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独学か通信講座か、通信講座の54%が完走しない理由

2026年5月29日|いろは堂まなび編集部
机の上のノートパソコン

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
独学と通信講座は「安いか高いか」ではなく、<strong>不合格でもう1年やり直す確率をどれだけ下げたいか</strong>で選ぶのが実際的です。教材費だけなら数千円で済む独学に対し、通信講座は数千円〜十数万円かかります。ある調査では通信講座の受講者の54%が受講を完了せず、42%は受験すらしていないため、講座を申し込めば続くわけでもありません。判断軸は「その資格の学習時間が100時間を超えるか」「これまで独学で最後までやり切った経験があるか」の2つです。
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テキストなら3千円、通信講座なら5万円。10倍以上ちがうけど、この差って何に払ってるんだろう…

資格の勉強を始めようと調べ始めて、最初にぶつかるのがこの分かれ道です。書店のテキストで十分という人もいれば、講座を使わないと絶対に受からないという人もいて、どちらの言い分にも説得力があります。

正直なところ、この問いに「どちらが正解」という答えはありません。ただし迷いを1回で終わらせる判断軸なら作れます。費用の絶対額を比べるのをやめて、「不合格でやり直す確率をいくらで買うか」という見方に切り替えるだけです。以下、その考え方と、そのまま使える分岐を順番に置いていきます。

独学と通信講座で、費用は実際どれくらい違う?

まず数字を並べます。独学は市販のテキストと問題集を買うだけなので、数千円程度に収まるケースが多くなります。一方の通信講座は資格の難易度と学習期間によって幅が大きく、数千円から数十万円まで開きます。

幅の大きさが分かりやすいのが宅地建物取引士(不動産取引の専門資格。宅建士)です。独学と通信講座で、かかるお金の内訳を並べると次のようになります。

項目独学通信講座
宅建士の費用教材費 数千円程度2.5万円〜15万円
受験料(宅建士)8,200円(どちらも必要)
不合格時の追加費用受験料+改訂版テキスト代受験料+(再受講費用は講座による)

資格ナビおよびTACの公表データをもとに作成

通信講座の2.5万円〜15万円という幅は相当なもので、スタディングのように14,960円という価格帯もあり、合格祝金が適用されれば実質4,960円になるケースもあります。同じ「通信講座」でも中身と値段はまったく別物だと思ってください。

ここで見落としがちなのが表の最下段です。独学は1回で受かれば圧倒的に安いのですが、複数回受験すると費用が積み上がります。受験料8,200円と法改正対応の新しいテキスト代が毎年かかり、何より1年という時間が消えます。一発合格できるなら通信講座の方がトータルコストで有利になるケースがある、という指摘があるのはこのためです。

つまり比べるべきは「3千円 対 5万円」ではなく、「3千円+不合格リスク 対 5万円+低めの不合格リスク」です。この見方に変えると、判断材料が費用から自分の性格の話に移ります。

通信講座を申し込めば続くのか?

🤔
お金を払ったらもったいなくて続けられる気がするけど、実際どうなんだろう

お金を払えば続く、という期待は残念ながらデータに支えられていません。リンクアカデミーが2016年6月に通信講座の受講経験者へ行ったインターネット調査では、全体の54%が受講完了に至らず、34%は講座の半分まで視聴できずに挫折していました。さらに、目標としていた資格を受験すらしていない人が42%います。

受講が終わらなかった理由の最多は「講座内容がわかりにくかった」で57.3%。次いで「勉強時間がつくれなかった」「やる気がなくなった」が続きます。2016年の民間調査1件なので業界全体を代表する数字ではありませんが、傾向としては受け止めておく価値があります。

通信講座が効くのは「わからなくて止まる」人

この調査で読み取れるのは、講座が万能ではないという事実と同時に、離脱理由の1位が「内容がわかりにくい」だったということです。裏を返せば、質問対応や添削がある講座は、独学で詰まって止まるタイプの人にはまさに効く投資になります。逆に「勉強時間がつくれない」「やる気がなくなった」が自分の弱点なら、講座を申し込んでも同じところで止まります。お金で買えるのは理解の支援であって、机に向かう時間ではありません。

どちらを選ぶか、どう判断する?

判断は2つの質問で足ります。学習時間の量と、自分の過去の実績です。

  1. その資格の学習時間目安を調べる100時間前後で収まるなら独学が現実的な射程に入ります。200時間を超えるなら、独学は「半年以上ひとりで走り続ける」という別の難易度が加わります。
  2. これまで独学で完走した経験があるか思い出す参考書を1冊最後までやり切った、アプリの学習を3ヶ月続けた、といった実績です。「今度こそやる気がある」は実績ではありません。
  3. 2つを掛け合わせる短時間×完走経験ありなら独学。長時間×完走経験なしなら通信講座。残り2つの組み合わせが次で説明する分岐点です。

学習時間の目安は資格ごとにかなり違います。代表的な4つの資格について、目安時間と受験料を並べます。

資格学習時間の目安受験料
日商簿記3級50〜100時間3,850円(事務手数料込)
ITパスポート50〜180時間7,500円
日商簿記2級200〜400時間6,050円(事務手数料込)
宅建士300〜400時間程度8,200円

オンスクプログラマカレッジTACの公表データをもとに作成

ITパスポート(IT全般の基礎知識を問う国家試験)の50〜180時間という幅は、IT未経験者なら100〜180時間、経験者なら50時間前後という差から来ています。また宅建士の300〜400時間は各社講座サイトが示す業界一般値で、公式統計ではない点に注意してください。

上の表で自分の狙う資格の行を見つけたら、その学習時間を週あたりに割ってみてください。簿記3級の100時間を3ヶ月で終えるなら週8時間、1日1時間強です。簿記2級の300時間を同じ3ヶ月でやるなら週25時間になり、平日の夜だけではまず足りません。この週あたりの数字が現実的かどうかが、独学の成否をほぼ決めます

迷いを終わらせる分岐チャート

ここまでの材料を、上から順に答えていく形に落とします。最初にYESが出たところで止めてください。

上から順に、当てはまったところで決定
  • ①学習時間の目安が100時間以下 かつ 参考書を最後までやり切った経験がある独学。簿記3級やITパスポートはこの層です。数千円のテキストで始めて、模擬問題で6割を切り続けるようなら講座を検討し直せば間に合います。
  • ②学習時間が200時間超 かつ 独学の完走経験がない通信講座。宅建士や簿記2級を初挑戦で狙う場合が典型です。2.5万円が「1年やり直さないための保険料」として妥当かで判断します。
  • ③時間は多いが、完走経験はある独学から入って、期限つきで見切る。開始1ヶ月後に進捗が計画の7割を切っていたら講座に切り替える、と最初に決めておきます。この見切り日をカレンダーに書くところまでが手順です。
  • ④時間は少ないが、独学で挫折した経験がある失敗の理由で分ける。「わからなくて止まった」なら講座が効きます。「時間が作れず止まった」なら、講座より先に週の予定表から学習枠を確保するのが順番です。
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③の「期限つきで見切る」って発想はなかった。最初から決めておけばダラダラ迷わずに済むのか

③と④が実は一番多いゾーンです。ここで大事なのは、決断を先送りにしないことよりも、決断のやり直し方をあらかじめ決めておくこと。独学で始めて途中で講座に乗り換えるのは失敗ではなく、最初に想定した通りの運用です。逆に決めずに始めると、成績が伸びない状態で「もう少し粘れば」を半年繰り返してしまいます。

学生と社会人で、判断の重みはどう変わる?

同じ分岐でも、可処分時間と可処分所得のどちらが不足しているかで答えが変わります。

学生の場合、平日の日中や長期休暇にまとまった時間を確保しやすい一方、数万円の講座費用は受験料8,200円と合わせて重い負担になります。時間が確保できるなら、①③のルートで独学を選ぶ合理性が高くなります。長時間を必要とする宅建士のような資格でも、夏休みに100時間を集中投下できるなら独学の射程です。

社会人の場合は逆で、費用は捻出できても週の学習枠が取りにくい構造です。勤務先に資格取得の補助制度がある場合は、講座費用の一部または全部が対象になることがあるので、選ぶ前に確認しておくと判断が変わります。時間が足りない人ほど、効率のよい教材にお金を払う価値が上がります

どちらを選んでも効かない場合があります

週の学習時間が目安の半分にも届かない状態なら、独学でも通信講座でも合格には届きません。簿記2級に200時間必要な人が週3時間しか取れないなら、必要なのは教材選びではなく受験時期を1回後ろにずらす判断です。学び方の選択は、時間が確保できていることを前提にした話だと割り切ってください。

選んだあと、最初の1週間で何をする?

どちらを選んでも、最初の週の動き方は共通です。ここで学習が回るかどうかを確かめます。

  1. 受験日と申込締切を先にカレンダーへ入れる宅建士なら試験日は2026年10月18日、インターネット申込は7月1日から7月31日23時59分まで、郵送申込は7月15日まで。申込を逃すと受験自体ができないため、試験日より締切の方が優先度が高い日付です。日商簿記2級・3級の統一試験は2026年11月15日ですが、ネット試験なら随時受験できます。
  2. 必要時間を残り週数で割る目安時間 ÷ 試験日までの週数で、週あたりのノルマが出ます。この数字を最初に見ておかないと、後半で詰みます。
  3. 1週間だけ、その時間を実際に確保してみる計画上の週10時間と、実際に取れる週10時間は別物です。1週間試して7割取れなければ、計画か受験時期のどちらかを直します。
  4. テキストを1章分、最後まで解く読むのではなく問題を解くところまでやると、独学で理解が詰まるタイプかどうかが分かります。ここで詰まるなら、④の「わからなくて止まる」に該当するので講座が効きます。

この4ステップは、独学を選んだ人にとっては継続の土台になり、通信講座を選んだ人にとっては申し込む前の最終確認になります。数万円を払う前に1週間の試運転をしておけば、54%の未完了組に入るリスクをいくらか下げられます。

費用の大小で悩んでいた時間は、そのまま学習に使えたはずの時間です。上の分岐で決めて、まずは1週間だけ動かしてみてください。合うか合わないかは、机に向かってからでないと分かりません。

よくある質問

資格の勉強は独学と通信講座、どちらが安く済みますか?

1回で合格できるなら独学が圧倒的に安く、教材費は数千円程度で済みます。ただし不合格になると受験料と改訂版テキスト代が毎年積み上がるため、複数回受験する見込みなら通信講座の方がトータルコストで有利になるケースがあります。宅建士の場合、独学の教材費は数千円程度、通信講座は2.5万円〜15万円、受験料はどちらも8,200円です。

通信講座を申し込めば最後まで続けられますか?

必ずしも続くとは限りません。リンクアカデミーが2016年6月に通信講座の受講経験者へ行った調査では、全体の54%が受講完了に至らず、34%は講座の半分まで視聴できずに挫折していました。目標資格を受験すらしていない人も42%います。受講が終わらなかった理由の最多は「講座内容がわかりにくかった」で57.3%でした。

簿記3級や宅建士には何時間くらいの勉強が必要ですか?

日商簿記3級は50〜100時間、日商簿記2級は200〜400時間が目安とされています。ITパスポートはIT未経験者で100〜180時間、IT経験者で50時間前後です。宅建士は初学者で300〜400時間程度が目安とされることが多くなっていますが、これは各社講座サイトが示す業界一般値であり公式統計ではありません。

独学で始めて途中から通信講座に切り替えてもいいですか?

問題ありません。むしろ切り替える基準を最初に決めておく方が合理的です。開始1ヶ月後に進捗が計画の7割を切っていたら講座に切り替える、といった見切りの日付をあらかじめカレンダーに書いておけば、成績が伸びないまま半年を消費する事態を避けられます。

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