ハンドメイド販売の値付け、材料費と手数料で決める計算式
画像出典: 写真: Hirsh London(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)
ハンドメイド作品の販売は、minneやCreemaへの会員登録・作家登録・本人確認を済ませれば初期費用0円で始められ、費用は売れたときの販売手数料だけです。手数料はminneが10.659%、Creemaの通常作品が11%で、価格は材料費+人件費(時給×制作時間)+経費で原価を出し、そこに手数料を上乗せして決めます。写真は午前中の窓際の自然光と白背景で撮り、複数の角度と光の条件で撮ってから選ぶのがコツです。
値段を決める場面は、ものづくりが好きな人ほど手が止まりやすいところです。材料費はレシートを見ればわかるのに、自分が作業した時間をいくらとして数えるのかは、誰も教えてくれません。
ただ、ここは感覚で決めるところではなく、材料費と作業時間を足して、手数料を上乗せするという計算で出せます。登録の手順も、写真の撮り方も、同じように順番が決まっています。最初の1品を出すまでに必要なものを、上から順に片付けていきましょう。
ハンドメイド販売はどこで始めればいい?
作品を売る場所として名前が挙がりやすいのが、minneとCreemaです。どちらも登録・出品・月額の費用はかからず、売れたときに販売手数料が引かれる仕組みなので、在庫を抱えていない状態でも金銭的なリスクなく始められます。
差が出るのは、売れたあとに引かれる金額です。手数料の率と振込にかかる費用を並べると、次のようになります。
| minne | Creema | |
|---|---|---|
| 初期・月額費用 | 無料 | 無料 |
| 販売手数料 | 10.659%(税込・有料プラン非加入時) | 11%(雑貨・アクセサリー等の通常作品) |
| 振込手数料 | 1回220円 | 3万円未満176円/3万円以上275円/PayPay銀行55円 |
Craftie・各サービスの公表データをもとに作成
上の表のとおり、minneには「minne PLUS」という有料の会員プランがあり、それに加入していない通常の作家の場合、注文金額(作品価格+購入オプション+送料)に対して10.659%(税込)が引かれます。Creemaは雑貨・アクセサリーなどの通常作品が11%で、フード類は15.4%と分野によって異なります。また、2025年11月5日の改定で、Creemaの手数料の計算対象に送料が含まれるようになりました。
率としては近い水準ですが、送料や振込のタイミングまで含めると手取りは変わります。どちらか一方を選ばなければいけないわけではありませんが、最初の1品は片方に絞って、出品から発送までの流れを一度通してみるほうが早く慣れます。
出品までの手順は?
minneを例にすると、開始までの流れはこうです。手を動かす順番が決まっているので、上から埋めていけば迷いません。
- 会員登録メールアドレスなどでアカウントを作ります。ここまでは数分です。
- 作家登録氏名・生年月日・住所などを入力します。売上の振込先にも関わる情報なので、正確に入れます。
- 本人確認運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどの書類を提出します。手元に用意してから始めると、途中で中断せずに済みます。
- 作品を撮影する登録前に写真を用意しておきます。角度や光を変えて複数枚を撮っておきます(撮り方は後述)。
- 出品作品情報と価格を入力して公開します。
最初から10点も20点も並べようとすると、撮影と説明文の作成だけで数週間かかり、そのまま止まってしまいがちです。1点を出品してみると、写真のどこが足りないか、説明文で何を聞かれるかが具体的にわかります。作りためるより、1点通したほうが次が速くなります。
材料費と作業時間を回収する価格はどう計算する?
値付けの土台になるのが原価です。原価は次の3つを足したものになります。
- 材料費(パーツ、生地、糸、金具など作品に使った分)
- 人件費(自分の時給 × 制作にかかった時間)
- 経費(梱包材、送料、道具の消耗分など)
止まりやすいのは人件費です。自分の作業時間をゼロで数えると、売れても手元に材料費しか戻らず、作れば作るほど疲れるだけになります。時給を決めて、制作時間をかけるだけで数字になります。
たとえば材料費500円、時給1,000円、制作時間30分なら人件費は500円で、これに梱包材などの経費200円を足すと原価合計は1,200円です。同じ時給1,000円でも、1時間に5個まとめて作れる作品なら1個あたりの人件費は200円になります。同じ作品でも、手際が上がれば1個あたりの人件費は下がるということです。
この「1個あたりの人件費が下がる」ところが、続けたときに効いてきます。最初は30分かかっていた工程が10分になれば、同じ価格のまま手元に残る額が増えます。写真と説明文が整って指名で選ばれるようになれば、同じ材料費のまま価格帯を上げられる余地も出てきます。伸びしろは、作品そのものより先に「作る速さ」と「見せ方」に現れます。
原価から販売価格へ
販売価格の決め方としてよく使われるのが、原価の2〜3倍を基準にする考え方です。原価1,200円なら2倍で2,400円、2.5倍で3,000円、3倍で3,600円という具合です。倍率で出した額と、原価合計に手数料を足した額の両方を見て、どちらも下回らない価格を選びます。
手数料の織り込みも忘れないところです。3,000円で売れた場合、minneでは約300円が引かれます。原価1,200円と手数料300円を引いた1,500円が手取りになる計算です。原価1,200円の作品を1,300円で出しても、手数料を引いた後の手取りは原価を割ります。
相場より高くなったときに真っ先に価格を下げると、時給を削ることになります。先に見直したいのは、材料の仕入れ方(まとめ買いで単価を下げる)と、制作の手順(同じ工程をまとめて処理する)です。それでも合わないなら、その作品はその価格帯で売る想定に無理があるのかもしれません。
原価を割った価格は、注文が増えるほど赤字が膨らみます。しかも一度つけた低い価格は、後から上げにくくなります。売れ行きを試したいときは、価格を下げるのではなく、点数を絞って様子を見るほうが立て直しやすくなります。
売れたら税金の手続きはどうなる?
作品が売れると、そこには売上が立ちます。会社員が副業で得た所得は、原則として給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。ここでいう所得は売上そのものではなく、売上から材料費・送料・梱包材などの必要経費を引いた残りを指します。
20万円以下で確定申告が不要な場合でも、1円でも利益が出ていれば住民税の申告は別途必要になります。だから、最初にやることは申告そのものではなく記録です。材料を買ったレシート、送料の記録、プラットフォームの売上明細。これを月ごとにまとめておくだけで、申告が必要になったときに困りません。原価計算のために材料費と時間をメモする習慣は、そのまま経費の記録になります。
副業としてのハンドメイド販売は、一般的に「雑所得」(給与や事業などどの区分にも当てはまらない所得のこと)として申告されます。所得の規模や状況によって扱いが変わるところなので、金額が大きくなってきたら国税庁の情報を確認するか、税務署の相談窓口で自分のケースを聞くのが確実です。
勤務先の就業規則で副業の可否や届出が定められている場合があります。売上が立ってから気づくと面倒なので、出品前に一度確認しておくと安心です。
作品写真はどう撮ればきれいに見える?
ネット上では、買う人は現物に触れません。写真が作品の代わりになるので、ここは制作と同じくらい効きます。minne公式ヘルプでも「ハンドメイド作品の魅力が伝わる写真の撮り方」というガイドが公開されており、要点は光と背景の2点に集約されます。
光は自然光を使う
推奨されているのは自然光での撮影です。部屋の電気を消し、午前中から昼頃に窓際で撮ると、きれいに写ります。電灯をつけたままだと、余計な影が出たり色味が変わったりする原因になります。
ただし直射日光は影が強く出すぎるので、レースカーテン越しにするか、窓から少し離れて調整します。「晴れた日の午前中、窓際、電気は消す」——これを守るだけで写りは変わります。
背景は白から始める
初心者に推奨されているのは白背景です。作品の見栄えがよくなり、背景と作品の色が被ってぼやける失敗も避けられます。世界観を作り込んで小物を並べたくなりますが、背景が混雑すると作品が埋もれます。作品一覧に並んだときに目に入りやすいかどうかで判断します。また、テキストやブランド名を作品の上に載せるのも避けたほうが無難です。
机の上での配置は、真上から見るとこうなります。
上の図のように、窓を左手にして、作品をはさんだ反対側(右手)に白い紙を立てると、影になっていた側が明るくなります。
構図と光の向きで印象を変える
基本の構図は三分割構図です。
上の図のように、画面を縦に3等分する2本の線と、横に3等分する2本の線を引くと、線どうしが交わる点が4つできます。この4つの交点のどれかに作品を置き、残りのマスを余白として空けます。画面のど真ん中に置くより、少しずらしたほうが落ち着いて見える、という考え方です。
余白の量でも印象が変わり、余白が多いとクールに、少ないと存在感が出ます。作品にピントを合わせて背景をぼかすと立体感が出ますし、真上から撮る俯瞰・平置きは全体像を見せるのに向いています。真ん中に置くのが悪いわけではなく、サイズ感を伝える説明写真ではむしろ中央のほうが読みやすくなります。
光の向きは3種類の使い分けです。自分・作品・光源の位置関係で決まります。
| 光の向き | 光が来る位置 | 写りの特徴 | 必要な調整 |
|---|---|---|---|
| 順光 | 作品の正面(撮る人の背中側) | 色がはっきり出るが平面的 | 特になし |
| 逆光 | 作品の背後 | 輪郭が強調される/作品が暗く写る | 露出補正で明るく上げる |
| 半逆光 | 作品の背後45度 | 立体感と質感が出る | レフ板で影側を起こす |
Fantistの公表データをもとに作成
上の表のとおり、撮る人の背中側から光が当たれば順光、作品の向こう側から当たれば逆光、その中間の斜め後ろからなら半逆光になります。露出補正は、カメラやスマホで写真の明るさを上げ下げする調整のことです。スマホなら画面をタップして出る太陽マークを上下にスライドします。レフ板は白い紙や画用紙で代用でき、作品をはさんで光の反対側に置くと影が明るくなり、質感が均一になります。
どれが正解かは作品によるので、複数の角度と光の条件で撮って、その中からベストショットを選ぶのが確実です。撮影後は画面で拡大して、細部までしっかり写っているかを確認します。
- 午前中〜昼の窓際で、部屋の電気を消して撮ったか
- 直射日光の強い影が出ていないか
- 背景は白など、作品の色と被らないものか
- 形がわかるアングルで、立体感が出ているか
- 拡大して細部まで写っているか確認したか
出品したあと、最初の1件が売れるまでは何をする?
出品ボタンを押しても、その日から誰かが見に来るわけではありません。公開直後の作品は、探されないかぎり誰の目にも触れない状態です。ここからの動きは、告知・様子見・改善の3つに分かれます。
1. 公開したことを自分から知らせる
まずは、自分がすでに持っている接点に流します。SNSのアカウントがあれば作品写真と販売ページのリンクを投稿し、身近な人に作ったものを見せる。プラットフォームの中でも、作家としてのプロフィール文と自己紹介欄を埋めておくと、作品ページから飛んだ人が「どんな人が作っているか」を確認できます。
売り込みの文面にしなくても構いません。「こういうものを作ってみた」と写真を出すだけで、興味を持った人が自分でリンクをたどります。最初の数件は、この経路から動くことがよくあります。
2. 2週間ほど様子を見る
公開したら、しばらくは触らずに数字を見ます。見るのは1つだけ、作品ページが閲覧されているかどうかです。ここが分かれ道になります。
- 閲覧がほとんどない → 見つかっていない(作品名・タグ・カテゴリの問題)
- 閲覧はあるが売れない → 見られたうえで選ばれていない(写真・説明文・価格の問題)
- お気に入り登録はある → 検討されている(あと一押しの情報が足りない)
3. 一度に1か所だけ直す
見つかっていないなら、作品名に読者が検索しそうな言葉(素材名、色、使う場面)を入れ、タグとカテゴリを見直します。見られているのに売れないなら、TOP画像を差し替えるか、説明文にサイズ・重さ・使用シーン・発送までの日数を書き足します。
直すのは一度に1か所です。写真も価格も説明文も同時に変えると、何が効いたのかわからなくなります。1か所変えて2週間見る、を繰り返すと、その作品に足りなかったものが自分で見えるようになります。
1点出しただけで数日以内に売れることもあれば、数か月動かないこともあります。売れない期間があること自体は失敗ではありません。ただし、出品したまま何も触らずに待つのと、2週間ごとに1か所直すのとでは、同じ3か月でも到達点が変わります。
最初の1品を出すまでに、今日できることは?
ここまでの内容を、着手できる順に並べ直します。全部を今日やる必要はありません。
- 本人確認書類を手元に出す運転免許証・マイナンバーカード・パスポートのどれか。登録が途中で止まる原因の多くはこれです。
- 自分の時給を決める金額はいくらでも構いませんが、ゼロにはしません。この数字が値付けの土台になります。
- 1点の原価を出す材料費+(時給×制作時間)+経費。紙にメモするだけで十分です。
- 晴れた午前中に撮影する白い紙か布を敷いて、窓際で角度を変えながら何枚も撮り、その中から選びます。
- 出品する原価と手数料を踏まえた価格を入れて、公開します。
- 公開したことを知らせるSNSや身近な人に、写真とリンクを1回出します。
売れるかどうかは出してみないとわかりませんが、出す前にわかることもあります。手数料の率、原価の内訳、撮影の条件。この3つは調べれば答えが出る話です。感覚で迷っていた部分が数字に変わると、次に作るものも決めやすくなります。
1点が公開できたら、その作品の説明文と写真を見直しながら2点目を作る、という進め方がいちばん続きます。作るのが好きな人にとって、それは苦にならない工程のはずです。
よくある質問
ハンドメイド販売を始めるのに初期費用はかかりますか?
minneもCreemaも登録・出品・月額の費用は無料で、売れたときの販売手数料だけがかかります。minneは有料会員プラン「minne PLUS」に加入していない場合、注文金額(作品価格+購入オプション+送料)に対して10.659%(税込)、Creemaは雑貨・アクセサリーなどの通常作品で11%、フード類は15.4%です。
ハンドメイド作品の値段はどう計算すればいいですか?
材料費+人件費(自分の時給×制作時間)+経費で原価を出し、そこに販売手数料を上乗せして販売価格を決めます。材料費500円・時給1,000円・制作時間30分(人件費500円)に経費200円を足すと原価合計は1,200円です。販売価格の目安として原価の2〜3倍を基準にする考え方があり、原価1,200円なら2,400〜3,600円が目安になります。
ハンドメイド販売の売上で確定申告は必要ですか?
会社員の場合、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでの所得は売上そのものではなく、売上から材料費・送料・梱包材などの必要経費を引いた残りです。20万円以下で申告が不要な場合でも、利益が出ていれば住民税の申告は別途必要です。材料のレシートと売上明細を月ごとに記録しておくと、必要になったときに困りません。
作品写真は何を意識して撮ればいいですか?
作品の形がわかりやすいアングルを選び、立体感が出るように撮るのが基本です。背景は作り込みすぎず、一覧表示で作品がすっと目に入るシンプルさを保ち、テキストやブランド名を作品の上に載せないようにします。撮影後は画面で拡大し、細部まで写っているかを確認します。
作品写真をきれいに撮るコツはありますか?
部屋の電気を消し、午前中から昼頃に窓際の自然光で撮るのが推奨されています。直射日光は影が強く出るため、レースカーテン越しにするか窓から離れて調整します。背景は初心者なら白が推奨で、作品と背景の色が被る失敗を避けられます。白い紙をレフ板代わりに光の反対側へ置くと影が明るくなります。
出品しても売れないときは何を見直せばいいですか?
まず作品ページが閲覧されているかを確認します。閲覧がほとんどなければ見つかっていない状態なので、作品名・タグ・カテゴリを見直します。閲覧はあるのに売れないなら、TOP画像や説明文(サイズ・重さ・使用シーン・発送日数)、価格を見直します。変更は一度に1か所だけにして2週間ほど様子を見ると、何が効いたか判断できます。
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