スマホ写真が上手くなるコツは2つ、構図と光の基本
画像出典: 写真: Kuba Bożanowski from Warsaw, Poland(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
スマホ写真が上達するかどうかは機材より「構図」と「光」で決まります。まず設定からグリッド線を表示し、被写体を三分割の交点か線に置きます。次に光が被写体のどちらから当たっているか(順光・逆光・サイド光)を確認して立ち位置を変えます。この2つだけで、同じスマホのままでも写りは変わります。
カメラの価格を調べて、そっとタブを閉じた経験がある人は多いはずです。ただ、写真の出来を分けているのは機材よりも先に「どこに被写体を置くか」と「光がどちらから当たっているか」です。
この2つは、いま手に持っているスマホでそのまま練習できます。しかも設定を1つ変えて、立ち位置を数歩ずらすだけ。正直なところ、機材の検討はそのあとでも遅くありません。
まず何から始めればいい? グリッド線を出すこと
最初の一手は、カメラアプリの設定でグリッド線(画面を縦横3分割する薄い線)を表示することです。多くのスマホやカメラには、この3分割グリッドを画面に表示する設定があります。
グリッドは撮影の邪魔になりません。写真には写り込まず、構えたときの目安として画面に出るだけです。ここを出しておくと、次に説明する構図の基本がそのまま使えるようになります。
- カメラアプリの設定を開く設定アイコン、または端末の「設定」内のカメラ項目から入ります。
- 「グリッド」をオンにする項目名は「グリッド線」「グリッド表示」など機種で少し違います。
- 画面に線が出るか確認する縦2本・横2本の線が出て、画面が9分割に見えれば準備完了です。
三分割法とは? 被写体を真ん中に置かない考え方
三分割法は、画面を縦横に3分割し、その交点や線の上に被写体を配置する構図の基本です。スマホでもコンパクトカメラでも一眼レフでもフィルムカメラでも、同じように使えます。
やることは単純で、撮りたいものを画面の中央から交点へずらすだけです。カフェのカップなら真ん中ではなく左下の交点あたり、公園で友人を撮るなら右の縦線の上に立ってもらう。それだけで、余白に背景が入り、写真に「その場の空気」が写り込みます。
上の図のとおり、グリッドを出した撮影画面には、縦線と横線が交わる点が4つできます。①左上・②右上・③左下・④右下の4か所です。多くの人が無意識に被写体を置いてしまうのは、その4点のどれでもない画面のど真ん中。三分割法でやることは、被写体を中央からこの4点のいずれかへずらす、その移動だけです。
実際の被写体で言うと、人物なら目(顔の中心)を交点に、建物や看板なら一番見せたい角・先端・ロゴを交点に、花なら主役の一輪を交点に合わせます。この置き方をすると「何を見せたい写真か」が見る人に伝わります。
| 惜しい置き方 | 良い置き方 | |
|---|---|---|
| カフェのカップ | カップを画面の中央に置き、上下左右に同じだけ余白がある | カップを交点③(左下)に置き、右上に窓や店内を入れる |
| 右を向いた友人 | 顔を中央に置き、右側の余白がない | 目を交点①(左上)に合わせ、視線の先の右側を空ける |
| 海辺の風景 | 水平線が画面の中央を横切り、空と海が半分ずつ | 空を見せたいので水平線を下の横線に合わせる |
上の表の「惜しい置き方」は、どれも被写体が画面の中央にあるか、余白が均等に割れている状態です。良い置き方に共通しているのは、主役が交点か線の上にあって、残りの面積が背景の役に立っていること。手元の写真フォルダを見返すと、中央に置いた一枚がかなり見つかるはずです。
選び方の目安は、被写体が向いている方向、あるいは動いている方向に空きを作ることです。人が右を向いているなら左の交点に置き、右側を空ける。そうすると視線の先に余白ができて、窮屈さが消えます。
交点だけでなく「線」も使う
三分割法は交点だけの話ではありません。線を意識するのも実践的なコツとして紹介されています。海や湖の水平線、公園の地平線、テーブルの縁を、グリッドの横線にぴったり合わせる。これだけで写真が安定します。
空を見せたいなら水平線を下の横線に、地面や花畑を見せたいなら上の横線に合わせます。どちらを見せたいかを決めてから線を合わせる、という順番です。
- 被写体は交点か線の上に乗っているか
- 水平線・地平線が斜めに傾いていないか
- 被写体の向いている側に余白があるか
光はどう見ればいい? 向きは3種類だけ
撮る前に「光がどの方向から来ているか」を一瞬意識するだけで、スマホでも仕上がりが変わります。難しく考える必要はなく、光が被写体のどちら側から当たっているかだけを見ます。
光の向きは大きく3種類に分けられます。それぞれ、太陽・被写体・自分(スマホ)の並び方と、得意な被写体が違います。
上の図のとおり、3つの違いは太陽・自分・被写体の並び方だけです。順光は太陽を背にして立った状態、逆光は被写体の向こう側に太陽がある状態、サイド光は太陽が被写体の真横にあって自分と直角になる状態です。頭で言葉として覚えるより、実際に立ったときの位置関係で覚えたほうが、撮影の現場ですぐ使えます。それぞれの写り方と得意な被写体は次のとおりです。
| 写り方 | 得意な被写体 | |
|---|---|---|
| 順光 | 被写体の正面から光が当たる。最も扱いやすく影が出にくい | 青空・海・緑 |
| 逆光 | 被写体の背後から光が当たる。ふんわりした柔らかさが出る一方、顔や被写体が暗くつぶれやすい | 透ける葉・逆光を活かした人物 |
| サイド光 | 被写体の横から光が当たる。凹凸に影が出て立体感が生まれる | 建物・質感のあるもの |
- 順光:影は被写体の向こう側へ伸びる
- 逆光:影は自分の足元へ向かって伸びる
- サイド光:影は被写体の横へ伸びる
つまり、自分の影がどちらに伸びているかを見れば、光の向きはすぐ分かります。影が被写体側へ伸びていれば順光、自分の方へ伸びていれば逆光です。撮る前に一歩か二歩、被写体のまわりを回ってみる。これが光を使うということの実態です。
太陽・被写体・自分の並び方が変わるだけで、写り方は別物になります。迷ったら、被写体を中心にぐるりと半周してみてください。3種類とも同じ被写体で試せるので、違いは1分で確かめられます。
逆光で暗くなってしまうときは
逆光では、被写体の前面に光が回らないため顔や被写体が暗く落ちます。背景の空と被写体の明暗差が大きいことが原因です。対処は3つあります。スマホのライトで手前の影を明るくする、画面をタップして被写体側に明るさを合わせる、角度を変えて半逆光(真後ろではなく被写体の斜め後ろから光が当たる状態)や順光に寄せる——このどれかです。
スマホは画面上で被写体をタップするとピントと明るさを同時に合わせられます。タップ後に出る太陽アイコンを上下にスワイプすれば、明るさを手で微調整できる機種が多いです。料理を撮るなら、窓が斜め後ろに来る席に座る。それだけでその日の写真の歩留まりが変わります。
時間帯も光の質を変えます。日の出後と日没前の、柔らかい金色の光が差す時間帯はゴールデンアワーと呼ばれ、影が柔らかくなって人物の肌や風景がきれいに写るとして好まれます。同じ場所でも、正午と夕方では別の写真になります。
今日から何を練習すればいい?
一度に全部やろうとすると続きません。順番を決めて、1つずつ体に入れるのが結果的に早道です。
- 1週目:グリッドに置くだけ光は考えず、被写体を交点か線に乗せることだけを意識します。1日3枚で十分です。
- 2週目:光の向きを言葉にする撮る前に「これは順光」「これは逆光」と心の中で言ってから撮ります。判断できるようになるのが目的です。
- 3週目:立ち位置を変えて2枚撮る同じ被写体を、順光の位置とサイド光の位置から1枚ずつ。あとで見比べると違いがはっきり分かります。
- 4週目:暗い1枚をタップで救う逆光で暗くなった写真を、被写体をタップして明るさを上げ、撮り直します。
撮った写真は消さずに残しておいてください。1か月分をまとめて見返すと、自分がどの構図・どの光を好むのかが見えてきます。機材を検討するのは、その好みが分かってからで十分です。
構図と光は「その場で判断して動く」ことが前提の技術です。歩き回れない場所や、シャッターチャンスが一瞬しかない場面では、そもそも位置を選べません。そういう撮影が中心の人は、この基本より先に、連写やナイトモードなど端末の機能を覚えたほうが実用的です。
また、スマホで解決しにくい領域もあります。遠くの野鳥やスポーツのように、大きく引き寄せて撮ることが目的そのものになる被写体は、構図と光を極めても限界が先に来ます。撮りたいものがはじめからそこにあるなら、望遠に強い機材の検討は理にかなっています。
スマホでも上達すると言えるのはなぜ?
理由は単純で、三分割法がスマホ・コンデジ・一眼レフ・フィルムカメラのいずれでも使える普遍的な技術だからです。光の3つの向きも、レンズの値段とは無関係に成り立ちます。
つまり、いま身につけたものはそのまま将来の機材に持ち越せます。逆に言えば、構図と光を知らないまま機材だけ変えても、写るものの質は大きく変わりません。機材を買うかどうかは、この基本をひととおり試してから決めればいい話です。
週末に1時間、近所を歩きながらグリッドを意識して撮ってみる。趣味としての写真は、そのくらいの入り口から始められます。
よくある質問
三分割法とは何ですか?
画面を縦横に3分割し、その交点や線の上に被写体を配置する構図の基本テクニックです。スマホ、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフ、フィルムカメラのいずれでも使えます。多くのスマホやカメラには、この3分割のグリッド線を撮影画面に表示する設定があります。
順光・逆光・サイド光はどう使い分けますか?
順光は被写体の正面から光が当たる状態で、影ができにくく最も扱いやすいため、青空や海、緑の撮影に向きます。逆光は背後から光が当たり、柔らかい雰囲気が出る一方で被写体が暗くつぶれやすいため、明るさの調整が必要です。サイド光は横から光が当たって立体感が出るため、建物などの撮影に向き、光と影の両方を画面に入れるとメリハリのある写真になります。
逆光で被写体が暗く写ってしまいます。どうすればいいですか?
逆光では被写体の前面に光が回らず暗くなります。対処は3つあり、スマホのライトやフラッシュで手前の影を明るくする、画面上の被写体をタップして明るさを被写体側に合わせる、撮る角度を変えて半逆光(被写体の斜め後ろから光が当たる状態)や順光に寄せる、のいずれかです。タップ後に表示される太陽アイコンを上下にスワイプすると明るさを手動で微調整できる機種が多くあります。
スマホのグリッド線はどこで設定しますか?
iPhoneでは「設定」→「カメラ」→「グリッド」のスイッチをオンにすると、撮影画面に3×3の格子線が表示されます。Androidでも標準カメラアプリの設定画面から同様に「グリッドライン」をオンにできます(項目名はメーカーや機種で多少異なります)。この線は写真そのものには写り込みません。
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