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ナンピン買いとは?単価を下げても損が拡大する理由

2026年7月15日|いろは堂投資編集部
株価チャートを表示するイメージ

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
ナンピン買いは、値下がりした保有株を買い増して平均取得単価を下げる手法です。単価が下がるのは計算上の事実ですが、利益になるのは株価が下がった後の平均単価を上回った場合だけで、下落が続けばポジションと含み損の絶対額はむしろ膨らみます。回数は2〜3回程度にとどめる、損切りラインを先に決めるといった事前ルールが前提になります。
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買った株が下がってる…。ここで買い増せば平均単価が下がって、戻ったときに助かるって聞いたけど、本当?

平均取得単価が下がること自体は、計算上まちがいなく起こります。1,000円で100株持っているときに800円で100株足せば、平均は900円になる。ここに疑問の余地はありません。

問題は、その先で何が起きるかです。単価が下がったぶん「戻るべき株価」も下がりますが、同時に投じたお金と含み損の金額は増えています。この2つを別々に見ないと、ナンピン買いは「損が減る魔法」に見えてしまいます。正直なところ、この誤解が資金を溶かす入口になります。

ナンピン買いとは?

ナンピン買い(難平買い)とは、保有している株式が値下がりしたときに同じ銘柄を追加で購入し、平均取得単価を引き下げる手法です。三井住友DSアセットマネジメントや大和証券の用語解説でも、同じ意味で説明されています。

ここで押さえておきたいのは、ナンピン買いが「損を消す操作」ではなく損益分岐点となる株価を引き下げる操作だという点です。含み損そのものが減るわけではありません。

平均取得単価はどう計算する?

計算式はひとつだけです。

平均取得単価の計算式
  • 平均取得単価 = 総取得金額 ÷ 保有株数の合計
  • 総取得金額 = 各回の「購入株数 × 購入単価」の合計

数値を入れてみます。1,000円で100株を買ったあと、株価が800円に下がった時点でもう100株を買い増した場合です。

1回目1,000円 × 100株 = 100,000円
2回目800円 × 100株 = 80,000円
合計180,000円 ÷ 200株 = 平均取得単価900円

上の計算のとおり、平均取得単価は1,000円から900円になりました。株価が900円まで戻れば損益はゼロ、それを超えれば利益です。買値の1,000円まで戻るのを待たなくてよくなる——これがナンピン買いの狙いです。

業績が健全な企業の一時的な下落など、反発が見込める場面ではこの狙いが機能することもあります。

それでも「資金が尽きる」のはなぜ?

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単価が下がるなら、下がるたびに買い足せばいいのでは?

買い足すたびに、その銘柄に置いたお金が増えていきます。さきほどの例で株価がさらに700円まで下がったとしましょう。1回目だけなら含み損は3万円(1,000円→700円 × 100株)ですが、900円の平均単価で200株を持っていれば含み損は4万円(900円→700円 × 200株)です。単価は下がったのに、失っている金額は増えています。

ここが「平均単価が下がる」という計算の正しさと、実際の資産の増減がズレるところです。株価がその平均単価を上回らない限り、利益にはなりません。相場全体が長期の下落局面にあるときや、企業業績の悪化で下げ止まりが見えないときには、ナンピンは損失を広げる方向に働きます。

そして買い増しには現金が要ります。3回目、4回目と続けるうちに、手元の投資資金は1つの銘柄に吸い込まれていく。反発したときに買う余力も、別の銘柄に分散する余力も残りません。「下がったから買う」という根拠のない、計画のないナンピンは自滅的な投資行動につながりやすいと指摘されています。

向いていないケースもあります

下落の理由を説明できない場合、ナンピン買いは向いていません。「なぜ下がっているか」がわからないまま買い増すのは、下げ止まりの根拠がないまま資金を積むことと同じです。また、投資資金の大部分をすでに1銘柄に入れている状態なら、次の一手は買い増しではなく、そのポジションをどうするかの判断になります。

実行するなら、何を先に決める?

ナンピン買いを検討するなら、買い増しボタンを押す前に決めておく項目があります。順番に書き出してみてください。

  1. 回数の上限を決める一般的な目安として、ナンピンの回数は2〜3回程度にとどめるべきとされています。それ以上繰り返すと、資金が1銘柄に集中しすぎて分散投資を放棄した状態になります。
  2. 1銘柄に入れる資金の上限を決める「投資資金全体のうち、この銘柄には最大でいくらまで」を金額で書いておきます。回数の上限とセットで決めると、1回あたりに使える金額が自動的に決まります。
  3. 買い増す株価の水準を決める「下がったら」ではなく「◯円まで下がったら1回目の買い増し」と、あらかじめ価格で決めます。感情ではなく数値がトリガーになります。
  4. 損切りラインを同時に決める事前にロスカット(損切り)のルールを決めておき、下落が想定を超えた場合は機械的に損切りする。これがリスクをコントロールする前提とされています。買い増しの計画と損切りの計画は必ずセットです。
  5. 紙かメモに残す決めた内容を残しておかないと、含み損を見ている最中の自分が上書きしてしまいます。投資の記録と一緒に置いておくと見返せます。

この5つのうち、実行を止めるのは4番目です。買い増しの計画だけを作って損切りを決めないと、上限回数に達したあと「もう1回だけ」を許す余地が残ります。

現物と信用取引で、何が違う?

ナンピン買いのリスクの大きさは、現物株か信用取引かでまったく別物になります。ここは混同しないでください。現物株は手元の現金で株を買う取引、信用取引(しんようとりひき)は証券会社に証拠金(担保として預けるお金)を預け、それを担保に資金を借りて手元資金より大きな金額の売買を行う取引です。

現物株信用取引
資金の限界手元の現金がなくなれば買い増せなくなる証拠金を担保に、手元資金を超えた金額のポジションを持てる
含み損が拡大したとき保有し続ける判断は自分でできる追加証拠金(追証)を求められることがある
最悪のケース投じた金額を失う追証を納められず強制決済。証拠金を超えた損失は借金となる

信用取引では、証拠金を超える損失が生じるとその超過分が投資家の借金になります。相場が急変した局面ではロスカットが想定どおり機能せず、証拠金がマイナスになる事例も報告されています。実際に、信用取引の損失拡大で追証の入金のためにさらに借入をした結果、債務整理に至ったケースが弁護士事務所により報告されています。

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現物でも信用でも、同じ「買い増し」に見えていました…

操作は同じでも、失敗したときに残るものが違います。現物株のナンピンで起きるのは「追加購入できる現金がなくなる」ことであり、それ自体が借金にはなりません。信用取引の場合はここに追証と借金化のリスクが加わります。ナンピンの解説を読むときは、それが現物の話か信用の話かを必ず確認してください。

ナンピン買いと積立、何が違う?

「下がったところで買う」という点だけを見ると、ナンピン買いは積立投資と似て見えます。違うのは、判断の起点です。

積立は、株価がいくらであっても決めた日に決めた金額を買います。買うかどうかを相場のたびに考えません。ナンピン買いは、値下がりという出来事を見てから買うかどうかを決めます。後者は毎回「今が底かどうか」を判断していることになります。

この違いを意識しておくと、自分がやろうとしているのがルールに沿った買い付けなのか、その場の判断なのかを切り分けられます。切り分けられないまま回数だけが増えているなら、それは計画的なナンピンではありません。

投資に関するご注意

本記事は投資手法の教育・解説を目的としたものであり、特定の銘柄の推奨や投資助言、売買の勧誘を行うものではありません。投資は自己責任です。株式投資に元本保証はなく、株価の下落により投資した資金を失う可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任と判断で行ってください。

よくある質問

ナンピン買いをすると含み損は減りますか?

減りません。ナンピン買いで下がるのは平均取得単価であり、損益分岐点となる株価が下がるだけです。株価がさらに下落した場合、保有株数が増えているぶん含み損の金額はむしろ大きくなります。

ナンピン買いは何回まで行ってよいですか?

一般的な目安として2〜3回程度にとどめるべきとされています。それ以上繰り返すと資金が1銘柄に集中しすぎ、分散投資を放棄した状態になるためです。回数の上限は買い増しを始める前に決めておきます。

現物株のナンピン買いで借金を負うことはありますか?

現物株のみでのナンピン買いでは借金にはなりません。追加購入できる現金がなくなるだけです。ただし、証拠金(証券会社に担保として預けるお金)を元に資金を借りて売買する信用取引でナンピンを行う場合は、含み損の拡大により追加証拠金(追証)が求められ、証拠金を超えた損失は投資家の借金となるリスクが加わります。

1,000円で100株買った株が800円になり、100株買い増すと平均取得単価はいくらですか?

900円です。総取得金額は1,000円×100株+800円×100株=180,000円、保有株数は200株で、180,000円÷200株=900円となります。株価が900円まで戻れば損益はゼロになります。

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