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移動平均線とは?5日・25日・75日の使い分け

2026年5月25日|いろは堂投資編集部
NASDAQ株価表示パネル(タイムズスクエア)

画像出典: 写真: bfishadow on Flickr(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
移動平均線は、一定期間の終値を平均した数値を結んだ線です。日足では5日(約1週間)・25日(約1カ月)・75日(約3カ月)が一般的で、短期線が長期線を下から上に抜けるのがゴールデンクロス、上から下に抜けるのがデッドクロスと呼ばれます。ただしレンジ相場ではクロスが機能しにくく「だまし」になりやすいため、クロスの瞬間だけで判断しないのが基本です。
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チャートに何本も線が引いてあるけど、あれって結局なんの線なんだろう…

証券会社のチャート画面を開くと、ローソク足の上に色違いの線が2〜3本重なっています。設定を見ると「5」「25」「75」といった数字が並んでいて、初期設定のまま触っていない、という方は多いはずです。

この線は移動平均線といって、株価そのものではなく「平均した株価」を描いたものです。何を平均しているのか、数字の違いは何なのかがわかると、線の傾きや交わり方が急に意味を持って見えてきます。正直なところ、ここは計算式を1回だけ手で追えば腹落ちする種類の話です。

移動平均線とは?何を平均した線なのか

移動平均線は、ある一定期間の株価の各終値を平均化して、その数値を結んでいった線です。期間を決めたうえで、日が進むごとに一番古い終値を計算から外し、新しい終値を加えて、平均を計算し直していきます。この「ずらしながら平均する」動きが「移動」平均という名前の由来です。

5日移動平均線であれば、計算に使うのは直近5営業日の終値です。仮に終値が100円・102円・101円・104円・103円と並んだ日があれば、合計510円を5で割った102円が、その日の5日移動平均線の値になります。翌日は先頭の100円を外して、新しい終値を末尾に加えて、また5つの平均を出す。これを毎日繰り返した点をつないだものが、チャート上の線です。

計算の手順(5日線の例)
  • 直近5営業日の終値を並べる
  • 5つを合計して5で割る(=その日の平均値)
  • 翌日は最も古い1日を外し、新しい終値を加えて計算し直す
  • 毎日の平均値を点として結ぶ

平均であるという性質から、線の意味は素直に読めます。株価が移動平均線より上にあるなら、直近その期間に買った人の平均的な取得価格を今の株価が上回っている、という状態です。線が上向きなら、期間内の平均が切り上がっている=買い直された日が増えている、ということになります。

🤔
じゃあ、なんで線がガタガタじゃなくて滑らかなの?

平均は、その期間の中の極端な1日を薄める働きをします。ある日だけ大きく下げても、5日分の平均なら影響は5分の1になり、75日分なら75分の1です。期間が長い線ほど値動きの凹凸がならされて滑らかになり、方向が変わるまでに時間がかかる——これが、次に出てくる期間の使い分けの土台になります。

5日・25日・75日はどう使い分ける?

日足チャートでは、5日・25日・75日という設定が一般的です。株式市場は土日祝が休みなので、数字はそのままカレンダーの区切りに対応しています。

期間対応する長さ読み取れること
5日線およそ1週間直近の短期的な勢い。値動きに素早く反応する
25日線およそ1カ月1カ月程度の流れ。短期と中期の中間の目安
75日線およそ3カ月中期のトレンド。細かい上下に振られにくい

証券会社各社の一般的な解説をもとに作成

上の表のとおり、1週間はおよそ5営業日、1カ月はおよそ20日強、3カ月はその3倍という換算です。期間の違いは「どのくらいの時間軸の話をしているか」の違いなので、5日線が下を向いていても75日線が上を向いていれば、それは「1週間は弱いが3カ月では上向きが続いている」という状態を示しているだけで、矛盾ではありません。複数の期間を同時に表示するのは、時間軸の違う見方を1枚のチャートに重ねるためです。

チャートの時間軸と線の単位はそろえる

もうひとつ、設定で外しやすい点があります。原則として、日足チャートには日単位の移動平均線、週足チャートには週単位の移動平均線を使うのが基本とされています。週足チャートに「75」と入れると、それは75週=1年半近くの平均になり、日足の75日線とはまったく別の時間軸の線になります。証券会社のチャート設定画面で期間の数字を変えるときは、今どの足種を表示しているかを必ず確認してください。

ゴールデンクロス・デッドクロスとは?

移動平均線を2本表示すると、線同士が交わる場面が出てきます。この交差には名前が付いています。

2つのクロスの定義
  • ゴールデンクロス:計算期間の短い移動平均線が、長い移動平均線を下から上へ突き抜けること。一般に「買いシグナル」とされる
  • デッドクロス:計算期間の短い移動平均線が、長い移動平均線を上から下へ突き抜けること。一般に「売りシグナル」とされる
株価チャートに2本の移動平均線を重ねた模式図。緩やかに下降してから横ばい・上昇へ転じるオレンジ色の線に、下値圏の赤い線が上から抜けていく位置に緑色で「buy」と注記されている。
短期線が長期線を上抜けるクロスオーバーの模式図(出典: Henry Larkin(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

上の図では、なだらかに描かれたオレンジの線が長期線、下値圏で細かく動く赤い線が短期線にあたります。赤い線がオレンジの線を上へ抜けたあたりに「buy」と書かれているのが、ゴールデンクロスとされる位置です。目盛りや日付のない模式図ですが、位置関係だけを見れば十分で、上下が逆になったものがデッドクロスです。

チャート上で交差している2本のうち、細かく波打っているほうが短期線です。短期線は値動きにすぐ反応して上下するため、なだらかな長期線を追い越したり追い抜かれたりします。この追い越しが起きた点が、それぞれのクロスにあたります。

なぜ交差が注目されるのかは、計算の中身に戻ると理解できます。短期線が長期線を上抜くというのは、直近1週間の平均価格が、直近1カ月の平均価格を上回ったということです。つまり、最近買った人たちの平均コストが、少し前から持っている人たちの平均コストより高くなった。それだけ直近の買いが強かった、という事実の言い換えになります。デッドクロスはその逆で、直近の平均が過去の平均を下回った状態です。

  1. 2本の線を確認するどちらが短期線でどちらが長期線か、色と期間設定を先に確かめます(5日と25日、25日と75日など)。
  2. 交差の向きを見る短期線が下から上なのか、上から下なのかで名前が変わります。長期線が短期線を抜くのではありません。
  3. 交差した位置を見る株価が長く下げた後の安値圏なのか、上げ続けた後の高値圏なのかで、同じ交差でも意味合いが変わってきます。
  4. 交差の後の値動きを見るここが次の章の「だまし」に直結する部分です。

「だまし」はなぜ起きる?どう向き合うか

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ゴールデンクロスが出たのに、次の日から下がっていったんだけど…

シグナルが出たのに想定と逆に動くことは、テクニカル分析の解説でも「だまし」として繰り返し取り上げられています。短期線が長期線を下から上へ抜けた直後にすぐ戻ってしまうケースは実際に起きており、クロスの瞬間だけで即断せず、値動きの継続性を確認する必要があるとされています。QUICK Money Worldの記事でも、ゴールデンクロス発生後に反落した具体例が解説されており、クロスの発生が即座の上昇を意味するわけではないことが強調されています。

レンジ相場では特に機能しにくい

だましが起きやすい典型的な局面として挙げられるのが、株価が一定の値幅の中を行ったり来たりするボックス圏(レンジ相場)です。この局面ではゴールデンクロス・デッドクロスが機能しにくく、むしろ逆指標になりやすいと指摘されています。

方向が定まらない相場では、2本の線がほぼ同じ水準に張りついて、短い間隔で何度も交差します。この繰り返しが起きる理由は、移動平均線の作り方そのものにあります。株価が上下に振れているだけで方向が定まっていないとき、わずかな値動きで平均どうしの上下関係が入れ替わってしまうためです。この交差は「流れが変わった」ことを示しているのではなく、単に2本の線が近くにあるだけです。移動平均線は過去の終値を平均した線なので、方向のない相場では平均どうしの上下関係も定まりません。

正直な注意点:シグナルは予測ではありません

ゴールデンクロスもデッドクロスも、あくまで「過去の終値の平均が、こういう位置関係になった」という事実の記述です。これから上がる・下がるを保証するものではありません。テクニカル分析の解説で「〜とされる」「示唆する」という表現が使われるのは、そのためです。また、以下の工夫はだましのリスクを下げるためのものであり、だましを完全に防げるものではありません。

だましのリスクを下げる確認の手順

  1. その相場に方向があるかを先に見る75日線が横ばいで、株価が同じ値幅を往復しているなら、レンジ局面である可能性が高くなります。クロスの信頼度は下がると考えます。
  2. 長期線の向きを確認する短期どうしのクロスだけでなく、期間の長い線が上下どちらを向いているかを見ます。時間軸の違う情報を重ねるのが、複数期間を表示する目的です。
  3. クロス後の数日の値動きを見る抜けた後にその位置を保っているのか、すぐ元に戻ったのかを確認します。継続性の確認が、瞬間の交差より重要とされています。
  4. 出来高(その日にどれだけの株数が売買されたか)や他の指標も併せて見る移動平均線1つで結論を出さず、他の材料と組み合わせて判断するのが一般的な扱い方です。売買が活発なときに起きたクロスかどうかは、出来高を見ると確かめられます。

初心者のうちは、クロスを「売買の合図」ではなく「チャートを詳しく見るきっかけ」として扱うほうが実態に合っています。交差が起きた日付をチャート上で確認し、その前後で何が起きていたかを振り返る——この練習を何度か繰り返すと、どんな局面でだましが出やすいかの感覚がついてきます。

今日から試せる、移動平均線の練習手順

知識として読むより、実際のチャートで1回動かしたほうが早く身につきます。証券会社のチャート画面で次の順に触ってみてください。

  1. 日足チャートを開くまずは足種が「日足」になっていることを確認します。移動平均線の期間は、この足種を前提に決めます。
  2. 線を1本だけにしてみる設定で25日線だけを表示します。線が1本だと、株価と線の位置関係・線の傾きに集中できます。
  3. 株価が線の上にある期間・下にある期間を色分けして眺める上にある間はどう動いていたか、下に抜けた後は何日くらいその状態が続いたかを、実際の日付で確かめます。
  4. 5日線を追加してクロスを探す過去1年のチャートでゴールデンクロス・デッドクロスがそれぞれ何回出ているかを数えます。数えると「意外と多い」ことに気づくはずです。
  5. その後の値動きを1つずつ確認する各クロスの後、想定どおり動いたのか、すぐ戻ったのかを記録します。だましの割合を自分の目で確認するのが、この練習の目的です。

この作業を過去のチャートで数銘柄ぶん行うだけで、「クロスが出た=買い」という単純な図式が実際には成り立たないことが体感できます。指標の限界を先に知っておくことが、指標を使ううえでいちばん実践的な準備です。

なお、こうした線の読み方は、ローソク足1本1本の見方とセットで身につけると理解が進みます。移動平均線が「期間の平均」を示すのに対し、ローソク足は「その1日の中で何が起きたか」を示すもので、役割が違うためです。

※本記事は投資教育・用語解説を目的としたもので、特定の銘柄や売買手法を推奨するものではありません。移動平均線を含むテクニカル指標は将来の値動きを保証するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。株式投資に元本保証はなく、損失が生じる可能性があります。

よくある質問

移動平均線の5日・25日・75日は何を表していますか?

日足チャートにおける営業日数を表しています。株式市場は土日祝が休みのため、5日はおよそ1週間、25日はおよそ1カ月(営業日で20日強)、75日はおよそ3カ月に対応します。期間が長い線ほど値動きがならされて滑らかになり、中期的な流れの把握に使われます。

ゴールデンクロスとデッドクロスの違いは何ですか?

計算期間の短い移動平均線が、長い移動平均線を下から上へ突き抜けるのがゴールデンクロスで、一般に買いシグナルとされます。逆に短い線が長い線を上から下へ突き抜けるのがデッドクロスで、一般に売りシグナルとされます。どちらも過去の終値の平均どうしの位置関係が入れ替わったことを示すもので、将来の値動きを保証するものではありません。

移動平均線の「だまし」とはどういう現象ですか?

シグナルが出た直後に想定と逆方向へ動いてしまうことを指します。短期線が長期線を下から上へ抜けた直後にすぐ元へ戻ってしまうケースがその代表例です。特に株価が一定の値幅を行き来するボックス圏(レンジ相場)では、2本の線が近い水準に張りついて何度も交差するため、クロスが機能しにくく逆指標になりやすいと指摘されています。

週足チャートでも5日・25日・75日の設定を使ってよいですか?

原則として、日足チャートには日単位の移動平均線、週足チャートには週単位の移動平均線を使うのが基本とされています。週足で75と設定すると75週分の平均となり、日足の75日線とはまったく異なる時間軸の線になります。期間の数字を変える際は、表示中の足種を先に確認してください。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。