Excelショートカット、時短に効く4つの型
画像出典: ANTONI SHKRABA production / Pexels
Excelの時短は、ショートカットを数多く暗記するより「テーブル化→別表参照→自動合計」という一連の流れを型として覚えるほうが効きます。まず覚える価値が高いのはAlt+=(自動合計)、Ctrl+矢印(データ端へ移動)、Ctrl+Shift+矢印(範囲選択)、Ctrl+T(テーブル化)の4つと、一覧データを自動で引くVLOOKUP関数です。ここで紹介する操作はWindows版Excelを基準にしています。
Excelの作業時間は、作業そのものが難しいから長引くわけではありません。マウスでセルを追いかけ、同じ数字を手で打ち直す時間が積み上がっていることがほとんどです。数式の知識が足りないのではなく、手の動きが遅いだけ、という状態です。
正直なところ、ショートカット一覧を100個眺めても翌日には使えません。使えるようになるのは、自分がいつもやっている作業の流れに埋め込んだものだけです。だから、覚える数を絞って、作業の流れごと型にしてしまうのが近道になります。
ここでの操作はすべてWindows版Excelを基準にしています。Mac版やブラウザ版はキーの割り当てが違う場合があるので、その点だけ先にお伝えしておきます。
まず覚えるショートカットはどれ?
数を絞ります。書式まわりのショートカットは後回しで構いません。日次のデータ作業で効き目が大きいのは、次の4つです。
| Alt+= | 選択したセルの上または左にある数値を自動で合計する(SUM関数を手入力せずに挿入できる) |
|---|---|
| Ctrl+矢印キー | データが途切れるところまで一気に移動する。1000行の表でも一瞬で最終行へ行ける |
| Ctrl+Shift+矢印キー | 移動しながら範囲を選択する。表の1列をまるごと選ぶときの定番 |
| Ctrl+T | 選んだ範囲をテーブルとして登録する。行を足しても書式と数式が自動で下まで伸びる |
上の4つは「移動」「選択」「合計」「テーブル化」という、作業時間の大半を占める動作にそれぞれ対応しています。表の端まで移動する、その範囲を選ぶ、合計する、表として整える——この4つが片付けば、残りの操作は多くありません。
さらに強いのは、組み合わせると1つの動作になることです。Ctrl+↓で表の最終行へ飛び、その1つ下のセルでAlt+=を押す。これだけで、範囲をマウスでドラッグして選び直す作業が丸ごと消えます。100行でも5000行でも、かかる時間は同じです。
- マウスでセルをドラッグしそうになったら、Ctrl+Shift+矢印に置き換える
- 合計を出すときは、SUMと打たずにAlt+=を押す
- 覚えられなくてもいい。手が止まったらマウスに戻ってよい
ショートカットを覚えても速くならないのはなぜ?
ショートカットが定着しない原因は、記憶力ではなく覚え方の単位にあります。一覧表で「Ctrl+Dはコピー」のようにキーと機能を1対1で覚えると、実際の作業中に「ここで使えるキーはどれだったか」を思い出す手間が挟まります。この思い出す時間が、マウスで済ませる時間より長いので、結局マウスに戻ります。
そこで、覚える単位を「キー1つ」ではなく「作業の一連の流れ」に変えます。たとえば毎日の売上集計なら、データを貼る→表として整える→別表から名称を引く→合計するという流れが毎回同じはずです。この流れに操作を割り当てて、順番ごと手に覚えさせます。1つ思い出せば次が続くので、途中で止まりにくくなります。
時短の型:テーブル化→参照→合計
日報の集計や在庫の突き合わせのように、毎日同じ形のデータを扱う作業を想定します。次の3ステップを1セットとして覚えてください。
- Ctrl+Tでテーブル化する表の中のどこかを選んでCtrl+Tを押すと、その範囲がテーブルとして登録されます。行が増えても書式と数式が自動で下まで伸びるので、「データを追加したら数式をコピーし直す」という毎回の作業がなくなります。
- VLOOKUPで別表から引く商品コードから商品名や単価を持ってくる部分は、手入力せず関数に任せます。書式は
=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)です。検索値が探したいコード、範囲が参照先の一覧表、列番号がその一覧の左から何列目を返すか、検索方法は完全一致で引くなら FALSE を指定します。 - Alt+=で合計する数値列の一番下でAlt+=。範囲は自動で判定されるので、選び直しは不要です。
この型の価値は、時間短縮だけではありません。VLOOKUPで引いた値は手入力ではないので、打ち間違いが構造的に起きなくなります。集計の数字が合わなくて原因を探す時間——これが実は一番大きな損失なので、そこが消えるのは大きいです。
VLOOKUPでつまずきやすいところ
VLOOKUPは、参照先の一覧表の一番左の列で検索するという決まりがあります。商品コードで引きたいなら、参照先の表はコードが左端にある必要があります。「なぜかエラーになる」というときの原因はここが多いので、まず参照先の列の並びを確認してください。
もう一つは、参照範囲を絶対参照($A$2:$C$100 のように$を付ける)にしないと、下にコピーしたときに範囲がずれることです。範囲を選んだ状態でF4キーを押すと$が付きます。ステップ1でテーブル化しておくと、範囲をテーブル名で指定できるためこのズレ自体が起きにくくなります。3つのステップが繋がっているのはこのためです。
扱うデータが毎回バラバラの形をしていて、同じ手順の繰り返しになっていない場合、型を作る手間のほうが大きくなります。まずは「同じ形で繰り返している作業」があるかを確認してください。それが1つもないなら、ショートカットの移動系(Ctrl+矢印)だけ覚えて、関数の作り込みは見送っていい段階です。
また、会社によっては共有ブックの数式変更が禁じられている場合があります。自分の手元の作業ファイルから試すのが安全です。
覚えるのにどれくらい時間がかかる?
個人差が大きいので、期間の目安より進め方をお伝えします。ショートカット4つは、意識して使っていれば普段の作業の中で手が覚えます。VLOOKUPは、書式そのものは1行なので、理屈を読むより自分の実データで1回組み上げてみるほうが早く身につきます。
大事なのは、まとまった学習時間を確保しようとしないことです。この型は普段の作業そのものに埋め込めるので、いつもの集計を1回だけ型に沿ってやってみる、という形で身につきます。仕事の合間しか取れない社会人でも、講義を受ける必要はありません。
学生の場合、可処分時間が比較的まとまって取れる分、実務データがない点が違いになります。ゼミのアンケート集計やサークルの会計、レポートのデータ整理は、いずれも「同じ形のデータを繰り返し処理する」作業なので、型の練習台として十分機能します。就職後にゼロから覚えるより、実際のデータで手を動かした経験があるほうが早く戻せます。
次に手を伸ばすなら何?
この型が回るようになったら、次はピボットテーブルです。VLOOKUPで整えたデータを、集計軸を変えながら見るための機能で、Alt+=の合計では届かない「担当者別×月別」のような集計が数クリックで出ます。関数を増やす方向より、こちらのほうが作業時間への効き目が大きいです。
関数側では、SUMIFS(条件付きの合計)とIFERROR(エラー時の表示を制御する)の2つが実務での出番が多い組み合わせです。ただし、いま覚えた型が手に馴染む前に足すと、どれも中途半端になります。1つの型が手に馴染んでから、次を1つだけ足す。この順番が結局いちばん速く進みます。
よくある質問
Alt+=はどんなときに使いますか?
数値が並んだ列や行のすぐ下・すぐ右のセルで押すと、上または左にある数値の合計がSUM関数として自動で挿入されます。範囲を自分で選ぶ必要がないため、行数が多い表ほど時間短縮の効果が大きくなります。
VLOOKUPがエラーになる原因で多いものは何ですか?
参照先の一覧表の一番左の列に検索値がない場合と、参照範囲を絶対参照にしていないため下方向へコピーしたときに範囲がずれる場合の2つが代表的です。前者は参照先の列の並びを直し、後者は範囲を選んだ状態でF4キーを押して$を付けるか、参照先をテーブル化して名前で指定すると解決します。
ショートカットキーはMacでも同じですか?
同じとは限りません。Mac版Excelやブラウザ版のExcelは一部のキー割り当てがWindows版と異なります。この記事で紹介した操作はWindows版Excelを基準にしているため、Mac版を使っている場合は同じ機能に対応するキーを別途確認してください。
Excelの時短は何から手を付けるのが効率的ですか?
移動と選択の操作からです。Ctrl+矢印キーでデータの端まで移動し、Ctrl+Shift+矢印キーで範囲を選択する操作は、どんな作業にも共通して現れるためです。関数の作り込みは、何度も繰り返している同じ形の作業が見つかってからで間に合います。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。