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青色申告65万円控除とは?簿記の知識を副業に活かす道

2026年6月16日|いろは堂副業編集部
ノートに手書きしながらノートPCで作業する人物

画像出典: 写真: Shixart1985(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
簿記の知識は「自分の確定申告」と「他人の記帳を代行する副業」の2方向でお金になります。複式簿記で記帳すれば青色申告特別控除は10万円から最大65万円へ広がり、記帳代行は月2万〜5万円程度の単価例が挙げられ、2〜3件持てば月10万円規模を狙えるという実務者の目安があります。まずは自分の申告を複式で回すところから始めるのが、実績にも直結する最短路です。
🤔
簿記の勉強、また始めようかな。でも経理部でもないのに取って意味あるのかな…

簿記は「会社の経理部で使う知識」というイメージが強い資格です。ただ、勤め先の部署に関係なく、簿記がそのまま現金になる場面が2つあります。ひとつは自分の確定申告、もうひとつは他人の帳簿をつける副業です。

正直なところ、この2つはつながっています。自分の帳簿を複式簿記で1年回した経験は、そのまま記帳代行を受けるときの「できます」の根拠になるからです。順番に見ていきます。

簿記の知識は確定申告でいくらの差になる?

副業で事業所得が出る人にとって、簿記の知識が一番わかりやすく金額に変わるのが青色申告特別控除です。控除額は記帳の方法で変わります。

記帳の方法控除額
単式簿記(簡易な記帳)10万円
複式簿記+貸借対照表・損益計算書の添付55万円
複式簿記+上記+e-Taxまたは電子帳簿保存65万円

国税庁の公表データをもとに作成

上の表で10万円と55万円を分けているのは、複式簿記で記帳して決算書を添付できるかどうかです。そこからさらに65万円へ上げるには、e-Taxでの申告か電子帳簿保存という別の条件が加わります。つまり簿記の知識は「10万円から55万円まで」を動かす部分を担い、残りの10万円分は申告のやり方の選択で決まる、という分担です。控除は所得から直接引かれるので、税率が同じでも手取りが変わります。

ここで出てきた言葉を先に揃えておきます。複式簿記とは、ひとつの取引を「借方」と「貸方」の両側から記録するやり方です。たとえば売上5万円が銀行に入金されたら、「普通預金が5万円増えた」と「売上が5万円立った」を同時に書きます。このとき使う「普通預金」「売上」といった分類名を勘定科目と呼びます。そして1年分を集計して作る決算書が2枚あり、期末時点で持っている財産と借金の一覧が貸借対照表、1年間の売上と経費と利益をまとめたものが損益計算書です。この考え方と勘定科目の当てはめ方が、日商簿記3級の中心的な内容です。

65万円控除に必要な条件
  • 事業所得(継続的・反復的に行う事業から生じる所得)があること。または事業的規模の不動産所得(おおむね貸家5棟・アパート10室以上といった規模で不動産を貸して得る所得)があること
  • 複式簿記で記帳していること
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること
  • 期限内に申告すること
  • e-Taxで申告する、または電子帳簿保存を行うこと
向いていないケースもあります

副業の所得が少額で、事業とまでは言えない規模にとどまる場合は、雑所得(給与所得や事業所得などのどれにも当てはまらない所得の区分)として扱われます。この区分では青色申告の対象になりません。控除目当てで簿記を急いで学ぶより、まず売上を立てるほうが先という段階の人もいます。また、会計ソフトを使えば仕訳の多くは自動化されるため、簿記を知らなくても申告自体は通ります。簿記が効いてくるのは「自動仕訳が間違っているかどうかを自分で判断できる」場面です。

副業の収入が増えると、税金以外に影響するものは?

控除の話と並べて先に見ておきたいのが保険まわりです。会社員が副業で収入を得ても、勤め先の健康保険・厚生年金は原則そのまま続きます。副業が会社に雇われない請負や事業の形であれば、その収入だけで社会保険が二重になることは基本的にありません。ただし副業先にも雇用される形で働き、労働時間などが一定の基準を超えると、両方の勤務先で社会保険に加入する扱いになる場合があります。

もうひとつ、配偶者の扶養に入っている人は、副業の所得が増えることで扶養から外れる可能性があります。税金上の扶養と、健康保険上の扶養は判定の基準が別で、健康保険側は加入している保険組合ごとに条件が定められています。副業の所得が伸びてきたら、自分が加入している健康保険の基準を先に確認しておくと安全です。制度の要件は改正されることがあるため、判断に迷う場合は勤務先の担当窓口や税務署に確認してください。

会計ソフトがあるのに、なぜ簿記を学ぶ意味がある?

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ソフトが全部やってくれるなら、簿記いらなくない?

会計ソフトが得意なのは、銀行明細やカード明細を取り込んで、過去の履歴から勘定科目を推測することです。逆に苦手なのは、その取引が本当に事業のものか、いつの期間に属するのか、資産として計上すべきかといった判断です。

具体的な場面で言えば、10万円を超えるパソコンを買ったとき。10万円未満のものはその年の経費(消耗品費)で全額落とせますが、それを超えると原則として固定資産として扱い、数年に分けて費用にしていきます。年をまたぐ前払いの費用をその年の経費にしていいか、という判断もあります。自宅の通信費のようにプライベートと共用しているものは、事業で使った割合を決めて分ける(按分する)必要もあります。こうした分岐はソフトが自動で正解を出してくれません。

簿記を学ぶ実利は、ここでソフトの提案を「そのまま採用するか、直すか」を自分で決められることにあります。そしてこの判断力こそ、後述する記帳代行でお金をもらえる理由でもあります。

簿記を活かせる副業にはどんな種類がある?

簿記の知識が直接値段になる副業は、大きく3つの形があります。いずれも在宅で完結しやすく、会社員の平日夜や週末でも回しやすい仕事です。まず、報酬の目安と続き方をひと目で見比べておきます。

仕事の形報酬の目安継続性
記帳代行月2万〜5万円/社継続契約が中心
経費精算代行1件5,000円〜1万円単発が中心
確定申告シーズンの補助業務時間単価1,000円〜1,500円12月頃〜3月に集中

各社の解説記事(2026年時点)に掲載された目安をもとに作成。公的統計ではなく実務者の経験則にもとづく数値です

上の表の金額は、いずれも調査時点で公開されている目安です。実際の報酬は取引量・業種・締切の厳しさで変わりますし、この額が保証されるものではありません。ただ、「時間単価1,000〜1,500円の作業を、どこまで自分の判断力で押し上げられるか」という見取り図としては使えます。単純入力だけなら単価は下側に張り付き、科目判断や月次のズレの指摘までできるなら上側に動く、という構図です。ここから、3つの形をそれぞれ見ていきます。

記帳代行

個人事業主や小規模法人から領収書・通帳データを預かり、会計ソフトへ入力していく仕事です。経理経験に加えて簿記2級程度の知識があれば対応可能とされ、1社あたり月2万円〜5万円程度の単価例が実務者の解説で挙げられています。2〜3件を並行して持てば月10万円規模を狙える、というのがひとつの目安です。

経費精算代行

領収書のスキャン、データ入力、帳票作成といった作業を単発で請け負う形です。1件5,000円〜1万円程度の報酬例があります。継続契約ではないぶん、最初の1件のハードルは低めです。

確定申告シーズンの補助業務

12月頃から3月にかけて、記帳や入力の補助需要が集中します。クラウドワークスでの記帳代行・決算処理系業務の時間単価相場は1,000円〜1,500円です。季節性がはっきりしているので、本業が落ち着く時期と重なるなら受けやすい仕事です。逆に言えば、通年で安定した収入源にしたいなら記帳代行の継続契約と組み合わせることになります。

最初の1案件を取るまでの手順は?

簿記の勉強と並行して進められる形で、受注までの流れを並べます。合格を待ってから動き始める必要はありません。

  1. 自分の副業を複式簿記で記帳する会計ソフトを1つ契約し、自分の売上と経費を複式で入力していきます。これが練習であり、同時に「1年分の帳簿を回した経験」という実績になります。
  2. 青色申告承認申請を出しておく控除を受ける年から適用するには事前の申請が必要です。開業届と合わせて提出しておきます。
  3. 使える会計ソフトを2つに増やすクライアントが使っているソフトはこちらでは選べません。主要な2製品の操作に触れておくと、受けられる案件の幅が広がります。
  4. クラウドソーシングで記帳代行の募集を見るクラウドワークスやランサーズに記帳代行のカテゴリがあります。まずは応募せず、求められている作業範囲と提示単価を10件ほど読むだけで、必要なスキルの輪郭がつかめます。
  5. 単発の経費精算代行から受けるいきなり月次の継続契約を狙わず、1件5,000円〜1万円規模の単発案件で納品の型を作ります。締切・データの受け渡し方法・質問の仕方が、ここで身につきます。
  6. 継続契約へ切り替える提案をする単発を数件こなしたら、同じクライアントに月次での記帳を提案します。毎月の入力を任せてもらえれば、営業をかけ直さずに収入が積み上がります。
先に確認しておきたいこと

他人の帳簿を扱う仕事は、預金残高や取引先といった機微な情報に触れます。データの受け渡し方法と保管ルールは最初に決めておくべきです。また、税務代理・税務相談・税務書類の作成は税理士の独占業務にあたります。記帳代行として入力や集計を請け負うことと、節税の助言や申告書の作成を引き受けることは別の話なので、線引きを曖昧にしないでください。会社の副業規定に事前確認が必要かどうか、そして収入が増えたときの健康保険・扶養の扱いも、動き出す前に見ておきましょう。

簿記は何級まで取ればいい?受験のしかたは?

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2級までいかないとダメなら、正直しんどいかも…

目的によって必要な級は変わります。自分の青色申告を複式簿記で回すことが目的なら3級の範囲で足ります。勘定科目、借方・貸方、仕訳という基本の考え方が身につけば、会計ソフトの提案を判断できるようになるからです。記帳代行を仕事として受けるなら、実務者の解説では簿記2級程度が目安として挙げられています。

受験の方式は3つあり、出題範囲と難易度はどれも同じです。

方式実施特徴
統一試験(ペーパー)年3回(6月・11月・2月)決められた会場での一斉試験
ネット試験随時都合のよいタイミングで受験できる
団体試験(出前試験)随時企業・教育機関向け

横浜商工会議所の公表データをもとに作成

統一試験は年3回に限られるため、直近の回を逃すと数ヶ月待つことになります。働きながら学び直すなら、日程を自分で選べるネット試験のほうが計画を立てやすいのが実情です。範囲も難易度も同じなので、どちらで取っても知識としての価値は変わりません。

受験料は税込で3級3,300円、2級5,500円、1級8,800円(別途事務手数料)。出題は毎年度4月1日時点で施行されている法令等に準拠します。

合格率の目安として、2025年4〜12月期のネット試験では3級が受験者189,369名に対し合格率40.8%、2級が受験者96,346名に対し合格率34.6%でした。統一試験の回ごとの結果は、商工会議所の検定サイトで試験日から1ヶ月前後で公表されます。

学び直しを収入につなげるいちばん短い道は?

ここまでの内容を、動き出す順番でまとめます。合格を待つ必要はなく、自分の帳簿から始めるのがいちばん早いという点が要点です。

今日から着手できること
  • 会計ソフトを1つ契約し、自分の副業の取引を複式で入力し始める
  • 青色申告承認申請の提出期限を確認する
  • クラウドソーシングで記帳代行の募集を10件読み、求められる作業範囲を把握する
  • 簿記3級の試験方式を選び、受験日を先に押さえる
  • 勤務先の副業規定で、事前届出が必要かを確認する
  • 配偶者の扶養に入っている場合は、健康保険の扶養条件を確認する

簿記の学び直しが他の資格と違うのは、勉強した内容を試す場所が、自分の確定申告としてすでに手元にあることです。控除という形で結果がその年のうちに返ってきて、その作業経験がそのまま次の案件の説明材料になります。試験の結果を待つあいだも、この部分は先に進められます。

よくある質問

簿記3級でも副業になりますか?

簿記3級の範囲は複式簿記の基本(勘定科目、借方・貸方、仕訳)なので、自分の青色申告を複式で記帳し65万円控除の要件を満たすには十分です。他人の帳簿を扱う記帳代行を仕事として受ける場合は、実務者の解説で簿記2級程度が目安として挙げられています。まず自分の帳簿で経験を積み、必要に応じて2級へ進む順序が現実的です。

記帳代行の副業でどのくらい稼げますか?

実務者の解説によると、記帳代行は1社あたり月2万円〜5万円程度の単価例があり、2〜3件を並行すると月10万円規模を狙えるとされています。クラウドワークスでの記帳代行・決算処理系業務の時間単価相場は1,000円〜1,500円です。いずれも2026年時点の目安であり公的統計ではないため、実際の報酬は取引量や業種によって変動します。

青色申告特別控除65万円を受けるには何が必要ですか?

事業所得(継続的・反復的に行う事業から生じる所得)、または事業的規模の不動産所得(おおむね貸家5棟・アパート10室以上の規模で不動産を貸して得る所得)があり、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限内に申告し、さらにe-Taxによる申告または電子帳簿保存を行うことが要件です。電子申告等の要件を満たさない場合は55万円、単式簿記の場合は10万円にとどまります。

副業の収入が増えると社会保険や扶養に影響しますか?

会社員が雇用されない形(請負や個人事業)で副業をする場合、勤め先の健康保険・厚生年金がそのまま続くのが原則です。ただし副業先にも雇用される形で働き労働時間などが一定の基準を超えると、両方で社会保険に加入する扱いになる場合があります。また配偶者の扶養に入っている人は、健康保険の扶養条件(加入している保険組合ごとに基準が定められています)を超えると扶養から外れる可能性があるため、収入が伸びる前に確認が必要です。

記帳代行は税理士資格がなくてもできますか?

帳簿への入力や集計といった記帳代行の作業自体は、税理士資格がなくても請け負えます。ただし税務代理、税務相談、税務書類の作成は税理士の独占業務にあたるため、節税の助言や確定申告書の作成を引き受けることはできません。契約時に業務範囲を明確に線引きしておく必要があります。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。