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インボイス2割特例が9月末で終了、今年中にやるべき手続き

2026年9月5日|いろは堂副業編集部
机の上でレシートを広げ赤い電卓を操作する女性の手元の写真

画像出典: https://kaboompics.com/ / Pexels

この記事の要点
インボイスの2割特例は、2026年9月30日が属する課税期間までで終了します。暦年で申告する個人事業主が2割特例を使える最後の申告は令和8年分(2027年3月申告)で、そのあとは原則課税・簡易課税・個人事業主限定の3割特例のいずれかに移ります。簡易課税を選ぶなら適用したい課税期間が始まる前日までに届出書の提出が必要なため、判断は年内に済ませておくのが安全です。
😟
インボイス登録したとき「2割納めればいい」って聞いて、そのままにしてました。9月で終わるって本当ですか?

2割特例(売上にかかった消費税の2割だけを納める簡便な計算方法)は、期間を区切った経過措置として作られたものです。国税庁の案内では、適用できるのは令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日が属する各課税期間と定められています。暦年で区切る個人事業主なら、令和8年分=2026年1月〜12月がその「最後の課税期間」にあたります。

つまり今すぐ何かが打ち切られるわけではありません。今年ぶんの申告(2027年3月)までは2割特例が使えます。ただ、そのあとの課税方式をどうするかは、期限が切れてからでは選べない選択肢があります。正直なところ、ここを知らずに年を越してしまう人がいちばん損をします。

2割特例はいつ、どう終わるのか?

2割特例は、インボイス発行事業者の登録を受けた事業者のうち、基準期間(個人事業主なら2年前)の課税売上高が1,000万円以下などの要件を満たす人が対象の制度です。免税事業者だった人がインボイス登録によって課税事業者になる負担をやわらげるために設けられました。

国税庁が示す適用期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。ここが少しわかりにくいところなので、事業の形ごとに整理します。

事業の形2割特例が使える最後の課税期間
個人事業主(暦年)令和8年分(2026年1月〜12月)/申告は2027年3月
3月決算の法人令和9年3月期

国税庁の公表データをもとに作成

会社員の副業で開業届を出している場合、ほぼすべてが上の「個人事業主(暦年)」にあたります。9月30日で申告そのものが締め切られるわけではなく、「9月30日を含む課税期間まで」が対象という読み方です。9月末を過ぎても、今年ぶんの申告では2割特例を選べます。

また令和8年度の税制改正大綱では2割特例の延長は行われず、予定どおりこの期間で終了することが確定しています。「そのうち延長されるかも」という前提で待つ選択肢は、いまのところありません。

終わったあとは何に切り替わるのか?

🤔
終わったら自動的に何かに切り替わるんですか?それとも自分で選ぶ?

切り替わり先は自分で決めます。2割特例が終わったあとの消費税の計算方法は、原則として次の3つです。

2027年分からの選択肢
  • 原則課税…売上でもらった消費税から、仕入・経費で払った消費税を引いて納める。取引ごとの記録が必要で手間は最も大きい
  • 簡易課税…業種ごとに決められた「みなし仕入率」(業種区分ごとに決まっている、控除できる割合)で控除額を計算する。経費の消費税を1件ずつ拾わなくてよい。事前の届出が必要
  • 3割特例…2割特例の終了後に新設される、個人事業主限定の経過措置。2027年・2028年分の2年間限定で適用される見込み

3割特例は個人事業主のみが対象で、法人は対象外とされている点が2割特例との大きな違いです。副業として個人で活動している人にとっては、負担の増え方をゆるやかにする受け皿になります。名前のとおり、売上にかかる消費税のうち3割を納める計算です。2割から3割へ、単純に負担が5割増える形になります。

「簡易課税なら安心」とは限りません

簡易課税でも、業種によってはみなし仕入率が2割特例の実質的な控除(約80%)より低くなり、納める消費税が増えるケースがあると税務系の解説サイトが指摘しています。「簡易課税を選べば今までどおり」ではなく、自分の業種区分で計算してみることが必要です。

今のうちに何をしておけばいいのか?

やることは多くありません。順番だけ間違えないようにします。

  1. 今年の課税売上高を把握する1〜8月の売上を集計し、年末までの見込みを足します。1,000万円を超えるかどうかで、その後の立ち位置が変わります。
  2. 自分の業種区分を確認する簡易課税のみなし仕入率は業種区分ごとに決まっています。自分の仕事がどの区分にあたり、控除できる割合がいくつになるかは、国税庁の簡易課税制度の区分表で確認できます。
  3. 3つの方式で試算する今年の売上と経費の数字を使い、原則課税・簡易課税・3割特例のそれぞれでいくら納めるかを計算します。会計ソフトを使っているなら課税方式を切り替えて比較できます。
  4. 簡易課税を選ぶなら届出書を出す「消費税簡易課税制度選択届出書」は、原則として適用を受けたい課税期間の開始前日までに提出が必要です。2027年分から適用するなら2026年12月31日が期限になります。
  5. 今年ぶんの申告は2割特例で締める令和8年分の申告(2027年3月)では2割特例が使えます。事前の届出は不要で、申告書に付記する形で適用できます。

いちばん見落とされるのが、4番目の届出期限です。簡易課税は「使いたくなったときに使う」ものではなく、事前に手を挙げておく制度だからです。年末は本業も副業も慌ただしくなります。9月〜10月のうちに試算まで済ませておくと、あとは提出するだけになります。

経理のやり方は変えるべき?

2割特例のあいだは、極端に言えば売上さえ集計できていれば納税額が出ました。原則課税に移ると、ここが変わります。経費の一つひとつについて、インボイス(適格請求書)を受け取っているか、税率は何%かを記録する必要が出てきます。

副業で経費が少ない人ほど、原則課税に移っても控除できる金額が小さく、手間だけが増えることになりがちです。逆に機材購入やソフトの年間契約など仕入が大きい年は、原則課税のほうが有利に働くこともあります。

今から整えておくと楽になること
  • 経費のレシート・請求書を、発行者の登録番号が読める形で保存する
  • クラウド会計ソフトで消費税区分を入力する習慣をつける
  • 継続的な取引先については、相手がインボイス発行事業者かを確認しておく
  • 売上と経費を月次で締める(年末にまとめてやると試算ができない)

これらは課税方式をどれに決めるとしても無駄になりません。むしろ、試算の材料がそろっていないと3方式の比較そのものができません。

そして、月次で数字が見えている状態は納税のためだけのものではありません。単価の低い案件と高い案件がひと目で並ぶので、来年どの仕事を厚くするかを数字で決められます。制度対応のために整えた帳簿が、そのまま値上げ交渉と案件選びの材料になります。負担が増えるぶんを、単価の見直しや仕事の入れ替えで取り返して、手取りを今年より増やすことは十分に狙えます。

そもそも登録をやめる選択肢はある?

🥺
負担が増えるなら、インボイス登録を取り下げたほうがいいのかな…

登録の取りやめは制度上できますが、判断は取引先との関係で決まります。取引先が課税事業者で、あなたへの支払分の仕入税額控除を必要としているなら、登録を外れることで単価の見直しを求められる可能性があります。一方、取引先が個人や免税事業者中心なら、登録の必要性は薄くなります。

ここは「税額がいくら増えるか」だけでは決められません。登録をやめたときに失う仕事の金額と、消費税の増加分を並べて比べるのが判断のしかたです。年間の消費税負担が数万円で、そのために継続案件を失うなら本末転倒になります。

登録を続けるなら、法人の取引先とそのまま取引を広げられるという強みが残ります。インボイスを出せることを前提に発注する企業は多く、そこが受注の入口になっている人もいます。制度対応を済ませた状態は、来年の案件を増やす側にも効いてきます。

迷ったときの決め方は?

実際のところ、副業規模で売上が数百万円までなら、2027年・2028年は3割特例を使い、その間に経理の体制を整えるという流れがいちばん現実的です。3割特例なら届出も不要で、負担の増え方も見通しが立ちます。

そのうえで、次の条件に当てはまるなら簡易課税や原則課税の試算を優先します。

試算を先にやったほうがいい人
  • 法人化している、または近く法人化を考えている(3割特例は個人事業主限定のため)
  • 機材・外注費など、売上に対する仕入の割合が大きい
  • 課税売上高が1,000万円に近づいている
  • 卸売・小売にあたる販売事業をしている(みなし仕入率が高く簡易課税が有利になりやすい)

金額が大きくなるほど、選択の差も大きくなります。年間の消費税が数十万円規模になりそうなら、税理士に一度試算を依頼する費用は十分に回収できる範囲です。まずは今年の売上を集計するところから始めれば、判断に必要な材料は自然にそろいます。

制度の詳細や届出書の様式は、国税庁の2割特例に関する案内ページで確認できます。数字の前提が変わる可能性もあるため、実際に届出を出す前には最新の公表内容を確認してください。

よくある質問

インボイスの2割特例はいつまで使えますか?

2割特例は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日が属する各課税期間で適用できます。暦年で申告する個人事業主の場合、令和8年分(2026年1月〜12月)が最後の対象期間で、その申告は2027年3月に行います。3月決算法人は令和9年3月期が最後です。

2割特例が終わったら消費税はどう計算しますか?

原則課税、簡易課税、または個人事業主限定の3割特例のいずれかに移ります。3割特例は2027年・2028年分の2年間限定で適用される見込みで、法人は対象外です。簡易課税を選ぶ場合は事前に届出書の提出が必要です。

簡易課税制度選択届出書の提出期限はいつですか?

原則として、適用を受けようとする課税期間の開始日の前日までです。個人事業主が2027年分から簡易課税を適用したい場合、2026年12月31日までに提出する必要があります。期限を過ぎると、その年は簡易課税を選べません。

2割特例が終わると納税額はどのくらい増えますか?

選ぶ課税方式によって変わります。3割特例に移る場合、売上にかかる消費税の2割から3割の納付になるため、単純計算で負担は5割増えます。簡易課税は業種ごとのみなし仕入率で決まり、控除率が低い区分では2割特例より負担が増えるケースがあります。

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