ベランダ夕涼み、涼しく過ごす3つの工夫
画像出典: 写真: MShades from Kyoto(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)
夏の夜を家で心地よく過ごすには、①涼を取る仕組み(すだれ・緑のカーテン・打ち水)②虫を寄せない備え③手元だけの弱い灯り、の3点を先に整えるのが近道です。緑のカーテンは葉が茂ると日射熱の約80%を遮り、すだれ(50〜60%)より高い遮蔽効果があります。準備は30分ほど、道具は1000円台からそろいます。
暑さの盛りが過ぎた夕方から夜にかけての時間は、実は一年で一番外の空気が気持ちいい時間帯でもあります。そしてその空気は、遠出しなくても自分の家のベランダや窓辺にちゃんと流れています。
ただ、何の準備もなくベランダに出ると、まだ日中の熱が残っていて蚊にも刺され、5分で部屋に戻ることになります。正直なところ、夕涼みが気持ちいいかどうかは、当日の思いつきではなく前もって整えた3つの下ごしらえでほぼ決まります。
ベランダの夕涼みには何を準備すればいい?
必要なのは、次の3つだけです。順番にも意味があります。
- 涼を取る仕組み/すだれ・緑のカーテン・打ち水で、たまった熱を減らす
- 虫を寄せない備え/これが無いと滞在時間が5分で終わる
- 手元だけの弱い灯り/明るすぎない光にすると外の暗さが楽しめる
この3つは「快適さ」ではなく滞在時間を伸ばすための道具です。夕涼みは、そこに30分いられて初めて気持ちよさが立ち上がってくる過ごし方なので、まず居続けられる条件を作るところから始めます。
なぜベランダは夕方になっても暑いままなの?
日中に浴びた日射がコンクリートの床や手すりに蓄えられ、それが夜になって放出されるためです。つまり夕方の暑さ対策は、夕方に始めても遅い。日が高いうちに「熱を入れない」ことが、夜の涼しさを決めます。
その入り口を塞ぐ道具として、昔からある方法が一番よく効きます。窓まわりでよく使われる遮蔽の手段を、日射熱をどれだけカットできるかで並べてみます。
| 遮蔽の方法 | 日射熱をカットする割合 |
|---|---|
| 緑のカーテン(葉が十分に茂った状態) | 約80% |
| すだれ | 50〜60% |
| 遮熱ガラス | 約50% |
環境省 COOL CHOICEの公表データをもとに作成
ゴーヤや朝顔などでつくる緑のカーテンが頭ひとつ抜けているのは、日射を物理的に遮る遮蔽効果に加えて、葉から水分が蒸発するときに周りの熱を奪う蒸散効果が重なるからです。打ち水で地面が濡れると涼しく感じるのと同じ仕組みが、窓の手前で一日中続いていると考えるとイメージしやすいと思います。中部電力の実証実験では、緑のカーテンの設置で平均30%の節電効果が確認されたという報告もあります。
とはいえ、今日から始めたい人が今日ゴーヤを茂らせることはできません。今シーズンすぐ効かせたいならすだれ、来年も続けたいなら緑のカーテン、という順番で考えるのが現実的です。天然素材のすだれは、風を通しながら直射日光だけを遮ってくれるので、風のある日ほど気持ちよく働いてくれます。
今日の夕方からできる準備の手順は?
- 日中:日射を遮るベランダの窓側にすだれを掛ける。掛ける位置は窓ガラスではなく、その手前。ガラスに日が当たる前に止めるのが目的です。
- 日没の少し前:打ち水をするベランダの床に水をまきます。打ち水は路面や庭に水をまいて周辺の気温を下げる、日本の伝統的な暑さ対策です。日が当たっている最中より、日陰になってからのほうが効果を感じやすくなります。
- 出る30分前:虫よけを焚いておく座ってから焚くのではなく、先に置いておく。空間ができあがってから出るほうが快適です。
- 出る直前:灯りと飲み物を用意する部屋の照明はつけたままにせず、手元だけを照らす小さな灯りに。冷たい飲み物は、氷を多めにして最後まで冷たさが残るようにしておきます。
- 出たら:何もしないここが一番大事です。スマホをテーブルに伏せて、風と外の音だけを聞く時間を最初の10分に作ります。
蚊対策はどこまでやればいい?
虫よけは、夕涼みにおいて「あると快適な物」ではなく滞在時間そのものを決める装備です。ベランダは電源が取りにくい場所なので、電池式・コードレスのタイプを選ぶと置き場所に悩まずに済みます。コンセントの位置に合わせて座る場所を決める必要がなくなるのは、思っている以上に自由度が上がります。
蚊取り線香を使う場合、有効成分はピレスロイド系の殺虫成分で、蚊の神経に作用する一方で人体への影響は小さいとされています。効き目が届く範囲には限りがあるため、風上側の足元に置くのが基本です。ベランダの端に置いて自分は反対側、という配置だと、煙が自分のところに来ないまま流れていってしまいます。
集合住宅では、煙や香りが隣戸へ流れることがあります。ベランダは避難経路を兼ねている場合も多く、大きな家具や植木鉢で通路を塞ぐのは避けてください。においの出るタイプが使いにくい環境なら、無理をせず窓を10cmだけ開けた窓辺の夕涼みに切り替えるほうが、結果的に長く続きます。
ベランダがない・狭い場合はどうする?
ベランダが無い部屋でも、夕涼みは成立します。必要なのは屋外の広さではなく、外の空気が動く場所と、暗さだからです。
- 窓を10〜15cm開け、部屋の反対側の窓やドアも少し開けて風の通り道を作る
- 部屋の照明を消し、手元の小さな灯りだけにする
- 窓際に低い椅子かクッションを置いて、視線の高さを下げる
- すだれは窓の外側に掛ける(内側だと熱が室内に入ってから遮ることになる)
視線を低くすると空の見える面積が増えるので、これはベランダでも同じように効きます。京都の鴨川沿いにある「納涼床(のうりょうゆか)」も、川面に近い高さに床を張って涼をとる形で、水と風の通り道に体を置くという考え方は共通しています。自宅で再現するなら、風の通り道に低く座る、と読み替えるのが近道です。
夕涼みの時間、何をして過ごせばいい?
結論から言うと、何もしない時間を最初に確保して、そのあとに何かをするのがおすすめです。最初からやることを持ち込むと、それは室内の作業を屋外でやっているだけになってしまいます。
10分ほど風にあたって外の音に慣れてきたら、そこから先は好きなもので構いません。相性がいいのは、途中で中断しても困らないものです。
- 音楽を1枚ぶん流す(曲を選び直さなくていいプレイリストが楽です)
- 短編集や随筆など、区切りの多い本を読む
- ボードゲームやカードゲームなど、風で飛ばない小さなものを二人で
- スマホのカメラで空の色の変化を数枚だけ撮る
- 翌週に食べたいものを考える、それだけ
夕暮れどきにベランダで一息ついて涼しい風にあたる、夕焼けを静かに眺める——そうした時間の使い方は、暮らしまわりのメディアでも繰り返し提案されています。夏の夕方から動き出す過ごし方自体が定番化しつつあり、遠出をしなくても、その時間帯の気持ちよさは家で受け取れます。
いくらくらいで始められる?
初期費用は、すだれと虫よけを買い足すぶんで1000円台から2000円程度に収まります。飲み物やグラスは今あるもので十分です。最初から全部そろえないほうがうまくいきます——一晩やってみて、足りないと感じたものだけを次に足すほうが、自分の家の風の通り方に合った形に落ち着きます。
緑のカーテンだけは、種まきから茂るまでに時間がかかるので来年の計画になります。今年の夏に「これは毎年やりたい」と思えたら、春に種を用意しておく、くらいの気軽さでいいと思います。
よくある質問
ベランダで夕涼みをするのに一番効果があるのはどの対策ですか?
日射を遮ることです。環境省の解説によると、緑のカーテンは葉が十分に茂ると日射の熱エネルギーの約80%をカットし、すだれ(50〜60%)や遮熱ガラス(約50%)より高い遮蔽効果があります。ただし緑のカーテンは育てる時間が必要なため、今シーズンすぐ効かせたい場合はすだれから始めるのが現実的です。
打ち水はいつやるのが効果的ですか?
日が落ちて床が日陰になったあと、夕涼みを始める少し前が適しています。打ち水は路面や庭に水をまいて周辺の気温を下げ、埃を抑える日本の伝統的な暑さ対策で、ベランダのコンクリートに蓄えられた熱をやわらげる目的で使えます。
蚊取り線香はベランダのどこに置けばいいですか?
風上側の自分の足元に置きます。有効成分のピレスロイド系殺虫成分は煙とともに広がるため、風下や自分から離れた場所に置くと煙が届かないまま流れてしまいます。効き目の届く範囲には限りがあるので、座る位置の近くに置くのが基本です。
ベランダがない部屋でも夕涼みはできますか?
できます。必要なのは屋外の広さではなく、外の空気が動くことと暗さです。窓を10〜15cm開け、部屋の反対側の窓も少し開けて風の通り道を作り、照明を消して手元の灯りだけにします。窓際に低い椅子やクッションを置いて視線を下げると、空の見える面積が増えます。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。