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雨の日の写真の撮り方|傘をささずに撮れる意外な被写体

2026年6月6日|いろは堂エンタメ編集部
雨の中、傘をさす人物のスナップ写真

画像出典: 写真: Khaosaming(CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
雨の日の写真は、外に出なくても窓越しの雨粒から始められます。雨粒を粒として止めたいなら1/250秒以上、線として流したいなら1/30秒以下が目安になります。暗くなるぶんISO(撮像素子の感度設定)は400〜800まで上げてシャッタースピードを確保します。
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せっかくの休みなのに雨。カメラ持って出かける気になれないな……

雨の日は撮影が中止になる日、というイメージがあります。傘とカメラで両手がふさがるし、機材は濡らしたくないし、そもそも景色が暗くてぱっとしない。けれど雨は、晴れの日には存在しない被写体を街じゅうに配ってくれる日でもあります。

水たまりは地面にできた鏡ですし、窓ガラスの雨粒はレンズのようにうしろの景色を歪めます。濡れたアスファルトは街灯を反射して光ります。どれも、雨が降っている数時間しか置かれていないものです。

しかも、その多くは傘をささずに撮れます。まずは家の窓辺から始めて、気が向いたら軒下まで数歩だけ出る。それくらいの温度で十分です。

雨の日は何を被写体にすればいい?

雨の写真は、大きく2つに分けて考えると迷いません。ひとつは「雨の中の写真」——傘をさす人、濡れた街角、雨に煙る風景など、雨が降っている状況そのものを写したもの。もうひとつは「雨そのものの写真」——水たまり、波紋、雫といった、雨がつくった形に寄っていくものです。

そのうえで、この記事は「傘をささずに撮れる距離」の順に並べます。家の窓辺(一歩も出ない)、軒下(数歩)、通勤や買い物のついで(外出計画なし)の3段階です。撮影のための外出をゼロにすると、雨の日の撮影は驚くほど続きます。

被写体撮れる場所画面に写る「見どころ」
窓ガラスの雨粒窓辺(一歩も出ない)手前の粒だけがくっきり、外はぼやける
雨粒越しの街の光窓辺(一歩も出ない)信号や看板の色が粒のなかに滲む
手すり・葉先の一滴窓辺(一歩も出ない)一粒に景色が逆さまに映り込む
軒先から落ちる雫軒下・玄関先(数歩)落下の途中で止まった水の形
水たまりの反射軒下・玄関先(数歩)空や建物が地面に上下逆さで並ぶ
水面の波紋軒下・玄関先(数歩)広がる同心円が重なり合う
濡れた路面の照り返し通り道(外出計画なし)街灯やテールランプが縦に伸びて光る

上の表の7つで、雨の日一日ぶんの撮影には十分足ります。全部やろうとせず、その日ひとつ選ぶくらいがちょうどいいです。右の列は撮ったあとの画面がどう見えるかなので、気になった一行をそのまま今日のお題にしてしまってかまいません。

窓越しの雨粒はどう撮る?

いちばん手軽で、いちばん「雨の日らしい」写真になるのが窓越しの撮影です。窓についた雨粒を前景に、外の世界をぼんやりと背景にする——これだけで、他の季節や天気では撮れない一枚になります。

  1. 窓に近づく手を伸ばせば触れるくらいまでカメラを寄せます。離れると雨粒が小さくなり、粒の存在感が消えます。
  2. ピントを雨粒に合わせるオートフォーカスは奥の景色に引っ張られがちなので、うまくいかないときはマニュアルフォーカス(ピント位置を自分で決める設定)に切り替えて、粒そのものに合わせます。
  3. 絞りを開ける絞りはレンズが光を通す穴の大きさで、その大きさを表す数字がF値です。F値を小さく(穴を大きく)すると背景が大きくボケて、雨粒だけが浮かび上がります。スマートフォンならポートレートモードが近い効果になります。
  4. 背景に光を探す街灯や店のウィンドウ、信号の光を背景に入れると、ボケた光が丸い玉ボケになり、雨粒と重なってファンタジックな雰囲気が出ます。

逆に、雨粒ではなく外の景色にピントを合わせると、手前の雨粒が半透明のベールのようになります。同じ窓辺から2種類の写真が撮れるので、両方試してみてください。

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部屋の中が窓に映り込んでしまう……

映り込みは、部屋の照明が明るいときに起こります。撮影する側の照明を落とすか、暗い色の服を着てガラスに近づくと、かなり抑えられます。それでも消えないときは、レンズをガラスにほぼ密着させるのが確実です。

雨を「粒」で止めるか「線」で流すか

降っている雨そのものを写真に写したいとき、結果を決めるのはシャッタースピード(センサーに光を当てている時間の長さ)です。ここだけは数字で覚えてしまったほうが早いです。

撮りたい表現シャッタースピードの目安
雨粒を粒のまま止める1/250秒以上
軒先の一滴をシャープに切り取る1/1000秒前後
雨を線状に流す1/30秒以下
水面の波紋の形をきれいに出す速めに設定する

タムロンおよびtolancaの公表情報をもとに作成

上の表でいちばん使う場面が多いのは、いちばん上の1/250秒です。雨は思っているより速く落ちてくるので、ふだんの感覚のシャッタースピードだと、写っているはずの雨がきれいに消えます。「雨の日に撮ったのに雨が写らない」の原因は、たいていここにあります。

いっぽうで1/30秒以下まで落とすと、雨は縦の線になります。街灯を背景にした夜の雨だと、光の筋のように写って印象的です。ただし手持ちだとカメラ側もブレるので、窓枠や手すりにカメラを預けるか、三脚を使ってください。

暗い雨の日に、どう明るさを確保する?

雨天は曇天より光が少なく、シャッタースピードを速くするほど画面は暗くなります。この2つは常に引っ張り合うので、足りないぶんはISO感度(光をどれだけ増幅するかの設定。上げるほど暗くても写るが、ざらつきも増える)で補います。

目安はISO400〜800。この範囲なら最近のカメラやスマートフォンではざらつきもほとんど気になりませんし、1/250秒を確保するには十分な余裕が生まれます。オートのままだとカメラが「明るく撮ろう」としてシャッタースピードを落としてしまうので、シャッタースピード優先モード(速度だけ自分で決め、残りをカメラが調整するモード。ダイヤルのS/Tv)にしてISOをオートにするのが、いちばん失敗しない組み合わせです。

向いていないケースもあります

強い雨の日に、防滴仕様(多少の水滴がかかっても内部に入りにくい造り)でないカメラを持って長時間外を歩くのはおすすめしません。レンズ交換式カメラ(本体からレンズを外して付け替えられるタイプ)は、屋外でのレンズ交換で内部に水分が入ることもあります。屋外で撮るなら防水レンズフードや防滴のカメラバッグを用意し、そこまでの装備がないうちは窓越しと軒下だけにしておくのが賢明です。機材を壊してからでは、次の雨の日が撮れません。

グレー一色の景色に、どう色を足す?

雨の日の写真がなんとなく地味になるのは、街全体がグレートーンに寄るからです。ここに一点だけ色を置くと、写真が一気に締まります。

いちばん手近な色はです。カラフルな傘を主役にしてもいいですし、灰色の風景の隅にひとつ赤い傘が入るだけで差し色になります。駅前やバス停など傘が集まる場所は、色が重なって構図の主役になります。

色が見つからないときは、逆に思い切って明暗だけの写真として撮るのも手です。濡れた路面の照り返しは、それだけで白と黒のコントラストを作ってくれます。

雨の日の撮影を、どう習慣にする?

雨の日の撮影がうまくいかないいちばんの理由は、技術ではなく「わざわざ出かける決心がつかない」ことです。だから、決心のいらないところから始めます。

  1. 窓辺の1枚から雨が降ってきたら、まず窓に雨粒がついているか見に行く。撮れそうなら5分だけ撮る。
  2. 玄関先まで足を伸ばす軒下から、水たまりと落ちてくる雫を狙う。傘もいらず、機材も濡れません。
  3. ついでに撮る通勤や買い物の帰り道、濡れた路面の反射を1枚。撮影のための外出をしないのがコツです。

雨の日専用の撮影計画を立てないこと。これが続けるための唯一のルールです。雨は予定より先に降ってくるので、計画に組み込もうとするほど撮らなくなります。「降ったら窓を見る」だけを習慣にしておけば、あとは自然に外へ出たくなります。

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たしかに、窓の雨粒なら今すぐ撮れる

晴れの日の風景は、来週も来月も同じ場所にあります。今日の水たまりに映った空は、雨がやんだ瞬間になくなります。撮れるものが限られている日、という見方をやめると、雨の日はむしろ被写体が多い日です。

よくある質問

雨の日の写真でシャッタースピードはどのくらいが目安ですか?

雨粒を粒のまま止めて写すなら1/250秒以上、軒先の一滴をシャープに切り取るなら1/1000秒前後、雨を線状に流したいなら1/30秒以下が目安です。1/30秒以下で撮る場合は手ブレしやすいため、三脚や窓枠などでカメラを固定します。

雨の日は暗いのですが、どう設定すればいいですか?

ISO感度(光を増幅する度合いの設定)を400〜800程度まで上げてシャッタースピードを確保するのが基本です。シャッタースピード優先モード(ダイヤルのS/Tv)にしてISOをオートにすると、狙った速度を保ったままカメラが明るさを調整してくれます。

外に出ずに雨の日の写真を撮ることはできますか?

できます。窓についた雨粒を前景にして外の景色をぼかす窓越し撮影は、屋内から手軽に撮れる代表的な方法です。背景に街灯やお店の光を入れると、ぼけた光が丸い玉ボケになり、雨粒と重なった雰囲気のある一枚になります。

雨の日にカメラを持ち出すとき、何を用意すればいいですか?

屋外で撮るなら防水レンズフードと防滴仕様(水滴が内部に入りにくい造り)のカメラバッグの用意が推奨されています。装備がそろっていないうちは、窓越しや軒下など機材が濡れない場所での撮影にとどめるのが安全です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。