読書時間ゼロから月2冊、通勤に合う本の選び方
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月2冊を読み切る鍵は、読書時間を新しく作ることではなく、通勤や家事という既にある時間に合う本を選ぶことです。10万字前後の新書・実用書なら分速500文字の目安で約200分、片道20分の通勤往復を充てれば1〜2週間で1冊分の分量になります。目が使えない家事中はオーディオブックに切り替えると、読める時間の総量がさらに伸びます。
読書が続かない原因は、意志の弱さより「まとまった時間を待っていること」にあります。1時間の空きができたら読もう、と思っているうちに、その1時間は永遠に来ません。
正直なところ、月2冊は決して当たり前の水準ではありません。文化庁の調査では1か月に本を「読まない」人が62.6%を占めています。だからこそ、時間の作り方ではなく「すでに持っている細切れの時間に合う本を選ぶ」ところから組み立て直すと、景色が変わります。
そもそも月2冊はどのくらいの水準?
まず前提を合わせておきます。文化庁国語課の「令和5年度 国語に関する世論調査」では、電子書籍を含めて1か月に読む本の冊数がこう分布しています。
| 冊数 | 割合 |
|---|---|
| 読まない | 62.6% |
| 1、2冊 | 27.6% |
| 3、4冊 | 6.0% |
| 5、6冊 | 1.5% |
| 7冊以上 | 1.8% |
文化庁国語課「令和5年度 国語に関する世論調査」の公表データをもとに作成(調査期間は令和6〈2024〉年1月16日〜3月13日、全国16歳以上6,000人対象、郵送法、有効回答3,559人=59.3%)
上の表を見ると、月に1、2冊まで読めている人は27.6%です。つまり月2冊を達成すると、上位3割弱の側に入ることになります。「読まない」層がこれまでの4割台から急増したという調査結果でもあり、月2冊は平均の延長ではなく、意図的に設計してはじめて届く水準だと考えたほうが現実に合います。
逆に言えば、ハードルは「2冊」という数字そのものではありません。設計さえすれば、超人的な努力なしに手が届く範囲でもあります。
読書時間はどこにある? 通勤往復を数える
時間を新しく作るのではなく、すでに使っている時間を数えるところから始めます。総務省統計局「社会生活基本調査」(令和3〈2021〉年調査、2025年時点でもこれが最新の公表値)によると、有業者の通勤時間の全国平均は往復1時間19分。片道に直すと約39.5分です。
地域差は小さくありません。神奈川県は往復1時間40分(片道50分)、千葉県・東京都は往復1時間35分(片道47.5分)、埼玉県は往復1時間34分(片道47分)。首都圏の人ほど、実は原資を多く持っていることになります。
全国平均の39.5分で計算すると、往復79分×月20営業日で約1,580分、ひと月あたり26時間ほど。もちろん満員電車で本が開けない日もあるので、これは上限の目安です。それでも、その半分でも読書に回せば十分な量になります。
学生の場合は事情が少し違います。通学時間が短ければこの原資は小さくなりますが、代わりに講義の空きコマや昼休みという、社会人にはない可処分時間があります。原資の置き場所が違うだけで、細切れの時間を数えて割り当てるという手順は同じです。自分の一日で、10分以上まとまって手が空く場面を3つ書き出してみてください。
スキマ時間で読み切れる本はどう選ぶ?
時間を数えたら、次はその時間に合う本を選びます。ここが月2冊の成否を分けるところです。
読書速度の目安として、日本人成人はおおむね分速500〜600文字とされています(速読関連メディアの解説による参考値で、公的統計ではありません)。より細かい目安では、小説・物語は分速500〜700文字、大学生を対象にした実測調査で通常読みの平均が653文字/分というデータもあります。年代別では中学生500〜700文字/分、高校生600〜800文字/分といった幅で示されています。あくまで個人差の大きい参考値ですが、見積もりの土台には十分です。
ここに本の分量を掛けます。新書・実用書の1冊は10万字前後が目安です。分速500文字で読むと約200分、つまり3時間20分。片道20分・往復40分の通勤なら、5営業日で往復200分になり、計算上は1週間で1冊分の分量に届きます。
- 10万字前後(新書・実用書サイズ)で、総読了時間を3〜4時間と見積もれる
- 章や節が短く区切られていて、5〜10分で1区切り読み終えられる
- 前の内容を細かく覚えていなくても、次の章から再開できる
- 図表や注が多すぎず、立ったままでも目で追える
逆に、500ページ超の大著や、伏線を細かく追う長編小説はスキマ時間と相性がよくありません。読みたくないという話ではなく、細切れで読むと再開のたびに前を読み直すコストがかかり、実質の読書速度が落ちるからです。そういう本は連休や長期休暇に回し、平日は分量の軽い本を担当させる、と役割を分けます。
月2冊の割り当て方
- 1冊目を「通勤担当」にする10万字前後の新書・実用書を選び、電子書籍でスマホに入れます。物理的に持ち歩く手間をなくすと着手が早くなります。
- 2冊目を「耳担当」にする家事や歩行中に聴く1冊を別に用意します(次章で詳しく扱います)。目と耳で別の本を進めると、時間帯が競合しません。
- 読了予定日を先に決める10万字÷500文字=約200分を、自分の1日のスキマ時間で割ります。1日20分なら10日、40分なら5日。カレンダーに読了日を書き込みます。
- 3日読めなかったら本を疑う意志ではなく選書のミスマッチを先に疑います。分量が重すぎないか、章が長すぎないかを見直して、必要なら別の本に替えます。
手がふさがる家事の時間はどうする?
目が使えない場面では、オーディオブックという選択肢があります。皿を洗う、洗濯物をたたむ、駅まで歩く。こうした「手と目はふさがっているが耳は空いている」時間は、通勤とは別の原資です。
普及の状況も追い風になっています。Audible Japanは2015年の日本上陸から2025年でちょうど10年、2022年1月の聴き放題プラン導入以降は会員数が毎年2桁成長を続け、2022年1月末と2025年5月末の比較で会員数166%増と公式に発表されています。audiobook.jp運営元の「オーディオブック認知度調査2025」でも、認知度は59%(2023年調査の46%から13ポイント上昇)、利用経験者は15%(2023年の9%から6ポイント上昇)と、2年で利用者が6割増えた計算です。
同じ調査記事では、オーディオブック利用者の77.6%が年間6冊以上を聴いている一方、非利用者の55.6%は年間1冊以下にとどまるという結果も引用されています(一次調査の主体・時期の詳細までは確認できていないため参考値として扱ってください)。因果までは言えませんが、耳の時間を足すと年間の冊数が変わりうる、という方向性は読み取れます。
数式や図表を追う本、手順を確認しながら進める実務書は、耳だけでは頭に残りにくいです。聴きながらメモを取れない場面ではなおさらで、こういう本は目で読むほうが結局は速く終わります。また、月額のかかるサービスなので、月に1冊も聴けていない状態が2か月続くなら解約して紙・電子に戻すほうが合理的です。学生の場合、書籍代やサブスク費の負担は決して軽くないので、まずは図書館の電子書籍貸出や無料体験期間で自分に合うかを確かめてから決めても遅くありません。
読み切れずに途中で止まるのを防ぐには?
スキマ読書でいちばん多い失敗は、読み始めた本が3日で止まり、そのまま次の本にも進めなくなることです。原因はたいてい「再開のコスト」にあります。前回どこまで読んだか、何の話だったかを思い出す手間が、5分のスキマ時間を食い潰してしまう状態です。
- 中断は章の途中ではなく、区切りのよい場所で止める
- 閉じる前に、その章の要点を3語だけメモアプリに書いておく
- 次に読む場所を、しおりやハイライトで物理的に目立たせる
- 読み終えた本の感想を1行だけ残し、次の1冊を選ぶ材料にする
それから、全部を同じ速度で読もうとしないことです。実用書は目次を先に読み、自分に必要な章から入っても構いません。1冊を最初から最後まで均等に読む義務はなく、必要な部分を読み切れば「読んだ」と数えてよいと決めておくと、月2冊は一気に現実的になります。
最後にもう一度、数字で確認しておきます。10万字前後の本が約200分、通勤往復で1日40分使えるなら5営業日で1冊。目で1冊、耳で1冊を並行させれば、月2冊は無理な計算ではありません。まずは今週、通勤カバンに入れる1冊を選ぶところから始めてみてください。
よくある質問
日本人は1か月に平均何冊くらい本を読んでいますか?
文化庁「令和5年度 国語に関する世論調査」(2024年1月16日〜3月13日実施、全国16歳以上6,000人対象、有効回答3,559人)では、電子書籍を含め1か月に本を「読まない」人が62.6%で最多でした。「1、2冊」が27.6%、「3、4冊」が6.0%、「5、6冊」が1.5%、「7冊以上」が1.8%です。
通勤時間はどのくらい読書に使えますか?
総務省統計局「社会生活基本調査」(令和3年調査)によると、有業者の通勤時間は全国平均で往復1時間19分、片道約39.5分です。月20営業日で計算すると約26時間になり、その一部を読書に充てるだけでも数冊分の時間が確保できます。神奈川県は往復1時間40分、千葉県・東京都は1時間35分と、首都圏ではさらに長くなります。
本1冊を読み終えるのにどのくらい時間がかかりますか?
日本人成人の読書速度はおおむね分速500〜600文字が目安とされています(速読関連メディアの解説による参考値で、公的統計ではありません)。新書・実用書1冊の分量を10万字とすると、分速500文字で約200分(3時間20分)の計算になります。個人差が大きいため、あくまで見積もりの目安として使ってください。
オーディオブックはどのくらい使われていますか?
audiobook.jp運営元の「オーディオブック認知度調査2025」では、認知度59%(2023年調査は46%)、利用経験者15%(同9%)と、2年で利用経験者が約6割増えました。Audible Japanも2022年1月の聴き放題プラン導入以降、会員数が毎年2桁成長を続け、2022年1月末比で2025年5月末に166%増と公表しています。
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