セクター集中度の確認手順、業種の偏りは3分で見える
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
セクター集中度とは、保有株が特定の業種にどれだけ偏っているかの度合いです。証券口座のポートフォリオ・資産管理画面で保有銘柄を業種別に集計すれば、偏りは数分で把握できます。公式な「何%で集中」という基準はないため、1業種に資産の大部分が寄っていないかという分散の考え方で判断します。
銘柄数が増えると、1つずつ選んだときの気持ちは覚えていても、全体としてどんな顔つきの持ち株になっているかは意外とわからなくなります。買った時期も理由もばらばらなので、気づけば同じ業種が並んでいる、ということが起こります。
この状態の度合いを表す言葉がセクター集中度(保有資産が特定の業種にどれだけ偏っているかの度合い)です。正直なところ、感覚で振り返っても答えは出ません。証券口座の画面に出ている数字を並べ替えるだけで、まず現状がはっきりします。
セクター集中度とは?なぜ偏ると困るのか
セクター集中度は、持ち株が特定の業種・産業分野にどれだけ寄っているかを指します。特定の業種に投資が大きく偏った状態はセクター偏重と呼ばれ、景気の変動や法規制の変化の影響を業種単位でまとめて受けるため、ポートフォリオ全体が同時に値下がりするリスクが高まるとされています。
銘柄を分けたつもりでも、同じ業種の中で分けているなら、下がるときは一緒に下がります。わかりやすい例がコロナ禍で、航空業・外食業・宿泊業といった特定業種の銘柄だけに投資していた個人投資家は、業種全体の需要が消えたことで大きな損失を被りました。会社ごとの優劣より先に、業種という単位で地面が動いた形です。
銘柄数を増やすことと、業種を分けることは別の作業です。セクター分散は、1つに集中して高いリターンを狙う投資と、市場全体へ広く分散してリスクを抑える投資の、中間的なバランスを取る手法として位置づけられています。
そもそも「業種」はどう区切られているのか
画面で業種別の集計を見る前に、その業種がどの線引きなのかを押さえておくと数字の読み方が変わります。日本の上場株式は、証券コード協議会が定める東証33業種分類で分類され、東証はこれに基づいて業種別株価指数を算出しています。
33業種は細かいため、2007年からは投資の利便性を考えて33業種を再編したTOPIX-17シリーズも算出されています。建設・資材、自動車・輸送機、電機・精密、情報通信・サービスその他、小売業、金融(除く銀行)、不動産などが17業種の例です。証券口座の業種別表示は、多くがこの33業種または17業種の分類をベースに保有銘柄を自動集計しています。
ここが実務で効いてきます。33業種で見ると「電気機器」と「精密機器」は別の業種ですが、17業種では「電機・精密」の1つにまとまります。どちらの分類で見ているかによって、偏りの見え方そのものが変わります。画面に出た比率を読むときは、まず何業種の分類かを確認してください。
- 証券口座のログイン情報(スマホアプリでもPCサイトでも可)
- 複数の口座を使っている場合は、その全部
- メモ代わりの表(紙でも表計算ソフトでも)
セクター集中度を確認する手順は?
機能の名前や画面の位置は証券会社によって異なります。ここでは、どの会社でも共通して通る流れとして書きます。
- ポートフォリオ画面を開く証券口座にログインし、「ポートフォリオ」または「保有資産一覧」にあたる画面を開きます。アプリなら資産や保有銘柄のタブにあたります。
- 業種別・セクター別の表示を探す業種別の残高比率や円グラフの表示機能があれば、それが最短です。SBI証券には、保有する国内株式(現物)銘柄に対して業種別のリバランスプランを提案する保有資産診断ツール「ポトフォる」があり、2022年9月4日から提供されています。楽天証券にもポートフォリオ機能による保有銘柄の管理・一覧表示があります。
- 見つからなければ手で集計する業種別の表示が見当たらない場合は、保有銘柄一覧の評価額を書き出し、銘柄ごとの業種を調べて足し合わせます。10銘柄程度なら数分で終わります。
- 比率に直す業種ごとの合計額を、株式の評価額合計で割って%にします。金額のままだと口座が増えたときに比べられないので、必ず比率にしておきます。
- 口座をまたいで合算する複数の証券会社を使っているなら、口座ごとに出た数字を合算します。1口座だけで見ると分散しているように見えて、合算すると偏っていることがあります。
資産全体の形を先に見たい場合は、商品種別の構成比率から入る方法もあります。SBI証券の「My資産」では、保有する株式・投資信託・債券などの商品について、資産全体に対する保有割合を「資産構成比率」の円グラフで確認できます。SBI証券Plusアプリでも、保有資産の構成比率をサークルチャートで確認できます。これらは商品種別の単位なので、業種の粒度は銘柄ごとの保有一覧やポートフォリオ機能と合わせて見ることになります。
口座の画面の外で集計する手もあります。Yahoo!ファイナンスは証券口座と連携して保有銘柄のポートフォリオを自動作成し、業種別などの集計を行うサービスを提供しています(機能の詳細は公式の案内で確認してください)。
手で集計するときの書き出し方
表計算ソフトで、A列に銘柄名、B列に評価額、C列に業種名、と3列だけ作ります。C列で並べ替えて業種ごとに合計を出し、D列で株式合計に対する比率を計算します。業種名は、証券会社の個別銘柄ページや会社情報の欄に表示されているものをそのまま使えば、分類がぶれません。
何%から「偏り」と考えればいいのか
公式な数値基準は見当たりません。「◯%を超えたら集中」という線を証券会社や取引所が定義しているわけではないため、数字が出てきたあとの判断は、分散投資の考え方に沿って自分で行うことになります。
判断の軸として置けるのは、1つの業種に資産の大部分が集中していないか、という一点です。これはどちらが良い悪いという尺度ではなく、集中しているほどその業種の事情だけで資産全体が動く、というだけの話です。集中度が高い側はリターンの振れ幅が大きく、低い側は振れ幅が小さくなります。自分がどちらの振れ幅に耐えられるかで決まります。
もう一つ見ておくと役に立つのは、上位2業種の合計です。1業種ずつ見ると気にならない水準でも、上位2つを足すと持ち株の多くを占めている、という形はよく起こります。業種分類が隣り合っている(電気機器と精密機器など)場合は、実質的に1つの塊として動くこともあります。
自分が理解している業種に集中させる判断を、意図して選んでいる人もいます。問題は偏っていること自体ではなく、偏っていることに気づいていない状態です。気づいた上で残すなら、それは選択です。この記事の手順は、その選択ができる状態に立つためのものです。
偏りが見つかったあとはどうする?
比率が出たら、動かし方は段階的に考えます。ファクトシートに沿った一般的な流れは、偏りがある場合に他業種のETFや個別株を検討して、少しずつバランスを調整していくというものです。ここで挙げるのはどの銘柄を買うべきかという話ではなく、調整の進め方の整理です。
| 進め方 | 内容 |
|---|---|
| 売らずに足す | 新しく入れる資金を、比率の低い業種に向ける。既存の持ち株を動かさないので、税金や取得単価の計算が絡まない。 |
| 一部を入れ替える | 偏っている業種の一部を減らし、他業種に移す。売却益が出れば課税対象になる点を先に確認する。 |
| 業種を広く持つ商品で薄める | 複数業種にまたがるETFなどを組み合わせて、1業種の比重を相対的に下げる。 |
どの進め方でも、急いで一度に動かす必要はありません。比率を把握した時点で、すでに判断材料は手元にあります。次の入金のときに、比率の低い業種から検討する。それだけでも偏りは時間をかけて緩みます。
確認の頻度をどう決めるか
一度数えて終わりにすると、また同じことが起きます。値動きだけでも比率は変わるので、追加の売買がなくても偏りは進みます。四半期ごと、あるいは新しく買い付けを入れるタイミングで比率を見る、と決めておくと、作業として回ります。前回の表を残しておけば、次回は数字を更新するだけで済みます。
確認して何も問題がなかった場合も、作業としては成功です。偏っているかどうかを感覚で抱え続けるより、数字で一度決着をつけたほうが、次に買う判断も落ち着きます。
なお、株式や投資信託などへの投資は自己責任であり、元本は保証されていません。この記事は分類や確認手順の解説を目的としたもので、特定の銘柄・商品の売買を勧めるものではありません。最終的な判断はご自身で行ってください。
よくある質問
セクター集中度とは何ですか?
保有している資産が特定の業種・産業分野にどれだけ偏っているかの度合いです。特定業種への偏りが大きい状態はセクター偏重と呼ばれ、景気変動や法規制の変化の影響を業種単位でまとめて受けるため、ポートフォリオ全体が同時に値下がりするリスクが高まるとされています。
証券口座で業種別の保有比率はどこで見られますか?
多くの証券会社ではポートフォリオ画面や資産管理画面で確認できます。SBI証券には保有する国内株式(現物)銘柄に対して業種別のリバランスプランを提案する保有資産診断ツール「ポトフォる」があり、楽天証券にもポートフォリオ機能による保有銘柄の一覧表示があります。機能名や画面の位置は証券会社ごとに異なるため、業種別の表示が見つからない場合は保有銘柄一覧の評価額を業種ごとに手で合算します。
何%以上なら業種が偏っていると判断すべきですか?
公式に定められた数値基準は見当たりません。1つの業種に資産の大部分が集中していないかという分散投資の考え方で判断するのが実務的です。集中度が高いほどその業種の事情だけで資産全体が動くため、自分が許容できる振れ幅から逆算して決めます。
口座の業種分類は何に基づいていますか?
日本の上場株式は証券コード協議会が定める東証33業種分類で分類され、東証はこれに基づき業種別株価指数を算出しています。2007年からは33業種を再編したTOPIX-17シリーズも算出されており、証券口座の業種別表示は多くがこの33業種または17業種をベースに保有銘柄を自動集計しています。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。