行政書士試験 直前対策、残り1週間は行政法から
画像出典: ぱくたそ(ななしき)
行政書士試験は300点満点で、行政法112点・民法76点の2科目だけで188点(全体の約63%)を占めます。残り1週間は新しい教材に手を出さず、行政法→民法→その他の順ですでに学んだ範囲を回し直すのが合理的です。記述式3問60点は満点でなく部分点狙いに切り替え、当日の時間配分は本番前に自分で決めて一度通しで試しておきます。
直前期にいちばん時間を食うのは、勉強そのものではなく「何をやるか迷っている時間」です。残り7日で全範囲を均等に回すのは現実的ではないので、配点の大きいところから順に戻るという一本の基準だけ決めてしまうのが早道です。
この優先順位は、好みや相性ではなく試験の配点構造から機械的に決まります。まずその数字を確認してから、記述式と当日の時間配分に進みます。
前提の確認です。本試験は2026年11月8日(日)午後1時〜午後4時の3時間、実施は一般財団法人行政書士試験研究センターです。合格発表は2027年1月27日。働きながらの受験なら平日に確保できるのは1日1〜2時間、土日に5〜6時間というあたりが現実的な線で、この記事の配分も「平日2時間・休日5時間」を基準に書いています。学生でまとまった時間が取れる場合は、後半に出てくる通し演習を2回に増やしてください。独学前提なので、追加の費用は過去問集を持っていれば0円です。
残り1週間、どの科目から復習すべき?
行政書士試験は60問・300点満点です。科目ごとの出題数と配点は例年ほぼ同じ構成で、次のようになっています。
| 科目 | 出題形式 | 問数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 基礎法学 | 5肢択一式 | 2問 | 8点 |
| 憲法 | 5肢択一式 | 5問前後 | 20点前後 |
| 行政法 | 5肢択一式 | 19問 | 76点 |
| 行政法 | 多肢選択式 | 2問 | 16点 |
| 行政法 | 記述式 | 1問 | 20点 |
| 民法 | 5肢択一式 | 9問 | 36点 |
| 民法 | 記述式 | 2問 | 40点 |
| 商法・会社法 | 5肢択一式 | 5問 | 20点 |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
伊藤塾の公表データをもとに作成(例年の出題構成)。
上の表を科目ごとに足すと、行政法は択一76点+多肢選択16点+記述20点で112点、民法は択一36点+記述40点で76点になります。この2科目だけで188点、全体300点の約63%を1科目半で占めている計算です。合格基準は法令等科目122点以上・基礎知識科目24点以上・総得点180点以上の3条件をすべて満たすことなので、合格点180点と行政法+民法の188点はほぼ同じ大きさということになります。
ここから、残り1週間の優先順位は行政法 > 民法 > その他と決まります。商法・会社法は5問20点、基礎法学は2問8点で、ここに1日を使うのは配点効率が合いません。憲法は20点前後で中間ですが、行政法と民法を回し終えてから触る位置づけです。
基礎知識科目は14問56点ですが、ここだけは24点(6問正解)の足切りがあります。模試や過去問で基礎知識が6問に届いていない人は、配点が小さくても先に手当てが必要です。総得点が足りていても、この1科目で不合格になります。逆に基礎知識が安定して8問以上取れているなら、直前1週間で追加の時間を割く必要はありません。
行政法の1週間、何をどの順で回す?
直前期に新しい問題集を開くと、解けない問題に当たって自信だけが削れます。使うのは今まで解いた過去問と、自分が作った間違いノートだけに絞ってください。
- 行政手続法・行政不服審査法の条文確認(1〜2日目)条文がそのまま問われやすい分野です。問題を解くより、条文を通しで読んで「何日以内」「誰が誰に」の数字と主体を確認するほうが早く点になります。
- 行政事件訴訟法の論点整理(2〜3日目)取消訴訟(行政の決定を取り消してもらう裁判)の要件、処分性(その行為が裁判で争える「処分」にあたるか)、原告適格(その人に訴える資格があるか)は記述式でも狙われます。択一の復習がそのまま記述対策を兼ねる範囲なので、ここは厚めに。
- 国家賠償法・地方自治法(4日目)地方自治法は範囲が広いので、過去に出た論点だけに限定します。網羅しようとすると1週間が消えます。
- 間違えた肢だけ再走(5日目)1〜4日目で×を付けた肢だけを拾い読みします。正解した問題は読み返しません。
5肢択一は、正解の肢を当てる練習より誤りの肢がなぜ誤りかを一言で言える練習のほうが本番で効きます。「主体が違う」「期間が違う」「裁量の有無が逆」のどれなのかを言語化しておくと、本番で初見の肢が出ても消去法が機能します。
民法は何を捨てて何を残す?
民法は択一9問36点に対して記述2問40点と、記述のほうが配点が大きい珍しい科目です。つまり民法の直前対策は、択一の網羅より記述で出そうな典型論点の確認が優先になります。
具体的には、代理、時効、契約解除、相続といった債権・物権の典型論点です。条文と要件・効果がはっきりしていて、40字で書ききれる論点が記述式では選ばれやすいからです。家族法のマイナー分野や、判例の細かい射程を問う論点は、残り1週間では投資回収が合いません。
- 代理:無権代理(代理権のない人がした代理行為)と表見代理(代理権があるように見える外観を信じた相手を保護する仕組み)の成立要件、本人の追認の効果
- 時効:消滅時効の起算点、完成猶予(時効の完成が一時的に先送りされること)と更新(それまでの期間がリセットされること)の違い
- 契約解除:催告による解除と無催告解除の分かれ目
- 相続:法定相続分、遺留分、相続放棄の期間
記述式3問60点、どう部分点を取る?
記述式の採点基準は公表されていません。ただ予備校各社の分析では、問いが求める論点のキーワードが答案に含まれているかが部分点の鍵とされています。文章の巧拙より、要件・効果・条文用語といった語が入っているかどうかという見方です。
3問60点は全体の20%にあたり、1問20点は択一5問分に相当します。ここを白紙で出すのと、キーワードを2つ拾って8点取るのとでは、択一2問分の差がつく計算です。満点を狙わず、書ける語から埋めて部分点を積むほうが現実的です。なお合格者の目安として60点中40点前後という数字が語られることがありますが、これは予備校の経験則であって公式の基準ではありません。
- 問いの語尾を先に読む「どのような手続が必要か」なのか「誰に対して何を請求できるか」なのかで、入れるべき語が変わります。語尾に線を引いてから書き始めます。
- キーワードを3つ書き出すいきなり文章にせず、問題用紙の余白に入れたい語を3つ並べます。これが部分点の種になります。
- 40字の型に流し込む「〜に対し、〜を理由として、〜を請求できる」のように、主体・理由・結論の順でつなぎます。40字程度という制限があるので、修飾語を足す余裕はありません。
- 空欄で出さない論点が分からなくても、問題文に出てくる条文用語を使って1文書きます。ゼロは確定で0点です。
残り1週間での練習量は、1日2問×7日で14問あれば型は体に入ります。解答を見てから「自分の答案に足りなかった語」だけをメモしてください。模範解答を丸暗記しても、本番では別の論点が出ます。
当日の3時間、時間配分はどう決める?
公式に推奨される時間配分はありません。各予備校が示しているのは経験則ですが、共通しているのは基礎知識(14問)を先に短時間で片付け、法令等択一(40問)に主時間を置き、記述式3問と多肢選択式3問にまとまった時間(合計40〜50分程度)を残すという設計です。
典型的な失敗は、記述式を最後に回して時間切れになることです。記述は1問20点と重いのに、焦って書くと最も点が落ちます。残り時間の余りで書くものにしない、というのが配分を考える出発点になります。
- 記述式に何分残すか(先に確保する。余った時間ではない)
- 択一1問に何分かけるか(自分の過去問演習の実測値から出す)
- 分からない問題を何分で切り上げるか(迷った肢に戻る時間は最後にまとめて取る)
大事なのは分数そのものではなく、本番前に自分の配分を決めて一度通しで試しておくことです。複数の予備校が共通して指摘しているのもこの点で、設問形式ごとにかける時間の目安を固めてから当日を迎えるかどうかで、同じ実力でも結果が変わります。
通し演習は何日前にやる?
残り1週間なら、本試験の3〜4日前に1回、3時間通しで解くのが現実的です。午後1時開始の試験なので、できれば同じ午後1時にタイマーを動かして始めてください。前日に通し演習を入れると疲労が残るうえ、できなかった部分を修正する時間がありません。
通し演習の目的は点数の確認ではなく、配分が守れるかの確認です。終わったら、形式ごとに実際にかかった時間を書き出して、当日の配分表を1枚に清書します。この紙を試験会場に持っていくだけで、開始直後の迷いが消えます。
最後に確認しておくこと
出題構成は例年ほぼ同一ですが、令和8年度の最終的な出題形式・配点は一般財団法人行政書士試験研究センターの公式試験案内で確認してください。受験票の試験開始時刻と会場も、直前にもう一度見ておくと安心です。
残り1週間でできることは限られていますが、限られているからこそ順番が効きます。配点の大きい順に戻る、記述は部分点を取りにいく、配分は事前に決める。この3つだけ守れば、今持っている知識を取りこぼさずに本番へ持ち込めます。
よくある質問
行政書士試験の残り1週間は、どの科目を優先すべきですか?
行政法を最優先し、次に民法です。行政法は択一76点・多肢選択16点・記述20点の計112点、民法は択一36点・記述40点の計76点で、2科目で188点と全体300点の約63%を占めます。商法・会社法(20点)や基礎法学(8点)は配点が小さいため、直前期の優先度は下がります。
記述式はどのくらい取れればいいですか?
採点基準は公表されていないため確実な目標値はありませんが、予備校の経験則として60点中40点前後が目安として語られることがあります。満点を狙うより、要件・効果・条文用語などのキーワードを答案に盛り込んで部分点を積み重ねるほうが現実的です。
行政書士試験の合格基準を教えてください。
法令等科目で122点以上、基礎知識科目で24点以上、かつ総得点180点以上という3つの条件をすべて満たす必要があります。総得点が180点を超えていても、基礎知識科目が24点に届かなければ不合格になります。
2026年度の行政書士試験はいつ行われますか?
2026年11月8日(日)の午後1時から午後4時までの3時間で実施されます。実施団体は一般財団法人行政書士試験研究センターで、合格発表は2027年1月27日です。
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