う複数の話が束になっています。預金に届くのと、住宅ローンに届くのと、株価に効くのとでは、経路もタイミングも別物です。

正直なところ、ニュースの見出しだけでは自分の資産のどこを点検すればいいのか判断できません。そこで、政策金利という1つの数字が、どんな順番で、どのくらいの時間をかけて、それぞれの資産に届くのかを分解して整理します。

2026年6月の決定で何が変わったのか?

日本銀行は2026年6月15〜16日に開いた金融政策決定会合で、無担保コールレート(金融機関どうしが1日だけお金を貸し借りするときの金利。これが政策金利の操作目標です)の誘導目標を「0.75%程度」から「1.0%程度」へ0.25%引き上げることを決めました。採決は賛成7・反対1です。

あわせて、長期国債の買入れ額を2027年4月以降は月間2兆円程度とする計画も決定しています。買入れの減額をここで止める、という内容です。政策金利が1%台に乗るのは1995年以来、約31年ぶりになります。

背景として説明されているのは、2026年の春闘で大企業から中小企業まで3年連続の高水準の賃上げが確定し、日銀が条件として挙げていた「賃金と物価の好循環」が整ったという判断です。

2026年6月会合の決定内容
  • 政策金利の誘導目標を0.75%程度→1.0%程度へ(0.25%引き上げ)
  • 採決は賛成7・反対1
  • 長期国債の買入れ額は2027年4月以降、月間2兆円程度に
  • 政策金利1%台は1995年以来、約31年ぶり

政策金利はどの経路で自分の資産に届くのか?

ここが本題です。政策金利は、それ自体が私たちの手元にある数字ではありません。銀行の資金のやりとりの値段が動き、それが順番に別の金利へ伝わっていきます。水道の元栓をひねると、各部屋の蛇口に届くまでに時間差があるのと同じ構図です。

大きく分けると、届き先は4つです。

経路間に入るもの届き先
①預金銀行の調達コスト普通預金・定期預金の金利
②借入短期プライムレート変動型住宅ローンの基準金利
③長期金利10年国債の利回り固定型ローン金利・国内債券投信の基準価額
④株式企業の利ざや・借入コストセクターごとの値動きの差

この4本は同時に動くわけではありません。①はすでに発表済み、②は数か月後、③は決定前から先回りして動いている、という具合に時間軸がばらばらです。以下、1本ずつ確認します。

預金金利はいくらになったのか?

いちばん分かりやすく、いちばん早く数字が出たのが預金です。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクは、円普通預金金利を0.30%から0.40%へ引き上げると発表しました(2026年8月3日適用)。三菱UFJ銀行と三井住友銀行にとっては、旧行時代の1992年以来、約34年ぶりの水準です。

仕組みとしては、政策金利が上がると銀行がお金を集めるコストも上がるため、預金者に払う店頭金利が段階的に引き上げられます。政策金利の上げ幅0.25%がそのまま同じ幅で預金に乗るわけではない点は、実際の数字(0.10%の引き上げ)を見れば分かります。

定期預金では引き上げ競争も進んでいます。5年物定期でSBI新生銀行・三井住友信託銀行が1.6%へ引き上げ、それまで首位だったあおぞら銀行の1.5%を上回る動きが2026年6月時点で見られました。ただしこの水準は特定商品・特定条件のもので、誰でも自動的に受け取れる金利ではありません。適用条件・預入期間・中途解約時の扱いは商品ごとに必ず確認してください。

預金金利だけを見て動くと損をする場面もあります

金利が上がったからといって、投資に回していた資金を定期預金へ移せば有利になるとは限りません。物価の上昇率が預金金利を上回っていれば、額面が増えても購買力は目減りします。預金金利は「増えた・減った」ではなく、物価と並べて見る数字です。

住宅ローンの返済額はいつから変わるのか?

ここが誤解の多いところです。利上げのニュースが出た翌月から返済額が増えるわけではありません。

変動型住宅ローンの基準金利は、短期プライムレート(銀行が優良企業へ1年以内の期間で貸すときの最優遇金利)に連動しています。金融機関はこれを春と秋の決まった時期に見直すため、6月の利上げが基準金利へ反映されるのは各行の秋の見直し(通常10月頃)を経てからとなります。

  1. 政策金利の引き上げ(2026年6月)短期プライムレートに上昇圧力がかかります。
  2. 各行の基準金利見直し(通常10月頃)金融機関が変動型の基準金利を改定します。
  3. 返済額への反映(2027年1月以降の返済分が一般的)銀行・契約内容によって時期は異なります。

幅の目安としては、政策金利が0.25%上がったことに対し、変動型の基準金利も年0.25%程度引き上げられる動きが多いとされています。なお2026年春の見直し時点で、各行はすでに基準金利・プライムレートの引き上げを実施済みです。

なお変動型には、金利が上がっても毎月の返済額をすぐには変えない緩和ルールを設けている契約があります。返済額の見直しを5年ごとに行う「5年ルール」と、見直しても直前の返済額の1.25倍を上限とする「125%ルール」です。返済額の上昇は抑えられますが、その間に払いきれなかった利息は残るため、負担が消えるわけではありません。自分の契約にこのルールがあるかどうかで、家計に効いてくる時期が変わります。

固定型は事情が違います。固定型の金利は長期金利(10年国債の利回り)に連動するため、会合の決定を待たずに、市場が先に反応して動く傾向があります。市場では、こうした「決定される前から予想して価格に反映させておく」ことを織り込むと言います。「決定日に固定型が動かなかった」のは、すでに動き終えていたから、という場合があるわけです。

変動型を借りている人が今できる確認
  • 契約書で基準金利の見直し時期(年2回か年1回か)を確認する
  • 返済額の見直しルール(5年ルール・125%ルールの有無)を確認する
  • 適用金利が「基準金利−優遇幅」で決まっているか、優遇幅は固定かを確認する
  • 秋の見直し後に届く金利変更の通知を捨てずに読む

株式は上がるのか、下がるのか?

🤔
金利が上がると株は下がるって聞いたけど、銀行株は上がってたような…

金利上昇は株式市場全体を一方向へ動かすというより、セクターごとにプラスとマイナスへ振り分ける力として働きます。

プラス方向に意識されやすいのが銀行・保険などの金融です。銀行は貸出金利で受け取り、預金金利で支払っています。この受け取りと支払いの差を利ざやと呼び、金利が上がる局面ではこの差が広がりやすくなります。6月の利上げ観測が強まった局面では、その期待からメガバンク・地方銀行の株価が上昇しました。資産運用事業の収益拡大への期待も重なり、市場では銀行の過去最高益更新の観測が続いていると報じられています。

マイナス方向に振れやすいのが不動産や、REIT(投資家から集めたお金でオフィスやマンションなどの不動産を保有し、その賃料収入を分配する上場商品)、高配当株です。借り入れの利息負担が増えることに加え、預金や債券の利回りが上がると、配当利回りの相対的な魅力が薄れるためです。

ただし、この構図がそのまま続くと決めつけるのは危険です。野村證券のストラテジスト分析では、利上げが実現した後は銀行株への注目度を引き下げ、金利上昇がまだ株価に織り込まれていない不動産株などへ関心を移す、という視点も示されています。これは2026年時点の一つの見方であって、将来そうなると決まった前提ではありません。市場に出回る予想を読むときは、誰の・いつ時点の見方かをセットで確認する習慣が要ります。

「金利上昇=金融株」で機械的に動かないこと

利上げが事前に予想されていた場合、その期待はすでに株価へ織り込まれている(予想の段階で買われ、株価に反映され終えている)ことがあります。決定が出てから買っても、期待していた材料が出そろってしまい、そこから下げる展開は珍しくありません。セクターの傾向は判断の材料の一つであって、売買の合図ではないと考えてください。個別銘柄の選択は自己責任で行う必要があります。

投資信託の基準価額はどう影響を受けるのか?

投資信託は中身によって効き方が変わります。ここで押さえておきたいのが、債券の価格と金利は逆方向に動くという関係です。

すでに発行されている債券は利率が決まっています。世の中の金利が上がって新しく発行される債券の利率が高くなると、古い低い利率の債券は相対的に魅力が下がり、価格が下がります。金利上昇=債券価格の下落、という関係はこの仕組みから来ています。

今回は政策金利の引き上げに加えて長期国債の買入れ減額も決まっているため、いずれも長期金利の上昇圧力となり、国内債券を中心に組み入れた投資信託は基準価額が下がりやすい局面になります。バランス型ファンドを持っている人は、目論見書(その投資信託の運用方針や投資対象、費用が書かれた説明書。証券会社の商品ページから閲覧できます)や月次レポートで国内債券の組入比率を一度確認しておくと、値動きの理由が説明できるようになります。

為替を通じた影響もあります。日本の金利が上がると日米の金利差が縮まるため、理屈のうえでは円高方向へ振れやすくなります。円高は外貨建て資産の円換算額を押し下げる方向に働くので、外国株式・外国債券のファンドはこの経路で影響を受けます。ただし為替は金利差だけで決まるものではなく、2026年6月時点の具体的な変動幅については確認できた一次情報がないため、ここでは数値を挙げません。

自分の資産をどう点検すればいいのか?

ニュースを受けて売買を急ぐ必要はありません。まず、自分が持っているものが4つの経路のどこに乗っているのかを仕分けるところからです。

  1. 預金を書き出す普通預金・定期預金それぞれの残高と適用金利を確認します。定期は満期日も控えておきます。
  2. 借入を確認する住宅ローンがあれば変動型か固定型か、変動型なら見直し時期と現在の適用金利を契約書で確認します。
  3. 投信の中身を開く月次レポートで、国内債券・外国債券・株式の比率を確認します。値動きの原因が説明できる状態にします。
  4. 株式の保有セクターを並べる金融・不動産・高配当がどのくらいの比率かを見ます。偏りがあれば把握しておきます。
  5. 判断は次の会合まで持ち越す1回の決定で全部を組み替えないこと。仕分けができていれば、次に金利が動いたとき何を見るべきかが決まります。

この手順の目的は、売買の答えを出すことではなく、次のニュースを自分の資産の言葉に翻訳できる状態を作ることです。金利の局面は上下どちらにも変わり得ます。仕分けの表さえ持っていれば、どちらへ動いても同じやり方で読めます。

投資判断についての注記

本記事は金融政策と資産への波及のしくみを整理した教育目的の内容であり、特定の銘柄・商品・売買タイミングを推奨するものではありません。投資は自己責任であり、元本は保証されません。掲載した数値は各出典の公表時点のものです。預金金利・ローン金利・商品の適用条件は変更されることがあるため、実際の判断にあたっては各金融機関の最新の公表内容をご確認ください。

よくある質問

2026年6月の日銀の決定で政策金利はいくらになりましたか?

日本銀行は2026年6月15〜16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(政策金利)の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へ0.25%引き上げることを決定しました。採決は賛成7・反対1で、政策金利が1%台になるのは1995年以来約31年ぶりです。

利上げで普通預金の金利はどのくらい上がりましたか?

三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクは、円普通預金金利を0.30%から0.40%へ引き上げると発表しました(2026年8月3日適用)。三菱UFJ銀行と三井住友銀行にとっては旧行時代の1992年以来、約34年ぶりの水準です。

変動型住宅ローンの返済額はいつから増えますか?

変動型の基準金利は短期プライムレートに連動し、金融機関が春・秋の決まった時期に見直します。2026年6月の利上げは各行の秋の見直し(通常10月頃)を経て反映され、返済額に表れるのは2027年1月以降の返済分からとなるのが一般的です。時期は銀行や契約内容によって異なります。

金利が上がると株価は下がるのですか?

市場全体が一方向に動くというより、セクターごとに影響が分かれます。銀行・保険などの金融は貸出金利と預金金利の差(利ざや)が広がるとの期待からプラスに、不動産やREIT(不動産を保有して賃料収入を分配する上場商品)、高配当株は借入コストの増加と配当利回りの相対的な魅力低下からマイナスに振れやすいとされています。ただしこれは一般的な傾向であり、実際の値動きは事前にどこまで株価へ反映されていたかにも左右されます。

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