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国債利回り3%と配当利回り、税引き後でどちらが多い?

2026年10月15日|いろは堂投資編集部
誰もいない室内の机に電卓とノートとパソコンが置かれている様子

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
上場株式の配当と国債の利子は、どちらも20.315%の税率で課税されます。そのため特定口座・一般口座どうしの比較なら、表面利率と配当利回りをそのまま並べた大小関係が税引き後にもそのまま残ります。前提が変わるのはNISA口座を使っている場合で、配当だけが非課税になるため、国債側に(1-20.315%)を掛けて同じ土俵に乗せ直す必要があります。
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国債の金利が3%台って聞いたんですが、配当利回り4%の株を持ち続ける意味、まだありますか?

国債の利回りは、2026年に入って約30年ぶりの水準まで上がりました。新発10年国債の利回りは2026年9月1日に3%を突破し、9月25日には一時3.115%を付けています。2026年10月6日の10年国債入札では表面利率が年3.1%に決まり、これは1996年8月21日の入札以来の高さです。背景には原油高によるインフレ懸念と、米長期金利の上昇圧力の波及があるとされています。

こうなると、株価の上下を気にしながら受け取っていた配当と、ほぼ値動きを気にせず受け取れる利子の差が縮まって見えます。ただ、ここで「3.1%対4%だから株のほうが上」と即断するのも、「国債のほうが安全だから乗り換え」と動くのも早いところです。比べるべきは、自分の口座で実際に手元に残る金額です。

以下では、年間配当と年間利子を同じ税率で割り戻し、100万円あたりの受取額を円単位まで出す手順をたどります。最後に、計算が終わったあと何をするか(何もしないという選択を含めて)も整理します。

配当と国債の利子は、同じ税率で課税される?

先に税金の前提をそろえておきます。上場株式等の配当金を特定口座や一般口座で受け取ると、振り込まれる前に税金が差し引かれます。

税目税率
所得税15%
住民税5%
復興特別所得税(所得税額の2.1%)0.315%
合計20.315%

野村証券の公表データをもとに作成

3つを合わせた20.315%が、配当から引かれる税率です。このうち復興特別所得税は所得税額の2.1%にあたるもので、2037年まで続きます。

一方、国債の利子(個人向け国債・新発債)も原則20.315%が受け取り時に引かれ、それで課税が終わります(源泉分離課税といい、確定申告をしなくても納税が完結する仕組みです)。所得税15.315%と住民税5%で、合計は配当と一致します。

つまり課税口座どうしの比較なら、表面利率と配当利回りをそのまま並べた大小関係は、税引き後もそのまま残ります。どちらも同じ比率で削られるためです。「税引き後だと逆転するのでは」という心配は、この条件下では不要です。

前提が崩れるのは、株をNISA口座で持っている場合です。NISA口座内の配当・分配金は非課税なので、配当は100%受け取れるのに国債の利子だけ20.315%引かれる、という非対称が生まれます。この場合だけは、割り戻しの作業が必要になります。

税引き後の受取額を円で出す手順は?

実際の作業は4ステップです。電卓かスプレッドシートを開いて、保有株の年間配当額と株価を手元に置いてください。

  1. 保有株の配当利回りを出す年間配当金 ÷ 現在の株価。証券会社の銘柄画面に表示されている数値を使ってもかまいませんが、その数字が「いつの株価を基準にしたものか」を必ず確認します。株価が動けば利回りも動きます。
  2. 配当側に (1 - 0.20315) を掛ける課税口座なら 0.79685 を掛けます。NISA口座で保有しているぶんは掛けません(非課税のため、表示利回りがそのまま手取り利回りです)。
  3. 国債側の利率を確認して、同じく 0.79685 を掛ける固定利付国債なら表面利率(クーポン=額面に対して年に何%の利子が付くかを示す率)、個人向け国債なら募集時の適用利率を使います。個人向け国債は課税口座での保有になるため、ここは必ず掛けます。
  4. 同じ投資額を当てはめて円で比べる100万円など、きりのいい金額で揃えます。パーセントのままだと差が小さく見えますが、円にすると「年に何千円の違いか」が見えて判断しやすくなります。

100万円を当てはめた計算例

2026年10月募集分の個人向け国債 固定5年(年2.39%)と、配当利回り4.0%の株を課税口座で持っている場合で計算します。いずれも特定の銘柄を薦めるものではなく、計算の手順を示すための数値例です。

国債に100万円を入れた場合、税引前の年間利息は 1,000,000 × 2.39% = 23,900円。これに0.79685を掛けて、税引き後は約19,045円です。

配当利回り4.0%の株に100万円なら、税引前の年間配当は40,000円。同じく0.79685を掛けて、税引き後は約31,874円になります。

差は年間で約12,829円。この条件では税引き後でも株側の受取額が上回りますが、これは株価の変動と減配の可能性を引き受けた上での利回りです。国債側の約19,045円は、発行体が日本国で、元本が大きく割れない設計のもとでの金額です。同じ「年利回り」という言葉でも、背負っているものが違います。

2026年10月募集の個人向け国債は、どんな条件?

国債側の数字を自分で確認するときは、募集中の発行条件を見ます。

種類初回適用利率/利率募集期間発行日
変動10年年2.05%2026年10月8日〜10月30日2026年11月16日
固定5年年2.39%2026年10月8日〜10月30日2026年11月16日
固定3年年2.07%2026年10月8日〜10月30日2026年11月16日

ゆうちょ銀行の公表データをもとに作成

上の表で目を引くのは、固定5年(2.39%)が変動10年(2.05%)を上回っている点です。変動10年は半年ごとに適用利率を見直す仕組みで、基準は10年固定利付国債の利回りです。参考までに、2026年7月募集の変動10年(第196回債)の初回適用利率は年1.80%(税引後 年1.4343300%)でした。

この利率は募集月ごとに変わるため、比較に使うなら「どの募集回の数値か」を記録しておきます。1万円単位で購入でき、実勢金利が下がっても最低金利0.05%が保証されます。

計算前にメモしておく4つ
  • 保有株の年間配当額と、基準にした株価(と、その日付)
  • その株を課税口座とNISA口座のどちらで持っているか
  • 比較対象にする国債の種類と、募集回・利率
  • 揃える投資額(100万円など)

NISA口座で持っている場合、比較はどう変わる?

NISA口座内の配当は非課税です。配当利回り4.0%の株をNISAで100万円分持っていれば、年間40,000円がそのまま受け取れます。これに対して個人向け国債 固定5年の税引き後は約19,045円ですから、差は約20,955円まで開きます。

手順2で割り戻しを飛ばすだけなので計算自体は簡単ですが、ここを間違えると比較が逆方向に歪みます。国債の利率をNISAの配当とそのまま並べると、国債側を2割ほど高く評価してしまいます。国債側には必ず0.79685を掛けてください。

なお米国ETFなど海外の配当には現地の源泉税がかかります(米国ETFは10%)。NISA口座では外国税額控除(海外で引かれた税金を日本の税金から差し引いて二重課税を調整する仕組み)が使えないため、手取りがそのぶん目減りします。保有しているものが国内株か海外資産かで、割り戻す税率が変わる点に注意してください。

利回りの数字だけで決めてよい?

🤔
税引き後でも株のほうが多いなら、そのまま持っていればいいんですよね?

受取額の比較は判断材料の一つで、それだけで結論は出ません。配当利回りは「年間配当 ÷ 株価」なので、株価が下がれば自動的に上がります。利回りが高く見える理由が業績悪化による株価下落なら、次の期に減配されて利回りそのものが消えることもあります。

一般的な解説では高配当株の目安を配当利回り3.5〜4%以上とすることが多いものの、利回りだけで選ぶと減配・株価下落・税負担によって想定と違う結果になりやすいと指摘されています。配当の持続性、財務状況、増配実績、税引き後利回り、業種の分散まで合わせて見る必要があります。

個人向け国債の側にも性質があります。発行後1年が経過すればいつでも途中換金できますが、直前2回分の各利子相当額×0.79685が差し引かれます。発行日まで資金が拘束される点(2026年10月募集分なら発行日は11月16日)も、使い道が決まっているお金なら考慮が必要です。

この比較が向いていないケースもあります

数年以内に使う予定が決まっているお金では、そもそも利回りの比較より「必要な時期に必要な額があるか」が優先されます。また、配当を受け取る目的ではなく値上がりを狙って持っている株は、配当利回りで国債と比べても意味のある答えが出ません。比較が効くのは「配当収入を目的に持っている課税対象の株と、同じ目的で使える資金」が対象のときです。

計算が終わったら、次に何をする?

数字が出たあと、動くか動かないかの分かれ目をはっきりさせておきます。

差が小さかった場合(年間数千円以内)。その差は株価が数%動くだけで消える大きさです。乗り換えには売却益にかかる税(譲渡益課税。上場株式なら20.315%)や手数料もかかるため、差額だけを理由に動かす判断材料にはなりません。保有を続けて、次の配当発表や決算で持続性を確認する、という形で十分です。

株側が明確に上回った場合。その利回りが何に支えられているかを確認する作業に進みます。配当性向(利益のうち何%を配当に回しているかの割合)、営業キャッシュフロー(本業で実際に入ってきた現金の額)、過去の配当実績が見るところです。株価下落で利回りが上がっているだけなら、数字の見え方と中身がずれています。

国債側が上回った、または差が逆転した場合。保有株の全部を動かす必要はありません。配当目的の保有のうち一部を国債に振り向けると、ポートフォリオ全体の値動きが小さくなります。個人向け国債は1万円単位で買えるため、金額の調整がしやすいのも実務上の利点です。

何もしないという選択。比較してみて今の配分に納得がいったなら、それも結論です。やることは、使った数値(株価の日付・利率の募集回)を記録して、次の配当発表のタイミングで同じ計算をやり直せる状態にしておくことだけです。長期金利の水準は動きますし、個人向け国債の適用利率も募集月ごとに変わります。一度の計算で決着する話ではなく、半年に一度の見直し作業として回すものと考えておくと扱いやすくなります。

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金額で見ると、思っていたより差が小さかったです。

パーセントのままだと3.1%と4.0%は大きく違って見えますが、100万円あたりの手取りに直すと年1万円台の差です。この感覚が持てると、金利のニュースを見るたびに落ち着かなくなることは減ります。

投資判断は自己責任で行ってください。株式には元本保証がなく、配当は減配・無配になる可能性があります。個人向け国債も、途中換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれます。ここで示した数値は計算手順を説明するための例であり、特定の商品や銘柄を薦めるものではありません。

よくある質問

配当と国債の利子で税率は違いますか?

どちらも原則20.315%です。上場株式等の配当金は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%(2037年まで)の合計20.315%、国債の利子も所得税15.315%と住民税5%で合計20.315%が受け取り時に引かれて課税が完結します。税率が同じため、課税口座どうしなら表面利率と配当利回りをそのまま比べた大小関係が税引き後も変わりません。

税引き後の受取額はどう計算しますか?

利回りや表面利率に (1 - 0.20315) = 0.79685 を掛け、同じ投資額を当てはめて円に直します。たとえば個人向け国債 固定5年(2026年10月募集分は年2.39%)に100万円なら税引前23,900円で税引き後は約19,045円、配当利回り4.0%の株に100万円なら税引前40,000円で税引き後は約31,874円です。

NISA口座で株を持っている場合は計算が変わりますか?

変わります。NISA口座内の配当・分配金は非課税なので、配当側には0.79685を掛けず表示利回りをそのまま使います。一方で個人向け国債は課税口座での保有になるため、国債側には0.79685を掛けて税引き後に直したうえで比べてください。掛け忘れると国債の利回りを2割ほど高く評価してしまいます。

2026年10月募集の個人向け国債の利率はいくらですか?

変動10年の初回適用利率が年2.05%、固定5年が年2.39%、固定3年が年2.07%です。募集期間は2026年10月8日から10月30日まで、発行日は2026年11月16日です。1万円単位で購入でき、実勢金利が下がっても最低金利0.05%が保証されます。発行後1年が経過すれば途中換金できますが、直前2回分の各利子相当額×0.79685が差し引かれます。

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