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修正依頼が終わらない副業、受注前に決める3つの取り決め

2026年7月9日|いろは堂副業編集部
ノートPCと整った作業デスク

画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

この記事の要点
修正が終わらない案件は、受注前に「基本料金に含まれる修正回数(一般には2〜3回が広く行われている運用)」「1回の定義」「超過時の1回あたり追加料金」の3点を書面で決めておけば大半が防げます。すでに始まってしまった案件でも、仕様不適合は無償・クライアント都合の変更は有償という線引きを示し、着手前に金額へ合意をもらう形に切り替えれば止められます。
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「ここ、もう一回だけ直して」が5回続いてる。もう報酬より作業時間のほうが多いかも……

副業でデザインや動画編集、Web制作を受けていると、かなりの確率で通る道です。納品したあとの修正が終わらない案件は、腕の問題ではなく、受注前の取り決めが抜けているだけのことがほとんどです。

正直なところ、断りにくさもあります。まだ実績が少ないうちは「ここで揉めたら次がない」と思って、つい無限に応じてしまう。ただ、無制限の修正対応を受け入れると業務負担は際限なく増えていく、というのは制作の実務でも繰り返し指摘されている話です。決めておけばいいだけなので、決め方を具体的に見ていきます。

なぜ修正依頼は終わらなくなるのか?

原因はシンプルで、「どこまでが料金に含まれる作業か」が決まっていないからです。境界線がないので、クライアントからすれば「まだ直してもらえる範囲」に見えますし、こちら側にも断る根拠がありません。悪意のある発注者だから起きるのではなく、線を引いていない案件では自然にそうなります。

もう一つは、修正の中身が2種類混ざっていることです。ここを分けないまま全部を「修正」と呼んでいると、話し合いのしようがありません。

「修正」には性質の違う2種類がある
  • 仕様不適合… 最初に合意した指示書・要件を満たしていない。例: 指定サイズと違う、依頼した文言が入っていない
  • 仕様変更(要望・好みの変更)… 合意内容は満たしているが、見てみたら別の形にしたくなった。例: 「やっぱり配色を変えたい」「構成を組み替えたい」

制作の契約実務では、仕様不適合は無償修正、クライアント都合の仕様変更は有償、という原則を契約書に明記しておくのが定石とされています。この一文があるだけで、「直してください」と言われたときの判断が「どっちですか?」の確認に変わります。感情の話ではなく、分類の話にできるわけです。

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でも受注前にそんな細かい条件を出したら、めんどくさい人だと思われない?

細かい条件の提示は、発注側にとってはむしろ安心材料になります。追加費用がいつ発生するか読めない相手のほうが、予算を組む立場からすると不安だからです。回数と料金が最初に書いてあれば、支払い総額の見通しが立ちます。条件提示は防御ではなく、見積もりの一部だと考えてください。

受注前に決めるべき3つの取り決めとは?

詰めるべき論点は3つに絞れます。多くの制作契約で共通して挙げられるのが、この組み合わせです。

  1. 基本料金に含まれる修正回数の上限デザイン制作では基本修正回数を2〜3回程度まで基本料金内に含める運用が広く行われています。まずはこのあたりを基準に、自分の作業量と単価で調整します。
  2. 「1回」の定義ここが最重要です。軽微な文言差し替えと、構成そのものを組み替える大幅修正を同じ「1回」として数えると、上限を決めた意味がなくなります。
  3. 上限を超えた場合の1回あたりの追加料金金額を先に出しておくと、超過したときに交渉が発生しません。合意済みの単価を適用するだけになります。

この3点は、口頭で言っただけでは効きません。見積書か契約書、最低でもチャットの文章として残る形にしておきます。証拠が残る場所に書いてあることが、後から効いてくる唯一の条件です。

「1回」の定義はこう書くと揉めにくい

定義がないと、クライアントは箇条書きで10項目送ってきて「今回の修正」と呼びます。こちらは10回分のつもりでも、向こうは1回のつもりです。防ぐには、回数ではなくまとまり方と規模で線を引きます。

記載例(そのまま見積書に貼れます)
  • 修正は基本料金内で2回まで(1回=ご指摘をまとめて1通でお送りいただいた分を1回と数えます)
  • 文言・色・配置の調整は修正回数に含みます
  • 構成・レイアウトの作り直し、コンセプト変更、素材の全面差し替えは「再制作」として別途お見積りします
  • 3回目以降の修正は1回あたり◯,◯◯◯円

ポイントは「まとめて1通で」の部分です。これを入れておくと、思いつくたびに単発で飛んでくるメッセージを、こちらから「まとめてお送りください」と整理する根拠になります。作業効率も上がりますし、クライアント側も指摘を整理する過程で不要な要望が減ります。

この決め方が向かないケースもあります

試作を何度も出しながら方向性を探る性質の案件(ブランドロゴの初期案出し、企画段階のラフなど)では、回数で縛るとかえって仕事が進みません。この場合は成果物単位ではなく、時間単価や月額での契約に切り替えたほうが双方に合います。「回数制限を付けるか、時間で請求するか」の二択で考えると判断しやすくなります。

すでに修正ループに入った案件はどう止める?

取り決めなしで始めてしまった案件でも、途中から線を引けます。過去分を遡って請求するのは難しいので、「ここから先」に線を引くのが現実的です。

  1. いま来ている依頼を分類する仕様不適合か、当初の指示書になかった新しい要望か。指示書や最初のやり取りを開いて、事実として確認します。
  2. 不適合分は無償で先に片づけるここを渋ると話がこじれます。約束したものが出せていないなら、まず直します。
  3. 新規要望は着手前に金額を提示する作業してから請求するのではなく、金額に合意をもらってから着手します。追加作業は都度金額を提示して合意を取ってから始める、というのが実務での基本的な進め方です。
  4. 以降のルールを一文で共有する「今後の追加のご要望は、作業前にお見積りをお送りする形にさせてください」と伝えます。これで次回以降が自動的に有償ルートに乗ります。

追加費用はどう伝えれば角が立たないか

言いにくさの正体は、「お金を要求している」ように聞こえることです。そう聞こえないようにするには、金額の話ではなく、範囲の確認として切り出します。

そのまま使える伝え方
  • 「ご要望ありがとうございます。こちら、当初お預かりした指示書に含まれていない内容のため、追加のお見積りをお送りしてもよろしいでしょうか」
  • 「対応可能です。作業量が◯時間ほど増えますので、◯,◯◯◯円の追加でいかがでしょうか。ご了承いただけましたら着手します」
  • 「ご予算の都合がありましたら、代わりに◯◯を簡略化して既存の範囲内に収める形もご提案できます」

3つ目のような代替案を添えると、「金額を突きつけられた」感じがなくなります。断られても関係が悪くならず、こちらは無償作業を引き受けずに済みます。実際には、追加費用を提示した時点で「じゃあ今回はこのままで」となる要望もかなりあります。無料だから際限なく出ていた要望が、値札を付けた瞬間に取捨選択されるだけです。

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値段を言うのが失礼だと思ってたけど、確認として聞けばいいのか

ここで一つ、法制度の側にも押さえておきたい変化があります。2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法、通称フリーランス新法)では、フリーランスに業務を委託した事業者は、給付の内容・報酬額・支払期日などを直ちに書面または電磁的方法で明示する義務を負うことになりました。

この法律に「修正回数は何回まで」と書かれた条文があるわけではありません。ただ、何をどこまで納めるのかという「給付の内容」を書面で明示するのは発注側の義務だという前提が置かれたことになります。条件を書面で確認したいと申し出るのは、こちらのわがままではなく、取引の標準的な進め方だということです。

次の案件から何を変えればいいのか?

今日からできることは3つだけです。見積書のテンプレートに修正条件の3行を足す。指示書に無い依頼が来たら分類する癖をつける。追加作業は着手前に金額を出す。この3つで、修正ループはほぼ発生しなくなります。

効き方はわかりやすい形で表れます。たとえば3万円の案件で、修正が7往復して合計30時間かかっていたなら時間単価は1,000円です。同じ3万円でも修正2回・合計10時間で終われば3,000円になります。報酬額を上げなくても、終わりを決めるだけで時間単価は3倍になり得ます。3回目以降を1回5,000円と決めてあれば、超過した分はそのまま上乗せの報酬にもなります。

受注前に条件を出すと、断られる案件は出てきます

これは事実です。特に始めたばかりで実績が薄い時期は、条件を付けたことで話が流れることがあります。ただ、流れるのは「無制限の修正を前提に安く発注したい」相手であることが多く、その案件を受けても時間単価は下がる一方です。まずは3件に1件、条件を書いた見積書を出すところから試して、通る手応えを掴んでみてください。

よくある質問

副業のデザインや動画編集で、修正回数は何回まで含めるのが一般的ですか?

デザイン制作では、基本修正回数を2〜3回程度まで基本料金内に含める運用が広く行われています。ただし回数だけを決めても、「1回」の範囲があいまいだと意味をなさないため、軽微な文言修正と構成変更を伴う大幅修正を同じ1回として扱わない形で定義を添える必要があります。

修正が無償か有償かは、どう線引きすればいいですか?

最初に合意した指示書や要件を満たしていない「仕様不適合」は無償修正、要件は満たしているがクライアント都合で内容を変えたい「仕様変更」は有償、というのが制作契約での定石です。この原則を契約書や見積書に一文で明記しておくと、依頼が来たときに感情論ではなく分類の確認として扱えます。

すでに修正が続いている案件でも、途中から追加費用を請求できますか?

過去に行った作業を遡って請求するのは難しいですが、これから発生する作業には線を引けます。当初の指示書や見積範囲を超える作業かどうかで判断し、超過分は都度金額を提示して合意を取ってから着手する、という進め方に切り替えるのが実務的な方法です。作業後に請求するのではなく、着手前に金額へ合意をもらうのが要点です。

フリーランス新法では修正回数について何か決まっていますか?

2024年11月1日施行のフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)に、修正回数を直接定めた条文はありません。同法は業務委託をした事業者に対し、給付の内容・報酬額・支払期日などを直ちに書面または電磁的方法で明示する義務を課しており、修正回数や追加費用の取り決めは、この「給付の内容」を具体化するものとして当事者間の契約書で明確にすべき事項という位置づけになります。

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