いろは堂副業 ← 戻る

副業の住民税、会社にバレる仕組みと普通徴収とは?

2026年5月17日|いろは堂副業編集部
目黒税務署の建物写真

画像出典: 写真: Suikotei(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
副業が会社に知られる主な経路は、市区町村から勤務先に届く住民税額の通知です。確定申告書第二表の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選べば副業分を自分で納められますが、副業がアルバイトなどの給与所得の場合や自治体の運用によっては選べず、100%防げる方法ではありません。
😟
副業したいけど、会社に伝わるのだけは避けたい…。何がきっかけでバレるんですか?

副業そのものを会社が直接見つけることは、ほとんどありません。実務上いちばん多い経路は、市区町村から勤務先へ届く住民税額の通知です。経理担当者の手元には、社員一人ひとりの給与額と住民税額が並んだ一覧が届きます。給与の割に住民税だけが高い人がいれば、給与以外の収入があると推測できてしまう、という流れです。

正直なところ、この経路は「隠す小細工」で消せるものではなく、税金の仕組みそのものです。ただし仕組みを理解していれば、どこで分岐するのかは自分で選べます。分岐点は確定申告書のたった1か所です。

住民税はどうやって会社に伝わるのか?

住民税は、前年1年間の所得をもとに市区町村が計算し、翌年6月から翌々年5月にかけて納める税金です。会社員の場合は原則として特別徴収という方法がとられます。特別徴収とは、市区町村が計算した住民税額を勤務先に通知し、勤務先が毎月の給与から天引きして本人の代わりに納める仕組みのことです。

このとき勤務先には「特別徴収税額決定通知書」が届きます。ここに書かれているのは、その社員が納めるべき年間住民税額と月々の天引き額です。副業で所得が増えていれば、その分も含めた金額が記載されます。

つまり会社に渡っているのは「副業をしている」という情報ではなく、金額だけです。それでも、同じくらいの給与の社員と比べて住民税が明らかに高ければ、給与以外の所得があると分かってしまいます。

伝わり方の整理
  • 会社に届くのは住民税の「金額」であって副業の内容ではない
  • 金額は前年の所得全体(本業+副業)から計算される
  • 比較対象は同僚の給与と住民税額のバランス
  • 気づくかどうかは、経理担当者が金額を見て違和感を持つかどうかによる

普通徴収を選ぶとは、具体的に何をすること?

住民税の納め方には、特別徴収のほかに普通徴収があります。普通徴収は、市区町村から自宅に納付書が届き、自分で銀行やコンビニなどで納める方法です。勤務先を経由しないので、その分の税額が会社に通知されることはありません。

この選択は、確定申告書の第二表で行います。「住民税・事業税に関する事項」の中に「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄があり、「特別徴収」と「自分で納付」のどちらかを選ぶ形式になっています。ここで「自分で納付」に印を付けると、副業分の住民税だけが普通徴収に切り替わります。

確定申告書 第二表 / ○ 住民税・事業税に関する事項
給与、公的年金等以外の所得に係る
住民税の徴収方法
□ 特別徴収(給与から差引き)  ☑ 自分で納付
非居住者の特例 ・ 配当割額控除額 など(同じ「住民税・事業税に関する事項」の枠内に並ぶ他の項目)

国税庁の公表データをもとに作成

上の枠のとおり、探すのは第二表の下段にある「住民税・事業税に関する事項」の一行だけです。チェックを入れる場所はここしかありません。

本業の給与にかかる住民税はこれまで通り給与天引きのままです。副業分だけが切り離されて、自分で納付書を受け取る形になります。

  1. 1年分の副業の収入と経費を集計する領収書・請求書・入金明細をまとめ、所得(収入−必要経費)を出します。
  2. 確定申告書を作成する国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで、副業所得を事業所得(継続的・独立した事業として行っている仕事の所得)または雑所得(そこまでの規模に至らない副収入の所得)として入力します。副業を始めたばかりの段階は雑所得になるのが一般的です。
  3. 第二表の徴収方法欄で「自分で納付」を選ぶここが本題の分岐点です。作成コーナーでも住民税に関する事項の入力画面に同じ選択肢が出てきます。
  4. 申告書を提出するe-Tax(国税庁のオンライン申告システム)または書面で提出します。選択内容は税務署経由で市区町村へ渡ります。
  5. 届いた納付書で自分で納める納期を過ぎると延滞金がかかるため、納付書が届いたらすぐ支払い予定に入れておきます。納期の回数と期日は納付書に記載されています。
ここを空欄にすると意味がありません

徴収方法の欄に何も記載がない場合、原則として特別徴収として扱われます。つまり「選び忘れ」は「会社に通知される」と同じ結果になります。申告書を提出する前に、この欄だけは必ず目視で確認してください。

普通徴収を選んでも伝わってしまうのはどんなとき?

「自分で納付」を選べば必ず防げる、とは言い切れません。一次情報である国税庁や総務省の資料にも、そうした保証はどこにも書かれていません。実際に切り替えられないケースが複数あります。

①副業がアルバイト・パートなど給与所得のとき

普通徴収に切り替えられるのは、事業所得や雑所得のように給与所得以外の所得に限られます。副業先が飲食店やコンビニなどで、給料として支払われている場合、その副業先にも地方税法上の特別徴収義務があります。副業先から市区町村へ給与支払報告書(誰にいくら給与を払ったかを勤務先が市区町村へ報告する書類)が提出され、住民税は本業の給与と合算されて本業側で特別徴収される流れになりやすい、ということです。

この点は副業の選び方そのものに関わります。会社に知られたくないという条件が最優先なら、雇用されるタイプの副業より、業務委託で受ける仕事のほうが構造的に相性が良いことになります。

②自治体が特別徴収を徹底している場合

住民税の徴収は市区町村の実務です。特別徴収を原則とする運用を強く進めている自治体では、「自分で納付」を選んでも普通徴収にならないことがあります。窓口の対応にも差があるため、気になる場合は自分の住む市区町村の課税担当課に、確定申告前に電話で確認しておくのが確実です。

③ふるさと納税や医療費控除のついでに申告するとき

ふるさと納税には、確定申告をせずに寄付先の自治体へ書類を送るだけで控除が受けられるワンストップ特例という制度があります。この特例を使わずに確定申告で控除を受ける場合や、医療費控除・住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする場合も、同じ第二表を使います。副業のためではなく別の目的で申告書を作ったときほど、住民税欄の存在を見落としがちです。

④住民税の申告そのものを忘れているとき

副業所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。ただしこれは所得税だけのルールで、住民税には金額の免除基準がありません。所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告は市区町村に対して別途必要です。ここを放置すると、後から自治体の調査で本業の給与と合算されて特別徴収に組み込まれる、という形で表面化する可能性があります。

状況所得税の確定申告住民税の手続き
副業所得20万円以下原則不要市区町村へ住民税の申告が必要
副業所得20万円超必要確定申告書第二表で徴収方法を選択
医療費控除等で申告する行う(20万円以下でも副業所得を含める)同じく第二表で徴収方法を選択

国税庁の公表データをもとに作成

上の表で見比べると、3つの状況のどれであっても住民税側の手続きは必ず残ります。所得税の欄が「原則不要」でも、右の列が空になる行は一つもない、という点がここでのポイントです。

😲
20万円以下なら何もしなくていいと思ってました…

20万円ルールは所得税の話であって、住民税には同じ基準がありません。住民税は1円でも所得があれば課税対象です。副業を小さく始めた1年目こそ、この差を知らないまま何も申告せずに終えてしまいがちです。

そもそも副業は禁止されているのか?

隠すことばかり考える前に、就業規則を一度読んでおく価値があります。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を平成30年1月に策定し、令和2年9月・令和4年7月と改定を重ねて、企業に対して副業を原則容認する方向を促してきました。

ただしこれは企業への義務ではありません。実際の可否は各社の就業規則次第で、全面禁止・許可制・届出制のいずれかであることが多い、という状況です。許可制や届出制であれば、正面から申請したほうが早く、住民税の心配自体が消えます。

もう一つ知っておきたいのが労働時間の通算です。副業がアルバイトなど雇用される形の場合、本業と副業の労働時間は通算され、時間外労働の上限規制(休日労働を含めて月100時間未満、複数月平均80時間以内など)の範囲に収める必要があります。ガイドラインでは、双方の会社が労働時間を管理する「管理モデル」が示されています。業務委託や請負で受ける仕事はこの通算の対象外です。

就業規則で確認したい3点
  • 副業に関する条項が「禁止」「許可制」「届出制」のどれか
  • 競業(同業他社での就労)に関する制限があるか
  • 申請が必要な場合の提出先と書式

会社に知られたくない人が現実的にとる手順は?

ここまでを実務の順番に並べ直します。制度上できることとできないことがはっきりしていると、余計な不安に時間を使わずに済みます。

  1. 就業規則を確認する許可制・届出制なら申請を検討します。ここで解決するなら以降の心配は不要です。
  2. 雇用されない形の副業を選ぶ業務委託・請負で受ける仕事なら、所得が給与所得にならず、普通徴収を選択できる余地が残ります。労働時間の通算対象にもなりません。
  3. 収入と経費を月単位で記録する確定申告の時期にまとめて作業すると、第二表の確認どころではなくなります。月末に30分の記録習慣をつくるだけで精度が変わります。
  4. 市区町村に普通徴収の可否を確認する課税担当課に「給与以外の所得を普通徴収にできるか」と聞くだけで十分です。運用は自治体ごとに違います。
  5. 確定申告書第二表で「自分で納付」を選ぶ提出前に、この欄だけを最後にもう一度見ます。
  6. 届いた納付書を必ず期限内に納める納期の期日をカレンダーに入れておきます。
この方法が向いていないケースもあります

副業先に雇用される働き方を選びたい人、住まいの自治体が特別徴収を徹底している人、副業の規模が大きくて社会保険の加入要件に関わってくる人は、住民税の選択だけでは対応しきれません。金額が大きくなってきたら、税理士への相談や、そもそも会社へ申請して正面から始める選択肢のほうが結果的に安全です。

最初の1案件は、どこからどう受ければいい?

ここまでの整理で「業務委託で受ける仕事なら住民税を切り分けやすい」という結論が出ています。では実際に、その業務委託の仕事をどこで受けるのか。会社員が最初の1件にたどり着くまでの道筋は、思っているより短い工程で組めます。

受注先として代表的なのがクラウドソーシングです。クラウドワークスとランサーズが国内の大手で、どちらも会員登録して案件に応募する形をとります。手数料の体系が違うので、目標にする単価によって向き不向きが分かれます。

サービス受注者側の手数料
クラウドワークス(固定報酬制)契約金額10万円以下は20%、10万円超20万円以下の部分は10%、20万円超の部分は5%(タスク形式は一律20%・振込手数料は別途)
ランサーズ契約金額(税込)に対して一律16.5%(2022年10月1日以降の料率)

クラウドワークスおよびランサーズの公表データをもとに作成

上の表からわかるのは、1件あたりの金額が小さいうちはクラウドワークスの負担が重く、単価が上がるほど軽くなる構造だということです。逆にランサーズは金額によらず一定です。小口の案件を数多く受けるのか、単価の高い案件を少数受けるのか、自分の使える時間と合わせて選びます。

  1. アカウントを作り、プロフィールを埋める本業の経験のうち、その仕事に関係する部分だけを書きます。空欄が多いプロフィールは応募段階で選ばれにくくなります。
  2. タスク形式や小規模の固定報酬案件から始める両サービスとも、単価の低い案件で実績と評価を積んでから継続案件へつなげる流れが一般的です。1件目は金額より「完了実績を作ること」が目的です。
  3. 提案文を案件ごとに書き分ける使い回しの文章はほぼ通りません。募集内容のどこに対応できるかを2〜3行で具体的に書きます。
  4. 納品後に評価をもらい、同じ発注者へ次を提案する新規に応募し続けるより、一度取引した相手からの継続のほうが早く安定します。
  5. 初年度は雑所得として記録しておく継続的な事業といえる規模になるまでは雑所得からのスタートが一般的です。規模が育ってきた段階で開業届と事業所得への切り替えを検討します。

続けた先に、どこまで現実的に届くのか?

不安の話ばかり続きましたが、仕組みを一度通してしまえば、あとは積み上げの話になります。金額に置き換えると、伸びしろがどこにあるのかがはっきりします。

積み上がり方の目安(金額つき)
  • まず月1〜2件の小さな案件で完了実績と評価をつくる。1件5,000円の案件を月3件受けると月15,000円・年18万円で、所得税の確定申告が不要な20万円以下に収まる範囲(必要なのは住民税の申告のみ)
  • プロフィールに実績が並ぶと応募の通過率が上がり、単価の交渉ができる案件に手が届く。1件3万円の案件を月2件受注できれば月6万円・年72万円で、20万円ラインの3倍を超える
  • 同じ発注者からの継続案件が1つ決まると毎月の収入が読める状態になる。契約金額20万円の継続案件なら、クラウドワークスの固定報酬制では10万円以下の部分に20%、10万円超20万円以下の部分に10%がかかり、手数料は3万円・受取は17万円。同額をランサーズで受けると一律16.5%で3万3,000円が引かれる計算になる
  • 単価が上がるほど差が縮まるのもこの構造の特徴で、クラウドワークスは20万円超の部分の料率が5%まで下がる。ここまで来ると、経費計上や開業届・青色申告といった「税金を減らす側」の選択肢が現実的な検討対象になる

金額はあくまで料率から計算した例で、受注できる件数や単価を保証するものではありません。それでも、1件5,000円の実績づくりから、1件3万円の交渉ができる位置まではひと続きの道です。

特別徴収の通知に怯えていた段階から、申告の仕方を自分で選べる段階へ移るまでに必要なのは、就業規則の確認と、第二表の1か所と、最初の1件です。順番に踏めば、どれも一日で終わる作業です。

😌
仕組みが分かれば、やることは意外と少ないんですね

確認するのは就業規則と自治体の運用、選ぶのは所得の形と申告書の1か所、そして最初の1件に応募すること。制度を知らないまま不安で手が止まっている状態が、いちばんもったいない使い方です。まずは自社の就業規則の副業条項を開いてみるところから始めれば、次に何を調べればいいかが自然に決まります。

よくある質問

副業の所得が20万円以下なら何も手続きしなくていいですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。20万円ルールは所得税だけに適用されるもので、住民税には金額による免除基準がありません。所得税の申告をしない場合は、お住まいの市区町村へ住民税の申告を行ってください。

確定申告書のどこで普通徴収を選べますか?

確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」の中にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄で、「自分で納付」を選択します。何も記載しない場合は原則として特別徴収として扱われるため、記入漏れに注意が必要です。

普通徴収を選べば確実に会社に知られずに済みますか?

確実とは言えません。副業がアルバイトなどの給与所得である場合は地方税法上、副業先に特別徴収の義務があるため切り替えられません。また自治体によっては特別徴収を原則とする運用を徹底しており、「自分で納付」を選んでも普通徴収にならないことがあります。

会社は副業をしていること自体を禁止できますか?

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は企業に副業の原則容認を促していますが、企業への義務ではありません。実際の可否は各社の就業規則で定められ、全面禁止・許可制・届出制のいずれかであることが一般的です。まず自社の就業規則を確認してください。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。