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国語に関する世論調査で見えた敬語離れ、直す順番は3つ

2026年10月31日|いろは堂まなび編集部
屋内の白い机で観葉植物の前、白シャツの人物が両手をノートと黒い手帳に置く様子

画像出典: ぱくたそ

この記事の要点
文化庁が2026年10月2日に公表した令和7年度「国語に関する世論調査」では、日常で文字を手書きする機会がある人は69.6%(2014年度比3.1ポイント減)、「見れた」のようなら抜き言葉を使う人は53.8%でした。言葉の自信は知識量よりも使う頻度に左右されるため、学び直しは「場面を絞る→言い換えの型を覚える→手で書いて確かめる」の順で、1日15分から始めるのが現実的です。
😟
メールを送る前に「この敬語で合ってるかな」って毎回手が止まるんです。

言葉に自信が持てない感覚は、知識が足りないから起きているとは限りません。使う機会が減った言い回しは、正しさを知っていても口や手から出てこなくなります。

文化庁が2026年10月2日に公表した令和7年度「国語に関する世論調査」(2026年1月13日〜3月3日、全国16歳以上6,000人を対象に郵送法で実施、有効回収3,777人・63.0%)には、その「機会の減り方」が数字で出ています。正直なところ、この調査でいちばん心強いのは、迷っているのが自分だけではないとわかる点です。

ここでは調査の数字を手がかりに、敬語と言い回しの運用力を立て直す練習の順番を置いていきます。社会人(1日15分・費用0円が前提)と学生(週2〜3回・教材費0〜1,000円程度)で使える時間と費用が違うので、進め方は節を分けて書きます。

国語に関する世論調査は、言葉遣いについて何を示したのか?

この調査は文化庁が毎年行っているもので、令和7年度の調査項目は(1)国語への関心 (2)文字を手書きする習慣や縦書きについての意識 (3)共通語と方言についての意識 (4)敬語や言葉遣い (5)外来語の表記 (6)慣用句等の意味の6つでした。結果の概要は文化庁の報道発表ページで公開されています。

まず関心の高さです。国語全般に関心がある人は83.1%で、2000年度調査より9.9ポイント増えました。関心の内容(複数回答)では「日常の言葉遣いや話し方」が77.0%で最多、「敬語の使い方」が48.6%で次に多い項目でした。言葉に気を使いたい人は増えている、という前提から話が始まります。

関心のある人(国語全般)83.1%(2000年度比 +9.9ポイント)
関心の内容:日常の言葉遣いや話し方77.0%
関心の内容:敬語の使い方48.6%

文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」公表データをもとに作成(関心の内容は複数回答)

上の表の2行目と3行目が、この記事で扱う範囲です。関心はあるのに自信が持てない、という状態が広く共有されているとわかります。

手書きの機会はどれくらい減っているのか?

日常生活で文字を手書きする機会が「ある」と答えた人は69.6%でした。前回の2014年度調査から3.1ポイント減っています。10年あまりで数ポイントという、急落ではないけれど確かに下がっている動き方です。

年代別に見ると差が出ます。16〜19歳が87.5%と最も高く、20代以降は60〜70%台に下がります。学校で書く機会が残っている年代と、仕事の文字入力がほぼ画面に移った年代の差が、そのまま出ている形です。

縦書きも似た形です。日常で縦書きの文字を読んだり書いたりする機会が「よくある」「時々ある」人は67.3%(男性63.2%、女性70.9%)で、16〜19歳の79.5%に対し20代は54.7%まで落ちます。

手書きの機会がある縦書きの機会がある
全体69.6%67.3%
16〜19歳87.5%79.5%
20代60〜70%台54.7%

文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」公表データをもとに作成(20代の手書きの機会は年代別の幅として公表された範囲)

上の表でおもしろいのは、機会が減っている一方で意識は高いままという点です。手書きの習慣を「大切にすべきだと思う」人は全体で80.4%、16〜19歳では84.8%ありました。大切だと思う人のほうが、実際に書いている人より多い。これは敬語でも同じ構造が起きています。

敬語の「ゆらぎ」はどこに出ているのか?

同じ調査の敬語・言葉遣いの項目では、いわゆる「ら抜き言葉」を使うと答えた人の割合が出ています。「見れた」は全体53.8%、「出れる」は51.0%、「来れますか」は53.3%。いずれも半数を超えました。

16〜19歳ではこれが「見れた」81.3%、「出れる」77.7%、「来れますか」73.2%と7〜8割に達します。手書きを「大切にすべき」と答える割合が最も高い年代が、同時にら抜き言葉の使用率も最も高い。正しさへの意識と、実際に使う言葉は別々に動いているわけです。

言い方全体16〜19歳
見れた53.8%81.3%
出れる51.0%77.7%
来れますか53.3%73.2%

文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」公表データをもとに作成(「使う」と答えた人の割合)

上の3行はどれも全体で半数前後です。つまり会話の相手も半分はその言い方をしている状態で、聞いて違和感を覚える機会そのものが減っています。

社会人の側にも揺らぎがあります。保護者に同僚の教員を紹介する場面で「田中先生は…」と身内に敬称を付ける言い方を自然だと答えた人は全体71.9%、20代では82.7%でした。身内に敬称を付けないという伝統的なルールの意識が薄れている例です。

🤔
半分の人が使ってるなら、もうそれが普通ってことじゃないんですか。

多数が使う言い方と、場面に合う言い方は別物です。日常の会話で「見れた」と言って困ることはほとんどありません。一方、社外メールや面接、保護者への説明のように相手との距離が遠い場面では、崩れた言い方が「準備していない人」の印象につながります。必要なのは全部を言い換えることではなく、使い分けのスイッチを持つことです。

慣用句の誤解はどれくらいあるのか?

慣用句等の意味を尋ねた項目では、誤解のほうが多数になっているものがありました。「噴飯もの」を「腹立たしくて仕方ないこと」と理解した人は55.1%で、本来の意味は「おかしくてたまらないこと」です。「流れにさおさす」を「傾向に逆らって勢いを失わせるような行動」と理解した人は68.9%で、本来は「ある傾向に乗って勢いをさらに増す」という意味でした。

誤解率が過半数ということは、正しく使っても伝わらない可能性があるということです。ここから引き出せる実用的な結論はひとつで、自信のない慣用句は使わずに平たい言葉で言い換えるのが安全です。「噴飯ものだ」と書く代わりに「筋が通らないと感じた」と書けば、誤解の余地がありません。

向いていないケースもあります

慣用句を正確に覚えること自体は、言葉の運用力を上げる近道ではありません。日々の仕事や学校生活で困っているのが「メールの敬語」「面接の言い方」なら、慣用句の暗記より次の章の練習のほうが効きます。慣用句は読書量に応じて後からついてくる部分なので、優先順位は下げてかまいません。

言葉の運用力はどの順番で鍛え直せばいいのか?

調査から読み取れるのは、知識ではなく機会が減っているという構造です。だとすれば練習も、知識を増やす方向ではなく使う回数を増やす方向に設計します。順番は3つです。

  1. 場面を1つに絞る敬語全般ではなく、自分が実際に詰まる場面を1つ選びます。社外メールの依頼文、電話の取り次ぎ、教授へのメール、バイト先の報告など。言葉は場面ごとに型が決まっているので、場面を絞ると覚える量が一気に減ります。
  2. 言い換えの型を10個だけ持つその場面で使う言い方を10パターン書き出し、自分の言葉で言い換えた形をセットで持ちます。「見れますか→拝見できますか」「来れますか→お越しいただけますか」のように、崩れた形と整えた形を並べて覚えるのがポイントです。10個を超えると続かないので、まず10個で止めます。
  3. 手で書いて確かめる作った型を紙に手で書き写します。画面に打つと変換候補が助けてくれますが、手書きは自分の記憶だけで最後まで出し切る必要があり、覚えたつもりと覚えたの差がその場でわかります。1回3〜5分で足ります。

3番目を手書きにする理由は、調査が示した手書き機会の減少そのものにあります。入力は候補から選ぶ作業、手書きは思い出す作業です。思い出す回数を増やすほど、本番で言葉が出てくる確率が上がります。

社会人向け:1日15分・費用0円の進め方

平日の15分を、朝か通勤後のどちらかに固定します。費用はかかりません。使うのは自分が実際に送ったメールと、手元の紙だけです。

平日15分の中身
  • 自分が先週送ったメールから、言い方に迷った箇所を1つ探す(3分)
  • その箇所を整えた形に書き直し、崩れた形と並べてメモする(5分)
  • 溜まった型のうち3つを、紙に手書きで書き写す(5分)
  • 翌日、同じ型を見ずに書けるか試す(2分)

2週間で10個前後の型が溜まります。大事なのは数を増やすことではなく、同じ型を何度も書き直すことです。1つの型は書けるようになるまで3〜4回登場させます。

職場で言葉に関する研修や通信講座を使う選択肢もありますが、費用をかける前にこの15分を2週間試すほうが順番として合っています。自分が詰まる場面が特定できていない状態で教材を買うと、使わない範囲まで学ぶことになります。

学生向け:週2〜3回・教材費0〜1,000円程度の進め方

学生の場合、詰まる場面はメールよりも面接・ゼミ発表・バイト先の報告に寄ります。まとまった時間が取りやすいので、1回30分を週2〜3回に置くと進みが早くなります。

1回30分の中身
  • 想定場面を声に出して1分話し、録音する(5分)
  • 録音を聞き直し、崩れた言い方・言い直した箇所を書き出す(10分)
  • 書き出した箇所を整えた形に直し、紙に手書きする(10分)
  • 同じ場面をもう1回話し直す(5分)

費用は0円でできますが、敬語の言い換え一覧が載った文庫や新書を1冊だけ持つと型のストックが安定します。この用途の書籍は1,000円前後で手に入るものが多く、何冊も買う必要はありません。

録音を入れている理由は、話し言葉の崩れが自分では聞こえないからです。16〜19歳でら抜き言葉の使用が7〜8割という数字は、周りも自分も同じ言い方をしているため気づく機会がないことを意味します。録音は、その気づく機会を人工的に作る手段です。

どれくらい続ければ変わるのか?

期間の目安については、この調査からは何も言えません。文化庁の調査は言葉の使用実態を調べたもので、練習期間と効果を測ったものではないからです。「◯週間で身につく」という数字を、この調査を根拠に示すことはできません。

代わりに進み方の確認方法を置きます。判断材料にするのは期間ではなく、次の3つが起きたかどうかです。

進んでいるかの確認ポイント
  • メールや発言の前に迷う時間が短くなった
  • 自分の崩れた言い方に、口に出した直後に気づけるようになった
  • 型を見ずに手で書けるものが5つ以上になった

この3つのうち2つが起きていれば練習の設計は合っています。ひとつも起きないときは、場面の絞り込みが広すぎる可能性が高いので、場面を1つに戻してやり直します。

😌
全部直さなくていいなら、始められそうです。

言葉の学び直しは、辞書を1冊覚える作業ではありません。自分が詰まる数場面について、出てくる言い方を手で確かめておく作業です。関心がある人が83.1%もいる一方で、半数の人が同じ場所で迷っている。その中で、迷う場所を特定して型を10個持っているだけで、ずいぶん楽になります。

調査の結果の概要は文化庁のサイトで読めます。自分の年代の数字がどこにあるかを見ておくと、どの言い方が周囲で崩れているかの見当がつき、整える優先順位が決めやすくなります。

よくある質問

文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」はいつ、どんな方法で行われたものですか?

文化庁の令和7年度「国語に関する世論調査」は2026年1月13日から3月3日に実施され、全国の16歳以上で日本国籍を有する6,000人を対象に郵送法で行われました。有効回収数は3,777人(63.0%)で、結果は2026年10月2日に公表されています。

日常で文字を手書きする機会がある人はどれくらいいますか?

令和7年度「国語に関する世論調査」では、日常生活で文字を手書きする機会が「ある」と答えた人は69.6%で、2014年度の前回調査より3.1ポイント減りました。年代別では16〜19歳が87.5%で最も高く、20代以降は60〜70%台です。

「見れた」「来れますか」のようなら抜き言葉は、どれくらいの人が使っていますか?

令和7年度「国語に関する世論調査」では、「見れた」を使う人が53.8%、「出れる」が51.0%、「来れますか」が53.3%と、いずれも全体の半数を超えました。16〜19歳では「見れた」81.3%、「出れる」77.7%、「来れますか」73.2%と7〜8割に達します。

敬語の学び直しは、まず何から始めればいいですか?

敬語全般を覚えようとせず、自分が実際に詰まる場面を1つに絞ることから始めます。その場面で使う言い方を10パターンだけ書き出し、崩れた形と整えた形を並べてメモし、紙に手書きで書き写して記憶から出せるか確かめる、という順番が負担が軽く続けやすい進め方です。

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