秋の在宅ワーク環境整備、机と椅子の高さ基準は?
画像出典: ぱくたそ (© すしぱく)
厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、机の高さは床から60cm以上75cm以下、ディスプレイ画面の照度は500ルクス以下、書類・キーボード面は300ルクス以上が目安とされています。椅子は足裏全体が床につく高さに調整し、連続作業は1時間を超えないようにして10〜15分の休止をはさみます。東京の日の入りは9月1日の18時09分から9月30日の17時27分へ早まり、退勤後に使える「夜」の時間が広がります。
作業が続かない理由は、やる気ではなく机・椅子・照明の寸法と明るさにあることがよくあります。ノートパソコンをダイニングテーブルに置いて、部屋の天井照明だけで作業する——在宅副業でいちばん多い形ですが、この構成は高さも明るさも作業用に設計されていません。
そして秋は、環境を整える価値がいちばん大きくなる季節です。東京の日の入りは9月1日の18時09分から9月30日には17時27分へ、ひと月で40分以上早まります(国立天文台の暦要項データ)。退勤して帰宅した時点ですでに夜、という日が増え、副業の作業時間として使える「夜」が自然に伸びていきます。その伸びた時間を実際の作業に変えられるかどうかが、環境で決まります。
正直なところ、高価な机や椅子を買う話ではありません。厚生労働省が示している数値基準に、今ある家具を合わせるところから始められます。
作業環境の基準はどこに書かれている?
拠り所になるのは、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日)です。オフィス勤務者を想定した文書ですが、パソコンで長時間作業するという条件は在宅の副業でも変わりません。数値が明記されているので、自分の部屋を測って比べるだけで現状がわかります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 机の高さ | 床から60cm以上75cm以下 |
| 椅子の座り方 | 深く腰掛け背もたれに十分背をあて、足裏全体が床に接する姿勢 |
| ディスプレイ画面の照度 | 500ルクス以下 |
| 書類・キーボード面の照度 | 300ルクス以上 |
| 連続作業時間 | 1時間を超えないようにし、次の作業まで10〜15分の休止 |
| 小休止 | 一連続作業時間内に1〜2回程度 |
厚生労働省の公表データをもとに作成
上の表で最初に確認してほしいのは、机の高さです。ここが合っていないと、椅子をどう調整しても肩と手首に負担が残ります。ルクス(lx)は面の明るさを表す単位で、数値が大きいほど明るくなります。画面は500以下、手元の書類やキーボードは300以上——つまり画面は明るすぎず、手元は暗すぎずが基準の骨格です。
机の高さはどう測って合わせる?
メジャーを床から天板の上面まで当てるだけです。ダイニングテーブルは70〜72cm前後の製品が多く、基準の60〜75cmには収まっています。一方で、ローテーブルや折りたたみ机は60cmを下回ることがあり、その場合は前かがみの姿勢が固定されます。
- 床から天板上面までが60〜75cmに入っているか
- ノートパソコン・書類・マウスを並べても手前に余白が残るか
- 脚を伸ばしたとき、収納や配線に膝がぶつからないか
- 肘を90度に曲げたとき、前腕が天板とほぼ水平になるか
ガイドラインは机の広さについても、機器・キーボード・書類などが適切に配置でき、脚まわりに窮屈でない空間を確保することを求めています。脚が当たる位置に収納ボックスを置いている人は、それをどけるだけで座り直しの回数が減ります。
天板が高すぎる場合は椅子の座面を上げ、足が浮くぶんを足台で埋めます。低すぎる場合は、机の脚に市販の継ぎ脚(高さ調整パーツ)を噛ませるか、天板の上に台を置いてノートパソコンだけ持ち上げ、外付けキーボードを天板側で打つ形にします。
椅子は何を基準に選べばいい?
ガイドラインの姿勢の基準は明確で、深く腰掛けて背もたれに十分背をあて、履き物の足裏全体が床に接している状態です。言い換えると、椅子選びの第一条件は座面の高さを調整できることになります。座面高が固定のダイニングチェアでは、この姿勢を机の高さに合わせて作れません。
価格ではなく調整幅が判断軸になります。日本オフィス家具協会(JOIFA)も椅子選びのポイントとして、安全性と座面高さ・背もたれ角度の調整機能を確認することを案内しています。業界情報では、膝が90度で太ももが床と平行になる座面高は床から約40〜53cmが一般的なレンジとされています。この範囲をカバーするガス圧調整(座面下のレバーを引くと高さが上下する、一般的な昇降機構)が付いていれば、入門価格帯の製品でも姿勢は作れます。
床から何cmの位置に何が来ればいい?
| 床から測る箇所 | 高さの目安 |
|---|---|
| 机の天板上面 | 60〜75cm(厚労省ガイドライン) |
| 椅子の座面 | 40〜53cm(業界情報の一般的レンジ) |
| 肘(前腕が天板と水平になる位置) | 天板とほぼ同じ高さ |
| 足裏 | 0cm=床、または足台の上面に全面が接地 |
| 画面の上端 | 座ったときの目線とほぼ同じ高さ |
厚生労働省および日本オフィス家具協会ほかの公表情報をもとに作成
上の表は、床を0cmとして順に上へ測っていく形になっています。メジャー1本で天板・座面の実測値を書き出し、そのうえで肘・足裏・目線の3点が表のとおりになっているかを、座った姿勢のまま家族に見てもらうか、スマートフォンを横から立てて自分を撮って確認すると早いです。数字が合っていても、撮った写真で背中が丸まっていれば腰が背もたれから離れています。
調整の順番も決まっています。床から順に座面・天板と合わせていくと、肘・足裏・目線の3点は自動的に決まります。逆に画面の高さから合わせ始めると、足裏が浮いたまま固定されやすいので、下から順に進めてください。
- 座面を最も低くして座る足裏全体が床につくか確認します。つかなければ足台を用意します。
- 肘を90度にして天板に合わせる前腕が水平になる高さまで座面を上げます。ここで足が浮いたら足台の出番です。
- 背もたれまで腰を引く腰と背もたれの間に隙間ができるなら、クッションを1枚はさみます。
- 画面の上端が目線とほぼ同じ高さか見るノートパソコンは低くなるので、台で持ち上げて外付けキーボードを使います。
机の高さが70cm台で身長が低めの人は、座面を上げないと腕の高さが合わず、上げると足が浮きます。この状態は椅子を買い替えても解決しません。先に1000円台の足台や、使わない書籍を重ねた台で足裏を支えてから、それでも合わなければ椅子を検討する順番が無駄になりません。
照明はどう置けば目が疲れにくい?
ここが秋に効いてくる部分です。日没が早まるぶん、作業時間の大半が人工照明の下になります。天井照明だけの部屋では、画面は自分で光るので明るく、手元の紙やキーボードは影になって暗い——ガイドラインが避けるように求めている、画面と周辺の明るさの差が大きい状態が生まれます。
対処は単純で、デスクライトを1台足して手元だけを明るくし、画面の輝度は下げることです。画面上の照度は500ルクス以下、書類・キーボード面は300ルクス以上。照度計がなくても、スマートフォンの照度計アプリでおおよその値は測れます。
- 利き手と反対側から当てる(手の影が紙に落ちない)
- 光源が直接視界に入らない高さにする
- 画面に光が映り込む角度を避ける
- 天井照明は消さず、部屋全体の明るさも残す
光の色味も選択肢になります。色温度(電球のオレンジっぽい光から、昼間の白い光までを K=ケルビンの数値で表したもの。数値が大きいほど白く青みがかる)は、照明のパッケージに「電球色」「昼白色」といった表記とあわせて書かれています。JISの照明基準を踏まえた業界解説では、事務作業や製図など精密なデスクワークの推奨照度は750ルクス程度、色温度は4000K前後の昼白色が長時間でも目が疲れにくいとされています。これはオフィス全体の明るさの話で、厚労省が示す画面・書類面の照度とは測る対象が違う点だけ押さえておいてください。調光・調色ができるライトなら、4000K前後に合わせておくのが無難です。
秋に作業時間を増やすとき、何に気をつける?
環境が整うと作業時間を延ばしたくなりますが、ガイドラインは連続作業時間を1時間以内とし、次の作業まで10〜15分の休止を置くことを求めています。さらに、その1時間の中でも1〜2回の小休止を入れる形です。本業のあとに副業を積む人ほど、この区切りが翌日の状態を左右します。
もうひとつ、秋特有の話として、日照時間が短くなることで気分や集中力が落ちやすいという指摘が健康情報メディアで見られます。ただしこれは企業コラムなどの二次情報で、公的統計で裏づけられたものではありません。参考程度に受け止めつつ、朝に光を浴びる・就寝時刻を動かさないといった基本を崩さないくらいの扱いが妥当です。
目安として、50分作業+10分休止を平日に2セット入れると週10時間ほどになります。日没が早まって夜の時間が広がる秋は、この2セットを生活に組み込みやすい時期です。まず1週間、同じ時刻に机に向かう形を作って、実際にどれだけ続いたかを記録してみてください。
週10時間は、月にすると40時間前後です。本業と別に月40時間の稼働枠を持てるというのは、単発の小さな仕事を数件こなす段階から、継続して依頼が来る取引先を1〜2社かかえる段階へ進める分量です。作業が速くなれば同じ時間で受けられる本数が増え、実績が積み上がるほど条件を交渉できる材料も増えていきます。単価は仕事の種類で大きく違うので金額は約束できませんが、時間が確保できている人と、疲れて30分で離席する人とでは、半年後に手元に残る実績がまるく違ってきます。
いま副業を始める人はどれくらいいる?
パーソル総合研究所の「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年8月実施)によると、正社員の副業実施率は11.0%で、2018年の調査開始以来もっとも高い水準でした。企業側の副業容認率は64.3%、他社の副業人材の受入率は29.1%で、いずれも上昇傾向にあります。
なお、パーソルイノベーションの『lotsful』副業定点調査(2026年2月実施分)では副業実施率41.0%という数字も出ていますが、これは調査対象の条件が異なるため、上記の11.0%と単純に比べられるものではありません。数字を見るときは母集団を確認する——副業の単価や月収の情報を読むときにも同じことが言えます。
まだ受注する仕事の種類が決まっていない段階で、机と椅子と照明を一式そろえるのはおすすめしません。動画編集ならモニターとストレージ、ライティングならキーボードと、後から必要になるものが変わります。最初の1案件を取るまでは足台とデスクライトのような数千円の範囲にとどめ、作業内容が固まってから本体に投資する順番のほうが無駄が出にくいです。
最初の1案件はどうやって取る?
整えた机に向かっても、依頼が無ければ作業は始まりません。未経験から入る場合、最初の1件は「実績ゼロでも応募できる場所」で取るのが現実的です。クラウドソーシングサイトやスキル販売サイトは、発注者が小さな仕事を数多く出しているため、ここが入口になります。
- 売るものを1つに絞るライティング、資料作成、データ入力、動画の文字起こしなど、いま自分の手で仕上げられる作業を1つ決めます。複数並べると、発注者からは何ができる人か見えません。
- 登録して本人確認を済ませるクラウドソーシングサイトに登録し、本人確認を通します。未確認のままだと応募できない案件が多く、ここで止まっている人が少なくありません。
- サンプルを2つ作る依頼が来る前に、自分でテーマを決めて成果物を2つ作っておきます。記事なら1本、資料なら1式。実績が無い段階では、これが唯一の判断材料になります。
- 提案文は相手の募集文に合わせて書く使い回しの自己紹介ではなく、募集内容のどこが自分の作業と重なるか、納期はいつまでに出せるかを具体的に書きます。1件あたり10〜15分かけて、1日2〜3件に応募します。
- 最初の数件は小さく、早く納める報酬より納期と連絡の速さを優先します。評価が付けば次の応募の通過率が変わるため、1件目は実績を買うつもりで選びます。
- 納品後に継続を打診する納品時に「同種の作業があれば継続で対応できます」と一言添えます。単発を毎回探す状態から抜けるのが、時間あたりの成果を上げる最短の道です。
ここまでを平日の夜の枠で回すと、応募と作業の両方に時間が要ることがわかります。整えた環境が効いてくるのは、まさにこの応募期間です。
始める前に確認しておく制度面は?
- 会社の副業規定就業規則を読み、許可制か届出制か、禁止されている業種・競合先がないかを確認します。無断で始めて後から問題になるケースがあります。
- 確定申告給与以外の所得が一定額を超えると、自分で確定申告が必要になります。基準額と手続きは国税庁のサイトで確認し、開始した月から報酬と経費(机・椅子・照明も対象になり得ます)の記録を残しておきます。
- 社会保険会社員が副業を始めても、本業で加入している健康保険・厚生年金がそのまま続くのが基本です。ただし副業先でも雇用契約を結ぶ場合は扱いが変わることがあるため、契約前に勤務時間の条件を確認します。
領収書の保管は初月から始めるのがいちばん楽です。あとからまとめて探すと、たいてい足りません。制度の扱いは働き方や金額で変わるので、迷ったら勤務先の人事と、税務は国税庁の相談窓口に確認してください。
今週できる整え方の手順
- 測る机の高さを床から天板上面まで測り、60〜75cmに入っているか確認します。
- 座る足裏全体が床につき、肘が90度になる座面高に合わせます。足が浮いたら足台を足します。
- 照らすデスクライトを利き手と反対側に置き、手元を明るく、画面輝度を下げます。
- 区切る50分作業+10分休止をタイマーで固定し、1週間続けた時間を記録します。
この4つはどれも、今ある家具と数千円の買い足しで実行できます。日が短くなるこれからの時期に、整えた環境がそのまま作業時間になって返ってきます。
よくある質問
在宅ワークの机の高さは何センチが適切ですか?
厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、作業机の高さは床から60cm以上75cm以下のものを使用するとされています。一般的なダイニングテーブルは70〜72cm前後でこの範囲に収まりますが、ローテーブルや折りたたみ机は60cmを下回ることがあるため、実際に床から天板上面までを測って確認してください。
パソコン作業時の照明は何ルクスが目安ですか?
厚生労働省のガイドラインでは、ディスプレイ画面上の照度は500ルクス以下、書類・キーボード面の照度は300ルクス以上を目安とし、画面と書類・周辺の明るさの差をなるべく小さくするよう求めています。天井照明だけでは手元が暗くなりやすいため、デスクライトを足して手元を明るくし、画面の輝度は下げる形が基本です。
オフィスチェアの座面の高さはどう合わせればいいですか?
椅子に深く腰掛けて背もたれに十分背をあて、足裏全体が床に接する高さが基本です。業界情報では、膝の角度が90度で太ももが床と平行になる座面高は床から約40〜53cmが一般的なレンジとされています。机の高さに合わせて座面を上げた結果、足が浮く場合は足台で支えてください。
パソコン作業はどれくらいで休憩を入れるべきですか?
厚生労働省のガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の作業休止時間を設けるとされています。さらに、一連続作業時間の中にも1〜2回程度の小休止を入れる形が示されています。
会社員が副業を始めるとき、確定申告や就業規則はどう確認すればいいですか?
まず勤務先の就業規則で副業が許可制か届出制か、禁止されている業種がないかを確認します。税金については、給与以外の所得が一定額を超えると自分で確定申告が必要になるため、基準額と手続きを国税庁のサイトで確認し、開始月から報酬と経費の記録を残しておきます。健康保険・厚生年金は本業での加入が続くのが基本ですが、副業先と雇用契約を結ぶ場合は勤務時間の条件によって扱いが変わることがあります。
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