防災の日とは?災害時に情報を見分ける3つの視点
画像出典: 写真: tyuta0055(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)
災害時に必要なのは、情報を速く集める力より「その情報が信頼できるか」を短時間で判断する力です。発信元・日時・一次情報の有無という3点を確認する習慣は、平時のニュースやSNSで練習でき、ブックマークの整理まで含めて10分から始められます。9月1日の防災の日と、8月30日〜9月5日の防災週間は、その練習を始める区切りとして使えます。
災害時の情報は、量が足りないのではなく多すぎて選べないことのほうが問題になります。スマホを開けば、公式発表も、善意の転載も、誤りを含んだ投稿も、同じ大きさで並んで表示されます。そのなかから「今、自分が動くために必要な一つ」を選び出すのは、落ち着いているときでも簡単ではありません。
正直なところ、これは災害の知識というより情報を扱う技術の話です。そして技術である以上、平時に練習できます。毎日目にするニュースやSNSの投稿は、そのまま練習台になります。
9月1日は防災の日です。1923年9月1日の関東大震災の犠牲者を悼み、災害からの復興を祈念して1960年に閣議了解で制定されました(1959年の伊勢湾台風の被害も背景にあったとされています)。祝日ではないので会社も学校も通常どおりですが、8月30日から9月5日は「防災週間」とされ、全国で訓練や啓発行事が行われます。備蓄の点検をするこの時期に、情報の扱い方も一緒に見直しておくと、いざというときの迷いが減ります。
災害時に「情報が判断できない」のはなぜ?
災害時の情報が判断しにくいのは、注意力が落ちているうえに、情報の見た目から信頼性が読み取れないからです。テレビなら「どの局が伝えているか」が画面で分かりますが、SNSのタイムラインでは、気象庁の投稿も知らない誰かの投稿も、同じ枠に同じ書式で流れてきます。
そこに、意図的な誤情報が混ざります。総務省はネット上の偽・誤情報を、虚偽・誇大広告や権利侵害などの「違法情報」と、災害時の救助活動の妨げになるなど公共の安全に支障を及ぼす「有害情報」に分類しています。令和6年版の情報通信白書でも「災害時における偽・誤情報への対応」が取り上げられており、行政が政策課題として扱うほど、災害と誤情報はセットで起きるものになっています。
実際に、能登半島地震ではSNS上のデマ投稿をめぐって投稿者が摘発される事例が起きました。悪意のある投稿だけでなく、善意で拡散された古い情報も現場を混乱させます。数年前の別の災害の写真が「今起きていること」として回ってくるのは、災害のたびに繰り返されてきたパターンです。
拡散する側の責任も、実は判断力の一部です。政府広報オンラインは、日頃から情報の真偽を確かめる姿勢を持つことと、真偽が判断できない情報を安易に拡散しないことの重要性を啓発しています。つまり求められているのは「見抜く力」だけでなく、分からないものを分からないまま置いておく力でもあります。
情報の信頼性を確かめる3点チェックとは?
災害時に一つひとつの情報を精査する時間はありません。だからこそ、確認する項目をあらかじめ3つに絞っておきます。発信元・日時・一次情報の有無の3点です。
- 発信元:誰が言っているか。行政・気象庁・報道機関か、個人か。アカウント名だけでなく、公式かどうかまで見る
- 日時:いつの情報か。投稿日時ではなく、書かれている出来事がいつのものか
- 一次情報の有無:元の発表にたどれるか。「〇〇によると」とあるなら、その〇〇の発表を直接開けるか
この3点は、どれか一つでも欠けていたら「保留」と判断する材料になります。真偽の判定ではなく、行動に使ってよいかどうかの仕分けだと考えると迷いません。避難や連絡といった行動の根拠にできるのは、3点がそろっている情報だけにする、という線引きです。
とくに引っかかりやすいのは「日時」
発信元は比較的すぐ確認できます。見落とされやすいのは日時のほうです。投稿されたのは今日でも、写真や内容が過去の災害のものというケースは頻繁に起きます。画像に写っている季節、服装、道路標識のような手がかりが、書かれている状況と合っているかを一度見るだけでも精度が上がります。
3点チェックは平時のニュースで練習できる
災害時にいきなりこの手順を実行するのは難しいので、普段のニュースで慣らしておきます。日常的に目にする記事や投稿で「これの一次情報はどこだろう」と一度だけたどってみる。それだけで、一次情報にたどり着く経路が体に入ります。1日1件で十分です。
平時にやっておく準備は何?
災害が起きてから情報源を探し始めると、探すこと自体に時間と気力を取られます。先に決めておけば、当日は開くだけで済みます。
- 一次情報源を3〜5つブックマークするお住まいの自治体の防災ページ、自治体の防災アプリ、気象庁、内閣府の「防災情報のページ」、政府広報オンラインの防災・災害ポータルなど。スマホのホーム画面にフォルダを作ってまとめると、慌てているときでも開けます。所要時間は10分ほどです。
- 「まずどれを見るか」の順番を決める複数あっても、開く順番が決まっていないと迷います。1番目は自治体(自分の地域の避難情報が出るため)、2番目は気象庁、3番目に報道、という優先順を自分で決めておきます。
- 家族・職場で共有する災害時にどの情報源をまず確認するかを事前に話しておくと、「あれは本当か」というやり取りに時間を使わずに済みます。同じ情報源を見ている前提があるだけで、連絡が短く済みます。
- ハザードマップを一度開いておく防災週間(8月30日〜9月5日)を使って、自治体の防災ポータルとハザードマップを実際に見ておきます。自宅・職場・学校の位置で何が想定されているかを一度知っておくと、当日に流れてくる情報の意味が分かります。
- 1日1件、一次情報をたどる習慣にする準備が終わったら、あとは平時の練習に移ります。ニュースを1件選び、その元になった発表を開いてみる。数分で終わります。
準備の大半は10分程度で終わります。時間がかかるのはハザードマップを読み込む部分ですが、これも初回に30分ほど見ておけば、次からは確認だけです。学生の方なら通学経路、社会人の方なら通勤経路で見ておくと、自宅以外にいるときの判断材料になります。
この習慣は防災以外でも役に立つ?
3点チェックの中身は、そのまま情報リテラシーの基礎です。発信元をたどる・日時を確認する・一次情報に当たるという3つは、レポートを書くときも、仕事で資料を作るときも、投資や健康の情報を見るときも同じように使えます。
とくに一次情報に当たる習慣は、学びの質を大きく変えます。要約された記事だけを読んでいると、元の発表にあった条件や限定が落ちていることに気づけません。「〇〇が発表」と書かれていたら発表そのものを開く、という動作を持っている人は、同じニュースからより正確な理解を得られます。
| 確認項目 | 災害時の使い方 | 平時の使い方 |
|---|---|---|
| 発信元 | 行政・気象庁の発表か、個人の投稿か | 記事の書き手・媒体は何か |
| 日時 | 今回の災害の情報か、過去の災害の再掲か | 制度・数値がいつ時点のものか |
| 一次情報 | 元の発表・避難情報にたどれるか | 引用元の資料・統計に当たれるか |
災害時のための特別な訓練ではなく、普段の情報の読み方を少し丁寧にすることが、そのまま非常時の判断力になります。逆に言えば、平時にやっていないことは非常時にもできません。
3点チェックは「時間があるとき」の方法です。目の前に危険が迫っている場面では、確認より先に避難してください。揺れている最中や、避難指示が出ている状況で情報の真偽を吟味するのは順番が逆です。この習慣が効くのは、避難後や、まだ直接の危険が及んでいない段階で「次にどう動くか」を決めるときです。
また、一次情報にこだわりすぎて動けなくなるのも問題です。一次情報が出そろうまで待つより、公式の避難情報が出た時点で動くほうが安全な場面は多くあります。3点チェックは判断を早くするための道具であって、慎重さを増やすための道具ではありません。
今日から何を始めればいい?
最初の一歩は、スマホのブックマークを開いて、自治体の防災ページを1つ追加するだけで十分です。防災週間はその区切りとして使えますが、期限のあるものではないので、思い立った日で構いません。
- 自治体の防災ページをブックマーク(3分)
- 気象庁と内閣府の防災情報ページを追加(3分)
- 開く順番を決めてメモ(2分)
- 家族か同僚に「災害のときはここを見る」と共有(2分)
ここまでできていれば、災害が起きたときに「どこを見ればいいのか」で立ち止まることはありません。残りは日々のニュースで、一次情報をたどる練習を少しずつ積むだけです。情報収集力は、災害の日ではなく、何もない日に育ちます。
よくある質問
2026年の防災の日はいつですか?
2026年の防災の日は9月1日(火)です。防災の日は制定以来毎年9月1日で固定されており、年によって変わるのは曜日だけです。国民の祝日には含まれないため、会社や学校は通常どおりの業務日となります。
防災の日はなぜ9月1日なのですか?
1923年9月1日に発生した関東大震災の犠牲者を悼み、災害からの復興を祈念して、1960年(昭和35年)に閣議了解により制定されました。1959年の伊勢湾台風の被害も制定の背景要因とされています。
防災週間はいつですか、何をする期間ですか?
防災週間は8月30日から9月5日までの1週間です。内閣府は、日本が自然条件から災害の発生しやすい国土であることを踏まえ、一人ひとりの防災意識を高め、日頃からの備えの重要性を伝える機会と位置づけており、全国で防災訓練や啓発行事が行われます。
災害時にSNSの情報を信じてよいか、どう判断すればよいですか?
発信元・日時・一次情報の有無という3点を確認し、いずれかが欠けている情報は行動の根拠にしないという線引きが有効です。政府広報オンラインも、日頃から情報の真偽を確かめる姿勢と、真偽が判断できない情報を安易に拡散しないことの重要性を啓発しています。
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