防災週間、停電の夜に備える3つのもの
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停電の備えは水・食料・灯りが最優先ですが、それだけだと「暗い部屋で何時間も何もできない」時間が残ります。電池式ランタンとトランプなど電源不要の遊び、スマホに入れたオフライン再生のデータ、満充電のモバイルバッテリーの3つを平常時にそろえておくと、復旧までの数十時間の過ごし方が変わります。防災の日を含む8月30日〜9月5日の防災週間は、この見直しに合う時期です。
停電の備えというと、水・食料・灯り・電池が定番です。命に関わる順番としてはその通りで、ここを外すわけにはいきません。
ただ、実際に電気が止まると、もうひとつ困ることが出てきます。やることがない時間が、想像よりずっと長いということです。テレビもつかず、部屋は暗く、スマホは充電が減るのが怖くて触りづらい。家族がいれば、その空気は子どもにも伝わります。
正直なところ、この「暇」は防災リストにあまり書かれていません。でも、備蓄の目安が最低3日分とされていることを思えば、そのあいだの時間の過ごし方も一緒に用意しておくほうが自然です。防災の日は9月1日ですが、8月30日から9月5日までの1週間が防災週間とされているので、この期間中ならいつ手をつけても遅くありません。
なぜ「3日分」なのか?停電の時間を先に知っておく
備えを考えるとき、まず時間の長さを把握しておくと必要なものが決まります。内閣府のガイドラインでは、飲料水・食料・カセットコンロ・トイレットペーパー・携帯トイレなどの備蓄を最低3日間、できれば1週間分としています。飲料水なら1人1日3リットル、3日分で9リットルが目安です。
この3日という数字には理由があります。阪神・淡路大震災と東日本大震災の検証で、広域の物資輸送が機能するまでにおよそ72時間かかることが確認されているためです。つまり最初の3日間は、外からの助けをあてにせず自宅にあるものだけで過ごす前提になります。
そして72時間のうち、夜は2回から3回あります。灯りと食べ物が足りていても、その夜の時間は自動的には埋まりません。ここに手を打っておくのが、今回の話です。
備蓄品を3段階に分けて考える方法も知られています。すぐ持ち出す「1次品」、3日間を生き抜く「2次品」、長引く避難生活を快適にする「3次品」の3つです。今回そろえるものは、この3つ目にあたります。命を守る備えができている人が、次に足す一段だと考えてください。
停電の夜に何が使えなくなるのか?
用意するものを決める前に、何が動かなくなるかを整理しておきます。停電時に起きることは、大きく3つに分かれます。
- 電源 — テレビ、据え置きゲーム機、Wi-Fiルーター、部屋の照明が止まる
- 通信 — 自宅のWi-Fiは使えなくなる。携帯回線も基地局の電源次第で不安定になる
- 充電の余裕 — スマホは連絡と情報収集の生命線になるため、娯楽に使うことをためらうようになる
ここから逆算すると、備えるべき条件が見えてきます。電源を使わないか、使うとしても消費が読めるもの。そして通信が切れても成立するもの。この2つを満たさない娯楽は、停電の夜には戦力になりません。
停電時の必需品としてよく挙げられるのは「ライト・スマホの電源確保・ラジオ」の3点です。この3点は情報を得るための備えですが、実はそのまま娯楽の土台にもなります。灯りがあれば手元で遊べますし、電源が確保できていればスマホを使う心理的なハードルが下がります。
灯りをどう用意する?ランタンと懐中電灯の使い分け
停電時の娯楽の前提は、まず灯りです。ここは分けて考えると失敗しません。
| 照らす範囲 | LEDランタン: 室内全体を均一に/懐中電灯: 向けた一点だけ |
|---|---|
| 置いて使えるか | LEDランタン: 置ける(両手が空く)/懐中電灯: 手で持つか固定が必要 |
| 向いている場面 | LEDランタン: 家族で座って過ごす時間/懐中電灯: 廊下やトイレへの移動 |
上の表のとおり、LEDランタンは室内全体を均一に照らすもので、懐中電灯はピンポイントを照らすものです。両方あると、移動するときは懐中電灯、家族で座っているときはランタン、というように使い分けられます。テーブルの上にランタンを1つ置けるかどうかで、その場で遊べることの幅が変わります。
この2つは明るさの強さではなく「照らし方」で役割が分かれます。片方だけだと、遊ぶ場面か移動する場面のどちらかで必ず不便が出ます。
電池の量も先に見積もっておきます。3日間の停電を想定した乾電池の備蓄目安は、単3形で1人あたり17本とされています。家族4人なら70本近くになる計算で、思っているより多いはずです。ランタンやラジオを使うぶんも、この中から出ていきます。
手回し充電式のAM/FMラジオ付きライトも選択肢に入りますが、手回しは体力を消耗しやすいという弱点があります。これ一本に頼らず、乾電池・モバイルバッテリー・ソーラーと組み合わせておくほうが現実的です。
電源も通信もいらない遊びは何がある?
ここからが本題です。灯りが確保できたら、その灯りの下でできることを用意します。もっとも確実なのは、そもそも電気を必要としないものです。
- トランプ・UNO — 場所を取らず、人数の増減にも対応できる。防災リュックに入る大きさ
- ボードゲーム — 箱の小さいカードゲーム系なら備蓄棚に置ける。ルールが短いものを選ぶ
- 紙の本・マンガ — 充電が一切いらない。ランタンの下でそのまま読める
- ノートとペン — しりとりや絵しりとりなど、道具がなくても遊びが作れる
意外に思われるかもしれませんが、この中で優先度が高いのはトランプです。理由は3つあって、軽い・場所を取らない・遊び方が何十通りもあるからです。備蓄品は場所との戦いになるので、体積あたりの時間の埋まり方で選ぶと外しません。
選ぶときのコツはルール説明が1分で終わるものにすることです。停電中は説明書を読む余裕も、じっくり長考する集中力もありません。普段は物足りないくらいの軽さが、ちょうどよく機能します。
スマホをエンタメに使うには何を準備しておく?
紙の遊びだけで数日は正直つらいので、スマホも戦力にしたいところです。ただし通信が不安定になる前提なので、「あらかじめ端末の中に入れてある」状態を平常時に作っておく必要があります。
ここでいうオフライン再生とは、作品のデータを事前に端末へダウンロードしておき、通信がなくても再生できるようにしておく機能のことです。多くの動画配信サービスや音楽アプリ、電子書籍アプリに用意されています。
- 使っているサービスの対応を確認する動画配信・音楽・電子書籍の各アプリで、ダウンロード保存に対応しているかを見ます。作品ごとに可否が分かれることもあります。
- 停電の夜に見たいものを選んで落とす重い内容より、途中で中断しても戻りやすいものが向いています。1話完結のアニメやドラマ、聴き慣れた音楽のプレイリストなど。
- 子ども向けのものを別に用意する暗い部屋を怖がる子には、見慣れた作品が一番効きます。大人の趣味とは別枠で確保しておきます。
- 保存期限とストレージ残量を見ておくダウンロード作品には視聴期限が設定される場合があります。防災週間に合わせて年1回見直すと決めておくと管理が楽です。
そして電源側の備えです。モバイルバッテリーは、買っただけで満充電になっていないことがよくあります。半年に一度は残量を確認して継ぎ足しておきましょう。防災週間はその点検日としても使えます。
停電中のスマホは、まず安否確認と災害情報のための道具です。娯楽に使うのは、充電に余裕があるときに限ります。バッテリーが心もとないときは、迷わず紙の遊びに切り替えられるよう、両方を用意しておくことが前提になります。また、家族全員が同じ1台をのぞき込む使い方は電池の減りが早いので、人数分の遊びを分散させておくほうが結果的に長く持ちます。
温かい飲み物が「気持ち」に効く理由
娯楽の話から少し外れるようですが、停電時の気分に直結する備えがもう1つあります。カセットコンロです。
停電していても、カセットコンロがあれば温かい食事や飲み物を用意できます。これは心身の安定につながるとされていて、実際、暗い部屋で冷たいものだけを食べ続けるのと、湯気の立つものが出てくるのとでは、その場の空気がまるで違います。
ランタンを囲んで、温かい飲み物を持ってトランプをする。そこまで用意できていれば、停電の夜は「耐える時間」から「いつもと違う夜」に変わります。備えの目的は不便をゼロにすることではなく、気持ちが沈み続けるのを止めることです。
防災週間の今、何から手をつける?
全部を一度にそろえる必要はありません。優先順位をつけるなら、次の順番になります。
| 優先度 | やること |
|---|---|
| まず今日 | モバイルバッテリーの残量確認と充電。乾電池の本数を数える |
| 今週中 | LEDランタンの有無を確認。なければ1つ買い足す |
| 今月中 | トランプなど電源不要の遊びを防災用品と同じ場所に入れる |
| 年1回 | オフライン再生用のダウンロードを入れ替える(防災週間に合わせる) |
防災の日が9月1日に定められたのは、1923年の関東大震災を教訓としたことに加え、台風シーズンを迎える時期でもあるためでした。1960年の閣議了解による制定です。台風による停電は毎年どこかで起きているので、この時期の点検にはそれなりの意味があります。
ちなみに防災週間そのものは1982年に制定されたもので、8月30日から9月5日までの1週間です。9月1日を過ぎていても、この期間内なら区切りとしてちょうどいいタイミングです。
まだ水・食料・携帯トイレの備蓄ができていない場合は、そちらが先です。エンタメの備えは、命に関わる備えが済んだ人が次に足す一段であって、順番を入れ替えるものではありません。また、備蓄スペースが限られている家では、無理に増やさず「トランプ1つ」「ダウンロード数本」だけでも十分に意味があります。全部そろえないと意味がない、という話ではありません。
よくある質問
防災の日はいつですか?
防災の日は毎年9月1日です。1923年9月1日に発生した関東大震災を教訓とし、台風シーズンを迎える時期でもあることから、1960年の閣議了解により制定されました。また、9月1日を含む8月30日から9月5日までの1週間は「防災週間」とされ、1982年に制定されています。
停電に備えて乾電池は何本用意すればいいですか?
3日間の停電を想定した乾電池の備蓄目安は、単3形で1人あたり17本とされています。家族の人数分を掛けて計算し、ランタン・懐中電灯・ラジオなど使用する機器の電池規格に合わせて用意しておくと安心です。
停電時にスマホで動画を見ても大丈夫ですか?
充電に余裕がある場合に限れば問題ありませんが、停電中のスマホは安否確認と災害情報収集が最優先です。通信も不安定になるため、見たい作品は平常時にオフライン再生用としてダウンロードしておき、バッテリー残量が少ないときはトランプなど電源不要の遊びに切り替えられるようにしておくのが現実的です。
停電時に子どもが怖がらないようにするには何を備えればいいですか?
テーブル全体を照らせるLEDランタンを1つ用意し、部屋を暗いままにしないことがまず有効です。そのうえで、ルール説明が短いトランプなどの電源不要の遊びと、見慣れた作品をダウンロードしたスマホやタブレットを用意しておくと、待ち時間を埋めやすくなります。カセットコンロで温かい飲み物を用意できると、その場の空気がさらに落ち着きます。
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