実績ゼロのポートフォリオ、載せるべき4項目とは?
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
実務経験がなくてもポートフォリオは作れます。自主制作物と、架空のクライアントを想定した模擬提案をセットにすれば「何を作ったか」ではなく「どんな課題をどう解決しようとしたか」という思考プロセスを見せられます。載せる項目は、自己紹介・経歴、学習内容と得意スキル、自主制作物、使用技術と工夫点の4つが基本です。
案件に応募しようとして、ポートフォリオの提出欄で手が止まる。載せられる納品物がないから、応募自体をやめてしまう。副業の入口でいちばん多い足踏みがここです。
ただ、ポートフォリオは「納品した実績の一覧」ではありません。発注する側が見ているのは、この人に頼んだら何をどう考えて進めてくれるのか、という一点です。だから実務経験がなくても、自分で課題を設定して作ったもの——自主制作と、架空のクライアントを想定した提案——で代わりになります。
正直なところ、未経験の応募者はポートフォリオを持っていないことのほうが多いです。だからポートフォリオがあるという事実自体がプラスに働きやすいのが、この段階のいいところなんです。
実績なしでポートフォリオは作れる?
作れます。実務経験がなくても、自主制作や架空クライアントへの提案という形でスキルを証明することは可能だとされています。評価されるのは「何を作ったか」ではなく、どんな課題をどう解決しようとしたかという思考プロセスです。
ここは発注側の立場に立つとわかりやすいです。バナー1枚を頼むとき、上手なバナーが並んだページよりも、「この店は何を売りたくて、誰に届けたいから、この配色にした」と書いてあるページのほうが安心できます。前者は完成品の見本ですが、後者は仕事の進め方の見本だからです。
つまり実績ゼロの状態で埋めるべき穴は、作品の数ではなく判断の根拠が見えないことのほうです。ここを自主制作で埋めます。
問題になるのは、架空のものを実案件として見せた場合です。「架空クライアントを想定した自主制作です」と明記していれば、それは自分で課題を立てて解いた演習であり、副業・フリーランスの入口では実績ゼロを補う代表的な手法として紹介されています。隠すから怪しくなるだけで、書いてしまえば普通の作品なんです。
ポートフォリオに載せるべき項目は?
未経験者のポートフォリオで基本になるのは、次の4つです。ここが埋まっていれば、ページ数が少なくても形になります。
- 自己紹介・経歴 — 本業で何をしていて、何ができる人なのか
- 学習してきた内容・得意スキル — 使えるツール、学んだ範囲
- 自主制作物(作品) — 実際に手を動かして作ったもの
- 使用技術・工夫点 — 何を使い、どこをどう判断したか
4つめの「工夫点」が、実績ゼロの人にとっていちばん効く欄です。ここに迷った点と、選ばなかった案を書いておくと、思考プロセスがそのまま見えます。「読み込みが遅かったので画像を軽くした」「配色は3案作って、店舗の外観に合う暖色を選んだ」——この一文があるかないかで、同じ作品でも印象が変わります。
作品1つあたりに書く中身
- 想定クライアント郊外の個人経営カフェ、30代の近隣住民が客層、など具体的に置く。
- 課題「新規客が来店前に雰囲気を確認できる場所がない」のように、困りごとの形で書く。
- やったこと作ったものと、その範囲(設計から作ったのか、デザインのみか)。
- 使用技術・ツール言語、ソフト、使ったサービス名。
- 工夫点と反省判断の理由と、次に作るなら直したいところ。
- 制作期間何時間・何日かけたか。稼働量の目安として発注側が見ます。
制作期間を書くのを怖がる人が多いのですが、ここは正直でいいです。初心者が1ページ作るのに5時間かかる、というのはよくある想定で、発注側もそれを踏まえて依頼します。実態より短く見せると、受注後の自分が苦しくなります。
何から作り始めればいい?
ゼロから構想を練ろうとすると、たいてい止まります。未経験者のポートフォリオ作成では、まず他の人のポートフォリオを見てイメージを掴み、限られた時間の中で本当に必要な機能に労力を絞ることが勧められています。全部盛りにしないのがコツです。
- 参考を5件集める(半日)自分がやりたい分野で公開されているポートフォリオを見て、構成と情報量を真似る土台にします。
- 架空クライアントを1つ決める(1時間)実在の店や企業をモデルにしてよいですが、名前は架空にします。業種・客層・困りごとまで決めます。
- 作るものを1点に絞る(1時間)ページ数や機能を最小にします。「動く1画面」のほうが「未完成の5画面」より強いです。
- 作る(数日〜2週間)途中の判断をメモに残しておくと、あとで工夫点の欄がそのまま書けます。
- 解説文を書く(半日)上の6項目を埋めます。ここを飛ばすと、ただの作品置き場になります。
- 2点目・3点目を作る1点目と毛色を変えると、対応できる幅が伝わります。
作品は最初から何点も要りません。解説の厚い1点ができた時点で、応募は始められます。応募しながら2点目を作るほうが、フィードバックが入るぶん早いです。
作ったあと、最初の1案件までどう動く?
未経験から案件を探す代表的な場は、クラウドワークスとランサーズです。クラウドワークスは国内シェア・取引数・ワーカー数No.1のクラウドソーシングサイト、ランサーズは導入企業60万社以上・350種類以上の仕事を扱う国内最大級のマッチングサービスとされ、どちらも実務経験が少なくても応募できる案件が多くあります。
期間の感覚も持っておくと折れにくくなります。独学で基本スキルの習得まで目安3ヶ月程度、その後クラウドソーシングで複数案件に毎日応募を続けて3ヶ月目あたりで月3〜10万円規模の受注例が紹介されています。あくまで紹介されている事例であって、誰でもこの通りになる保証はありませんが、「1ヶ月で決まらないのは普通」と知っているだけで続けやすくなります。案件獲得の初期1〜2年は、応募を続けながら評価を積み上げていく信頼構築の期間だという見方もあります(体験談ベースの参考情報です)。
もうひとつ、応募先を選ぶときに手取りへ直結するのが手数料です。
| サービス | 報酬額の範囲 | 手数料率 |
|---|---|---|
| クラウドワークス | 10万円以下の部分 | 20% |
| クラウドワークス | 10万円超〜20万円以下の部分 | 10% |
| クラウドワークス | 20万円超の部分 | 5% |
| クラウドワークス | タスク形式(金額問わず) | 20% |
| ランサーズ | 全報酬額(一律) | 16.5%(税込) |
@SOHOの公表データをもとに作成
上の表のとおり、報酬額10万円以下ならランサーズ、10万円以上ならクラウドワークスが手取りで有利になります。最初の案件はほぼ10万円以下の帯なので、そこだけ覚えておけば十分です。なお手数料率は各社のヘルプページで変更されることがあるため、応募前に最新の表記を確認してください。
単価の下限をどこに置くか
実績が欲しいあまり、極端に安い金額で受けてしまうのが最初の落とし穴です。判断の目安として、地域別最低賃金を下限のものさしにする考え方があります。
| 都道府県 | 最低賃金(時給) |
|---|---|
| 全国加重平均 | 1,121円 |
| 東京都 | 1,226円 |
| 高知県 | 1,023円 |
| 宮崎県 | 1,023円 |
| 沖縄県 | 1,023円 |
厚生労働省の公表データをもとに作成(2025年度/令和7年度改定分・主要値の抜粋)
2025年度の地域別最低賃金は全国加重平均で時給1,121円(前年差+66円)、全都道府県で1,000円を超えました。報酬を制作時間で割った金額がこれを下回るなら、その案件は自分の時間を安く売っていることになります。この結びつけ自体は本記事の考え方で、公式に定められた基準ではありませんが、判断に迷ったときの物差しとしては使えます。
ポートフォリオを作り込むことが目的化してしまう人には、この進め方は逆効果になります。デザインを何度も直し、機能を足し続けて半年経っても応募していない、という状態がいちばんもったいないです。1点できたら未完成でも応募してみて、返ってきた反応で直すほうが早く進みます。
また、勤務先の就業規則で副業が禁止・許可制になっている場合は、作品作りより先にそこの確認が必要です。あわせて、副業の所得(売上から必要経費を引いた利益)が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。判定は売上額ではなく利益額なので、経費のレシートは最初から残しておいてください。
ポートフォリオの見せ方でつまずかないために
最後に、応募時に効いてくる細かい点をまとめます。作品そのものより、こういう部分で選ばれ方が変わることがあります。
- 架空案件には「架空クライアントを想定した自主制作」と明記した
- 各作品に、課題・やったこと・工夫点が書かれている
- 使用ツールと制作期間を書いた
- スマートフォンで開いて崩れていないか確認した
- URLを共有した状態で、他人が閲覧できるか確認した
- 本業の勤務先が特定できる情報や、守秘に関わる内容を載せていない
実績ゼロという状態は、経歴の欠落ではなくまだ見せ方を作っていないだけです。架空の1件でいいので課題を立てて、手を動かして、その理由を書く。それが最初の実績になります。
よくある質問
実務経験がなくてもポートフォリオは作れますか?
作れます。自主制作や架空クライアントへの提案という形でスキルを示すことが可能で、評価されるのは完成物そのものより「どんな課題をどう解決しようとしたか」という思考プロセスです。未経験者の場合、ポートフォリオがあること自体がプラス評価につながりやすいとされています。
ポートフォリオに最低限載せるべき項目は何ですか?
自己紹介・経歴、学習してきた内容と得意スキル、自主制作物、使用技術と工夫点の4つが基本項目です。各作品には想定クライアント、課題、やったこと、使用ツール、工夫点、制作期間を書き添えると、実務経験がなくても仕事の進め方が伝わります。
架空案件をポートフォリオに載せても問題ありませんか?
「架空クライアントを想定した自主制作」であることを明記していれば問題ありません。実案件のように見せかけるのが問題であって、演習として提示する分には、副業・フリーランスの入口で実績ゼロを補う代表的な手法として紹介されています。
未経験から最初の案件を取るまでどのくらいかかりますか?
独学で基本スキルの習得まで目安3ヶ月程度、その後クラウドソーシングで複数案件に毎日応募を続けて3ヶ月目あたりで月3〜10万円規模の受注に至った例が紹介されています。これは紹介されている事例であり結果を保証するものではありませんが、初期1〜2年は応募を重ねて評価を積み上げる期間と考えておくと続けやすくなります。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。