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説明が分かりにくいと言われる人が直すべき順番とは?

2026年6月17日|いろは堂キャリア編集部
会議で複数人が話し合っている様子

画像出典: 写真: Amtec Photos(CC BY 2.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
説明が分かりにくい原因の多くは、語彙力や話し方ではなく「話す順番」にあります。結論を先に置き、次に話の全体像(何個の話をするか)を渡し、最後に詳細へ入ります。この順番と、話し始める前の30秒チェックだけで、聞き返される回数は目に見えて減ります。
😟
上司に報告するたび「で、結局どういうこと?」って聞き返されるんです。ちゃんと説明してるつもりなのに……

この聞き返され方をされる人は、内容を分かっていないわけではありません。むしろ、細かいところまで把握しているからこそ、把握した順番のまま話してしまうことが多いんです。

正直なところ、頭の中の情報は「起きた順」に並んでいます。トラブルなら、気づいた経緯があって、調べたことがあって、原因が分かって、対処した。その順で話すと、聞き手は最後まで「で、今どうなってるの?」が分からないまま聞き続けることになります。分かりにくさの正体は、話し手の理解の順番と、聞き手が知りたい順番がずれていることです。

だから直すべきは話し方ではなく、話す順番です。順番は型として覚えられるので、練習すれば今週から変わります。

なぜ「説明が分かりにくい」と言われるのか?

実務のコミュニケーション解説では、説明が伝わりにくい人によくある特徴として、次の5点が挙げられています。

伝わりにくい説明によくある5つの特徴
  • 話の順序が整理されていない
  • 結論を最後に言う
  • 前提の共有が不足している
  • 一文が長い
  • 具体例がない

コミュトレの公表データをもとに作成

この5つを見ると、語彙や声の大きさの話がひとつも入っていないことに気づきます。全部、話す前に決められることです。順序も、結論の位置も、前提を先に置くかどうかも、口を開く前に決まります。

つまり説明力は、話している最中のアドリブ力ではなく、話す前の設計の問題として扱えます。設計なら型が使えます。

結論→全体→詳細とは、具体的にどう話すことか?

順番の型はシンプルです。最初に結論、次に全体像、最後に詳細。この3段で組み立てます。

  1. 結論(10秒)相手が一番知りたい答えを1文で言い切る。「A社の納品、来週火曜に1日遅れます」のように、状態と結果を先に出します。
  2. 全体像(10秒)これから話す内容が何個あるかを予告する。「理由と、こちらの対応と、判断してほしいことの3つです」。聞き手はここで、頭の中に3つの箱を用意できます。
  3. 詳細(残り全部)予告した箱を、予告した順に埋めていく。「まず理由ですが」「次に対応ですが」と、箱の名前を言ってから中身を入れます。

効いているのは真ん中の「全体像」です。ここを飛ばして結論から詳細へ直行すると、聞き手は「この話はいつ終わるのか」「今はどのパートなのか」が分からないまま聞くことになります。話が何個あるかを先に渡すのは、初めて行く建物で「3階建てです」と教わるのに近い感覚です。

ビジネスの説明では、結論から話す型としてPREP法(Point=結論、Reason=理由、Example=具体例、Point=結論の再提示の順で話す構成法)が広く使われています。結論→全体→詳細は、このPREP法の「結論を先に」という原則に、聞き手へ先に地図を渡す考え方を組み合わせたものです。

報告の場面での例(悪い順番と良い順番)

よくある順番先週から在庫システムの反映が遅れていて、原因を調べたら夜間バッチが途中で止まっていて、それで昨日ベンダーに問い合わせて、今朝返事が来まして……
結論→全体→詳細在庫の反映遅れは、明日の朝には解消します。原因と、今日やること、ひとつ判断をお願いしたいことの3点をお伝えします。原因は夜間バッチの停止で──

情報量は同じです。違うのは、聞き手が最初の10秒で「解決するのか、しないのか」を知っているかどうかだけです。

話す前の30秒チェックには何を入れるか?

型を覚えても、いざ話す直前になると忘れます。そこで、口を開く前に4つだけ自問する形にしておきます。慣れれば本当に30秒で回ります。

話し始める前の30秒チェック
  • 相手は今、何を知りたいか — 経緯か、結果か、判断してほしいことか
  • この話は何個か — 数えて、口に出す数を決める(3つを超えたら分ける)
  • 相手が知らない前提はどれか — 固有名詞・社内用語・経緯のうち、共有されていないものを1つだけ先に置く
  • 相手にしてほしいことは何か — 報告だけか、判断か、作業依頼か

特に効くのは3つ目です。説明が伝わらない場面の多くは、話し手には当たり前になっている前提(プロジェクト名、前回の会議での決定、関係者の役割)が、聞き手側に無いまま話が進んでいます。

ただし前提を全部説明すると、今度は長くなって相手を退屈させます。相手がすでに知っていることは説明せず、知らないものだけを1つ渡すのが目安です。

この型が向かない場面もあります

結論から入る型は、悪い知らせを一方的に突きつける形になったり、相手の感情に配慮が必要な場面では冷たく響くことがあります。謝罪、退職の相談、条件のすり合わせといった交渉の場面では、結論を先に置くより、相手の状況を聞いてから話す方がうまくいくことが多いです。PREP法についても、感情に訴える場面や交渉の場面には不向きな場合があると複数の解説で指摘されています。型は万能ではなく、報告・連絡・説明といった「情報を正確に渡す場面」の道具だと考えてください。

ひとりでできる練習法はあるか?

説明は運動と同じで、知識として知っているだけでは口が動きません。実際の業務のなかで回数を稼ぐのが一番早い方法です。

  1. チャットの1行目を結論にするまず文字で練習します。上司や同僚へのチャット・メールで、1行目を必ず結論にする。文字は書き直せるので、順番を組み替える感覚が安全に身につきます。1日に何度も機会があるのも利点です。
  2. 報告の前に3語だけメモする口頭で話す直前に、手元へ「結論/個数/依頼」の3つだけ書き出す。文章にする必要はありません。「1日遅れ/3点/判断1つ」程度の走り書きで十分です。
  3. 週に1回、自分の説明を録音して聞き返す会議の自分の発言部分だけをスマホで録音し、後で聞く。結論が何秒目に出てきたかを数えます。30秒以上かかっていたら、順番が起きた順になっているサインです。
  4. 後輩に説明する機会を練習台にする前提を持たない相手ほど、順番のずれがそのまま「分かりません」として返ってきます。指導の場面は、自分の説明の粗を最も正確に教えてくれる場です。
🤔
結論から言おうとすると、まだ調査中で結論が出てないときに困りませんか?

結論が出ていない状態にも、報告できる結論があります。「まだ原因は特定できていません」「今日中には判断できません」というのが、その時点での結論です。

実際、ビジネスメール実態調査2024(一般社団法人日本ビジネスメール協会、2024年6月3日発表)では、返信が遅れる理由の1位が「すぐに結論が出せない」で51.66%でした。結論が出るまで黙るという選択が、相手を待たせる原因になっているわけです。「分からない」も、いつ分かるかとセットにすれば立派な結論になります。

面談・報告・引き継ぎで、そのまま使える言い回しは?

型は、自分の仕事を説明する機会でこそ試せます。面談から日々の報告まで、場面別に、そのまま使える出だしを置いておきます。

期の振り返り面談「結論から申し上げると、目標◯件に対して◯件で着地しました。達成できた要因と、届かなかった部分の原因、次期に変えることの3点でお話しします。」
目標設定の面談「次期は◯◯を最優先に置きたいと考えています。理由と、そのために必要な体制と、ご相談したい点の3つがあります。」
トラブルの一次報告「◯◯で障害が出ています。現時点で判明していることと、今すぐ止めている対応と、ご判断いただきたいことの3点です。まだ原因は特定できていません。」
引き継ぎの説明「この業務は月次で3つの作業があります。順に、締め処理、集計、報告です。まず締め処理からお伝えします。」
相談の切り出し「◯◯について、10分ご相談したいことがあります。判断をお願いしたいのは1点で、その前提を先に共有させてください。」

どれも共通しているのは、最初の1文で「結果」と「これから何個話すか」を渡していることです。この2つさえ先に出てしまえば、あとの詳細は多少ごちゃついても、相手は迷子になりません。

説明がうまい人が特別な話術を持っているわけではなく、この順番が習慣になっているだけ、というケースは本当に多いです。順番は、今日の次の報告から変えられます。

よくある質問

説明が下手なのは頭の回転が遅いせいですか?

多くの場合は違います。伝わりにくい説明によくある特徴は、話の順序が整理されていない、結論を最後に言う、前提の共有が不足している、一文が長い、具体例がない、の5点で、いずれも話す前の準備で解決できる要素です。頭の回転ではなく、情報を出す順番の設計の問題として扱えます。

PREP法と「結論→全体→詳細」はどう違いますか?

PREP法はPoint(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論の再提示)の順で話す構成法です。結論→全体→詳細は、その「結論を先に」という原則に、詳細へ入る前に話の全体像(何個の話をするか)を渡す手順を加えたものです。話が長くなる報告や引き継ぎでは、全体像を先に渡すことで聞き手が現在地を見失いにくくなります。

結論から話すと冷たい印象になりませんか?

場面によってはその通りです。結論を先に置く型は、報告・連絡・説明のように情報を正確に渡す場面に向いています。一方、謝罪や退職の相談、条件のすり合わせのような交渉・感情への配慮が必要な場面には不向きな場合があると複数の実務解説で指摘されています。場面で使い分けてください。

まだ結論が出ていないときはどう報告すればいいですか?

「現時点では結論が出ていない」ことと「いつ分かるか」をセットで伝えれば、それが結論になります。ビジネスメール実態調査2024(日本ビジネスメール協会)では、返信が遅れる理由の1位が「すぐに結論が出せない」で51.66%でした。結論が出るまで黙ることが、相手を待たせる原因になりやすい点に注意してください。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。